C12Q&A・豆知識

抜け毛が少ないとされる犬種

公開日 2025年2月14日|文=mofuwa編集部

明るく清潔な部屋で、淡い色のソファの上に落ち着いて伏せているクリーム色の巻き毛の犬
床の毛が少ない日でも、被毛のあいだには同じだけの毛が残っていることがあります。写真:Olivier Leysen/Pexels

床に落ちる抜け毛が減って、掃除機のごみパックが前ほど早く膨らまなくなりました。抜け毛が少ないとされる犬種で起きているのは、抜けた毛がその場に残るという変化です。毛は抜けていて、床に落ちる代わりに、まわりの毛に絡んで体の上に留まっています。比べているのは毛の量ではなく、抜けた毛が落ちる場所のほうです。床が汚れないぶん、被毛のあいだには溜まっていきます。この記事では、抜け毛が少ないとされる犬種について、順位も割合も書かずに、掃除の手間と体の手入れの手間がどう入れ替わるのかを、8つの問答に分けて書きます。迎える前に読むと、置き換わるのは総量ではなく作業の中身だと分かります。

抜け毛が少ない犬種とは、毛が抜けない犬種のことですか

抜け毛が少ないとされる犬種でも、毛は抜けています。毛には生えて抜けるまでの流れがあり、それはどの犬種でも止まりません。止まっていたら、毛は伸びるだけになって、傷んだ毛もいつまでも体に残ることになります。抜け毛が少ないという言い方が指しているのは、体の中の仕組みではなく、抜けた毛が最後にどこにあるかという結果のほうです。

家で「抜け毛が少ない」と感じる場面を思い出すと、その正体がはっきりします。床の毛が減った、服に付く毛が減った、掃除の回数が減った。どれも、抜けた毛が床や服にたどり着いた量の話です。体から抜けた量そのものを数えている場面は、1つもありません。数えているのは、抜けたあとに移動してきた毛だけです。

この4段のうち、抜け毛が少ないとされる犬種で小さくなっているのは3段目です。2段目の「残る」が大きいので、3段目に回ってくる量が減ります。抜けた毛は消えたわけではなく、被毛のあいだにいます。だから、掃除の手間は減るのに、体に触れたときに手に付く毛は減らない、という食い違いが起きます。

この記事で、犬種の順位も割合も書かないのはなぜですか

先に断っておきます。この記事では、抜け毛が少ない犬種の順位も、犬種ごとの割合も書きません。理由は単純で、その順位は何を数えたかで入れ替わってしまうからです。数え方が違う順位を並べて覚えても、自分の家の子には当てはまりません。

同じ「抜け毛が少ない」でも、数え方で並びが変わる
何を数えたか上位に来やすいのは抜けているのに数から漏れるもの
床に落ちた毛の量抜けた毛が体に残る犬種被毛のあいだに留まっている毛
ブラシに付いた毛の量毛が抜けにくいとされる犬種ブラシが届かない層に残った毛
服に付いた毛の量毛が短くて刺さりにくい犬種長くて絡む毛。服には移りにくい
季節ごとの増え方季節の山が立たない犬種一年じゅう少しずつ抜けている分
掃除にかかった時間毛が舞い上がりにくい犬種毛の重さや長さの違い

表の1行目と2行目が、同じ子でも反対の結果になることがあります。床に落ちる毛は少ないのに、ブラシには毎回たっぷり付く。これは矛盾ではなく、数え方が違うだけです。抜け毛が少ない犬種という言葉が、どちらの数え方から来ているのかは、たいてい書かれていません。だから、並びだけを持ち帰ると、家で数えたときに合わなくなります。

Note数字を出さない代わりに、書けることを書きます

頭数や割合、犬種ごとの順位は、調べ方によって動きます。出どころを確かめられない数字を覚えても、自分の家の子には使えません。この記事で扱うのは、抜け毛が少ないという言葉が何と何を比べているのか、その比べ方から何が言えるのか、そして家で自分の数字を出す方法の3つです。犬種名も、順位を付ける形では出しません。出すときは、シングルコートとされる犬種、巻き毛の犬種、というふうに被毛の作りの呼び名で書きます。

床に落ちなかった抜け毛は、体のどこへ行っているのですか

まわりの毛に引っかかって、被毛のあいだに留まっています。抜けた毛は、根元から外れたあとも、両隣の毛とこすれ合いながらその場に立っています。毛の密度が高いほど、毛が曲がっているほど、毛が長いほど、外へ出るまでの距離が長くなります。距離が長ければ、途中で引っかかる回数も増えます。

確かめ方は簡単です。毛を左右にかき分けて、根元のあたりを見てください。床に毛が落ちない犬種でも、かき分けた線のところに、向きのそろっていない毛が横たわっていることがあります。それが、抜けたのに出ていけていない毛です。床の毛が少ないことと、体の毛が少ないことは、同じではありません。

留まった毛は、そのまま静かにしているわけでもありません。抜けた毛は根元でつながっていないので、体が動くたびに向きを変えます。向きの変わる毛が、まだ生えている毛のあいだに入り込むと、そこが絡みの起点になります。もともとこすれている場所であれば、材料が足された形になります。抜け毛が少ないとされる犬種で、もつれの話が同時に出てくるのはこのためです。

抜けた毛が体に残る条件と、そこで起きること
条件何が起きるか家で気づく形
毛の密度が高い外へ出るまでの距離が長くなるかき分けると根元に毛が横たわる
毛が曲がっている隣の毛に引っかかりやすいブラシに毛がまとまって付く
毛が長い1本が何本もの毛と交差する毛先のほうで束になる
こすれる場所である留まった毛がその場で動く脇や内ももだけ手ざわりが違う
空気が乾いている静電気で毛どうしが反発して交差するブラシを当てると毛が立つ

この表の右の列は、どれも床を見ていては出てこない項目です。抜け毛が少ない犬種の手入れが、床の毛の量では組めないのは、見ている場所が違うからです。掃除の側からは何も起きていないように見えて、体の側では毎日変化が進みます。

掃除の手間が減るぶん、何の手間が増えるのですか

増えるのは、体の上でもつれをほどく側の手間です。床に落ちなかった毛は被毛のあいだに残り、絡みの材料になります。掃除機をかける回数は減りますが、ブラシとコームを入れる回数は減りません。手間そのものが消えたのではなく、置き場所が床から体へ移ったという形です。

抜けた毛が床に落ちる場合と、体に残る場合の手間の置き場所 抜けた毛が床へ移動する犬種と、被毛のあいだに留まる犬種で、飼い主の手間がどこに集まるかを左右に並べた比較カードです。 抜けている量そのものは、どちらでも変わりません 床に落ちる側 掃除機と粘着ローラーの出番が多い 服やソファに毛が移る 季節で量がはっきり動く 体のもつれは起きにくい 毛が減ったことに気づきやすい 体に残る側 掃除の回数は少なくて済む 服やソファに毛が移りにくい 季節の山が読み取りにくい 根元でもつれが育ちやすい 溜まっていることに気づきにくい どちらの側が重いかは、その子の毛の作りと、家の暮らし方で変わります
減っているのは手間の総量ではなく、手間が置かれている場所のほうです。

右の列の下2つが、迎えたあとに効いてきます。季節の山が読み取りにくいので、手入れを増やす合図が毛の側から届きません。床の量が動かないので、飼い主のほうから確かめにいかないと分からない。溜まっていることに気づかないまま日が過ぎて、ある日ブラシが根元で止まるようになって初めて分かる、という順番になりがちです。

抜け毛が少ない犬種は手がかからない、という言い方をよく見かけます。掃除という一点に限れば、そのとおりです。床の毛は減りますし、季節の大掃除も増えません。ただ、被毛の手入れは掃除だけで終わりません。楽になっているのは飼い主の部屋の側で、その子の体の側ではない、と分けて考えておくと、迎えたあとの予定が立てやすくなります。

同じ呼び方の中に、理由の違う2つの型があるのですか

あります。ここが、この言葉のいちばんややこしいところです。抜け毛が少ないとされる犬種は、2つの違う理由でそう呼ばれています。1つは、抜ける量そのものが小さい型。もう1つは、抜けた量は変わらないのに、床まで届かない型です。呼び名は同じなので、家で数えるまで、その子がどちらなのかは分かりません。

同じ呼び方をされる、2つの型
抜ける量が小さい型床まで届かない型
被毛の作りの呼び名シングルコートとされる犬種巻き毛の犬種・長毛の犬種
何が起きているか季節でまとめて抜ける層が小さい抜けた毛が被毛のあいだに留まる
床の毛少ない少ない
ブラシに出る毛少なめ毎回まとまって出る
もつれの起きやすさ起きにくい起きやすい
増やす手入れ根元まで通す回数毛先をほどく時間

3行目を見てください。どちらの型でも、床の毛は少なくなります。だから床だけを見ていると、この2つは同じに見えます。分かれるのは4行目からで、ブラシに出る量が違います。片方はブラシにも出てこないのに、もう片方は毎回まとまって出てくる。ブラシに出るということは、それだけの毛が体に残っていたということです。

2つの型が混ざったまま「抜け毛が少ない犬種」として語られると、手入れの話も混ざります。床の毛が少ないという1つの結果に、まったく違う2つの原因がぶら下がっている状態です。迎える前に読む情報の多くは床の側から書かれているので、体の側の型を選んだ家では、想定していなかった作業が増えます。増えるのは掃除ではなく、ほどく時間のほうです。

念のため書いておくと、どちらの型が良い悪いという話ではありません。手間の置き場所が違うだけです。掃除の時間を減らしたい家と、体に触る時間を毎日取れる家では、向いている型が変わります。順位で選ぶより、自分の家でどちらの時間が取りやすいかで選ぶほうが、迎えたあとに無理が出ません。

床とブラシのどちらを数えれば、その子の型が分かりますか

両方を、1週間だけ別々に数えます。片方だけでは型が決まりません。数えるといっても、グラムを量る必要はありません。書くのは「多い・ふつう・少ない」の3段階だけで足ります。抜け毛が少ない犬種かどうかを、よそから借りた順位ではなく、その子の数字として出す方法です。

  1. 毎日同じ時刻に、決めた1か所の床を見る

    その子がいちばん長くいる場所の、決まった一角にします。全部屋を見ようとすると、日によって範囲が変わって比べられません。紙に日付と3段階だけを書きます。

  2. 同じ日に、ブラシを1回だけ入れて、付いた量を見る

    背中の真ん中など、これも場所を1つに決めます。回数も1回に固定してください。2回入れた日と1回の日を混ぜると、量の比較になりません。

  3. 7日たったら、床の列とブラシの列を並べる

    床が少なくてブラシも少ないなら、抜ける量が小さい型です。床が少ないのにブラシが多いなら、床まで届いていない型です。この1行が、その子の型になります。

  4. ブラシが多かった日に、根元をかき分けて確かめる

    ブラシに出た毛が、体のどこに溜まっていたのかを見ます。脇の下、内もも、耳の後ろ、尾のつけ根。同じ場所が繰り返し出てきます。そこが、その子で先に手を入れる場所です。

  5. 季節をまたいで、もう1週間だけやり直す

    空気が乾く時期と、そうでない時期で結果が変わることがあります。2回ぶんあると、季節で動く分と、いつもの分が分かれます。3回目以降は要りません。

この記録には、もう1つの使い道があります。床の量が変わらないまま、ブラシに出る量だけが急に増えた日が見つかることがあります。床だけを見ていたら気づけない動きです。抜け毛が少ないとされる犬種では、変化が床に出てこないので、こちらの列が唯一の手がかりになります。

抜け毛が少ない犬種を迎えるとき、手入れの時間はどう組みますか

組み方の考え方は1つです。減った掃除の時間を、そのまま体に触る時間へ移します。総量は変わらないという前提で組むと、あとから足りなくなりません。抜け毛が少ない犬種を迎えて、掃除の時間だけが減って、体の時間が増えないままだと、s3で書いた留まった毛がそのまま溜まっていきます。

掃除の側の時間を、体の側へ移す
減るもの移す先1回の目安
掃除機をかける回数根元まで歯を入れるブラッシング短く、回数を増やす
粘着ローラーを使う時間こすれる場所だけをほどく時間場所を絞って毎日
服に付いた毛を取る時間毛先を落ち着かせてから通す時間ブラシの前に少しだけ
季節の大掃除月に1回、根元を確かめる日月の決まった日に1回

1回の時間は、長くしないほうが続きます。全身を一度に通そうとすると時間が延びて、その子が途中で嫌がり、いちばん後ろに回した場所がいつも残ります。s6で見つけた、繰り返し出てくる場所から始めてください。抜け毛が少ないとされる犬種ほど、手を入れる場所が偏っているので、絞るほど早く終わります。

水を使わない日のケアも1つ足しておきます。空気が乾く時期は、静電気で毛先が立ってブラシが根元まで届きません。mofuwa 毛玉予防ジェルは、被毛をコーティングして、もつれと静電気が起きにくい状態にするジェルです。香料無添加で、こすれる場所にだけ薄くのばして使えます。すでにできたもつれをほどく道具ではなく、留まった毛が絡み始める前の段階に置くものです。洗い流さないケアと合わせるなら、mofuwa グルーミングスプレーを布に取って毛先をなでてから歯を入れると、根元まで通りやすくなります。使う場所は、1週間の記録で繰り返し出てきた場所だけで足ります。

Point迎える前に決めておくと、あとから足りなくなりません

抜け毛が少ない犬種を選ぶ理由が「掃除の時間を減らしたいから」であれば、減らした時間の行き先を先に決めておいてください。床の毛が減ったぶんは、体の上に置かれています。1日5分でも、場所を絞って毎日入れておくと、ほどく作業が育つ前に終わります。掃除は溜めてからでも取り返せますが、もつれは溜めると取り返しに時間がかかります。ここが、床と体でいちばん性質の違うところです。

「抜け毛が少ない」を、床の側と体の側に分けて畳む|相談の目安

ここまでを畳みます。抜け毛が少ないとされる犬種でも、毛は抜けています。少なくなっているのは、抜けた毛のうち床まで届いた分です。届かなかった分は被毛のあいだに残っていて、そこが絡みの材料になります。だから、掃除の手間と体の手入れの手間は入れ替わる関係にあります。

床の側と体の側で、見るものが変わる
床の側体の側
数えているもの落ちた毛の量残っている毛の量
気づきやすさ目に入るかき分けないと分からない
季節の読みやすさ量が動けば分かる動きが床に出てこない
溜めたときの取り返しまとめて掃除できるほどくのに時間がかかる
抜け毛が少ない犬種で軽くなる側こちら軽くならない

最後の行が、この記事の答えそのものです。抜け毛が少ないという言葉が約束しているのは、床の側だけです。体の側は、犬種の呼び名では軽くなりません。床で減った量は、消えたのではなく、まだその子の上にあります。順位や割合を覚えるより、この1行を持っておくほうが、迎えたあとに役に立ちます。

そして、s6の1週間の記録は、迎える前でも迎えたあとでも作れます。床の列とブラシの列を並べるだけで、その子がどちらの型かが分かります。よそで見た並びを当てはめるより、7日ぶんの3段階のほうが当たります。抜け毛が少ない犬種という言葉を、その子の数字に置き換える作業だと考えてください。

Caution床とブラシの量が急に変わったときは、動物病院にご相談ください

ブラシに出る量が短い期間に急に増えた、特定の場所だけ毛が薄くなった、地肌が赤い、かさぶたやべたつきが続く、同じ場所をなめたり掻いたりし続けている、ブラシが急に根元で止まるようになった。こうした変化があるときは、ブラッシングの回数を増やしたり、その場でほどこうとしたりする前に動物病院にご相談ください。抜け毛が少ないとされる犬種では、変化が床に出てこないので、気づくのが遅れやすいところがあります。1週間の記録があれば、いつから、どの列が動いたかをそのまま持っていけます。

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被毛をコーティングして、もつれと静電気を起きにくくするジェル。香料無添加です。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。