C12Q&A・豆知識
抜け毛が少ないとされる犬種
床に落ちる抜け毛が減って、掃除機のごみパックが前ほど早く膨らまなくなりました。抜け毛が少ないとされる犬種で起きているのは、抜けた毛がその場に残るという変化です。毛は抜けていて、床に落ちる代わりに、まわりの毛に絡んで体の上に留まっています。比べているのは毛の量ではなく、抜けた毛が落ちる場所のほうです。床が汚れないぶん、被毛のあいだには溜まっていきます。この記事では、抜け毛が少ないとされる犬種について、順位も割合も書かずに、掃除の手間と体の手入れの手間がどう入れ替わるのかを、8つの問答に分けて書きます。迎える前に読むと、置き換わるのは総量ではなく作業の中身だと分かります。
抜け毛が少ない犬種とは、毛が抜けない犬種のことですか
抜け毛が少ないとされる犬種でも、毛は抜けています。毛には生えて抜けるまでの流れがあり、それはどの犬種でも止まりません。止まっていたら、毛は伸びるだけになって、傷んだ毛もいつまでも体に残ることになります。抜け毛が少ないという言い方が指しているのは、体の中の仕組みではなく、抜けた毛が最後にどこにあるかという結果のほうです。
家で「抜け毛が少ない」と感じる場面を思い出すと、その正体がはっきりします。床の毛が減った、服に付く毛が減った、掃除の回数が減った。どれも、抜けた毛が床や服にたどり着いた量の話です。体から抜けた量そのものを数えている場面は、1つもありません。数えているのは、抜けたあとに移動してきた毛だけです。
- 抜ける:毛が根元から外れます。これはどの犬種でも起きています
- 残る:外れた毛が、まわりの毛に引っかかって体の上に留まります
- 落ちる:留まらなかった毛が、床や服やソファへ移動します
- 数える:飼い主が見ているのは、いちばん最後の「落ちる」だけです
この4段のうち、抜け毛が少ないとされる犬種で小さくなっているのは3段目です。2段目の「残る」が大きいので、3段目に回ってくる量が減ります。抜けた毛は消えたわけではなく、被毛のあいだにいます。だから、掃除の手間は減るのに、体に触れたときに手に付く毛は減らない、という食い違いが起きます。
この記事で、犬種の順位も割合も書かないのはなぜですか
先に断っておきます。この記事では、抜け毛が少ない犬種の順位も、犬種ごとの割合も書きません。理由は単純で、その順位は何を数えたかで入れ替わってしまうからです。数え方が違う順位を並べて覚えても、自分の家の子には当てはまりません。
| 何を数えたか | 上位に来やすいのは | 抜けているのに数から漏れるもの |
|---|---|---|
| 床に落ちた毛の量 | 抜けた毛が体に残る犬種 | 被毛のあいだに留まっている毛 |
| ブラシに付いた毛の量 | 毛が抜けにくいとされる犬種 | ブラシが届かない層に残った毛 |
| 服に付いた毛の量 | 毛が短くて刺さりにくい犬種 | 長くて絡む毛。服には移りにくい |
| 季節ごとの増え方 | 季節の山が立たない犬種 | 一年じゅう少しずつ抜けている分 |
| 掃除にかかった時間 | 毛が舞い上がりにくい犬種 | 毛の重さや長さの違い |
表の1行目と2行目が、同じ子でも反対の結果になることがあります。床に落ちる毛は少ないのに、ブラシには毎回たっぷり付く。これは矛盾ではなく、数え方が違うだけです。抜け毛が少ない犬種という言葉が、どちらの数え方から来ているのかは、たいてい書かれていません。だから、並びだけを持ち帰ると、家で数えたときに合わなくなります。
頭数や割合、犬種ごとの順位は、調べ方によって動きます。出どころを確かめられない数字を覚えても、自分の家の子には使えません。この記事で扱うのは、抜け毛が少ないという言葉が何と何を比べているのか、その比べ方から何が言えるのか、そして家で自分の数字を出す方法の3つです。犬種名も、順位を付ける形では出しません。出すときは、シングルコートとされる犬種、巻き毛の犬種、というふうに被毛の作りの呼び名で書きます。
床に落ちなかった抜け毛は、体のどこへ行っているのですか
まわりの毛に引っかかって、被毛のあいだに留まっています。抜けた毛は、根元から外れたあとも、両隣の毛とこすれ合いながらその場に立っています。毛の密度が高いほど、毛が曲がっているほど、毛が長いほど、外へ出るまでの距離が長くなります。距離が長ければ、途中で引っかかる回数も増えます。
確かめ方は簡単です。毛を左右にかき分けて、根元のあたりを見てください。床に毛が落ちない犬種でも、かき分けた線のところに、向きのそろっていない毛が横たわっていることがあります。それが、抜けたのに出ていけていない毛です。床の毛が少ないことと、体の毛が少ないことは、同じではありません。
留まった毛は、そのまま静かにしているわけでもありません。抜けた毛は根元でつながっていないので、体が動くたびに向きを変えます。向きの変わる毛が、まだ生えている毛のあいだに入り込むと、そこが絡みの起点になります。もともとこすれている場所であれば、材料が足された形になります。抜け毛が少ないとされる犬種で、もつれの話が同時に出てくるのはこのためです。
| 条件 | 何が起きるか | 家で気づく形 |
|---|---|---|
| 毛の密度が高い | 外へ出るまでの距離が長くなる | かき分けると根元に毛が横たわる |
| 毛が曲がっている | 隣の毛に引っかかりやすい | ブラシに毛がまとまって付く |
| 毛が長い | 1本が何本もの毛と交差する | 毛先のほうで束になる |
| こすれる場所である | 留まった毛がその場で動く | 脇や内ももだけ手ざわりが違う |
| 空気が乾いている | 静電気で毛どうしが反発して交差する | ブラシを当てると毛が立つ |
この表の右の列は、どれも床を見ていては出てこない項目です。抜け毛が少ない犬種の手入れが、床の毛の量では組めないのは、見ている場所が違うからです。掃除の側からは何も起きていないように見えて、体の側では毎日変化が進みます。
掃除の手間が減るぶん、何の手間が増えるのですか
増えるのは、体の上でもつれをほどく側の手間です。床に落ちなかった毛は被毛のあいだに残り、絡みの材料になります。掃除機をかける回数は減りますが、ブラシとコームを入れる回数は減りません。手間そのものが消えたのではなく、置き場所が床から体へ移ったという形です。
右の列の下2つが、迎えたあとに効いてきます。季節の山が読み取りにくいので、手入れを増やす合図が毛の側から届きません。床の量が動かないので、飼い主のほうから確かめにいかないと分からない。溜まっていることに気づかないまま日が過ぎて、ある日ブラシが根元で止まるようになって初めて分かる、という順番になりがちです。
抜け毛が少ない犬種は手がかからない、という言い方をよく見かけます。掃除という一点に限れば、そのとおりです。床の毛は減りますし、季節の大掃除も増えません。ただ、被毛の手入れは掃除だけで終わりません。楽になっているのは飼い主の部屋の側で、その子の体の側ではない、と分けて考えておくと、迎えたあとの予定が立てやすくなります。
同じ呼び方の中に、理由の違う2つの型があるのですか
あります。ここが、この言葉のいちばんややこしいところです。抜け毛が少ないとされる犬種は、2つの違う理由でそう呼ばれています。1つは、抜ける量そのものが小さい型。もう1つは、抜けた量は変わらないのに、床まで届かない型です。呼び名は同じなので、家で数えるまで、その子がどちらなのかは分かりません。
| 抜ける量が小さい型 | 床まで届かない型 | |
|---|---|---|
| 被毛の作りの呼び名 | シングルコートとされる犬種 | 巻き毛の犬種・長毛の犬種 |
| 何が起きているか | 季節でまとめて抜ける層が小さい | 抜けた毛が被毛のあいだに留まる |
| 床の毛 | 少ない | 少ない |
| ブラシに出る毛 | 少なめ | 毎回まとまって出る |
| もつれの起きやすさ | 起きにくい | 起きやすい |
| 増やす手入れ | 根元まで通す回数 | 毛先をほどく時間 |
3行目を見てください。どちらの型でも、床の毛は少なくなります。だから床だけを見ていると、この2つは同じに見えます。分かれるのは4行目からで、ブラシに出る量が違います。片方はブラシにも出てこないのに、もう片方は毎回まとまって出てくる。ブラシに出るということは、それだけの毛が体に残っていたということです。
2つの型が混ざったまま「抜け毛が少ない犬種」として語られると、手入れの話も混ざります。床の毛が少ないという1つの結果に、まったく違う2つの原因がぶら下がっている状態です。迎える前に読む情報の多くは床の側から書かれているので、体の側の型を選んだ家では、想定していなかった作業が増えます。増えるのは掃除ではなく、ほどく時間のほうです。
念のため書いておくと、どちらの型が良い悪いという話ではありません。手間の置き場所が違うだけです。掃除の時間を減らしたい家と、体に触る時間を毎日取れる家では、向いている型が変わります。順位で選ぶより、自分の家でどちらの時間が取りやすいかで選ぶほうが、迎えたあとに無理が出ません。
床とブラシのどちらを数えれば、その子の型が分かりますか
両方を、1週間だけ別々に数えます。片方だけでは型が決まりません。数えるといっても、グラムを量る必要はありません。書くのは「多い・ふつう・少ない」の3段階だけで足ります。抜け毛が少ない犬種かどうかを、よそから借りた順位ではなく、その子の数字として出す方法です。
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毎日同じ時刻に、決めた1か所の床を見る
その子がいちばん長くいる場所の、決まった一角にします。全部屋を見ようとすると、日によって範囲が変わって比べられません。紙に日付と3段階だけを書きます。
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同じ日に、ブラシを1回だけ入れて、付いた量を見る
背中の真ん中など、これも場所を1つに決めます。回数も1回に固定してください。2回入れた日と1回の日を混ぜると、量の比較になりません。
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7日たったら、床の列とブラシの列を並べる
床が少なくてブラシも少ないなら、抜ける量が小さい型です。床が少ないのにブラシが多いなら、床まで届いていない型です。この1行が、その子の型になります。
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ブラシが多かった日に、根元をかき分けて確かめる
ブラシに出た毛が、体のどこに溜まっていたのかを見ます。脇の下、内もも、耳の後ろ、尾のつけ根。同じ場所が繰り返し出てきます。そこが、その子で先に手を入れる場所です。
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季節をまたいで、もう1週間だけやり直す
空気が乾く時期と、そうでない時期で結果が変わることがあります。2回ぶんあると、季節で動く分と、いつもの分が分かれます。3回目以降は要りません。
この記録には、もう1つの使い道があります。床の量が変わらないまま、ブラシに出る量だけが急に増えた日が見つかることがあります。床だけを見ていたら気づけない動きです。抜け毛が少ないとされる犬種では、変化が床に出てこないので、こちらの列が唯一の手がかりになります。
抜け毛が少ない犬種を迎えるとき、手入れの時間はどう組みますか
組み方の考え方は1つです。減った掃除の時間を、そのまま体に触る時間へ移します。総量は変わらないという前提で組むと、あとから足りなくなりません。抜け毛が少ない犬種を迎えて、掃除の時間だけが減って、体の時間が増えないままだと、s3で書いた留まった毛がそのまま溜まっていきます。
| 減るもの | 移す先 | 1回の目安 |
|---|---|---|
| 掃除機をかける回数 | 根元まで歯を入れるブラッシング | 短く、回数を増やす |
| 粘着ローラーを使う時間 | こすれる場所だけをほどく時間 | 場所を絞って毎日 |
| 服に付いた毛を取る時間 | 毛先を落ち着かせてから通す時間 | ブラシの前に少しだけ |
| 季節の大掃除 | 月に1回、根元を確かめる日 | 月の決まった日に1回 |
1回の時間は、長くしないほうが続きます。全身を一度に通そうとすると時間が延びて、その子が途中で嫌がり、いちばん後ろに回した場所がいつも残ります。s6で見つけた、繰り返し出てくる場所から始めてください。抜け毛が少ないとされる犬種ほど、手を入れる場所が偏っているので、絞るほど早く終わります。
水を使わない日のケアも1つ足しておきます。空気が乾く時期は、静電気で毛先が立ってブラシが根元まで届きません。mofuwa 毛玉予防ジェルは、被毛をコーティングして、もつれと静電気が起きにくい状態にするジェルです。香料無添加で、こすれる場所にだけ薄くのばして使えます。すでにできたもつれをほどく道具ではなく、留まった毛が絡み始める前の段階に置くものです。洗い流さないケアと合わせるなら、mofuwa グルーミングスプレーを布に取って毛先をなでてから歯を入れると、根元まで通りやすくなります。使う場所は、1週間の記録で繰り返し出てきた場所だけで足ります。
抜け毛が少ない犬種を選ぶ理由が「掃除の時間を減らしたいから」であれば、減らした時間の行き先を先に決めておいてください。床の毛が減ったぶんは、体の上に置かれています。1日5分でも、場所を絞って毎日入れておくと、ほどく作業が育つ前に終わります。掃除は溜めてからでも取り返せますが、もつれは溜めると取り返しに時間がかかります。ここが、床と体でいちばん性質の違うところです。
「抜け毛が少ない」を、床の側と体の側に分けて畳む|相談の目安
ここまでを畳みます。抜け毛が少ないとされる犬種でも、毛は抜けています。少なくなっているのは、抜けた毛のうち床まで届いた分です。届かなかった分は被毛のあいだに残っていて、そこが絡みの材料になります。だから、掃除の手間と体の手入れの手間は入れ替わる関係にあります。
| 床の側 | 体の側 | |
|---|---|---|
| 数えているもの | 落ちた毛の量 | 残っている毛の量 |
| 気づきやすさ | 目に入る | かき分けないと分からない |
| 季節の読みやすさ | 量が動けば分かる | 動きが床に出てこない |
| 溜めたときの取り返し | まとめて掃除できる | ほどくのに時間がかかる |
| 抜け毛が少ない犬種で軽くなる側 | こちら | 軽くならない |
最後の行が、この記事の答えそのものです。抜け毛が少ないという言葉が約束しているのは、床の側だけです。体の側は、犬種の呼び名では軽くなりません。床で減った量は、消えたのではなく、まだその子の上にあります。順位や割合を覚えるより、この1行を持っておくほうが、迎えたあとに役に立ちます。
そして、s6の1週間の記録は、迎える前でも迎えたあとでも作れます。床の列とブラシの列を並べるだけで、その子がどちらの型かが分かります。よそで見た並びを当てはめるより、7日ぶんの3段階のほうが当たります。抜け毛が少ない犬種という言葉を、その子の数字に置き換える作業だと考えてください。
ブラシに出る量が短い期間に急に増えた、特定の場所だけ毛が薄くなった、地肌が赤い、かさぶたやべたつきが続く、同じ場所をなめたり掻いたりし続けている、ブラシが急に根元で止まるようになった。こうした変化があるときは、ブラッシングの回数を増やしたり、その場でほどこうとしたりする前に動物病院にご相談ください。抜け毛が少ないとされる犬種では、変化が床に出てこないので、気づくのが遅れやすいところがあります。1週間の記録があれば、いつから、どの列が動いたかをそのまま持っていけます。
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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
