C05犬種・猫種別ケア
フラットコーテッドレトリバーと暮らすなら知っておきたい、抜け毛の話
フラットコーテッドレトリバーと暮らしていると、毛が落ちている場所が日によって入れ替わります。朝は廊下の角、昼は台所の入口、夕方には階段の一段目。1か所に山ができるかわりに、家じゅうの床に薄く広がっていきます。この犬種の抜け毛は、溜まるより先に散ります。原因は被毛の量ではなく、その子が同じ場所にとどまっている時間の短さのほうにあります。この記事では、じっとしている時間が長い子の抜け毛と、フラットコーテッドレトリバーのように動き続ける子の抜け毛を並べて、家の中で毛を探す場所がどう変わるかを書きます。
立ち止まっている時間が短い|フラットコーテッドレトリバーの抜け毛が1か所に溜まらない理由
フラットコーテッドレトリバーは、家の中でもよく動く子が多い犬種です。呼べば来て、来たと思えばもう別の部屋にいて、窓の外を人が通れば立ち上がります。一日のうち、その子が同じ場所にとどまっている時間が、そう長くない。この犬種の抜け毛を考えるときの出発点は、被毛の量ではなく、この「動いている時間の長さ」のほうです。
もともとは、水辺で撃ち落とされた鳥を回収する仕事をしていた犬種です。岸と水面のあいだを何度も往復し、指示があればすぐ動き出す。じっと待つことより、動き続けることのほうに向いた体と気質を持っています。年齢を重ねてもこの傾向が残る子が多く、室内でも一日の移動回数が多くなります。フラットコーテッドレトリバーの抜け毛が家じゅうにあるのは、その延長にある出来事です。
被毛のほうも見ておきます。上毛は中くらいの長さで、まっすぐか、ゆるく波打っています。胸、前脚の裏、腹、しっぽには飾り毛があり、その内側に下毛があります。抜けた毛は、まずこの飾り毛と上毛のあいだにいったん留まります。留まったまま体が動けば、毛は歩いた先で落ちます。走れば、もっと遠くまで届きます。
整理すると、フラットコーテッドレトリバーの抜け毛は、その子がいた場所ではなく、その子が通った経路に落ちています。寝床の周りだけを掃除しても、家全体の抜け毛の量はほとんど減りません。掃除をした翌日にまた同じだけ床にある、と感じるとき、探している場所と、実際に落ちている場所がずれていることがあります。
- 移動の回数が多い:留まっていた毛が、動くたびに振り落とされます
- 飾り毛が体の下側にある:胸・腹・脚の裏は、歩くだけで空気が当たります
- 体格が大きい:一度の身震いで、毛が届く範囲が広くなります
- 下毛がある:換毛期には、上毛に留まる毛の数がまとまって増えます
- 床から体までの距離がある:落ちきるまでに間があるので、真下には積もりません
フラットコーテッドレトリバーの抜け毛が広い範囲にあるのは、抜ける量が特別に多いからではありません。抜けた毛が体に留まっている時間が短く、留まっている場所も体の下側にある、という条件が重なった結果です。量の話にすると、答えは「ブラッシングの時間をもっと増やす」になってしまいます。散り方の話にすると、答えは「どこで受け止めるか」に変わります。動かせるのは後者のほうです。
溜まる抜け毛と、散る抜け毛|フラットコーテッドレトリバーで起きる落ち方の違い
ここからは、抜け毛の落ち方を2つに分けます。片方は、同じ場所にとどまる時間が長い子の抜け毛。もう片方は、フラットコーテッドレトリバーのように動き続ける子の抜け毛です。抜ける量が同じでも、家の中での見つかり方はここまで変わります。比べるのは量ではなく、落ちる場所と、人が気づく場所の違いです。
とどまる時間が長い子では、抜け毛は寝床の周り、お気に入りの椅子の座面、日の当たる窓ぎわに集まります。毛は体から下へ落ち、そのまま動きません。山ができるので、量が増えたことにすぐ気づけます。掃除もそこへ当てれば済みます。抜け毛と暮らす手間は、場所が決まっているぶん読みやすくなります。
フラットコーテッドレトリバーでは、こうなりません。留まった毛は、その子が立ち上がった瞬間、身震いした瞬間、廊下を小走りに抜けた瞬間に、少しずつ体から離れます。落ちる場所は一点ではなく、線になります。そのうえ体格があるぶん高さから落ちるので、途中で空気の流れに乗って、床ではない場所にも届きます。巾木の際、家具の脚元、階段の隅、カーテンの裾。ここが「探す場所が違う」という意味です。
| とどまる時間が長い子 | フラットコーテッドレトリバー | |
|---|---|---|
| 落ちる場所 | 寝床・椅子・窓ぎわの一点 | 移動した経路に沿って線状に |
| 毛の集まり方 | 山になって積もる | 薄く広がり、隅に寄る |
| 気づく場所 | 床。目で見て分かる | 巾木・家具の脚元・服の裾 |
| 量が増えたとき | 山が大きくなるので分かる | 毎日同じに見えて分かりにくい |
| 掃除の当て方 | その一点に集中させる | 経路と壁ぎわを先に通す |
| ブラッシングの置き場所 | 寝床のそば | 出入口に近い、通り道の途中 |
どちらが手間か、という比較ではありません。散る抜け毛には、1か所を念入りにやっても総量が動かない、という性質があるだけです。フラットコーテッドレトリバーの抜け毛に手を焼いているという方の多くは、掃除の回数が足りていないのではなく、当てている場所が経路から外れています。逆に言えば、通り道と壁ぎわを先に通すだけで、同じ時間でも結果が変わります。
もうひとつ、散る側にしかない利点もあります。毛が一か所で厚く積もらないので、床に敷いたものの下で湿って固まる、ということが起きにくい。抜け毛が寝床の下に押し込まれたまま蒸れる、という状態にはなりにくい犬種です。散っている毛は、乾いたまま隅へ移動しているだけです。
量が動く時期は、床ではなく家具の高さで分かる|フラットコーテッドレトリバーの抜け毛と季節
散る抜け毛には、困ったところがひとつあります。量が増えた日が分かりません。床にはいつも同じくらい毛があり、掃除しても翌日には戻っている。この状態が一年じゅう続くので、換毛期に入ったことに人のほうが気づけません。フラットコーテッドレトリバーの抜け毛では、時期の入口を床で判断しないほうがいい、ということになります。
下毛がまとまって動くのは、春と秋です。気温よりも日照時間の変化が先に来るので、体感で寒くなる前、暑くなる前に始まります。おおよそ、2月の終わりから4月にかけてと、9月から11月にかけて。ただしこれは目安で、室内で過ごす時間が長い子ほど時期がぼやけます。だからこそ、その子自身の記録を持っておくほうが早いです。
見る場所を、床から少し上げてください。散った毛は空気の流れに乗って、必ず同じ場所に寄ります。寄りやすい場所を4か所だけ決めて、週に1回、同じ曜日に見る。これだけで、量が動いた週が分かります。フラットコーテッドレトリバーの抜け毛の時期は、床の総量ではなく、この4か所の増え方で読めます。
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巾木の角を1か所決める
壁と床の境目の、部屋の隅です。空気の流れが止まるので、散った毛が最初に寄ります。ここに毛の筋ができはじめたら、量が動いています。掃除機を当てる前に、目で見る習慣にしてください。
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階段の一段目、または段差の隅を見る
その子が一日に何度も通る場所です。踏み板の奥の角に毛が寄ります。フラットコーテッドレトリバーは上り下りの回数が多いので、ここは季節の差が出やすい場所になります。
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エアコンや空気清浄機のフィルターを見る
散った毛のうち、細くて軽い下毛だけがここへ届きます。上毛は床に落ちますが、下毛は空気に乗るので、換毛期の入口はフィルターに先に出ます。月に1回でも見ておくと、時期の読みがはっきりします。
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自分の服の裾と、袖口を見る
抱いたり触ったりしなくても、そばを通っただけで付きます。いつもは付かない色の服に毛が目立ちはじめた週が、その年の入口です。持ち歩ける記録になるので、いちばん忘れにくい方法です。
| 見る場所 | 何を見るか | 分かること |
|---|---|---|
| 巾木の角 | 毛の筋ができているか | 散った上毛の総量 |
| 階段や段差の隅 | 奥の角に寄っているか | その子の移動量 |
| フィルター | 細い毛が絡んでいるか | 下毛が動きはじめたか |
| 服の裾と袖口 | 付く量が増えたか | 換毛期の入口かどうか |
換毛期の入口が読めると、その2週間前からブラッシングの回数を上げられます。下毛が動きはじめる前に上毛を通しておくと、抜けた下毛が留まる時間が短くなります。フラットコーテッドレトリバーは飾り毛のある場所で留まるので、胸と脚の裏を先に通しておくのが効きます。時期が終わったら回数も戻してください。一年じゅう同じ回数でやろうとすると、続きません。
散る抜け毛を、家のどこで受け止めるか|フラットコーテッドレトリバーの場所の選び方
落ちる場所が経路なら、経路の途中に受け止める場所をつくる、というのが答えになります。ブラッシングをする場所の選び方が、そのまま抜け毛の散り方を決めます。寝床のそばでやると、その子はそのあと家じゅうを歩き回るので、落としきれなかった毛は結局散ります。人の側が動くのではなく、その子が必ず通る一点を選んでください。
選ぶ条件は3つです。その子が一日に何度も通る/立ったまま短時間で終えられる/掃除しやすい床である。玄関の内側、廊下の途中、洗面所の入口あたりが当てはまります。フラットコーテッドレトリバーは体格があるので、体の下側まで手が入る広さも要ります。座らせる必要はありません。立たせたままのほうが、胸と腹に手が届きます。
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選ぶ:出入口に近い一点を、家の中に1か所だけ決める
毎回そこでやる、と決めてしまいます。場所が固定されると、抜け毛の落ちる範囲も固定されます。散歩から帰った直後、まだそこにいるうちに手を入れるのがいちばん確実です。部屋の奥まで入られると、そこまでの経路に毛が落ちます。
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順番:体の下側から入る。背中は最後でいい
留まっている毛は、胸・腹・前脚の裏・後ろ脚の飾り毛にあります。背中の毛は目につきますが、散っている毛の出どころは下側です。背中から始めると、時間切れで下側が残ります。フラットコーテッドレトリバーの抜け毛は、この順番を変えるだけで落ちる量が変わります。
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時間:1回3分でいい。全身を回さない
その日は胸と前脚の裏だけ、翌日は腹としっぽ、と分けます。3分を毎日のほうが、30分を週1回より散る量が減ります。体格があるぶん全身は一度で終わりません。終わらないことを前提に組んでください。
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仕上げ:毛の流れに沿って、手のひらで一度なでる
道具で浮かせた毛のうち、まだ体に残っているものを手のひらで拾います。手についた毛はその場で捨てる。ここまでを受け止める場所の中で終えると、そのあと歩いても落ちる毛が減ります。
| 条件 | 向いている | 向いていない |
|---|---|---|
| 位置 | 玄関・廊下・洗面所の入口 | 寝床のそば、リビングの奥 |
| 姿勢 | 立たせたまま。下側に手が入る | 寝かせる。背中しか触れない |
| 床 | 拭き取れる。毛が見える | 毛足の長い敷物の上 |
| 時間帯 | 散歩から帰った直後 | 寝る直前。動いたあとが残る |
| 範囲 | 1日1〜2か所に絞る | 毎回全身を一度で回す |
乾いた季節には、静電気で毛が体から離れにくくなることがあります。離れないまま溜まった毛は、暖房の効いた部屋に入った瞬間にまとめて落ちます。毛先が広がって、ブラシに絡むようになったら、静電気が出ている合図です。このときは道具を強く動かさず、うるおいを補う側に寄せてください。力で通そうとすると、上毛の毛先が傷みます。
ここで手に取るのが、mofuwa のグルーミングスプレーです。洗う日は入浴シャンプー、その間の日はグルーミングスプレー、という組み合わせにすると、面の広いこの犬種でも毎日の3分のほうを回せます。布に含ませて、胸から前脚の裏、腹、後ろ脚の飾り毛へと、毛の流れに沿ってなでてください。根元まで滑りがそろうと、留まっていた毛がブラシに乗りやすくなり、そのあと歩いても落ちる量が減ります。ブラッシングスプレーでもあるので、乾いた季節に広がった毛先も、力を入れずに通せます。清涼飲料水の規格基準をクリアしているため、口が届く胸や前脚の裏にも遠慮なく使えます。
毛が集まる場所が急に変わったとき|フラットコーテッドレトリバーの抜け毛での道具の使い分け
最後に、落ち方そのものが変わったときの話をします。散っていた抜け毛が一か所に偏りはじめる、という変化には理由があります。その子の動きが減ったか、体の一部だけで毛の抜け方が変わったか、どちらかです。フラットコーテッドレトリバーは動きの多い犬種なので、この偏りは比較的はっきり出ます。
- 寝床の周りにだけ毛が積もるようになった:移動の回数が減っている可能性があります
- 特定の一か所の毛だけが短く、地肌が見えている:抜けているのではなく、こすれていることがあります
- 換毛期でない時期に、下毛が急に出はじめた:季節の区切りと合わない変わり方です
- 左右で毛の残り方が違う:寝る向きや、体を寄せている面を思い出してください
- その場所を気にしている:なめる、かく、床にこすりつける。抜け毛より先に皮膚を見てください
- 毛を分けた地肌が赤い、においがある:湿った状態が続いた結果として起こることがあります
道具についても、ここで一度整理しておきます。使い分けの軸は、上毛を通すか、留まった下毛を出すかの2つだけです。ふだんの3分は、歯の間隔が広い道具で上毛を通すところまで。換毛期に入り、フィルターに細い毛が絡みはじめてから、下毛を出す道具を足します。順番は毎回、上毛が先です。上毛が通っていない状態で細かい歯を入れると、下毛に届く前に上毛につかまります。
| いつ | どこに | どちらの道具か |
|---|---|---|
| ふだんの3分 | 胸・前脚の裏・腹 | 上毛を通す道具だけ |
| 換毛期の入口の2週間前 | 同じ場所を1日1か所 | 上毛を通す道具だけ。回数を増やす |
| 換毛期のあいだ | 飾り毛のある場所 | 上毛を通してから、下毛を出す道具 |
| 静電気で毛先が広がる時期 | 触る場所だけ | うるおいを補ってから、上毛を通す |
地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が丸く見えている、左右で毛の残り方がはっきり違う、元気や食欲が落ちている。ひとつでも当てはまるなら、4か所の見回りを続ける前に、動物病院で診てもらってください。抜け毛の量そのものより、抜け方が場所で偏っていることのほうが伝わりやすい情報になります。偏りに気づいた週のうちに連れていくほうが、そのあとの経過をたどりやすくなります。
相談に行く前には、偏りはじめた場所、いつからか、その週に触った場所と道具の3つをメモしてください。フラットコーテッドレトリバーの抜け毛は日常的に多いので、「増えた」だけでは伝わりません。どこが、いつから、どう変わったかがあると、被毛の条件で説明のつく変化なのかを、その場で切り分けてもらえます。
この犬種と暮らすうえで、抜け毛が家の中に散ること自体はなくなりません。動き続ける体と、体の下側にある飾り毛。どちらもこの犬種が水辺で仕事をするためにそなえた作りです。減らせるのは抜ける量ではなく、抜けた毛が体に留まったまま家の中を移動する距離のほうです。通り道に受け止める場所を1か所つくって、下側から3分、時期は4か所の増え方で読む。フラットコーテッドレトリバーの抜け毛で動かせるのは、そこです。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- 毎日掃除しているのに、フラットコーテッドレトリバーの抜け毛が減った気がしません。
- 落ちている場所と、掃除を当てている場所がずれていることがあります。この犬種の抜け毛は寝床の周りではなく、その子が通った経路に沿って落ちます。部屋の中央より先に、巾木の際、家具の脚元、階段の隅、扉の下を通してください。同じ時間でも取れる量が変わります。
- 換毛期に入ったかどうかを、どこで判断すればいいですか?
- 床の毛の量では分かりません。散る抜け毛は毎日同じくらい床にあるからです。巾木の角、階段の段差の隅、エアコンのフィルター、自分の服の裾。この4か所を週1回、同じ曜日に見てください。細い下毛がフィルターに絡みはじめた週が、その年の入口です。
- ブラッシングは背中からやったほうがいいですか?
- 体の下側から入ってください。抜けた毛が留まっているのは、胸・腹・前脚の裏・後ろ脚の飾り毛です。背中は目につくので手が向きやすいのですが、散っている毛の出どころは下側にあります。背中から始めると、時間切れで下側が残り、散る量が変わりません。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
