C02技術・エビデンス
肉球の角質はなぜ硬いのか
散歩から帰った足を持ち上げて、肉球の中央を指で押すと、爪のつけ根のやわらかい皮膚とはまるで別の手ざわりが返ってきます。同じ一本の足のうち、地面に触れる面だけが硬い。この硬さは、体の他の場所には見当たりません。肉球の角質が硬いのは、そこだけが地面と接している場所だからです。ただし、硬さの度合いを日ごとに動かしているのは厚みのほうではありません。工作で使う革を思い出すと近い。乾いた革は硬くて折り目で割れ、水と油を含んだ革は同じ厚みでも曲がります。この記事は、肉球の角質の硬さを、厚みと水の2つに分けて読みます。
帰ってきた足を押したときの差|犬の肉球の角質で最初に気づく経験
肉球の硬さに最初に気づくのは、たいてい季節の変わり目の散歩のあとです。夏の終わりに熱の残ったアスファルトを歩いた日、あるいは冬の乾いた道を歩いた日に、帰ってきた足を持ち上げて中央を押すと、先週とは違う感触が返ってきます。指の腹で押しても沈まない。犬でも猫でも、同じ足の中で爪のつけ根の皮膚と押し比べると、この差がはっきりします。硬いのは、地面に触れる面だけです。
同じ子の同じ肉球でも、押す場所で硬さが違います。中央はいちばん硬く、縁と指のあいだはやわらかい。ここが後で効いてきます。硬い場所は曲がらず、やわらかい場所は歩くたびに曲がります。角質という言葉は、この硬い側の層を指しています。皮膚のいちばん外側で、細胞が重なって板のようになっている部分です。
| 見るところ | 背中や腹の皮膚 | 肉球 |
|---|---|---|
| 毛 | 生えている | 生えていません |
| 触れているもの | 空気と寝床 | 地面。砂や小石、熱や冷たさが直接あたります |
| 角質の層 | 薄い | 厚く重なっています |
| 水の出口 | 皮脂と汗の両方 | 汗の出口があり、皮脂の膜はほとんどありません |
| 受けている力 | こすれ | 体重が乗る圧と、曲げ伸ばし |
表を並べると、肉球の角質が厚い理由がひとつに集まります。この面だけが、毛にも皮脂の膜にも守られないまま、地面と体重のあいだにはさまれています。厚く重なっているのは、そういう場所に置かれた皮膚が取った形だということになります。散歩のあとに硬く感じるのも、この形の延長です。
そこしか地面に触れない、という条件|肉球の角質が厚くなる背景
角質は、皮膚が外からの力に対して作る層です。人でも、よく使う指先や手のひらだけが硬くなります。工作を続けた手のひらに硬い部分ができるのと、同じ仕組みだと説明されます。肉球の場合、その力が毎日かかる面が、体の中で4か所に限られています。地面に触れる場所がそこだけなので、厚くなる場所もそこだけになります。
- 体重:立っているあいだ、体の重さは4つの面に分かれて乗ります。走れば一瞬の圧はもっと上がります
- 地面の温度:夏のアスファルトも冬の凍った路面も、間に何もはさまずに角質へ伝わります
- こすれ:砂、小石、落ち葉、屋内の床。散歩の一歩ごとに表面がわずかに削られます
- 曲げ伸ばし:歩くたびに、縁と指のあいだが曲がります。中央は曲がらず、縁が曲がります
4つのうち、上の3つは厚みを増やす側に働きます。問題は4つめで、曲げ伸ばしだけは厚みが増えるほど不利になります。工作で使う革が分かりやすい。厚い革は丈夫ですが、折り曲げる場所に折り目がつくと、薄い革より深い線が残ります。肉球でも、厚くなった角質が曲がる場所に来ると、そこに線が入ります。硬いことと丈夫なことは、曲がらない場所でだけ同じ向きを向いています。
散歩の距離や路面で、この4つの重なり方が変わります。同じ家の犬と猫で肉球の硬さが違うのは、地面に触れている時間の差です。外を歩かない猫でも、フローリングと爪とぎの上で同じ力を受けているので、角質そのものは厚くなります。触れているものが違うだけで、厚くなる条件は同じ並びです。
硬さを決めているのは厚みより水の量|肉球の角質が割れる理由
厚みは、その子の生活で何か月もかけて変わります。いっぽう硬さは、日によって変わります。同じ厚みなのに昨日より硬いという日があるのは、厚み以外のものが動いているからです。動いているのは、層が抱えている水の量です。角質はたんぱく質が重なった層で、そのあいだに水を抱えています。抱えた水が減ると、層は同じ厚みのまま硬くなります。
水が抜ける場面は、家の中にいくつもあります。暖房が入った部屋の床、冬の乾いた外気、そして帰宅後の拭き取りです。拭き取りは汚れを落とす作業ですが、同時に表面の水分を布へ移す作業でもあります。濡れたまま放っておくと別の問題が起きるので、拭くこと自体は続けます。順番のほうを覚えておくと足ります。拭いて水分を移したあとに、うるおいを足す番が来る、という順番です。
見る場所も決まります。中央は硬くて割れず、縁と指のあいだから線が入ります。爪のつけ根の側も、曲がる場所なので同じです。爪を切った日に足の裏を見る習慣にしておくと、見落としが減ります。肉球の角質を見るとき、押して硬さを確かめるのは中央ですが、線を探すのは縁の側になります。
硬い場所を削る、ふやかしてからこする、といった手つきは、角質が担っている役目のほうを減らします。この層は、地面と体重のあいだにはさまれている唯一の層です。薄くすれば柔らかくはなりますが、熱もこすれもそのぶん内側へ届きます。硬さに対してできるのは、削る作業ではなく、抱えている水を戻す作業のほうです。
塗ったあとに歩くところまで含める|肉球の角質とうるおいの考え方
肉球にうるおいを足すものを選ぶとき、比較の軸は成分表の長さではありません。塗ったあと、その子が家の中を歩くかどうかです。犬でも猫でも、塗って数十秒で歩き出します。犬の肉球クリームを比較した表で見落とされやすいのは、この歩き出したあとの時間です。ロウや油脂をベースにしたものはべたつきやすく、べたつきは床と絨毯に移ります。移った先の汚れは、次の一歩でまた肉球へ戻ってきます。ケアのために塗ったものが、汚れを連れて帰る形です。滑らないようにと塗ったクリームで、かえって滑るということも起こり得ます。
mofuwa 肉球クリームが、べたつきを抑える方向で作られているのはここです。べたつかないことは使用感の話ではなく、塗ったあとの生活を壊さないための条件として置かれています。保湿の側には、分子の大きさが違うヒアルロン酸を組み合わせています。大きい分子は表面にとどまり、小さい分子は角層のほうへ入るとされていて、同じ名前の成分でも届く場所が分かれます。肉球の角質は厚い層なので、表面にとどまる側と入る側の両方が要る、という設計です。
原料の水には、当社の特許電解水(特許5253483)を使っています。角質への水分浸透力は、精製水と比べて35倍という数字が出ています(※自社調べ)。ただし、これは水が入る速さを比べた社内の数字で、肉球の硬さや割れ方を測った試験ではありません。特許のほうも、3つの部屋に分けた電解の技術が登録されているという事実で、効果が証明されたという意味を持ちません。数字を読むときは、何を何と比べた条件なのかまで見ておくほうが混ざりません。
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拭き取りを先に済ませる
散歩から帰ったら、指のあいだを開いて水分と砂を布へ移します。ここでいったん、角質から水が抜ける方向に動きます。
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乾いたのを確かめてから塗る
濡れた面に乗せると、上に膜ができて中の水が動きません。触って冷たさが引いてからにします。
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中央より縁と指のあいだへ
曲がる場所に線が入るので、量を置くのはそちらです。中央は硬さを確かめるために押すだけで足ります。
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塗る時間を寝る前に寄せる
帰宅直後だと、そのまま廊下を歩きます。寝る前に塗れば、歩く距離がいちばん短くなります。
割れた線の底から出血している、縁が赤く腫れている、片方の足だけを舐め続けている。この3つは、角質の硬さで説明できる範囲から外れます。硬さや線の深さを家で見分ける段階ではなくなるので、気づいた日付と足の裏の写真を持って、動物病院にご相談ください。治療は動物病院の領域で、家に残るのは硬さを戻す側の作業です。
肉球の角質は、硬いから丈夫なのだと読まれがちです。硬さが役に立っているのは中央の、曲がらない面だけでした。曲がる縁の側では、同じ硬さが線に変わります。押して確かめるのは中央、うるおいを置くのは縁。この2か所を分けておくだけで、毎日の手は短くなります。
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本記事は商品の情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。掲載している検証データは特定条件下での試験結果であり、すべての環境で同じ結果を保証するものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
