C05犬種・猫種別ケア

オールドイングリッシュシープドッグのケア|脇や内股の蒸れを減らす3つの習慣

公開日 2025年3月18日|文=mofuwa編集部

明るい部屋の木の床で、長く厚い毛におおわれた犬が落ち着いて休んでいる
毛の外側にできた輪郭と、体そのものの輪郭は一致しません。手を入れる面は、触って初めて位置が決まります。

オールドイングリッシュシープドッグの背中に手のひらを置いて、そのまま前へ滑らせてみてください。どこで首が終わって、どこから肩が始まるのか、手のひらでたどっても境目が出てきません。蒸れが出やすいのは脇と内股だと言われても、この犬種では、その脇と内股が外から見つからないところから始まります。頭のてっぺんから尾の付け根まで、ほとんど同じ長さの厚い毛が体をひとつづきに覆っていて、毛がつくる外側の形と、体そのものの形がずれているためです。この記事では、なぜオールドイングリッシュシープドッグで蒸れの位置が見えなくなるのかを先に書きます。そのあとで、手で体の形を確かめてから、蒸れる面を1か所ずつ特定していく順番を書きます。拭き方や乾かし方より、位置が決まっているかどうかのほうが先です。

探すコツは目ではなく手にあります|オールドイングリッシュシープドッグの輪郭が見えない理由

オールドイングリッシュシープドッグの被毛は、体のどこを見てもほとんど同じ長さで生えています。頭も、首も、肩も、胴も、後ろ脚も、覆っている毛の厚みがそろっている。そのため、体の細いところも太いところも、外から見ると同じ幅に見えます。くびれも、脇のくぼみも、内股の付け根も、毛が埋めてしまって外側の形には出てきません。写真に写るふわりとした輪郭は、毛の輪郭であって、体の輪郭ではないということです。

この作りは、この犬種がイングランドで担っていた仕事から来ています。羊や牛を追って野を歩き、天気の変わりやすい土地で一日じゅう外にいる。雨と風と冷えを、体の一部分ではなく全身で受けるので、毛のほうも一部分ではなく全身に同じだけ必要でした。体の凹凸に合わせて薄いところをつくるのではなく、全体を一枚の厚い層で包む。だからこの犬種では、毛の量そのものより「体のどこにも切れ目がない」ことのほうが特徴になっています。

ここで、蒸れが出る面の条件を思い出してください。蒸れは、面と面が合わさっていて、そのあいだに風が通らず、湿りが抜けきらないまま時間が過ぎたところに出ます。条件は「体のどこか」ではなく「合わさっている面がどこにあるか」で決まります。脇は前脚と胸が合わさる面、内股は後ろ脚と腹が合わさる面、耳の下は耳の裏と首が合わさる面です。合わさっている以上、そこには必ず面があります。

問題は、その面が外から一つも見えないことです。脚の細い犬種なら、立たせるだけで脇のくぼみが目に入ります。オールドイングリッシュシープドッグでは、そのくぼみの上に厚い毛が橋のように架かっていて、外側は平らに見えます。目で位置が決まらないまま手を動かすと、拭いているのは面の外側にある毛だけになります。蒸れが引かないまま、時間だけが増えていく。この犬種の蒸れのケアで最初につまずくのは、やり方ではなく位置のほうです。

Note毛の長さを見て、蒸れの場所を決めないでください

この犬種はどこも毛が長いので、長い場所を探しても候補が絞れません。探すコツは、長さではなく「合わさっているかどうか」を手で確かめることです。前脚を少し前へ出させて、胸と前脚のあいだに手のひらを入れる。入るなら、そこが脇です。入らないなら、まだ面の外側をなでています。目で見て決めようとするのをやめると、オールドイングリッシュシープドッグの蒸れは急に扱いやすくなります。

手で骨を拾って、体の地図をつくる|脇と内股を探す順番

位置を決める手がかりは、毛ではなく骨です。骨のでっぱりは毛の下にあっても指で拾えますし、毛が伸びても位置が動きません。骨を2つ拾えば、そのあいだに挟まれた面がどこにあるかが決まります。ここではその拾い方を順番に書きます。犬を立たせたまま、片手で体を支えて、もう片方の手だけで進めてください。全部を1日でやらなくて構いません。

  1. 胸の前面から手を入れて、前脚の付け根を拾う

    正面に立って、胸のいちばん前へ手のひらを当てます。そこから体側へ向かって、毛の中を横に滑らせてください。指先が硬いでっぱりに当たったところが、前脚の付け根です。ここを見つけるまでは、脇を探しても見つかりません。オールドイングリッシュシープドッグは胸が広いので、思っているより体の外側にあります。

  2. 付け根の後ろへ、指を4本まっすぐ差し込む

    拾った付け根の、すぐ後ろへ指を入れます。前脚と胸のあいだにできた空間へ、指が沈んでいけば、そこが脇です。沈んだ指の背が、両側から毛ではなく体にはさまれる感じがあれば、面に入っています。指が沈まないなら、まだ毛の上です。1〜2cm体の内側へずらして、もう一度入れ直してください。

  3. 後ろ脚は、膝の位置を先に決めてから内側へ回る

    後ろ脚を横から手のひらでたどると、途中で前へ曲がる関節に当たります。それが膝です。膝を見つけたら、そこから腹に向かって指を上げていくと、内股の面に届きます。内股は脇より面が広く、毛が薄い子と厚い子で手ざわりが変わります。この犬種では、後ろ脚の外側の毛が長いので、外から回り込むより、腹側から手を入れるほうが早く着きます。

  4. 耳の下と、あごの下を最後に確かめる

    耳を持ち上げて、耳の裏と首のあいだへ指を入れます。ここは面が小さいぶん、蒸れの湿りが集まりやすい場所です。あごの下は、水を飲んだあとの毛が濡れたまま首に触れます。脇と内股を探しに行くと、この2か所は毎回抜けます。体の地図に入れておいてください。

  5. 見つけた場所を、指の本数で覚えておく

    紙に書かなくて構いません。「前脚の付け根から指2本ぶん後ろ」「膝から指3本ぶん上」のように、骨からの距離で覚えます。骨は動きませんが、毛は伸びます。毛からの距離で覚えると、1か月後に同じ場所へ戻れません。オールドイングリッシュシープドッグの蒸れのケアが続くかどうかは、この覚え方で決まります。

骨から探す、4か所の位置の決め方
面のある場所先に拾う骨そこからの向き面に入った合図
脇前脚の付け根すぐ後ろへ指を差し込む指の背が両側からはさまれる
内股後ろ脚の膝腹へ向かって指を上げる毛が急に薄くなり、地肌が近い
耳の下耳の付け根耳を持ち上げて首との間へ指先に湿り気が残っている
あごの下下あごの骨首へ向かって手のひらを滑らせる毛が寝ていて、束になっている
Point探す順番は、上から下ではなく前から後ろで固定します

体の上から順に手を入れると、背中の毛をかき分ける時間が増えるだけで、面には近づきません。前脚の付け根 → 脇 → あごの下 → 耳の下 → 膝 → 内股。この順番で回すと、手が体の外周をたどるだけで4か所に届きます。順番を毎回同じにしておくと、途中でやめても「今日はどこまでやったか」が分かります。オールドイングリッシュシープドッグは体が大きいので、続けるための順番のほうが、丁寧さより効きます。

地図に印をつけた場所だけを開く|家でできる3つの習慣

位置が決まったら、そこから先が毎日の話です。習慣を3つ挙げますが、3つとも毎日やることにはしません。1回の中で決めることが1つ、1日の中で決めることが1つ、1か月の中で決めることが1つ。決める単位をずらしてあるので、忙しい週でも3つが同時に止まりません。オールドイングリッシュシープドッグの蒸れは、量をこなすより、位置を外さないほうが変わります。地肌に何を当てるかも、この3つの中に置きます。

  1. 習慣1:開いてから手を入れる。閉じたまま拭かない

    1回のケアの中で決めることです。脇なら前脚を少し前へ出させる、内股なら立たせたまま後ろ脚のあいだへ手を入れる。面と面を離してから、はじめて布や手を当てます。閉じたまま外から押さえると、湿りは面のあいだへ押し戻されます。この犬種は毛が厚いので、外から力をかけても中の面までは届きません。開くのに数秒、当てるのに10秒。それで足ります。

  2. 習慣2:湿りが残る時間帯を1日に1回だけ選ぶ

    1日の中で決めることです。オールドイングリッシュシープドッグで面が濡れるのは、散歩から戻った直後、水を飲んだあと、そして長く伏せていたあとです。この3つのうち、その家で必ず起きる1つだけを選んで、そこに手を入れる時間をひもづけます。雨の日だけ増やす、という決め方でも構いません。3つ全部に手を入れようとすると続かず、結局どこにも手が入らなくなります。

  3. 習慣3:月に一度、地図の位置を更新する

    1か月の中で決めることです。毛は伸び、季節で厚みも変わります。カットに出したあとは、面までの距離がまとめて短くなります。月に一度、骨を拾い直して、脇と内股の位置を指の本数で覚え直してください。この一手間があると、先月の位置のまま毛の上をなでている、という状態になりません。更新の日を、爪を切る日や体重を測る日と同じ日にしておくと忘れません。

3つの習慣は、決める単位をそろえていません
何を決めるか決める単位
習慣1面を開いてから手を当てる、という手つき1回のケアの中
習慣2湿りが残る時間帯を1つだけ選ぶ1日の中
習慣3骨から測り直して、位置を覚え直す1か月の中

手を入れる回数が増えると、今度は地肌のほうが気になってきます。脇と内股は、体の他の場所にくらべて毛が薄く、押さえる回数が増えるほど地肌のうるおいが減っていきます。乾いた地肌は、面と面がこすれたときに赤みが出やすくなります。そして、面が合わさっているあいだは風が入らないので、開ける手はこちらの側にしかありません。開いた面へ当てるものは、mofuwa スキンケアミストにしています。アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つを入れていないので、また閉じてしまう面に、乾いたあと残るものを置かずに済みます。手順は習慣1と同じです。前脚を前へ出させて面を開き、湿らせた布を10秒だけ当てて、閉じる前に指で風を通す。開く前に外から当てても、蒸れが起きている面のあいだには入りません。

Caution洗う回数を増やす方向へは寄せないでください

湿りが気になると、洗ってしまいたくなります。ただ、オールドイングリッシュシープドッグは毛の量が多く、面のあいだまで乾ききるのに時間がかかります。乾ききらないまま伏せると、面は洗う前より長く濡れたままになります。洗う回数を増やすより、開く回数を増やすほうが先です。洗った日は、脇と内股を最後に、開いた状態で風を当てる時間をつくってください。

1日1か所で一巡する頻度と、体の地図では説明がつかない蒸れ

ここまでを続けようとすると、たいてい同じところでつまずきます。毎日、全身の4か所を回そうとして、3日でやめてしまうことです。オールドイングリッシュシープドッグは体が大きく、面までの距離も長い。4か所を1日でやると、それだけで20分近くかかります。20分の作業は続きません。1日1か所と決めれば、1か所は3分で終わります。

オールドイングリッシュシープドッグで、蒸れの手入れをどのくらいの頻度で回すか
場所ふだんの頻度雨の日・湿度の高い時期
脇4日に1回(一巡の中で1日)毎日、散歩から戻った直後に1回
内股4日に1回毎日、または雨の日だけ
耳の下4日に1回耳が濡れた日は必ず
あごの下4日に1回水を飲んだあとに手が空いたとき
位置の測り直し月に1回カットに出した直後は必ず

そのうえで、位置を外していないのに湿りが引かない、という場合があります。面を開いて風を通しても、翌日には同じ場所が同じだけ湿っている。あるいは、地図にない場所が湿るようになった。こういう変わり方は、被毛の作りや手順の話として片づけないほうが安全です。オールドイングリッシュシープドッグは毛の下が外から見えないので、変化が進んでから気づくことがあります。

Caution早めの受診をおすすめするサイン

開いた面の地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が見えている、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、手を入れる回数を増やす前に、動物病院にご相談ください。迷ったときは、早いほうを選んでください。

相談に行くときは、湿っている場所を骨からの距離で伝えること、いつから続いているか、その4日間で何回手を入れたかの3つをメモしてください。この犬種は外から患部が見えないので、「脇のあたり」では場所が特定できません。「前脚の付け根から指2本ぶん後ろ」と言えれば、その場で毛を分けてもらえます。前の晩に念入りに手を入れて、もとの状態を消してしまわないようにしてください。

オールドイングリッシュシープドッグと暮らすうえで、全身を覆う厚い毛はこの犬種の作りそのものです。そこを薄くする方向で考えるものではありません。動かせるのは、毛の量ではなく、合わさった面が閉じたままになっている時間のほうです。骨を拾って位置を決める。決めた場所を開いてから手を当てる。月に一度、位置を測り直す。オールドイングリッシュシープドッグの蒸れで手を入れられるのは、この3つです。

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よくある質問

オールドイングリッシュシープドッグの脇は、どうやって見つけるのですか?
毛ではなく骨を手がかりにします。正面から胸に手のひらを当てて、体側へ滑らせると硬いでっぱりに当たります。それが前脚の付け根です。そのすぐ後ろへ指を4本まっすぐ差し込むと、前脚と胸のあいだの面に届きます。指が沈まないうちは、まだ毛の上をなでています。1〜2cm体の内側へずらして入れ直してください。
毛を短く刈ってしまえば、蒸れは起きにくくなりますか?
刈るかどうかは、その子の暮らし方と季節、そしてかかりつけの意見で決まる話です。ここで言えるのは、刈っても面そのものはなくならないということです。脇も内股も、面と面が合わさっている構造は変わりません。刈った場合はむしろ面までの距離が短くなるので、位置を測り直して、手を入れる場所を更新してください。
においがしてから手を入れるのでは遅いですか?
においは、湿った状態が一定の時間続いたあとに出てきます。つまり、においが分かる時点で、面はしばらく閉じたままだったということです。においを合図にすると、手を入れる間隔がどうしても開きます。曜日や、散歩から戻った直後といった時間で決めておくほうが、間隔が一定になります。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。