C15組み合わせ提案
高齢の飼い主が続けられる設計
高齢になってから、散歩帰りの玄関で4本の足を拭き終えるまでに腰を曲げた回数を数えたら、6回ありました。週に1度の浴室でのシャンプーでは、同じ数え方で14回です。高齢の飼い主がケアを続けるかどうかを分けているのは、この「かがむ回数」です。床で拭く、足を持ち上げる、浴室で洗う。1回ずつなら何でもない動作でも、毎日重なると、腰やひざが張った朝にそこから止まります。かがむケアとかがまないケアを、腰とひざへの負担・時間・続く日数で並べ、どちらをどう組むかまで書きます。
軸1・かがむケアは1回で6回から14回|高齢の飼い主が床と浴室で腰を曲げる数
床で拭く・足を持ち上げる・浴室で洗うケアでは、1回のあいだに腰を曲げる回数が、足拭きで6回、泡を立てるシャンプーで14回になります。どちらも、1つずつの動作は数秒で終わります。短いぶん、何回かがんでいるかは、数えてみるまで見えません。
| ケア | かがむ動作 | 1回で |
|---|---|---|
| 散歩帰りの足拭き(玄関の床) | しゃがむ1・足を1本ずつ持ち上げて拭く4・手をついて立つ1 | 6回 |
| 床に座ってのブラッシング | 腰を下ろす1・腹側をのぞき込む1・足先2・立ち上がる1 | 5回 |
| 浴室でのシャンプー(泡を立てる) | 洗い場に下ろす1・濡らす2・泡を広げる2・こする4・すすぐ3・抱えて出す1・床の水を拭く1 | 14回 |
ここで数えているのは、腰を前に折る、膝をつく、床から抱え上げる、の3つです。重さや時間でなく回数を数えるのは、腰とひざにかかる負担が、姿勢を下ろして戻すたびに入るからです。同じ5分のケアでも、姿勢を1回下ろしたまま終わるものと、6回上げ下げするものとでは、終わったあとの腰の張り方が違います。
高齢の飼い主の毎日で、かがむケアが止まるときの形は決まっています。腰やひざが張った朝に、かがむ回数のいちばん多いケアが1日飛びます。飛んだ翌日は、張りが引いていても、1日空いたことが気になって手が伸びにくい。3日空くと、足拭きは玄関マットで済ませる形に変わり、ブラッシングは週末にまとめる形に変わります。やめると決めた日はどこにもありません。かがむ回数の多いものから順に、少しずつ間があいていきます。
もう1つ、かがむケアで見えにくくなるものがあります。床の高さで作業していると、その子の腹と足裏と指のあいだは、のぞき込まないと見えません。のぞき込むこと自体が、もう1回のかがむ動作です。だから、かがむ回数の多いケアほど、その子の皮膚や被毛の見ておきたい場所が、いちばん見えにくくなります。
数え方は簡単です。いつもの足拭きを1回やりながら、腰を折るたび、膝をつくたびに、1つずつ数えます。紙に正の字で書いてもかまいません。時間を計るより、回数のほうが翌日も同じ条件で比べられます。同じ足拭きでも、その子が玄関で待てる日と待てない日で、数は1〜2回動きます。動いた分も、そのまま書いておきます。
軸2・膝の上・台の上・湯に浸けるだけ|高齢の飼い主がかがまずに済むケアの条件
かがまずに済むケアの条件は、その子の体が飼い主の手の高さまで来ていることです。形にすると、椅子に座って膝の上、座った胸の高さの台の上、湯に浸けるだけ、の3つになります。どれも、かがむのはその子を上げるときと下ろすときの2回だけです。
| 形 | その子のいる場所 | 使うもの | 1回でかがむ回数 |
|---|---|---|---|
| 膝の上 | 椅子に座った飼い主の膝(ブランケットを敷く) | グルーミングスプレー・ブラシ | 抱き上げる1・下ろす1 |
| 台の上 | 座った胸の高さの台(滑り止めを敷く) | グルーミングスプレー・ブラシ | 台に上げる1・下ろす1 |
| 湯に浸けるだけ | 腰から胸の高さの台に置いたたらいの湯 | 入浴シャンプー | 湯に入れる1・出す1 |
膝の上と台の上のケアは、mofuwa グルーミングスプレーとブラシの2つで組みます。膝の上に来るその子の体も、毎日脂を出しています。その脂を毎日落としてやりたいと思えば、腰を折らずに終わる形が要ります。グルーミングスプレーが落とすのは汚れのもとになる余分な脂で、残すのはセラミドとスクワランです。吹きかけてブラシを通すと、その脂が還元水と乳化して落ちます。膝の上では、床で4回かがんでいた足先が、目の前の高さに来ます。足先と指のあいだにスプレーして、ひじ掛けにかけておいた布で拭き取れば、足を1本ずつ持ち上げる動作そのものがなくなります。膝の上では、その子の口も手元のすぐ横にあります。振り向いて足先をなめられても慌てずに済むのは、なめられる前提で中身を確かめてあるからで、量も気にせず使えます。ブラッシングスプレーでもあるので、ブラシの前に吹いておくと静電気で毛が立ちにくくなり、途中で引っかかって手首に力を入れ直す回数も減ります。
全身を洗う日は、mofuwa 入浴シャンプーを使います。湯に溶かして、湯そのものを洗浄液にするシャンプーです。泡を立てる、こすって地肌まで届かせる、泡をすすぐ。泡のシャンプーでかがむ回数の大半を占めていたこの3つの手間を、湯に浸けることにまとめています。被毛をかき分けなくても湯が全身に行き渡るので、飼い主はたらいの前に立つか椅子に座ったまま、手で湯をすくって背中にかけていれば足ります。湯がうっすら白く濁ってくるのを洗えている目安として見られるので、地肌をのぞき込んで確かめる姿勢も要りません。仕上げは軽く流すだけです。溶かす量は、製品の案内に従ってください。
たらいは、ぐらつかない台の上に置き、湯の面が飼い主の腰から胸の高さに来るようにします。この高さに湯があれば、泡のシャンプーで14回あったかがむ動作は、湯に入れるときと出すときの2回まで減ります。湯に浸かっているあいだは、その子も立ち続ける必要がありません。足腰が弱ってきた子にとっても、洗われている時間が短く、姿勢が楽な形です。
散歩帰りの足拭きも、同じ考え方で置き換えます。玄関に背もたれのある椅子を1脚置き、帰ったらそこに座って、その子を膝に抱き上げます。足先を拭いたら、そのまま背中と胸にグルーミングスプレーを吹いてブラシを通す。足拭きとブラッシングを膝の上で続けてやれば、かがむのは抱き上げる1回と下ろす1回だけです。
腰とひざ・時間・続く日数で並べる|高齢の飼い主のケアをかがむ回数で比較する表
並べてみると、かがむケアとかがまないケアの差がいちばん大きく出るのは、1日の時間より、何日続くかのほうです。1回の手間の差は小さく見えても、腰やひざが張った朝に残るかどうかで、1か月後の形が大きく変わります。
| 比べるところ | かがむケア(床・足を持ち上げる・浴室) | かがまないケア(膝の上・台の上・湯に浸ける) |
|---|---|---|
| 1回でかがむ回数 | 足拭き6回・ブラッシング5回・泡のシャンプー14回 | どれも上げる1回と下ろす1回の2回 |
| 腰とひざへの負担 | 姿勢を下ろして戻すたびに入り、1回のケアの中で何度も重なる | 座ったまま目の前の高さで手を動かすので、上げ下ろしの2回に集まる |
| 時間 | 立ち上がって姿勢を立て直す時間が、手を動かす時間に足される | 姿勢を変えないぶん、手を動かしている時間がそのままケアの時間になる |
| その子の体の見え方 | 腹と足裏と指のあいだは、のぞき込まないと見えない | 膝の上や台の上で、腹と足裏が目の高さに来る |
| 続く日数 | 腰やひざが張った朝に、回数の多いものから1日ずつ飛ぶ | 張りのある朝でも、座ってできるぶんは残る |
| まとめると | かがむ回数の多いケアから、間があいていく | かがむ回数を2回にそろえたケアが、高齢の飼い主の続けるケアとして残る |
表のなかで、高齢の飼い主にとっていちばん効いてくるのは「続く日数」の行です。1日の負担の差は、慣れや気合いで埋められるように見えます。ところが、腰が張った朝に何が残るかは、気合いでは変わりません。座ってできるケアは、張った朝にも残ります。残った1日が、翌日につながります。
もう1つ、表の「その子の体の見え方」の行も見ておきます。かがまないケアに移すと、その子の腹と足裏が毎日目の高さを通ります。床の高さでは、のぞき込む1回を惜しんで見なかった場所です。かがむ回数を減らしたことで、見る場所はむしろ増えます。
毎日のものから先に移す|高齢の飼い主はどっちのケアを残し、どっちを置き換えるか
どっちのケアに移すかは、1週間でかがむ回数の合計で決めます。1回あたりの回数がいちばん多いのは泡のシャンプーですが、週に1度なら14回です。毎日の足拭きは1回6回でも、7日で42回になります。
| ケア | 頻度 | かがむケアの1週間 | 移す先 | 移したあとの1週間 |
|---|---|---|---|---|
| 散歩帰りの足拭き | 毎日 | 6回×7日=42回 | 膝の上でグルーミングスプレー | ブラッシングと続けて2回×7日=14回 |
| ブラッシング | 毎日 | 5回×7日=35回 | 足拭きに続けて膝の上で | (上の14回に含む) |
| 全身を洗う | 週1回 | 14回 | たらいの湯に入浴シャンプー | 2回 |
| 合計 | 91回 | 16回 |
移す順番は、この合計の多いものからです。最初に移すのは、足拭きとブラッシングを続けて膝の上でやる形です。2つ合わせて1週間に77回あったかがむ動作が、14回になります。全身を洗う日は、その次に入浴シャンプーへ移します。1回の重さで選ぶと、シャンプーから手をつけたくなります。回数の合計で選ぶと、先に来るのは毎日のほうです。
反対に、月に1度しかしないケアは、床のままでも1週間の合計にはほとんど響きません。爪切りのように、その子を押さえておく必要があるものは、無理に膝の上へ持ってこなくてかまいません。月に1度なら、かがむ回数の多いやり方のまま残しても、張った朝に飛ぶのはその1回だけです。
膝に乗らない大きさの子は、台の上を使います。台の横に段を1つ置いておくと、その子が自分で上がれることもあります。自分で上がれるなら、上げるときの1回もなくなります。台には滑り止めを敷き、その子が立っている位置が飼い主の胸の高さに来るよう、椅子の高さで合わせます。
かがまないケアに移すと、腹と足裏と指のあいだが、毎日同じ高さで見えるようになります。指のあいだの赤みが3日たっても引かない、腹や内ももに前の週にはなかったしこりやかさぶたがある、膝に抱き上げるときに声を出したり体を固くしたりするようになった。この3つのどれかが続くときは、次の週まで待たずに動物病院へ連れていきます。膝の上で毎日見ていると伝えれば、いつから、どこが変わったかをそのまま話せます。
かがむ回数を数え直す時期|高齢の飼い主とその子が同じケアを続けるために
かがむ回数は、一度数えて終わりにせず、季節の変わり目ごとに数え直します。かがまないケアに移したあとも、回数は少しずつ動くからです。数え直す目安になる時期は、次の4つです。
- その子が膝に跳び乗らなくなったとき:上げる1回が増えます。台の横に段を足します
- 寒くなって、朝の体が固い時期:同じ2回でも重く感じます。ケアを体の温まった昼過ぎに移すと軽くなります
- その子の体重が変わったとき:抱き上げる1回の重さが変わります。膝の上から台の上へ切り替える目安です
- 玄関や浴室の物の配置を変えたとき:たらいや布を取りに行く途中に、かがむ動作が紛れ込みます
数え直すのは、いつもの足拭きとブラッシングを1回やりながら、正の字を書くだけです。2回を超えている動作が見つかったら、そこだけを台の上か膝の上へ移します。高齢の飼い主にとって、ケアを続ける形は一度作れば終わりのものでなく、かがむ回数を2回に保つように直しながら続けるものです。
椅子のひじ掛けに布を1枚、足元のかごにグルーミングスプレーとブラシ、浴室の台の横にたらいと入浴シャンプー。散歩から戻ったら膝に抱き上げて、足先から背中まで座ったまま終える。かがむのは上げる1回と下ろす1回だけ、という形が毎日続くと、腰やひざが張った朝にも、その子の足先と腹を見る時間が残ります。
Product
mofuwa 入浴シャンプー
400ml / 3,410円(税込)
浸かるだけで洗える入浴タイプ。「泡立て・ごしごし・すすぎ」の3手間を省けるので、高齢のペット・大型犬・多頭飼いのご家庭に向いています。
商品ページを見るよくある質問
- 膝にも台にも乗らない大きさの犬でも、かがむ回数は減らせますか。
- 減らせます。基準は同じで、その子の体を手の高さに近づけることです。足先は、その子を玄関の上がり口の上に立たせ、飼い主は一段下の土間で低い椅子に座ると、足先がひざの高さに来ます。全身を洗う日は、浴槽に湯を張って入浴シャンプーを溶かし、その子が自分で入れるように踏み台を置きます。飼い主は浴槽のふちに腰かけて、湯をすくって背中にかけます。抱え上げる動作がなくなるぶん、かがむ回数は大きく減ります。
- 入浴シャンプーは、毎回全身を浸けないといけませんか。
- 全身でなくてもかまいません。足先やお尻まわりだけを浸ける部分洗いにも使えます。たらいに浅く湯を張って溶かし、台の上で後ろ足だけを浸ければ、散歩の汚れが気になる日にもかがまずに済みます。溶かす量は、製品の案内に従ってください。部分洗いの日も、たらいを置く高さは全身のときと同じにしておくと、準備の動作が増えません。
- 猫も、膝の上で同じようにできますか。
- 膝に乗ってくる猫なら、同じ形で組めます。猫は自分から膝に来ることが多いので、上げる1回もなくなることがあります。スプレーの音に身構える子には、グルーミングスプレーを手のひらに取ってから、背中から足先へなでるように使います。湯に浸ける洗い方は湯を嫌がらない子に限り、嫌がる子は膝の上のケアだけで組み立てます。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
