C05犬種・猫種別ケア
ビアデッドコリーと暮らすなら知っておきたい、涙やけの話
子犬のころのビアデッドコリーの写真と、いまの写真を並べてみてください。同じ犬とは思えないほど、毛の色が変わっている子が多いはずです。濃い色で生まれて、生後半年から1年くらいのあいだに淡くなり、そのあとまた少しずつ濃くなっていく。この犬種は、体じゅうの毛が時間をかけて色を入れ替えていきます。ビアデッドコリーの涙やけが分かりにくいのは、この色の入れ替わりと、目のまわりに残る色が、同じ場所で重なるからです。この記事では、毛そのものが変わった色と、あとからついた色。この2つを並べて、どこを見れば分かれるのかを書きます。
生後1年で毛の色が入れ替わる|ビアデッドコリーの涙やけが分かりにくくなる時期
ビアデッドコリーは、成長とともに毛の色が変わっていく犬種です。生まれたときはしっかりと濃い色をしていて、生後数か月から1年ほどのあいだに、全身が目に見えて淡くなっていきます。そのあと、成犬になるにつれてまた濃くなっていく子が多く、落ち着くまでに3年ほどかかることもあります。1頭の中で、色が2回向きを変えるということです。
この変わり方は、体の一部だけで起こるものではありません。背中も、耳も、脚も、そして目のまわりの毛も、同じように色を変えていきます。つまり、涙やけを見たい場所そのものが、放っておいても色を変えている最中だということです。ここが、他の犬種と条件が違うところです。
涙やけという言葉で飼い主が見ているのは、たいてい「目の下の毛の色が、まわりと違う」という状態です。ところがビアデッドコリーでは、まわりの毛のほうも動いています。基準になるはずの「まわりの色」が、月ごとに変わっていく。だから、去年の記憶と比べても答えが出ません。3か月前の写真と比べても、体じゅうが変わっているので差が取れません。
とくに分かりにくいのが、淡くなる時期から濃くなる時期へ切り替わるころです。全身が淡いところへ、目の下だけが先に濃くなってきたように見える。逆に、全身が濃くなってきたのに目のまわりだけ淡いままに見える。どちらも、毛そのものの変化と、あとからついた色の、どちらの説明でも成り立ってしまいます。ビアデッドコリーの涙やけを見るときは、この時期に入っているかどうかをまず確かめてください。
- 濃い色で生まれ、生後1年前後で淡くなる子が多い:全身がいっせいに動きます
- そのあと、成犬になるにつれて濃くなっていく:向きが1度反転します
- 目のまわりの毛も、同じように変わる:見たい場所が基準になりません
- 顔に白い模様が入る子がいる:淡い毛の上では、色が乗って見えやすくなります
- 落ち着くまで3年ほどかかることがある:短い期間の記憶では比べられません
淡くなった時期に「ケアの仕方を変えたからだ」「洗いすぎたからだ」と考えて、手を増やしたり減らしたりする必要はありません。この犬種がもともと持っている、時間をかけた色の入れ替わりです。変えられるのは、その上に重なって見えている、あとからついた色のほうです。この2つを分けないまま手を動かすと、やってもやらなくても同じ、という感覚だけが残ります。
毛そのものが変わった色と、あとからついた色|ビアデッドコリーの目のまわりで重なる2つの違い
ここで、2つを別々に説明します。ビアデッドコリーの目のまわりで色が違って見えるとき、原因は大きく2つに分かれます。1つは、毛そのものが色を変えたこと。もう1つは、毛の表面にあとから色がついたことです。見え方は似ていますが、起きている場所も、進む速さも、まったく違います。
毛そのものが変わった色というのは、新しく生えてくる毛の色が変わっていくことです。だから、1本の毛を根元から毛先まで見ると、全長がほぼ同じ色をしています。途中に境目がありません。そして、この変化は左右で同時に進みます。右目の下だけが変わる、ということは起きません。背中や耳も一緒に動いているので、顔だけを見ていると気づけません。
一方で、あとからついた色は、毛の表面に外から乗ったものです。涙が触れている時間が長い場所に、少しずつ残っていきます。こちらは、1本の毛の途中から先だけに色がつきます。根元の側は、生えてきたときの色のままです。指で毛を根元から毛先へ送っていくと、どこかで色が切り替わる場所があります。そこが、涙の届いていた高さです。
| 見るところ | 毛そのものが変わった色 | あとからついた色 |
|---|---|---|
| 1本の中での位置 | 根元から毛先まで、ほぼ同じ | 途中から先だけ。境目がある |
| 左右の差 | 左右が同時に進む | 片側だけのことがある |
| 範囲 | 顔だけでなく、背中や耳も同時 | 目の下の、限られた範囲だけ |
| 変わる速さ | 数週間から数か月かけて | 数日で濃くなることがある |
| 向き | 淡くなる時期と濃くなる時期がある | 放っておくと濃くなる一方 |
| 拭いたあと | 拭いても、その日は変わらない | 拭いた直後に、少し明るくなる |
この表のうち、家でいちばん使いやすいのは「1本の中での位置」と「拭いたあと」の2つです。位置は指と目で確かめられますし、拭いたあとの変化はその場で分かります。左右差と範囲は、写真を撮っておかないと比べにくいところがあります。速さと向きは、数か月かけないと見えてきません。
ビアデッドコリーの涙やけとして家で手を入れられるのは、あとからついた色のほうだけです。毛そのものが変わった色は、この犬種がもともと持っている時間の流れなので、こすっても拭いても動きません。それでも手をかけ続けてしまうのは、2つが同じ場所に重なって見えているからです。分けてしまえば、目のまわりを触る回数はむしろ減ります。分けないままだと、動かないほうを相手に、毎日こすり続けることになります。
根元から毛先へ指で送る|ビアデッドコリーという犬の毛色を、時期ごとに見比べる
実際の見分け方です。道具は使いません。明るい自然光の入る窓ぎわに立って、犬の顔を光のほうへ向けます。室内の照明の下では、淡い毛の色の差が出にくくなります。曇りの日の昼間くらいの、やわらかい光がいちばん見やすい条件です。
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目の下の毛を、5本ほどつまんで持ち上げる
目に触れない位置で、目の下から少し離れたところをつまみます。まぶたの近くを引っぱらないでください。つまんだ毛を、光のほうへ向けて広げます。ビアデッドコリーは毛が長いので、束のまま見ると重なって色が濃く見えます。数本に分けるのが先です。
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1本を選んで、指の腹で根元から毛先へ送る
親指と人差し指で軽くはさんで、根元の側から先へすべらせます。送りながら、色が切り替わる場所があるかどうかを見ます。切り替わる場所があれば、そこが涙の届いていた高さです。根元から先まで同じ色なら、その毛はまだ何もついていません。
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反対側の目でも、同じことをする
左右で、境目の高さが違うかどうかを見ます。片側だけ境目が低い、つまり根元に近いところから色がついているなら、その側のほうが涙の触れている時間が長いということです。左右が同じなら、顔全体の条件として見ていきます。
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背中と耳の毛でも、同じように送ってみる
顔から離れた場所の毛を見ると、いま全身がどちらへ動いている時期かが分かります。背中の毛も先だけ色が違うなら、それは涙の話ではありません。背中が全長で同じ色に変わっているなら、この子はいま毛そのものが入れ替わる時期にいます。
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同じ角度で写真を撮って、日付をつけて残す
窓ぎわの同じ位置、同じ向き、同じ距離で撮ります。月に1回で足ります。ビアデッドコリーの毛の色は月単位で動くので、毎日撮っても差は出ません。3か月ぶんが並ぶと、全身の色がどちらへ向かっているかがはっきりします。
| いま見えていること | 全身の毛が淡くなる時期 | 全身の毛が濃くなる時期 |
|---|---|---|
| 目の下だけ濃い | あとからついた色の可能性が高い | 境目があるかどうかで分ける |
| 目の下だけ淡い | 顔の白い模様が出てきている | 毛そのものの変化が遅れている |
| 境目がある | 涙が触れている高さがある | 涙が触れている高さがある |
| 境目がない | 毛そのものの色 | 毛そのものの色 |
| 左右で差がある | 涙の側の条件が違う | 涙の側の条件が違う |
表を見ていただくと分かるとおり、境目があるかどうかだけは、時期に関係なく同じ答えを返します。だからビアデッドコリーでは、この1点を基準に置いてください。左右差や範囲は補助的な手がかりで、時期によって意味が変わります。毛の色そのものが動いている犬種では、動かない基準をひとつ持っておくことが役に立ちます。
拭く日と、拭かずに記録する日|ビアデッドコリーの涙やけで拭き取りの使い分け
見分けがついたら、次は手の使い分けです。境目があった日は拭く日、境目がなかった日は拭かずに記録する日、と決めてしまいます。毎日同じことをしないという点が、この犬種での使い分けの中心になります。目のまわりの皮膚は薄く、こする回数を毎日重ねると、そちらのほうが先に負担になります。
| 確かめた結果 | その日にやること |
|---|---|
| 境目があり、毛が湿っている | 拭く。境目より先の側だけを、押し当てて吸わせる |
| 境目はあるが、乾いている | 軽く1回だけ。こすらない |
| 境目がなく、全身も同じ向きに動いている | 拭かずに、写真を1枚撮って日付を残す |
| 片側だけ境目が低い | その側だけ拭く。反対側は触らない |
| 目やにが乾いてこびりついている | 先にやわらかくしてから。乾いたままはがさない |
拭くと決めた日の手つきについても書いておきます。横にこすらないでください。ビアデッドコリーの目のまわりの毛は長いので、横に動かすと毛どうしが絡み、そこへまた涙がたまります。やわらかい布やコットンを、境目より先の側に当てて、数秒押さえる。吸わせてから、毛の流れに沿って外へ抜くように離します。1か所につき2回までで終わりにしてください。
ビアデッドコリーのように顔の毛が長い犬種では、束の中まで風が通らないので、境目より先は湿ったまま過ごす時間が長くなります。その束の中で進むことが2つあって、涙の油分が毛に色として残ることと、乾ききらない場所で菌が増えることだとされています。mofuwa 目にやさしい涙やけクリーナーも、この順に並んでいます。01(CLEAN)を目元になじませて汚れを拭き取り、そのあと02(CARE)をなじませる、という4つの動きです。境目があった日だけ、境目より先の側にコットンで当てる。目に直接落とさず、コットンにとってから当てるところは変えないでください。すでに境目より先についている色が、これで白く戻ることはありません。そちらは伸びて入れ替わるのを待つ側の話のままです。
拭いた直後に、その場所が少し明るくなったなら、そこにあったのはあとからついた色のほうです。まったく変わらないなら、毛そのものの色である可能性が高くなります。この答え合わせは、その場で1回できます。拭き続ければ元の色に戻りますという考え方で回数を増やすのではなく、1回の反応を見て、次の日の手を決めてください。
毛の色が変わっていく時期は、写真の記録がとくに役に立ちます。月に1枚、同じ光の下で撮った写真が3枚たまると、変色が進んでいるのか、全身の色が動いているだけなのかが、あとから見て分かります。その場の印象だけで判断しようとすると、この犬種では毎回答えが変わってしまいます。
毛色の変化では説明がつかない、ビアデッドコリーの目のまわりの変色
ここまでは、毛の色の入れ替わりと、あとからついた色という2つで説明のつく話でした。その2つのどちらにも当てはまらない変わり方をしたときは、被毛の手入れの話として続けないでください。次のような様子があるときは、拭く回数を増やす前にいったん止めます。
- 片側だけ、涙の量が急に増えた:左右差が短期間で出たときは、記録だけして相談してください
- 目をしょぼしょぼさせる、開けにくそうにしている:見た目の色より優先されます
- 目のまわりの皮膚が赤い、腫れている、においがある:毛ではなく皮膚の側の変化です
- 目のまわりをこすりつける、前肢でかく:気にしている動作は、色よりも先に見てください
- 目やにの色や量が変わった:涙やけの見え方とは別に記録してください
- 拭いた直後にも、まったく明るくならない状態が続く:家の手で動かせる範囲ではありません
目を開けにくそうにしている、まぶたが腫れている、目のまわりの皮膚が赤い、涙の量が片側だけ急に増えた、目やにの色が変わった、目のまわりを床にこすりつけている。いずれかに当てはまるときは、拭き取りを続ける前に、動物病院にご相談ください。ビアデッドコリーは顔の毛が長く、目のまわりが外から見えにくいので、変化に気づくのが遅れることがあります。まず目の下の毛を左右に分けて、地肌の見える高さまで確かめてください。そこに赤みやただれがあった日は、月に1回の写真がそろうのを待たずに電話で聞いてみてください。
相談へ行くときに何を持っていくか、という選び方についても書いておきます。持っていくとよいのは、月に1回撮ってきた同じ角度の写真、いつから変わったかという日付、そして左右のどちらから始まったかの3つです。ビアデッドコリーは毛の色そのものが動く犬種なので、いまの見た目だけを見せても、変色なのか成長なのかを区別してもらいにくいところがあります。時間の並んだ写真があると、その区別がその場でつきます。
前の晩に念入りに拭いてから連れて行くのは、避けたほうが伝わります。拭いてしまうと、あとからついた色の側が減って、もとの状態が分からなくなります。気になる状態のまま連れて行って、その場で見てもらうほうが早く進みます。
ビアデッドコリーと暮らすうえで、毛の色が動くこと自体は止められません。濃い色で生まれ、淡くなり、また濃くなる。それがこの犬種の時間の流れです。ビアデッドコリーの涙やけで飼い主が動かせるのは、その流れの上に乗ってしまった色のほう、つまり毛の途中から先だけについた色のほうです。1本を根元から毛先へ送って、境目を探す。それだけで、拭く日と拭かない日が分かれます。
Product
mofuwa 目にやさしい涙やけクリーナー
1,870円(税込)
眼刺激性試験をクリアした2剤構成。01(CLEAN)で目やにと涙の跡を浮かせ、02(CARE)で拭いたあとの環境を整えます。
商品ページを見るよくある質問
- ビアデッドコリーの毛の色は、いつごろ落ち着きますか?
- 落ち着くまでに3年ほどかかる子もいますが、個体差が大きいところです。濃い色で生まれて生後1年前後でいちばん淡くなり、そこから成犬になるにつれて濃くなっていく、という順に進む子が多く見られます。色が動いているあいだは、その月ごとの見え方ではなく、同じ角度の写真を並べて判断してください。
- 目の下の毛を短く切ってしまえば、分かりやすくなりますか?
- 短く切ると、境目がどこにあったかを確かめる手がかりも一緒になくなります。1本の毛のどこから色が違うかで見分けているので、長さが残っているほうが判断しやすくなります。毛が目に触れて気になるときは、切る前に動物病院やトリマーに相談して、どこまで残すかを決めてください。
- 拭く回数を増やせば、あとからついた色は早く減りますか?
- 回数を増やしても、目のまわりの皮膚と毛のほうに負担がかかるだけになりやすいところです。境目があった日に1〜2回、境目より先の側だけを押し当てて吸わせる。この形で続けるほうが、こすって毛を絡めるより結果が残ります。境目がない日は、拭かずに記録するだけで構いません。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
