C05犬種・猫種別ケア
プーリーはなぜ脇や内股の蒸れが起きやすいのか。巻毛から考える
庭を一周して戻ってきたプーリーの脇に手を入れると、走り出す前より乾いています。コードが上下に揺れているあいだ、束と束のあいだには外の空気が通っていました。ところが、そのまま日の差す床で30分ほど横になったあとに同じ場所へ触れると、今度は指の腹がしっとりします。プーリーの蒸れは、この時間の差から生まれます。脇や内股という場所の話に見えて、実際に動いているのは、その子が今日どれだけ走って、どれだけ止まっていたかという時間の割り振りのほうです。この記事では、走るためにつくられた被毛が、止まっているあいだに何をしているのかを書きます。
羊を追って走っていた背景から|プーリーのコードは、揺れることを前提にできています
プーリーの被毛は、生まれたときからコードだったわけではありません。子犬のころはふわふわした綿のような毛で、成長するにつれて上毛と下毛が撚り合わさり、少しずつ束になっていきます。1本1本の束は、体から垂れ下がった細長いひものような形をしています。そしてこの束は、体にぴったり張りついているのではなく、根元でつながったまま先の側は自由に動きます。
この作りは、ハンガリーの平原で羊を追っていたころの仕事から来ています。牧羊犬は、群れの端から端まで一日じゅう走り回ります。雨も風も日ざしも、走りながら受けます。垂れ下がった束が体をおおうことで、外からの雨や風が地肌まで届きにくくなる。それがこの被毛の役割です。ここまでは、多くの飼い主の方がご存じのとおりだと思います。
見落とされやすいのは、そのつぎです。垂れ下がった束は、走るたびに上下に揺れます。前肢が前へ出れば肩の束が持ち上がり、着地すれば下がる。腰の束も同じように動きます。揺れているあいだ、隣どうしの束はいったん離れて、また戻ります。この「離れて戻る」をくり返しているあいだ、束と束のあいだにある空気は、外の空気と入れ替わり続けています。
つまりプーリーの被毛は、止まっている状態ではなく、動いている状態を前提に設計された作りだということです。走る犬の背中には、走っているあいだじゅう風が通っています。プーリーの蒸れを考えるときに最初に置きたいのは、この前提です。被毛そのものの性質ではなく、その被毛が動いていたかどうか、という条件のほうです。
- 束は根元でつながり、先は自由に動く:垂れ下がった形が、揺れを生みます
- 隣どうしの束は、離れて戻るをくり返す:あいだの空気が入れ替わります
- 肩・胸・腰の束が、歩幅に合わせて上下する:動きの大きい場所ほど空気が動きます
- 体に張りついている場所は、揺れません:ここが後で出てくる脇と内股です
- ブラッシングという手が使えない被毛です:束をほどく道具ではなく、指で扱う相手になります
長さの話にすると、答えは「短く切る」しかなくなります。けれどプーリーの被毛は、束が垂れているという形そのものが仕事の道具でした。問題は長さではなく、その束が今日どれだけ揺れたかのほうです。同じ長さのコードを持つ2頭でも、一日の過ごし方が違えば、脇に触れたときの手ざわりは変わります。長さは変えられませんが、揺れる時間は変えられます。
動いているあいだは乾き、止まっているあいだに湿る|プーリーの蒸れが脇と内股に出る理由
背中や腰の束は、立っていても垂れ下がっているので、隣との間にすきまが残ります。ところが脇と内股は違います。脇は前肢と胸のあいだ、内股は後肢と腹のあいだ。どちらも、体の面と面に挟まれている場所です。プーリーが立ち止まって四本の脚をそろえると、この2か所の束は、両側から押さえられて隣どうしがぴたりと寄ります。
寄ってしまえば、束と束のあいだにあった空気は、外と入れ替わりません。体温で温められた空気が、そのまま同じ場所にとどまります。皮膚から出るわずかな水分もそこに残ります。蒸れというのは、水が増えることではなく、その場の空気が入れ替わらなくなることです。プーリーの脇と内股でまず起きているのは、これです。
走り出すと、同じ2か所の条件が反転します。前肢が前後に振れれば脇は開き、後肢が蹴り出せば内股も開きます。開いたところへ外の空気が入り、こもっていた空気は押し出されます。散歩から帰ってきた直後の脇が、家で寝ていたあとより乾いていることがあるのは、このためです。プーリーの蒸れは、時間とともに増えていくのではなく、動いた時間と止まっていた時間で行ったり来たりしています。
湿度の高い時期に脇が気になりやすいのも、同じ枠組みで説明がつきます。外の空気そのものが水分を多くふくんでいると、入れ替えても状態があまり変わりません。梅雨どきに、走ったあとでも脇の手ざわりが変わらないと感じるのは、入れ替える相手の空気が湿っているからです。この時期は、揺らす時間を増やすより、室内の湿度そのものを下げるほうが先に効いてきます。
| 束の状態 | あいだの空気 | 手ざわり | |
|---|---|---|---|
| 走っている | 上下に揺れて開く | 外と入れ替わる | 乾いてくる |
| 立ち止まっている | 垂れて寄る | ゆっくり入れ替わる | 変わりにくい |
| 横になっている | 床と体に挟まれる | ほとんど動かない | しっとりしてくる |
| 湿度が高い日 | 揺れても条件が同じ | 入れ替えても湿っている | 動いても変わらない |
ここで、束そのものの内側の話へ寄せないでください。プーリーで動かせるのは、束と束の「あいだ」のほうです。束の内側は、指で裂いて太さを整えるときに扱う相手であって、日々の蒸れの話とは時間の単位が違います。毎日のなかで手が届くのは、隣どうしの束が寄っているか、離れているか。そこだけです。
一日のどこで横になっているか|プーリーの暮らしが変わったときに起きる変化
同じ子でも、脇の手ざわりが季節や月によって変わることがあります。被毛が変わったわけでも、皮膚の性質が変わったわけでもなく、一日の時間割が変わっただけ、という場合がかなりあります。プーリーの蒸れを「今年から出るようになった」と感じたときは、まずこの側を見てください。
たとえば、夏に散歩の時間を朝夕へ寄せて短くしたとします。走る時間が1日あたり20分減れば、束が揺れる時間もそのぶん減ります。減ったぶんは、家で横になる時間に置き換わります。動いている時間が減ることと、止まっている時間が増えることは、同時に起きます。脇の空気にとっては、二重に条件が悪くなったことになります。
雨が続く週も同じです。散歩が短くなるうえに、外の空気の湿度も上がっています。留守番が長くなった週、来客が減って走り回る機会が減った週、家族の生活時間が変わった週。被毛の側は何も変えていないのに、被毛が置かれている条件だけが動いています。年齢が上がって横になっている時間が伸びてきたときも、変化の中身はこれと同じ形をしています。
| 暮らしで変わったこと | 束の側で起きる変化 |
|---|---|
| 散歩が20分短くなった | 揺れる時間が減り、寄っている時間が伸びる |
| 雨の日が続いている | 揺れる時間が減り、入れ替える空気も湿っている |
| 留守番の時間が伸びた | 同じ姿勢で横になる時間がまとまって増える |
| 寝る場所が窓ぎわから奥へ移った | 床の側の空気が動かなくなる |
| 年齢が上がって休む回数が増えた | 1日の合計で、閉じている時間が長くなる |
ここまでを踏まえると、家でできることの向きが変わります。脇をどうにかしようとするのではなく、その子が動く時間と、止まっている場所の空気を動かすほうへ手を入れます。走る時間を毎日30分増やすのは現実的ではありませんが、次のような小さな置き換えなら続きます。
- 散歩の最後の5分を、直線で速歩きにする:束が大きく揺れるのは、歩幅が伸びたときです
- 家の中で、廊下を1往復させる遊びを1日2回入れる:短くても、閉じっぱなしの時間が切れます
- 寝床を、空気が動く場所に置く:壁と家具に三方を囲まれた床は、空気がとどまります
- 横になっている姿勢を、たまに変えてもらう:同じ側を下にし続けると、その側だけ条件が変わります
- 雨の日は、室内の湿度そのものを下げる:入れ替える相手の空気を先に変えます
- 帰宅直後に、脇と内股へ手のひらを当てる:動いた直後の手ざわりが、その子の基準になります
しっとりするからといって、洗う回数を増やす方向へ動かさないほうが安全です。プーリーは被毛の量があり、洗ったあとに乾ききるまでの時間がとても長い犬種です。洗いすぎは、地肌のうるおいを減らすうえに、乾ききらない時間そのものを増やします。増やす手ではなく、置き換える手を選んでください。動く時間を少し戻す、寝床の位置を変える。まずそちらからです。
乾かすのは道具ではなく、その子の動き|プーリーと暮らして積み上がる経験
プーリーと暮らしていると、道具で何とかしようとする場面が何度も来ます。ドライヤーを長く当てる、風の出る道具を買い足す、扇風機の前に立たせる。どれも間違いではありませんが、一日は24時間あって、道具を当てていられるのはそのうち20分です。残りの23時間40分で束を揺らしているのは、その子自身の動きだけです。
この見方に変えると、毎日の手が短くなります。脇を長く触る必要はありません。触るのは、確かめるためです。散歩から帰った直後と、2時間ほど横になったあと。同じ場所に手のひらを当てて、差があるかどうかを見る。差があるなら、その子の被毛はまだ入れ替えができています。差がないなら、動いても状態が戻らなくなっている、ということです。
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帰宅直後、脇と内股に手のひらを当てる
指先ではなく手のひら全体で、5秒ほど当てたままにします。ここがその日の「動いたあとの基準」になります。毎日同じ場所、同じ姿勢で当ててください。立たせたまま、片手で体を支えて反対の手で確かめます。
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2時間ほど横になったあと、同じ場所へもう一度当てる
朝の散歩のあとなら昼前、夕方の散歩のあとなら夜です。同じ日の中で2回、同じ場所を比べます。ここでしっとりしていること自体は、束が閉じていたというだけの話です。差があること自体は、悪い知らせではありません。
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差がないと感じた日は、束を指で数本ぶん分ける
道具は使いません。根元の側で、隣どうしがくっついている束を指で左右に開いて、そのまま数秒待ちます。ほどくのではなく、あいだに空気の通り道をつくるだけです。脇と内股で、片側3〜4か所ずつで足ります。全身をやろうとしないでください。
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その日の残りは、動く時間を先に足す
分けた直後に長く触らず、廊下を歩かせる、遊びに誘う、といったほうへ切り替えます。分けた場所に空気を通すのは、道具ではなくその子の動きです。ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
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開いた3〜4か所のきわだけ、布でなでる
ひと吹きぶんを布に取り、指で開いた束の根元のきわを、毛の流れに沿ってなでます。束の内側までしみ込ませようとせず、きわをなでる程度です。なでたあとは、必ず動く時間をつくってください。濡らして止まっている状態が、この記事でいちばん避けたい形です。
脇と内股の束は、その子が横になっているあいだ、両側から押さえられたままです。走れば開きますが、寝ているあいだにそこを開けられるのは、指を入れた側のほうです。指で開けたそのすきまに、そのまま当てられるのが mofuwa スキンケアミストです。電解水100%で、耳の外側から口のまわり、肉球まで、場所を分けずに同じ1本で使えます。使える場所が広いのは種類をそろえているからではなく、中に水しか入っていないからです。プーリーで当てるのは、束の内側ではなく、指で開いた根元のきわです。束にしみ込ませると乾くまでの時間がそのぶん延びて、この記事でいちばん避けたい「濡れて止まっている」状態を、自分の手でつくることになります。きわだけを布でなでたら、そのまま廊下を1往復させてください。
こうして続けていくと、その子ごとの基準ができてきます。この子は雨が3日続くと脇の手ざわりが変わる、この子は留守番が5時間を超えると変わる。数字は個体ごとに違いますし、他の子の数字を借りてもあまり役に立ちません。プーリーと暮らすなかで積み上がる経験というのは、たいていこの手の「うちの子の数字」のことです。
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皮膚の乾燥は、そのままにしておくと様々な皮膚トラブルの原因になります。従来のクリームやローションなどの保湿剤だとべたつきや気にして舐めてしまう子もいるため、電解水100%で舐めても安全なmofuwaスキンケアミストは日々のケアとしておすすめです。
地肌が赤い、じくじくしている、においが出てきた、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、束の根元から毛が抜けて地肌が広く見えている、走った直後でも手ざわりが戻らない日が1週間以上続いている。いずれかに当てはまるときは、動く時間を増やす前に、動物病院にご相談ください。プーリーは束の下が外から見えないぶん、皮膚の変化に気づくのが遅れることがあります。迷ったら早いほうを選んでください。相談のときは、いつからか、片側だけか、その日の散歩の時間の3つをメモしていくと、そのぶん話が早く進みます。
プーリーの被毛は、走る犬のためにできています。束が垂れて、揺れて、あいだの空気が入れ替わる。この一連が起きているあいだ、脇も内股も自分で乾いていきます。プーリーの蒸れで飼い主が動かせるのは、束の長さでも道具の性能でもなく、その子が今日どれだけ揺れたかという時間のほうです。手を長くかける日より、少し多く走った日のほうが、翌朝の脇はよく乾いています。
Product
mofuwa スキンケアミスト
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商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
