C09シーン別・暮らし

サロン通いのあいだ、保護犬・保護猫を迎えた人はどうしている?

公開日 2025年4月19日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、敷いた布の上に落ち着いて伏せている淡い色の犬
サロンから帰った日に動かせるのは、毛のほうではなく、家のにおいの側です。写真:https://kaboompics.com//Pexels

6週間ぶりのトリミングから帰ってきた夕方、先に家にいた子がその子の首元を3秒だけ嗅いで、そのまま部屋の隅へ座りました。嗅がれた側も、床に伏せたまま自分の前足を長いあいだ嗅いでいました。この家に来て4か月目の保護犬です。仕上がりはきれいで、毛の崩れているところは1か所もありません。それでも、サロンから帰った日は、その子のにおいが家のものではなくなっています。保護犬・保護猫を迎えた家では、これが体だけの話で終わりません。触られることにまだ慣れていない子ほど、人の手より先に、鼻と距離で家を確かめているからです。次の予約までのトリミングの間隔を毛の手入れの日数としてだけ数えていると、帰った直後の数日にだけ起きていることが抜け落ちます。この記事では、帰宅当日から5日目までを「慣れ直しの期間」として組む順番を、5つの手順に分けて書きます。

サロンから帰った日、においだけが家のものではなくなる|保護犬・保護猫とトリミングの間隔の前提

その日に家の中で起きたことを、順番に書きます。夕方に受け取って、玄関でキャリーの扉を開けました。先に家にいた子が寄ってきて、首元を3秒ほど嗅いで、それから部屋の隅へ行って座りました。帰ってきた側は、床に伏せたまま自分の前足のあたりを長く嗅いでいます。トリミングの仕上がりは問題ありません。もつれも取れていて、爪も整っています。それなのに、家の中の動き方だけが、ふだんの夕方と違っていました。

違いの出どころは毛ではなく、においのほうです。サロンでは、洗って、乾かして、道具を通します。その工程のあいだに、体の表面についていたものが一度入れ替わります。家の床、寝床の布、人の手、いつも通る廊下。その子が数週間かけて体につけてきた家のにおいが、数時間でほとんど残らない状態になります。家の側から見ると、帰ってきたのは「知っているにおいのしない子」です。

犬でも猫でも同じことが起きますが、保護犬・保護猫を迎えた家では、ここが少し重く出ます。触られることにまだ慣れていない子は、人の手で確かめる前に、距離と鼻のほうで先に確かめます。確かめる材料がにおいに寄っているぶん、そのにおいが入れ替わった日は、家の中の位置取りも一緒に変わります。以前どこでどう暮らしていたかは、こちらには分かりません。この記事でも推測はしません。使うのは、この家に来てから何日目か、という数え方だけです。

そこで前提を1つ置き換えます。トリミングの間隔は、ふつう「次の予約までの4〜6週間」として数えます。保護犬・保護猫の家では、その間隔の頭にある3〜5日だけを別扱いにしてください。この数日は、毛を保つ期間ではなく、家のにおいをもう一度その子に戻す期間です。ここを分けておくと、帰った日にやることと、1週間後にやることが混ざらなくなります。

Noteサロンを変えたほうがいい、という話ではありません

においが入れ替わるのは、洗って乾かせば必ず起きることです。サロンの側に落ち度があるわけではありません。むしろ、保護犬・保護猫にとってトリミングは、家では届かない場所に手が入る数少ない機会です。やめる方向ではなく、帰ってきたあとの数日を先に設計しておく方向で考えてください。間隔そのものを延ばして回数を減らすと、1回あたりの作業が増えて、その子の負担はかえって大きくなります。

帰宅当日から5日目までの順番|保護犬・保護猫のトリミングの間隔を慣れ直しの期間から組む手順

ここからが手順です。5つに分けますが、1日にやるのは1つだけにしてください。この5日は、こちらが何かを足す期間ではなく、足さない期間です。サロンから帰った日にいちばんやりたくなるのは、仕上がりを確かめることと、家のにおいを戻そうとして触ることの2つですが、保護犬・保護猫ではそのどちらも数日ずらしたほうが早く落ち着きます。

  1. 帰宅当日:玄関で外したら、30分は触らない

    キャリーやリードを外したら、そのまま床に置いて、人は座ってください。撫でない、抱き上げない、毛を分けて見ない。受け取った直後は、こちらも確かめたくなります。仕上がりを見て、手ざわりを見て、においを嗅ぐ。その3つは翌日でも同じだけ分かります。保護犬・保護猫の家では、この30分を空けるだけで、そのあとの数日の距離が変わります。声をかけるのは1回まで。名前を呼び続けると、こちらへ来る用事を作ることになります。

  2. 帰宅当日:新しい場所を用意せず、元の寝床にまっすぐ戻す

    きれいになったから布も新しくしよう、と考えたくなる日です。替えないでください。その子にとって、家のにおいがいちばん濃く残っているのは、洗っていない元の寝床だからです。体の側のにおいが入れ替わっている日に、寝床の側まで入れ替えると、手がかりがどこにも残りません。寝床の位置も動かさない。トリミングの間隔のうち、この日だけは何も新しくしないと決めてしまうほうが簡単です。

  3. 1日目〜2日目:家のにおいがついた布を1枚だけ渡す

    翌日と翌々日にやるのは、これだけです。人がふだん使っていて洗っていない布を1枚、寝床の横に置きます。かけない、巻かない、体に触れさせない。置くだけです。保護犬・保護猫では、こちらから体に何かを当てる形にすると、それ自体が新しいできごとになります。床に置いてあるものは、その子が自分の速さで近づけます。使わなければそのままにしておいて、3日目に一度だけ位置を直します。

  4. 3日目:ここから触る。1日1か所、10秒だけ

    触る手を戻すのは3日目からで足ります。場所は背中の真ん中1か所だけ。毛の流れに沿って一往復、10秒で終わりです。ここで顔まわりや前足に行かないでください。トリミングの間隔の頭の数日は、触れる面積を広げる時期ではなく、触っても何も起きないことを1か所で確かめる時期です。体をずらされたら、その場でやめて、翌日また同じ1か所からやり直します。

  5. 5日目以降:次の予約までの週で、触る場所を1週に1か所ずつ増やす

    5日目に背中がふつうに触れているなら、翌週から1か所足します。順番は背中 → 首の後ろ → わきの下 → 前足 → 口の周り。1週に1か所です。4〜6週間の間隔があるので、次のサロンの日までにちょうど一巡します。増やすのは場所であって、1回の長さや回数ではありません。1か所10秒のままで足ります。次のトリミングの日に、その子が触られる場所が家で5か所ぶん増えている状態になります。

サロンから帰った日から、次のトリミングの予約までの組み立て
いつやること保護犬・保護猫の側で減るもの
帰宅当日の30分触らない。床に座って待つ受け取った直後に来る接触が0になります
帰宅当日の夜元の寝床にまっすぐ戻す。布も位置も替えない入れ替わったにおいが、体の側だけで止まります
1日目洗っていない布を1枚、寝床の横に置く家のにおいへ戻る手がかりが1つ増えます
2日目何もしない。布の場所も動かさないその日に起きる新しいできごとが0になります
3日目背中の真ん中を10秒。1日1回触られる場所が1か所に固定されます
5日目同じ1か所を続ける。増やさない毎日違う場所を触られる状態がなくなります
2週目以降1週に1か所ずつ足す(首の後ろ→わき→前足→口の周り)次の予約日までに、家で触れる場所が一巡します

5つ全部をやりきる必要はありません。予定が詰まっている日にサロンから受け取ることもあります。1つだけ選ぶなら、2つ目の「元の寝床にまっすぐ戻す」です。ここだけは、こちらが手を動かさずに済むうえに、その子の側で確実に1つ手がかりが残ります。逆に後回しにしていいのは3つ目の布です。渡さなくても、寝床が元のままなら同じ役目をしています。

猫の場合は、トリミングの間隔そのものが犬よりずっと長くなります。数か月に一度という家も多いはずです。それでも、帰ってきた日に起きることは同じです。保護猫では、帰った直後にどこへ隠れるかだけを見ておいてください。いつもの隠れ場所ならそのままにする。違う場所を選んだ日は、そこを塞がずに残しておきます。数日で元の場所に戻ります。犬より距離が長いぶん、こちらが動かさないという手順の比重が大きくなります。

3日目に体をずらされたときに頻度を上げない|保護犬・保護猫のトリミングでつまずくところとコツ

ここが、この手順でいちばんつまずくところです。3日目に背中へ手を伸ばして、体をずらされる。あるいは立ち上がって離れていく。そうなると、たいていの人は「慣れていないから、もっと回数を増やそう」と考えます。1日1回を3回にする、10秒を30秒にする。保護犬・保護猫の家で、その方向へ動くと日数が伸びます。

理由は単純で、触られる回数そのものがその子の側の条件だからです。回数を増やすと、確かめる材料は増えません。増えるのは、こちらから来るできごとの数のほうです。1日1回の10秒だと、その子は残りの23時間59分を自分の速さで使えます。1日3回にすると、その3回がいつ来るか分からない時間が一日じゅう続きます。頻度を上げると、待つ時間の質が変わってしまいます。

慣れ直しの期間に、上げていい頻度と上げないほうがいい頻度
内容そう決める理由
上げない1日に触る回数回数が増えるほど、こちらから来るできごとが増えます
上げない1回に触る時間10秒で終わることが分かるほうが、その子には読みやすくなります
上げない触る場所の数場所は週に1か所。日ごとに変えると基準が消えます
上げない呼ぶ回数呼ぶのも接触の一種です。用事のない呼びかけは数えてください
上げる距離を見る頻度毎日1回。人が座ったときに何メートルまで来るかだけ
上げる寝た場所を書く頻度毎日1回。場所が変わる日が慣れ直しの途中です
上げる食べた量を書く頻度毎日1回。数字は5日ぶんないと読めません

コツは、上げるのを手の頻度ではなく記録の頻度にすることです。紙に日付を縦に7行書いて、距離・寝た場所・食べた量の3列。1日30秒で書けます。書けない日は空欄のままにしてください。推測で埋めると、比べる相手として使えなくなります。トリミングの間隔の頭の1週間ぶんが残っていれば、次のサロンの日に、前回と同じことが起きているかどうかを比べられます。

多頭で暮らしている家では、もう1つつまずきます。帰ってきた子ではなく、家にいたほうの子が落ち着かなくなることがあります。首元を嗅いで離れる、寝床を替える、こちらへ来る回数が増える。ここでやってはいけないのは、家にいた子のほうを動かすことです。寝床を移す、布を洗う、部屋を分ける。動かしていいのは帰ってきた子の側だけで、家の側の配置は据え置きにします。家のにおいの基準がそのまま残っていることが、慣れ直しの材料になります。

Pointコツは、こちらの手を増やすのではなく、家の側を動かさないこと

サロンから帰った日に手を入れられる場所は、実は多くありません。体は洗われたばかりで、毛も整っています。この日にこちらが確実にできるのは「家の側を1つも変えないこと」です。寝床の位置、布、食器の場所、掃除機をかける時刻。ふだんどおりにしておくだけで、その子が戻ってくる先が残ります。トリミングの間隔のうち最初の数日を、何かをやる日ではなく、何も変えない日として予定に書いてしまうほうが実行できます。

次の予約までの週で、触る場所を1か所ずつ増やす|トリミングの間隔のあいだに家でできること

慣れ直しの5日が終わったら、そこから次の予約までが本来のトリミングの間隔です。4週なら残り3週、6週なら残り5週。この期間に家でできることは、毛を保つことと、触れる場所を増やすことの2つです。保護犬・保護猫の家では、後者のほうを先に進めてください。触れる場所が増えていれば、毛の手入れは自然にあとからついてきます。逆の順番でやると、どちらも途中で止まります。

1週に1か所ずつ増やす順番と、その場所で見ておくこと
週足す場所そこで見えること
1週目背中の真ん中触っても何も起きない、という基準がここでできます
2週目首の後ろ手が視界の外から来る場所です。ここが通ると距離が縮みます
3週目わきの下毛がこすれてもつれやすい場所。被毛の状態が先に出ます
4週目前足の甲まで足先は最後です。甲で止めておくと嫌がられにくくなります
5週目口の周り食べたあとに変わる場所。ここまで来れば次のサロンが楽になります
6週目耳の外側だけ奥には触れません。外側を一往復して終わりにします

毎日のケアのほうは、この6か所のうちその週の1か所だけでかまいません。全身をやろうとすると、1回が長くなって、結局その子が動きます。1か所10秒を毎日続けるほうが、月末までに残る回数は多くなります。この10秒に使うものは、布とグルーミングスプレーの2つで足ります。被毛のもつれも、わきの下と首の後ろの2か所を続けていれば、次のトリミングまでのあいだに大きく崩れることはあまりありません。

その10秒に、もう1つだけ役目を持たせられます。布にグルーミングスプレーを含ませておくと、同じ一往復で、その週の1か所を拭き取れます。体に直接吹きかけないでください。音と風は、保護犬・保護猫にとってはそれ自体が新しいできごとになります。布に含ませてから手に持ち、いつもの10秒と同じ動きで一往復する。すすぎも乾かす時間も要らないので、手順は1つも増えません。舐めても問題のない基準でつくられているので、口の周りの週に来ても、量を気にせずに使えます。

ここまでを続けると、次のサロンの日の準備がほとんど要らなくなります。前日に慌てて全身を触る必要がないからです。前回のトリミングから今回までのあいだに、家で触れる場所が6か所増えている。その状態でサロンに行くと、預けるときの様子が前回と変わります。そこまで来たら、間隔を短くするか長くするかを、はじめて毛の状態で決められるようになります。それ以前の段階では、日数の議論をしても答えが出ません。

Caution5日たっても元に戻らないときは、動物病院にご相談ください

サロンから帰って5日たっても、食べる量が戻らない、水を飲む量が明らかに増えた、同じ場所をなめ続けている、地肌が赤い、耳を振る回数が増えた、触ると声を出す、隠れたまま出てこない。こうした変化があるときは、触る回数や場所を組み替える前に動物病院にご相談ください。慣れ直しの話と、体の側で何かが起きている話は別です。保護犬・保護猫では以前のことが分からないぶん、家で原因を決めにいかないほうが早く済みます。帰った日からの記録と、前回のトリミングの日付を持っていくと、その場で切り分けてもらえます。5日ぶんの記録がそろっていなくても、気づいた日付だけで構いません。

最後にもう一度だけ書きます。サロンから帰ってきた日に変わっているのは、毛ではなくにおいのほうです。だから、その日にこちらがやるべきことは、毛に手を入れることではありません。30分触らずに座り、元の寝床へまっすぐ戻し、家の側の配置を1つも変えない。3日目から1か所10秒で戻していく。保護犬・保護猫を迎えた家では、トリミングの間隔の頭にあるこの数日の置き方が、次の予約日の様子までつながっていきます。

Product

mofuwa グルーミングスプレー

mofuwa グルーミングスプレー

300ml / 2,970円(税込)

特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。

商品ページを見る

よくある質問

サロンから帰った日に、家の他の子が近づかなくなりました。何かしたほうがいいですか。
その日は何もしないほうが早く戻ります。家にいた側の寝床を動かしたり、布を洗ったりすると、家のにおいの基準まで一緒に消えてしまいます。ふだんどおりの配置のまま、両方の距離を1日1回だけ書き留めてください。帰ってきた子の体に家のにおいが戻るにつれて、たいてい数日で元の距離に近づきます。
3日目に触ろうとすると、毎回よけられます。トリミングの間隔のあいだに間に合いますか。
間に合わせる必要はありません。よけられた日は、その場でやめて翌日また同じ1か所からやり直してください。場所を変えたり、回数を増やしたりすると、何が起きているのかを比べる相手がなくなります。次の予約までに1か所しか進まなかったとしても、その1か所は前回より確実に増えています。
保護猫はサロンに行く回数が少ないのですが、同じように考えていいですか。
同じで大丈夫です。回数が少ないぶん、帰ってきた日の変化は犬より大きく出ることがあります。猫の場合は触る手順よりも、隠れ場所を塞がないことと、寝床の位置を動かさないことのほうが先です。触るのを再開するのは、自分から出てくる時刻がいつもと同じに戻ってからで間に合います。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。