C09シーン別・暮らし
ソファとカーペットを楽にする、大型犬と暮らす人の毎日の習慣
来客に「ソファ、犬がいる家に見えませんね」と言われた翌週、同じ部屋のカーペットに膝をついたら、手のひらがすべりませんでした。体重38キロのその子は、うちのソファに一度も乗ったことがありません。乗せていないというより、本人が乗ろうとしないのです。だからソファの毛は、粘着ローラーを1往復させても数本しか取れません。掃除機は毎日かけています。それでも、カーペットの手ざわりだけが戻らないままでした。大型犬と暮らす家で毛が集まっているのは、ソファではなく、その子が一日じゅう横になっている床のほうです。この記事は、表面に出ている毛と、繊維の奥へ押し込まれた毛の量が合わない、という話から始めます。
ソファはきれいだと言われるのに、カーペットだけ手のひらがすべらない|大型犬と暮らす家の背景
その日にやったことを、順番に書きます。来客の前に、ソファのクッションを外して粘着ローラーを2往復。取れたのは数本でした。座面のすきまに指を入れても、出てくるものがありません。大型犬と暮らしているのに、ソファだけは犬のいない家と同じ見た目をしています。理由ははっきりしていて、その子がソファに乗らないからです。
乗らない子は、思っているより多いはずです。座面が沈んで姿勢が安定しない、飛び乗るときに爪が布を引く、そもそも高さのある場所を好まない、家の側が乗せないと決めている。理由はどれでもかまいませんが、結果として、その子の生活面はソファではなく床になります。大型犬の1日は、散歩と食事の時間を除けば、ほとんどがカーペットの上で過ぎていきます。12時間から16時間、同じ面の上にいる子もいます。
その週末に、1畳ぶんだけ区切って試してみました。まず掃除機を3往復。ゴミ容器に入ったのはひとつまみです。次に同じ場所へ粘着ローラーを1往復。こちらも似たようなものでした。最後に、ゴム手袋をはめた手でカーペットを一方向にこすってから、もう一度掃除機をかけました。出てきたのは、ひとかたまりでした。それまで毎日吸っていたつもりの場所から、です。
この結果を見てから、掃除の見方が変わりました。ソファがきれいなのは、毛が少ないからではありません。その子が乗らないので、そこに毛が行っていないだけです。行き先はカーペットに集まっていて、掃除機で取れていたのは、そのうち表面に出ていたぶんだけでした。大型犬と暮らす家の毎日のケアは、ここを直すところから組み直せます。
カーペットを見て「今日は少ない」と判断すると、たいてい外れます。目に入るのは表面に浮いている毛だけで、その下に何倍あるかは、起こしてみるまで分かりません。大型犬の家では、この差が体重ぶんだけ大きくなります。判断は目ではなく、手のひらで面をなでたときのすべり方に置き換えてください。ひっかかりが出たら、量ではなく入り方の問題です。
ソファの毛が少ない家ほど、カーペットには多く残る理由|大型犬の接地面積と体重
起きていることは2つに分けられます。1つは、床に触れている面積が大きいこと。もう1つは、その面に重さがかかっていることです。大型犬が伏せると、胸、腹、肘の内側、腰、尾のつけ根が、まとめて床につきます。小型犬なら手のひら2枚ぶんで済む面が、大型犬では座布団1枚ぶんになります。同じ1時間でも、布に当たっている面積が数倍あります。
そこへ25キロから45キロの重さがかかります。カーペットの毛足は、根元まで倒れます。倒れているあいだ、被毛から抜けた毛は繊維のすきまへ入り込みます。その子が立ち上がって重さが抜けると、毛足が元へ戻り、入り込んだ毛を中に閉じ込めます。掃除機の吸い込む風は、表面から数ミリのところまでしか届きません。閉じ込められたぶんは、何度かけてもその場に残ります。
| ソファ(乗らない場合) | カーペット(毎日いる面) | |
|---|---|---|
| 1日にかかる時間 | 0時間 | 12〜16時間 |
| かかる重さ | なし | 25〜45キロ |
| 触れる面積 | なし | 伏せた姿勢の胴体ぶん |
| 毛の位置 | 背もたれや肘に数本 | 毛足の根元まで沈む |
| 掃除機の届き方 | ほぼ全部届く | 表面のぶんだけ届く |
| 取り残しの出方 | ほとんど出ない | 毎日かけても積み上がる |
面積の問題は、掃除の側にも返ってきます。大型犬と暮らす家は、その子が寝返りを打てるだけの床が要ります。6畳ぶんのラグを敷いている家なら、面積はおよそ10平方メートルです。この全面を、毎日ゴム手袋でこすってから吸うのは、30分以上かかります。ソファなら3分で終わる作業が、床では現実的な時間に収まりません。毎日のケアが続かなくなるのは、やる気の問題ではなく面積の問題です。
もう1つ、被毛の側の条件も足しておきます。長い時間ふれている面には、毛だけでなく皮脂も移ります。皮脂が回った毛は乾いた毛より繊維に絡みやすく、束になります。大型犬は体表の面積そのものが大きいので、同じ密度でも1日に床へ渡す量が多くなります。ソファに乗らない家では、その全部がカーペットの1面に集まります。行き先が1つしかない、というのが、この家のいちばん大きな条件です。
立たせてから取る、をカーペットとその子の両方でやる|大型犬の毎日のケアの考え方
やり方は1つの言葉にまとまります。立たせてから取る。これは布についても、その子についても、同じことを指しています。倒れて閉じ込められた毛は、起こさないと出てきません。伏せたままの体からは、床に接している面の毛が取れません。どちらも、先に立たせるという1工程を足すだけで、同じ道具のまま取れる量が変わります。
布の側から書きます。掃除機をかける前に、ゴム手袋をはめた手で、毛足の倒れている向きに逆らって一方向になでます。行きだけです。往復させると、上がってきた毛がまた沈みます。起こす、集める、吸う。この3つの順番だけが変わります。道具を買い足す必要はありません。ゴム手袋がなければ、硬めのブラシでも、乾いたスポンジの角でも代わりになります。
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その日やる範囲を、1畳ぶんに区切る
大型犬の家は面積が広いので、全面をやろうとした日から続かなくなります。今日はここ、明日はその隣、と1畳ずつずらしてください。6畳のラグなら1週間で一周します。1畳なら、起こして吸うまでを入れても5分で終わります。
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その子がいつも伏せている面から始める
大型犬は寝る場所が決まっている子が多く、たいてい部屋の隅か、人がよく通る動線の脇です。1週間ぶんの毛の半分以上が、その1畳に入っています。月曜をその面にしておくと、週の頭でいちばん重い場所が片づきます。
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その子を立たせて、床に接していた面を出す
ここが大型犬の家でいちばん抜けやすい工程です。片手で持ち上がらないので、伏せた姿勢のまま背中だけをとかして終わりがちになります。腹、脇、肘の内側、内股、尾のつけ根は、伏せているあいだ床に押しつけられていて、手が入りません。おやつを1つ持って壁ぎわへ誘導すれば、10秒立っていてくれます。
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立った状態で、下側から上へ向かって取る
内股と脇から先に、最後に背中。上から始めると、落ちた毛が下側の面にもう一度乗ります。立たせて取ったぶんは、床に届く前に受け止められます。カーペットへ渡す量そのものが減るので、翌日の掃除が短くなります。
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そのあとで、起こした面に掃除機をかける
順番は、体が先、床があとです。逆にすると、せっかく吸った面に、体から落ちたぶんが乗ります。体2分、床3分。合わせて5分で1畳ぶんが終わります。毎日5分なら、大型犬と暮らす家でも続きます。
立たせて出てくる面は、その子が自分ではどうにもできない面でもあります。腹、脇、内股、尾のつけ根は、伏せているあいだずっと床に接していて、その子の口も前足も届きません。洗う日にいちばん手がかかるのも、この下側の面です。mofuwa 入浴シャンプーは、お湯に溶かして浸からせるつくりで、泡を被毛にかき分けて届かせる工程がありません。立たせて全周を回らなくても、湯に浸かっている面には均等に行き渡ります。体重38キロの子を10秒しか立たせておけない家では、洗う日に何分立たせるかが、そのまま続くかどうかを決めます。毎日は立たせて取る、洗う日は浸からせて洗う。この2つを別のものとして分けておくと、面積の広い家でも組めます。
長く立たせようとすると、その子のほうが先に座ります。10秒で1か所、と決めてください。今日は左の脇、明日は右の内股。1回で全部やらないほうが、結果として全部の面に手が届きます。シニアに差しかかっている大型犬なら、長く立たせておくこと自体が負担になります。座ったらそこで終わりにして、続きは翌日に回して構いません。
1日1畳に区切って3週間、大型犬の家のカーペットに出てくる変化
切り替えた最初の1週間は、ゴミの量が増えます。これは悪い知らせではありません。それまで取れていなかったぶんが、まとめて出てきているだけです。1畳ぶんで、掃除機のゴミ容器が半分埋まる日もありました。増えた量に驚いて元のやり方へ戻したくなりますが、ここは通過点です。
| カーペットの側 | その子の側 | 1日にかかる時間 | |
|---|---|---|---|
| 1週目 | 取れる量が明らかに増える | 内股と脇に手が入るようになる | 5〜8分 |
| 2週目 | 手のひらのすべりが戻ってくる | 立つのを待つ時間が短くなる | 5分 |
| 3週目 | 起こしても出てくる量が減る | 抜ける量の多い日が読めてくる | 3〜5分 |
| ソファ | 変えていない。週1回のまま | 乗らないので変化なし | 3分 |
2週目の途中で、膝をついたときの手ざわりが変わりました。ひっかかっていたのは毛ではなく、毛と皮脂が繊維の中で束になっていた部分でした。これが抜けると、同じカーペットとは思えないほど指がすべります。掃除機をかけた回数は増えていません。順番を変えただけです。大型犬と暮らす家で、道具を買い替える前に試す価値があるのはここだと思います。
3週目に入ると、抜ける量の多い日が読めるようになります。散歩から帰った日の夕方、暖房を入れ始めた週、季節の変わり目。その子の被毛は毎日同じ量を落としているわけではありません。多い日にだけ立たせて取る回数を1回増やせば、少ない日は床の掃除だけで足ります。毎日おなじことをやるより、日によって配分を変えるほうが、面積の広い家では現実的です。
ここで、切り分けておきたいことがあります。抜ける量が季節と関係なく増え続ける、左右のどちらかだけ薄くなる、地肌が見える場所ができる、フケが増える、同じ場所をなめ続ける、赤みが出ている。こうした変わり方は、カーペットの掃除や毎日のケアの話ではありません。皮膚の側で何かが動いている合図なので、取り方を工夫する前に動物病院にご相談ください。大型犬は体が大きいぶん、少しの変化でも床に落ちる量として先に出ます。カーペットは、その子の被毛の記録として読める面でもあります。1日1畳で回していると、量の変化にいちばん早く気づけるのは掃除をしている人です。
ソファのほうは、この3週間、何も変えていません。週に1回、粘着ローラーを1往復させるだけです。乗らない面に手をかけても、家の中の毛は減りません。大型犬と暮らす家で、時間をどこへ置くかは、その子がどの面の上にいるかで決まります。ソファがきれいであることは、掃除が行き届いている証拠ではなく、その子の居場所がどこかを示しているだけでした。
3週間で終わりにしないでください。1日1畳という区切りは、毛を取るための単位ではなく、同じ面を7日に1回かならず見るための単位です。一周するたびに、先週その面から出た量と比べられます。半年続けると、季節の変わり目の週、暖房を入れはじめた週、散歩の距離を伸ばした週で、出てくる量が違うことが読めるようになります。大型犬と暮らす家では、カーペットがいちばん大きな記録用紙です。毎日の5分は、その記録を1行ずつ書き足している時間だと考えてください。
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商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
