C05犬種・猫種別ケア
フィニッシュスピッツのケア|皮膚の乾燥を減らす3つの習慣
フィニッシュスピッツの背中を上から手のひらで押すと、毛が沈むまでに指2本ぶんほどの距離があります。その距離のほとんどを占めているのは、立った毛と毛のあいだの空気です。息を吹きかけると、上毛が根元まで割れて、地肌がすぐに見えます。この犬種の乾燥は、毛が薄いから起きるのではありません。毛は多いのに、上毛が体から立っているぶん、そのあいだを外の空気が素通りします。冬の乾いた空気も、暖房の風も、毛の面で止まらずに地肌まで届きます。ふたがない、という言い方がいちばん近い状態です。この記事では、その順番を先に整理してから、毛を寝かせてふたを作り直すやり方と、頻度の決め方を書きます。
毛が薄いのではなく、立っている|フィニッシュスピッツの乾燥が起きる順番
フィニッシュスピッツの被毛は二層です。外側の上毛は硬くまっすぐで、体から離れる向きに立ちます。内側の下毛は細く、短く、密に詰まっています。この犬種の上毛は、寝て流れるのではなく、立って空気の層をつくるための毛です。フィンランドの森で、雪と冷たい風の中を歩いて鳥を探す仕事をしてきた体の作りです。
立った毛は、外から入ってくる冷たい風を受け止めます。ここまでは寒さに向いた作りです。ところが、風ではなく乾いた空気が相手になると、話が変わります。毛が立っているということは、毛と毛のあいだに隙間があるということです。隙間があれば、空気は毛の面で止まらずに、そのまま奥へ通り抜けます。行き着く先が地肌です。
毛が寝ている犬では、そろった毛の面が屋根のように空気の動きを止めます。止まった空気は動かないので、地肌のうるおいがそこに留まります。これが、被毛が地肌にとってふたとして働いている状態です。フィニッシュスピッツの上毛は立っているので、この屋根ができません。毛量は多いのに、ふたとしては働きにくい。乾燥の話は、ここから始まります。
順番にすると、こうなります。上毛が立つ。毛と毛のあいだに隙間ができる。乾いた空気が通り抜ける。地肌に外気が直接当たる。当たっている時間が長いほど、地肌のうるおいが外へ出ていく。フィニッシュスピッツの乾燥で動かせるのは、この順番のうち「当たっている時間」のところです。毛の量も、毛が立つ性質も、変えるものではありません。
| 上毛が立っている | 上毛が寝ている | |
|---|---|---|
| 毛と毛のあいだ | 隙間があり、空気が通る | 面がそろって、動きが止まる |
| 外気の届き方 | 地肌まで直接届く | 毛の面で止まる |
| 地肌のうるおい | 外へ出ていきやすい | その場に留まりやすい |
| 暖房の風 | 根元まで割って入る | 表面をなでて流れる |
| 手のひらの感触 | 沈むまでに距離がある | すぐ地肌に届く |
| ふたとしての働き | しにくい | しやすい |
室内では、条件がもう一つ重なります。冬の暖房は、部屋の湿度を下げながら、風を送ります。その風が寝床へ直接当たっていると、立った毛は割れて、地肌に当たる空気の量が増えます。フィニッシュスピッツが暖かい場所を選んで寝ているとき、たいていその場所は、家の中でいちばん空気が動いていて、いちばん乾いています。地肌にとっては条件が重なった場所です。
乾くなら毛を短くすればいい、という向きの手当ては、フィニッシュスピッツでは逆に働きます。上毛は、外の刺激と外気のあいだに立っている層です。短くすると、隙間はそのままで、覆う長さだけが減ります。この犬種の被毛は、量を減らすのではなく、向きをそろえて面をつくるほうへ手をかけます。皮膚のことを考えるときは、毛を減らす発想から離れてください。
上毛を寝かせて、ふたを作り直す|フィニッシュスピッツの乾燥で変えるやり方
ここからが手順です。やることは1つで、地肌に外気が当たっている時間を、1日のうちで短くしていきます。毛の向きをそろえて面をつくる時間と、部屋の空気の当たり方を変える時間。この2つを、次の4つの手順に割ります。順番に意味があるので、上から進めてください。
-
手順1:ブラッシングで、毛を立てる動きをやめる
抜け毛を出そうとすると、毛を逆立てて根元から起こす動きになりがちです。フィニッシュスピッツでは、この動きのあとに地肌が長く外へ出ます。逆立てるのは、根元の抜け毛を出すあいだの数十秒だけにして、必ず流れに沿って寝かせて終わります。始めと終わりで、毛の向きをそろえる。この一手だけで、ブラッシング後に地肌が空気にさらされる時間が変わります。
-
手順2:手のひらで、毛の面を1方向につくり直す
ブラシのあと、手のひらを軽く湿らせて、首から腰へ、腰からしっぽの付け根へ、一方向になでます。往復させないでください。往復すると毛は起き、一方向だと寝ます。手のひらの熱と湿りで、毛先の向きがそろいます。フィニッシュスピッツの被毛は硬いので、2〜3回では戻ります。同じ向きに10回ほど通すつもりで構いません。
-
手順3:寝床に当たる風を、まず1つ止める
暖房の吹き出し口と寝床が直線で結ばれていないかを見てください。結ばれていたら、寝床を90度ずらすか、あいだに背もたれの高いものを1つ置きます。湿度計の数字を上げるより、風が直接当たらない場所をつくるほうが早く効きます。部屋全体の湿度は、上げられるなら40〜60%を目安に。地肌に届く空気の量は、風の向きのほうで決まります。
-
手順4:洗った日は、乾かす向きを上から下へそろえる
根元を乾かそうとして、風を下から上へ当てると、上毛はすべて立ちます。立ったまま乾くと、その日はふたのない状態が長く続きます。風は毛の流れに沿って、上から下へ。根元まで乾かしきることは変えずに、向きだけを変えてください。乾いたあと、手順2の手のひらをもう一度通します。洗いすぎを気にする前に、この乾かし方のほうを先に直すと、手ざわりの戻り方が変わります。
4つのうち、いちばん効くのは手順3です。手をかける時間がゼロで、1日じゅう働き続けるからです。ブラッシングは1日に10分ですが、寝ている時間は8時間あります。フィニッシュスピッツの地肌が外気に当たっている時間の大半は、人が何もしていない時間帯です。手を動かす前に、環境の側を1つ動かしてください。
毛を分けている数秒のあいだだけ、この犬の地肌は表に出ます。分けているのは人の指なので、そこに何を置くかを決められるのも、その数秒のあいだだけです。mofuwa スキンケアミストは特許電解水を使っていて、水分の浸透力は精製水の35倍(自社検証)と測られています。置いた水が毛の面で広がって終わるか、分けた根元まで下りるかが、上毛の立つこの犬種では差になります。毛の上から広く吹きかけると、面が濡れて、寝かせたい毛がかえって起きます。布に含ませてから、分けた根元にだけ当てて、そのまま手順2の一方向のなでへ入ってください。
乾燥と聞くと、外から足すことばかりを考えがちです。フィニッシュスピッツの被毛では、足す量より、地肌の空気が入れ替わる回数のほうが大きく効きます。毛を寝かせて面をつくると、その面の下の空気が動かなくなり、うるおいがその場に留まる時間が延びます。手順2に時間をかけると、他の手順が同じでも手ざわりが変わってくるのはこのためです。
洗う回数より、乾かしたあとの数分|犬としてのフィニッシュスピッツで頻度を決めるコツ
手順を回しはじめると、次に迷うのが頻度です。何日おきに洗うか、ブラッシングは毎日か。結論から書くと、洗う頻度を決める前に、洗ったあとの数分を決めるほうが先です。犬としてのフィニッシュスピッツは、体の面が広く、被毛が厚く、乾ききるまでに時間がかかります。その時間帯の扱いで、地肌の条件は大きく変わります。
洗いすぎに気をつける、という言い方はよく聞きます。ただ、回数だけを減らしても、乾かし方が同じなら結果はあまり動きません。1回あたりの、地肌が外気にさらされる時間のほうを短くしてください。洗ったあとに逆立てて乾かし、そのまま寝かせずに終える。この流れが続いているなら、回数を半分にしても条件は残ります。
| 何を | 頻度の目安 | 決めるときのコツ |
|---|---|---|
| 洗う | 汚れと季節で決める。冬は間隔をあける | 回数より、乾かす向きと寝かせて終える数分 |
| ブラッシング | 週2〜3回。換毛期は日を増やす | 逆立てる時間を短く、寝かせる時間を長く |
| 手のひらで面をつくる | 毎日1回、1〜2分 | ブラシのあとと、寝る前。一方向だけ |
| 地肌を見る | 週1回、決めた曜日に | 同じ場所を同じ明るさで。首・腰・脇の3か所 |
| 寝床の位置を確かめる | 季節の変わり目ごと | 暖房を入れ替えた日に、風の直線を見る |
つまずきやすいのは、ブラッシングの頻度です。乾燥が気になるほど、毎日ていねいに全身を回したくなります。フィニッシュスピッツでは、回す面を広げるほど、毛を起こしている時間が延びます。週2〜3回にして、そのかわり毎回、寝かせて終える数分を必ず入れる。この配分のほうが、地肌に当たる空気の総量は減ります。手をかけた時間と、地肌の条件は比例しません。
地肌を見る日を決めておくのも、続けるコツです。毛が立っている犬種なので、息を吹きかければ根元まで割れて、地肌はすぐ見えます。週に一度、同じ曜日に、同じ3か所を見る。首のうしろ、腰、後ろ脚の付け根の内側です。フケのようなものが増えていないか、赤みがないか。毎日見ると変化が分からなくなるので、間隔をあけたほうが差に気づけます。
乾かす向きをそろえることと、乾かしきらないことは別です。フィニッシュスピッツの下毛は密なので、表面が乾いていても、根元に湿りが残ることがあります。湿ったまま毛を寝かせて面をつくると、その下の空気が動かないまま、湿りだけが残ります。根元に指を入れて、冷たさが残っていないかを確かめてから終えてください。乾かす時間は短くせず、向きだけを変えるのが手順4の趣旨です。
ふたを作り直しても地肌が変わらないときは、乾燥の話ではありません
ここまでは、毛が立っているという被毛の作りで説明のつく乾燥の話でした。手順を回して2週間たっても地肌のようすが変わらない、あるいは悪くなっているときは、別の見方をしてください。次のような変わり方は、フィニッシュスピッツの被毛の条件では説明がつきません。
- 湿度を上げた部屋でも、フケのようなものが増え続ける:季節や空気の条件と合わない動き方です
- 一か所だけ地肌が赤い:全体ではなく部分に出ているときは、当たっているものを探してください
- においが出てきた:乾燥だけでは、においの変化には結びつきにくいところです
- なめる、かく、床にこすりつける回数が増えた:手ざわりより先に、しぐさのほうが変わります
- 毛が根元から抜けて、地肌が広く見える場所がある:換毛期の抜け方とは別のものです
- 触ると嫌がる、体を引く:痛みがあるときは、手をその場で止めてください
地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が見えている、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、ブラッシングやミストの回数を増やす前に、動物病院にご相談ください。フィニッシュスピッツは上毛が立っているぶん、地肌が見やすい犬種です。見えているのに手当てだけを続けてしまうと、時間だけが過ぎます。迷ったら早いほうを選んでください。
動物病院で伝えることは、3つで足ります。いつから変わったか、どこが変わったか、この2週間に家で何を変えたか。湿度を上げた、寝床を動かした、乾かす向きを変えた。やったことを並べておくと、被毛の条件で説明のつく乾燥なのかどうかを、その場で切り分けてもらえます。前日に念入りに洗ってから行くと、もとの地肌の状態が分からなくなります。そのまま連れて行ってください。
最後に順番をもう一度置きます。フィニッシュスピッツの乾燥は、毛が薄いからではなく、毛が立っていて、地肌にふたがないところから始まります。家の中で動かせるのはここまでで、その先は動物病院の領域になります。だから手を入れるのは、毛の量ではなく、毛の向きと、部屋の空気の当たり方です。逆立てて終わらない。一方向で面をつくる。寝床に風を当てない。乾かす向きをそろえる。この4つを回して、週に一度だけ地肌を見る。
この4つは、地肌が落ち着いてからのほうが続けやすくなります。手ざわりが戻った時点でやめると、次に暖房を入れた日から、また同じところをやり直すことになるからです。1年続けると、その子の地肌が乾きはじめる時期が、暦ではなく「暖房を入れて何日目か」で分かるようになります。週に一度の3か所を12か月ぶん重ねたころには、寝床を動かす日を先に決められます。手を増やすのではなく、動かす時期を前に出せるようになる。これが、この手順を続けた先で変わるところです。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見るよくある質問
- フィニッシュスピッツの毛を短くしたら、乾燥は減りますか?
- 減るとはかぎりません。この犬種の乾燥は毛の量ではなく、上毛が立っていて毛と毛のあいだを空気が通ることから始まります。短くしても隙間は残り、覆う長さだけが減ります。長さを変えるより、ブラッシングの終わりに毛を寝かせて面をつくるほうが、地肌に当たる空気の時間は短くなります。
- 加湿器を置いていますが、手ざわりが変わりません。頻度が足りないのでしょうか?
- 回数より、風の当たり方を先に見てください。部屋の湿度が上がっていても、暖房の風が寝床へ直接当たっていると、立った毛が割れて地肌に空気が届き続けます。寝床の向きを90度変える、あいだに1つものを置く。この一手のほうが、加湿器を増やすより早く手ざわりに出ることがあります。
- 換毛期は、乾燥のケアも変えたほうがいいですか?
- やり方は同じで、ブラッシングの日だけ増やします。抜けた下毛が密な層に留まると、根元の空気が動きにくくなります。ただし、逆立てて根元から起こす時間は短いままにしてください。終わりに一方向で毛を寝かせる数分を、換毛期こそ省かないことがコツです。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
