C08季節・行事
毛の上で止まるか、地肌まで届くか|長毛の子は根元が空いている
背中の毛を指で分けると、分け目の底だけが乾いた白い地肌のままで、いま吹きかけたはずの湿りがどこにもありませんでした。長毛の子の毛は、背中で五センチ、脇や腰で七センチを超えることがあります。霧の粒はその先端に触れた時点で広がり、一、二センチ下で止まります。残りの三センチから五センチは、スプレーをかけても空いたままです。この記事では、毛の長さを根元までの距離として数えます。かけたものが止まった位置と、地肌までの残りの距離です。
軸1・霧は毛の途中で止まる|長毛の根元にスプレーが落ちない条件
毛の上で止まるかどうかは、量ではなく長さで決まります。短い毛の子では、一回吹けば毛先から地肌までが一センチ足らずなので、霧はそのまま下まで落ちます。長毛の子では、同じ一回で届く距離が変わらないまま、下までの距離だけが五センチに伸びます。多く吹いても同じです。増えるのは毛の表面にのる量で、落ちる距離は変わりません。
| 毛の長さ | 霧が止まる位置 | 根元までの残り | 地肌の様子 |
|---|---|---|---|
| 一センチ | 地肌の手前 | ほぼ零 | 湿りが指先につく |
| 三センチ | 毛先から一センチ | 二センチ | 分けると乾いている |
| 五センチ | 毛先から一、二センチ | 三から四センチ | 白い粉が見えることがある |
| 七センチ以上 | 毛先から一、二センチ | 五センチ以上 | かき分けるまで見えない |
距離だけの問題ではありません。長毛の子の多くは、外側の上毛と、その下に密に並ぶ下毛の二層になっています。霧が落ちるのを止めているのは、じつは長さより下毛の密度のほうです。上毛が七センチあっても下毛が薄い子では、分け目をつくると意外なほど早く地肌が見えます。逆に、上毛が四センチでも下毛が詰まっている子では、指を入れてもなかなか底に届きません。根元が空いているかどうかは、毛の長さと密度の二つを合わせて見る条件になります。
五月の終わりは、この層がいちばん厚くなる時期にあたります。気温が上がって換毛期に入ると、抜けた下毛はすぐには落ちず、根元に残ったまま絡みます。抜けた毛は生えている毛より軽いので、上へ押し上げられて中間の層をつくります。止まる位置が、前の月より一センチほど上がります。湿度も同時に上がるので、根元にたまった層の内側は乾きにくくなります。季節の変わり目に根元が気になりはじめるのは、体が変わったからではなく、毛の中の層が一枚増えたからです。
確かめ方は簡単です。背中の真ん中で毛を左右へ分け、分け目の底を指の腹でなでます。乾いていれば、そこはスプレーが届いていません。長毛の子では、吹いた直後でも乾いていることのほうが多くなります。この一回で、その子の根元までの距離が何センチなのか、指の第一関節がどこまで入るかで分かります。
軸2・指で分けるか、ブラシで運ぶか|長毛の根元へスプレーを届けるのはどっちの手か
根元まで届かせたいなら、吹く以外の手が一つ要ります。分け目をつくって直接当てるか、手のひらに出して指の腹で運ぶか、ブラシに含ませて通すかの三つです。どれも、毛を横へ動かして距離を短くしてから当てるという点では同じことをしています。
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分け目をつくって、底へ直接当てる
親指と人差し指で毛を左右へ開き、地肌が見える線を一本つくります。そこへ直接かけます。いちばん確実ですが、一本あたり十秒ほどかかります。背中に三本、脇に二本、腰に二本で七本。全部で七十秒が目安になります。
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手のひらに出して、指の腹で運ぶ
手のひらに数プッシュ出し、五本の指を熊手のようにして根元へ差し込みます。分け目をつくらずに済むぶん早く、長毛の子でも三十秒ほどで背中一面に回ります。量の見当がつきにくいので、多く出しすぎた日は毛先に残ります。
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ブラシに含ませて通す
スリッカーやコームの根元側に吹きかけ、毛の流れに沿って通します。運ぶ距離がいちばん長く、抜けた下毛も一緒に出てきます。換毛期の時期には、この手が根元の層を薄くすることにもつながります。
数えるのは分け目の本数です。七本つくれた日と、三本で終わった日では、その日届いた面積が半分以下になります。背中三本、脇二本、腰二本という配り方を先に決めておくと、途中でやめても、どこまで進んだかが本数で残ります。長毛の子の毎日のケアは、全身を一度にやりきる形では続きません。七本のうち今日は四本、と数えられる形にしておくほうが、季節の変わり目の忙しい時期にも残ります。
体側へ届かせたいものには、運ぶ手がついているものを選びます。mofuwa グルーミングスプレーは、吹きかけてブラシを通すところまでが一つの手順になっているので、三つめの手が最初から組み込まれています。毛についた余分な脂は電解水となじんで乳化し、ブラシの動きで浮いて出てきます。ブラシが通る距離そのものが、根元へ運ぶ距離になります。長毛の子で、吹くだけで終わらせない理由がここにあります。
ここまでが、体に届かせたいものの話です。問題は、届かせなくていいものまで同じ七十秒をかけている場合です。根元に用がないものを毛の上から吹くと、止まった位置に残り続け、毛先を舐めたときにそこから口へ入ります。長毛の子ほど、かけたものの行き先が目で追えません。だから次の軸は、届かせる手の話ではなく、そもそも毛へ入れるかどうかの線引きになります。
止まる位置・要る手・かかる時間で並べる|長毛の根元とスプレーの比較
毛の上で止めるのと、根元まで届かせるのは、優劣ではなく用途の違いです。地肌に用があるものは根元へ運び、地肌に用のないものは毛へ入れない。長毛の子では、この二つを分けておかないと、七十秒かけたのに届いていない、という日が続きます。
| 見るところ | 毛の上で止める | 根元まで届かせる |
|---|---|---|
| 止まる位置 | 毛先から一、二センチ | 地肌 |
| 要る手 | 吹くだけ | 分け目を七本つくるか、ブラシで運ぶ |
| かかる時間 | 三秒 | 三十秒から七十秒 |
| 毛の長さの影響 | 長いほど下へ落ちない | 長さに関係なく届く |
| 換毛期の影響 | 残った下毛で止まる位置が上がる | 抜け毛も一緒に出てくる |
| 向いている中身 | 毛の表面を整えるもの | 地肌に届かせたいもの |
| 虫よけの場合 | 根元へ入れる用がない | ここへ入れる必要がない |
| 結論の行 | 毛の上に残り続ける | 距離を短くしてから当てる |
表の下から二行目が、この記事の分かれ目です。虫よけには、地肌へ届かせる用がありません。根元に用がないのに毛の上へ吹くと、止まった位置にそのまま残ります。長毛の子では、その位置が毛先に近いぶん、口の届く場所そのものになります。届かせるでも、届かせないでもなく、毛へ入れないという三つめの選び方がここで出てきます。
この分け方をすると、七十秒の使い道も変わります。分け目を七本つくる時間は、地肌に用のあるものだけに使えばよくなります。虫よけのぶんを引くと、毎日の手順から一工程まるごと消えます。長毛の子の飼い主にとって、五月の終わりに増える手間は、換毛期のブラッシングだけで足ります。そこへ毛の上から吹く一工程を重ねると、一日に体を触る時間が二倍になります。
記録のつけ方も、本数で足ります。今日は分け目を何本つくったか。七本そろった日に丸、四本なら四と書く。数字が三日続けて四以下になったら、時間ではなく場所のほうを見直します。腰の二本がいつも落ちているなら、その二本は夜へ回す。長毛の根元のケアは、一度に全部やる形をやめた時点から続きはじめます。
根元に用のないものは、毛へ入れない|長毛の子の虫よけはかける先が外にある
mofuwa においがしない虫よけスプレーは、かける先が体の外側に決めてあります。散歩の前に、ハーネスの背中側、服の腰の面、散歩バッグの外ポケットへかけます。体へは向けません。長毛の子で毎回悩むことになる「どこで止まったのか」という問いが、この一本ではそもそも立ちません。
この決め方は、長毛の子にとってとくに意味があります。毛が五センチある体では、吹いたものが止まる位置を人の目で確かめられません。分け目をつくって底を見るまで分からないので、届いたかどうかを知るために、届かせる手と同じ七十秒が要ることになります。持ち物なら、かけた面は平らで、乾いたかどうかが指で分かります。確かめる作業が三秒で終わります。
中身の側にも理由があります。虫よけにはディートやイカリジンといった成分がよく使われ、医薬部外品にも使われています。効きめは確かなものとして知られていますが、においが強い、べたつく、という声もあります。においとべたつきのほうを先に外そうという判断は、自分の子どもに使えるものが手元になかった、という個人の事情から始まっています。べたつきは、長毛の子ではそのまま毛の絡みになります。毛先で止まったものがべたつけば、そこから毛が束になり、換毛期の抜け毛を巻き込みます。
この虫よけスプレーが使っているのはメンタンジオールという植物由来の成分で、ディートは入れていません。精油も使っていません。猫は精油を苦手とするため、長毛の猫がいる家では、体へかけるかどうか以前に、玄関の空気へ何が広がるかのほうが先に問題になります。無添加は十二の項目で、においを消したのではなく、においがしにくいように設計してあります。持ちは三時間ほどが目安なので、散歩一回ぶんと重なります。
長毛の子でハーネスを使う場合、もう一つ気をつける面があります。ベルトの内側は、毛を挟み込んだまま体に接します。かけるのは外を向いている面だけにして、内側は乾いた状態のまま着けてください。内側へかけると、挟まった毛の根元がそこだけ湿り、五月の湿度では乾ききらないまま次の散歩を迎えます。外側へかけて十分置き、乾いてから着ける。この順番で、毛の中へ入る量を零にできます。
七本の分け目のうち、同じ二、三本だけが指を入れても開かない/その分け目の底が、ほかより赤く見える/分けたときに毛が引っぱられて、その子が体をひねる/先月は五センチ入った指が、同じ場所で二センチで止まる/分け目の底からだけ、いつもと違うにおいが上がってくる。こうなると、数えているのは届いた本数ではなく、閉じたまま戻らない場所の数になります。毛が固まって皮膚を引っぱっている状態は、それ自体がその子にとって痛みになります。どの分け目が、いつから何センチで止まるようになったのかを書き出して、動物病院の診察を予約してください。長さと本数で残っていれば、毛をかき分けなくても伝わります。
換毛が終わる時期に、根元を空けたまま渡す|長毛のスプレーを毎日続ける形
六月に入って換毛期が終わると、根元にたまっていた層は薄くなり、止まる位置は一センチほど下がります。それでも、毛の長さそのものは変わりません。五センチの子は五センチのままです。時期が変わって楽になるのは層の厚みだけで、根元までの距離は一年じゅう同じ数字が残ります。
| 持ち越すもの | 中身 | 次の季節での使い方 |
|---|---|---|
| 分け目の本数 | 背中三本、脇二本、腰二本 | その日できた本数だけ数える |
| 根元までの距離 | 指が入った深さ | 止まる位置が変わった月に気づける |
| 体の外へ出したもの | 散歩の前にかける一本 | かける面は三枚のまま |
この三つは、どれも数字か枚数で書けます。長毛の子のケアが続かなくなるのは、やることが多いからではなく、進んだかどうかが数字で残らないからです。七本のうち四本、指の深さは三センチ、外へ出した一本。三行で足ります。
今日やれるのは、背中の真ん中で毛を一度分けて、指がどこまで入るかを見ておくことだけです。その数字が、来月と比べるときの物差しになります。分け目を七本つくる日は、明日からで間に合います。
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よくある質問
- 毛を短く刈れば、根元まで届くようになりますか。
- 距離の問題は解けますが、別の距離が現れます。刈ったあとは霧が地肌まで落ちるので、届いたかどうかを指で確かめる作業は要らなくなります。一方で、地肌が外気に触れる面積が増えるため、五月から六月にかけては室温と湿度の影響を直接受けます。冷房の風が当たる場所で乾燥しやすくなる子もいます。刈るかどうかは、根元へ届かせたいものが何かで決めてください。毎日届かせたいものがあるなら短いほうが早く、そうでないなら、分け目を七本つくる手順のほうが体にかかる負担は小さく済みます。
- 分け目は、何センチ間隔でつくればいいですか。
- 五センチ間隔を目安にしてください。背中の中心線から左右へ五センチずつ離して三本、脇のふくらみに沿って二本、腰の上に二本。これで七本になります。細かく刻むほど届く面積は増えますが、一本十秒が変わらないので、十五本にすると二分半かかります。毎日続けるなら七本までです。間隔より大事なのは、毎回同じ場所につくることのほうです。同じ七本を続けると、指の入る深さが先月とどう変わったかが比べられます。場所が毎日変わると、その比較ができません。
- 上毛だけの子と、下毛のある子では、やり方を変えますか。
- 変えるのは本数ではなく、入れる角度です。下毛のない子は、指を垂直に入れれば底まで届きます。下毛がある子では、垂直に押し込むと密な層を押し固めてしまうので、毛の流れに沿って斜めに入れ、指を開いて線をつくります。かかる時間は下毛のある子のほうが長く、一本十秒が十五秒になることもあります。七本を一度に終わらせようとせず、背中の三本を朝、脇と腰の四本を夜、と割ってください。長毛で下毛の詰まった子ほど、一回を短く切るほうが続きます。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
