C08季節・行事
何ミリまで短くするか迷ったら|基準は日差しが当たる背中
バリカンの刃には3・6・9・12と数字が並んでいて、毛の長さはそのどれかに決まります。数字は1つずつしか離れていないのに、選ぶ根拠のほうは手元にありません。暑そうだから短く、という言い方では、3ミリと9ミリのどちらを選んでも同じ説明がついてしまいます。根拠になるのは、その子の背中に日差しが当たっている時間です。四つ足で歩くかぎり、真上から来る光を受け止める面は背中に決まっています。この記事では、散歩のうち日陰に入らずに歩いている分数を数えて、そこから背中に残す毛の長さを選びます。
軸1・真上から日差しを受けるのは背中だけ|毛の長さを決める時期に数えるもの
毛の長さを何ミリにするか、という問いは、体全体に対して立てると答えが出ません。四つ足で歩く体は、面ごとに日差しの当たり方が違うからです。真上に近い角度から来る光をまっすぐ受け止めているのは背中と腰で、わき腹は角度がつくぶん受ける量が減り、おなか側には直接は届きません。毛の長さは、いちばん日差しを受ける面に合わせて決めて、ほかの面はそれに従わせます。全身に対して1つの数字を立てようとすると、どの面にも合わない中間の値に落ち着きます。
| 体の面 | 日差しの当たり方 | 毛の長さを決めるときの重み |
|---|---|---|
| 背中・腰 | 真上からまっすぐ。日陰に入るまで当たり続ける | いちばん重い。ここで決める |
| 首の後ろ | 背中と同じ角度で当たる。ハーネスが乗る場所でもある | 背中に合わせる |
| わき腹 | 斜めに入るので、受ける量は背中より少ない | 背中に合わせれば足りる |
| おなか・内もも | 直接は当たらず、地面からの照り返しだけ | 背中と分けて考える。削りすぎない |
| 足先 | 日差しより、地面そのものの温度 | 毛の長さの話ではなく、歩く時刻の話 |
数えるのは、散歩に出てから帰るまでのうち、日陰に入らずに歩いていた分数です。家を出た時刻と帰った時刻の差ではありません。街路樹の下、建物の影、土手の北側。そこに入っているあいだ、背中に日差しは当たっていません。スマホのメモに、その日の分数を1つ書くだけで足ります。3日ぶん取って、いちばん多かった日の数字を使います。平均を出すと、背中にいちばん日差しが乗った日が消えてしまいます。
この分数は、季節の変わり目に大きく動きます。気温が上がって散歩を朝と夕方へ寄せると、同じ道を同じ距離だけ歩いても、背中に日差しが当たる分数は半分以下になります。毛の長さを決める時期というのは、暑くなった時期ではなく、散歩の時刻が動き終わった時期です。時刻を動かす前に短くすると、動かしたあとの暮らしに合わない毛の長さのまま、ひと月半を過ごすことになります。換毛期と重なって予約が取りにくい時期でもあるので、数え始めるのは早いほうが動きやすくなります。
軸2・屋内に入ると、毛の長さは地肌までの距離に変わる
家に入った瞬間、日差しという条件は消えます。窓際の日だまり以外に、背中へまっすぐ当たる光はありません。ここから先、毛の長さは別の意味を持ちます。屋内での毛の長さは、指とブラシと汚れが地肌まで届くかどうかの距離です。同じ9ミリでも、外にいるあいだは日差しに対する厚みで、家の中では距離です。
- 汚れの止まる場所が変わります:長いままなら、外で乗ったものは毛の途中で止まります。短くした背中では、同じものが地肌のすぐそばに落ち着きます
- 室温と湿度の伝わり方が変わります:冷房を入れた部屋は室温と一緒に湿度も下がります。短くした背中は、その乾いた空気に地肌が直接さらされる面になります
- 換毛期の抜け方は変わりません:短くしても、抜ける下毛の量そのものは減りません。抜ける1本が短くなるだけで、床に落ちる総量はほとんど同じです
- 手が届く範囲は広がります:長い毛をかき分けて探していた地肌が、手のひらを当てるだけで分かるようになります
この4つのうち、3つは短くしたほうが楽になり、1つだけ手数が増えます。増えるのは1つ目です。地肌のそばまで汚れが来るということは、その日のうちに落とさなければ、翌日はその状態から積み上がるということです。毛の長さを削るという判断には、家で手を入れる回数を増やすという判断が、必ずくっついてきます。短くしたら楽になる、という一方向の話ではありません。
季節の変わり目にもう一度書き出しておくと、混ざらずに済みます。外では毛の長さは日差しに対する厚みで、屋内では地肌までの距離です。短くするかどうかは外の条件で決まり、短くしたあとに何をするかは屋内の条件で決まります。この2つを同じ天秤に乗せると、暑いから短くしたのに家の中が落ち着かない、という食い違いが出ます。乾燥が気になる家は、外の分数が同じでも1段階長めに残す、という決め方ができます。
3・6・9・12ミリを並べる|日差しが当たる分数で出る毛の長さの違い
3日ぶん数えた分数を、そのまま刃の数字に置き換えます。下の表は、背中の面だけについての目安です。おなか側と足先は、この表から外して別に頼みます。
| 日陰に入らず歩いた分数 | 背中に残す毛の長さ | 背中の面に起きること | 家でやること |
|---|---|---|---|
| 10分未満 | 12ミリ前後 | かき分けても地肌はすぐには見えない | 帰ってから背中をひと通りなでる |
| 10〜20分 | 9ミリ前後 | かき分けると地肌の色が分かる | 背中の面だけ、その日のうちに手を入れる |
| 20〜30分 | 6ミリ前後 | かき分けなくても地肌の色が透ける | 歩く時刻を30分ずらすほうを先に試す |
| 30分以上 | 6ミリより短くはしない | 日差しが地肌にそのまま届く | 毛の長さで解ける範囲を越えている。道順と時刻を変える |
表の下2段が、この記事でいちばん書いておきたいところです。分数が長い子ほど短くすべき、という向きには進みません。20分を超えたあたりで、毛の長さで手当てできる幅は尽きます。そこから先は、日陰の多い道を選ぶ、出る時刻を1時間ずらす、という側の話に移ります。毛の長さは、日差しを減らす手立ての中でいちばん戻しにくいものです。戻しにくいものから先に動かすと、打てる手が早い段階でなくなります。
違いをもう1つ書いておきます。3ミリと6ミリの差は、数字の上では3ミリですが、背中の面の上では意味が変わります。6ミリなら、毛が立っているあいだは地肌との間にわずかな層が残ります。3ミリになると、その層がほぼなくなります。2つのあいだで決まらないときは、長いほうに寄せてください。長すぎたら次の予約で1段階下げられますが、短すぎたものは伸びるのを待つしかありません。ひと月半、その毛の長さのまま暮らします。
猫の場合は、この表の入口が違います。散歩に出ない子の背中に日差しが当たるのは、自分で選んで入った日だまりのあいだだけです。暑くなれば自分で移動するので、歩き続ける犬とは分数の意味が変わります。屋内の猫で毛の長さを短くするなら、分数ではなく、自分の毛づくろいが届かなくなった場所の数のほうを数えます。
短くした背中に、毎日手を入れる|毛の長さで変わる道具の使い分け
短くした背中は、日差しを受ける面であると同時に、その子の体でいちばん汚れが乗る面です。背中は、寝ているあいだも床に触れず、自分の舌もほとんど届きません。外で乗ったものは、そこに残ります。毛の長さを削ったぶん、残る位置が地肌のすぐそばへ移ります。
この面のためだけに湯を張るのは現実的ではありませんし、ひと月半に1回の枠を毎週には増やせません。mofuwaグルーミングスプレーは、そのあいだにある毎日の側へ手を置くための1本です。散歩から帰ったら、背中の、日が当たっていた面に吹きかけて、手のひらで毛の流れに沿って流します。短くした背中では、この一動作で指が地肌まで届きます。長い毛のときのように、かき分けてから拭き直すという二度手間が要りません。
中身はアルカリ電解水で、油となじんで乳化します。背中に乗っていた余分な脂と、そこに絡んだ外の汚れが浮いて、手のひらとコームで運び出せる状態になります。地肌の側に要る脂まで持っていかれないので、翌日また同じ面にかけても、乾きすぎる方向には進みません。短くした毛の長さでは、1回あたりの強さより、毎日かけられることのほうが差になります。
背中は、その子が体をひねれば舌が届く数少ない場所でもあります。かけたものが口に入る前提で選ぶことになります。この1本は、規格の面では清涼飲料水に求められる基準を満たしています。だから背中いちめんにかけても、量を数えなくて済みます。短くした面は、長い毛のときより広く見えます。その広さに対してためらわずに足せることが、ひと月半続けられるかどうかを分けます。
道具のほうも、毛の長さで入れ替えます。9ミリより短くすると、スリッカーの針先は毛をつかまずに地肌へ届いてしまいます。短くした背中に使うのは、手のひらか、目の粗いコームです。グルーミングスプレーを吹きかけて手のひらで流し、毛の向きが乱れたところだけコームを通す。この順番なら、短い毛でも1分で終わります。12ミリを残した子は、これまでどおりブラシを通して構いません。毛の長さで持つ道具が変わる、という一点さえ押さえておけば、使い分けで迷うことはなくなります。
日陰に入らず歩く分数を半分にしても、背中の手のひらぶんの範囲だけ赤みが2週間残っている/入れた刃のミリ数に関係なく、その面だけ毛が伸びてこない/背中に触れると体をよじって逃げる日が3日続く/かき分けたときに、地肌の色が左右ではっきり違う。ここまで来ると、毛の長さと日差しの組み合わせでは説明がつきません。数えた分数と、入れたミリ数と、短くした日付を書いたメモを持って、かかりつけの動物病院に電話で日を決めてください。メモがあると、いつからの話なのかを口頭で組み立て直さずに済みます。
次に短くする日へ渡す2つの数字|背中を基準にした毛の長さの選び方
次に短くする日が来たとき、手元に残っているものは2つで足ります。日陰に入らずに歩いた分数と、前回入れたミリ数です。この2つがあると、席に着いて「前回と同じで」と言わずに済みます。前回9ミリで、分数が15分から25分へ伸びていたなら6ミリ。分数が縮んでいたなら9ミリのまま。毛の長さの選び方が、その場の体感から、自分の家の数字に移ります。
| 残すもの | 中身 | 次に使うところ |
|---|---|---|
| 日陰に入らず歩いた分数 | 3日ぶんのうち多かった日の1つ | ミリ数を1段階上げるか下げるかの判断 |
| 前回入れたミリ数 | 背中の面についての数字 | そこからの差だけを考えればよくなる |
| 短くした日付 | カレンダーの丸1つ | 次の時期を、暑くなってからではなく時刻が動いた頃に置ける |
今日できるのは、次の散歩から帰ったときに、日陰に入らずに歩いた分数をメモへ1行書くことだけです。3日ぶんたまれば、次に選ぶ毛の長さはもう決まっています。背中に日差しが当たっていた分数が、そのまま数字になります。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- 短くするほど涼しくなると聞きました。3ミリまで下げてもいいですか。
- 背中に日差しが当たる分数が長い子ほど、削った先に届くものも増えます。毛は、日差しを地肌にそのまま届かせない層でもあるので、3ミリまで下げると、その層がほとんど残りません。日陰に入らず歩く分数が20分を超えている子ほど、6ミリより短くする判断は慎重にしてください。分数が長いこと自体は、毛の長さを削る理由としてより、歩く時刻を動かす理由として使うほうが、ひと月半の過ごし方が楽になります。3ミリを選ぶ場面があるとすれば、毛が固まって刃が入らない箇所を、その部分だけそろえるときです。背中いちめんに対して選ぶ数字ではありません。
- 猫にも同じ考え方が使えますか。
- 数える対象が変わります。散歩に出ない猫の場合、背中に日差しが当たるのは、窓辺の日だまりにいるあいだだけです。しかも猫は、その場所と長さを自分で選びます。暑くなれば移動するので、歩き続ける犬の分数とは意味が違います。屋内の猫で毛の長さを短くするときは、日差しの分数ではなく、自分の毛づくろいが届かなくなった場所の数を数えるほうが、材料になります。日だまりに1日1時間以上いる子は、背中の面だけ長めに残してほしい、という頼み方ができます。
- 毎回「前回と同じミリ数で」と頼んでいます。それで問題ありますか。
- 同じミリ数でも、背中が受ける日差しの分数は季節の変わり目ごとに動きます。散歩の時刻を1時間ずらしただけで、分数が半分になることもあります。同じ数字をくり返していると、分数が動いたことに気づかないまま、その毛の長さで暮らす期間が続きます。年に2回、時刻が動き終わったところで分数を3日ぶん数え直してください。数え直した結果が前回と同じなら、同じミリ数で頼めばよく、その判断には根拠がついています。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
