C09シーン別・暮らし
一人暮らしを楽にする、保護犬・保護猫を迎えた人の毎日の習慣
迎えて6週間目の夜、この家でその子の名前を呼んだ人間が、まだ私ひとりだけだと気づきました。宅配便の人は玄関先で帰り、友人はしばらく来ていません。一人暮らしの部屋には、人の声も、歩き方も、においも、1種類しかありません。保護犬・保護猫を迎えた家では、最初のうち「思っていたより早く慣れた」と感じることがあります。私もそう思っていました。ただ、その子が覚えていたのは「人」ではなく「私」でした。6週目に友人が来た日に、それがはっきりしました。この記事は、ペットの慣れ方を速さではなく広さで見る、という話です。
6週間で近づいてきたのに、来客の日だけ1週目に戻った|一人暮らしで保護犬・保護猫を迎えた経験
最初の6週間は、記録を1行ずつ残していました。1週目は机の下から出てこない。2週目に同じ部屋で寝るようになる。3週目に足元まで来る。5週目に手のそばで丸くなる。6週目に、名前を言うと顔を上げる。並べて読むと、順調に進んでいるように見えました。保護犬・保護猫を迎えると聞いていたよりも早い、と思っていたくらいです。
6週目の土曜に、友人が家に来ました。玄関のドアが開いた瞬間、その子は部屋の奥へ入って、そのまま2時間出てきませんでした。6週間かけて縮んだ距離が、その日は1週目と同じでした。友人が帰ってから30分ほどで、また足元まで来ました。何かが壊れたわけではありません。ただ、積み上げたと思っていたものが、私との間にだけ積み上がっていたことが、その日に分かりました。
ここで一つ、書かないと決めていることがあります。この子が以前どこでどう過ごしていたのかを、私は知りません。知らないまま進めるほうが、こちらの想像でやり方を決めずに済みます。保護犬・保護猫を迎えた家では、過去を説明に使いたくなりますが、説明が要るのは過去ではなく、いま目の前で起きている距離のほうでした。ペットの記録も、そこから先だけを書いています。
| その子の位置 | 私との距離 | |
|---|---|---|
| 1週目 | 机の下から出てこない | 同じ部屋にいるだけ |
| 2週目 | 同じ部屋の隅で寝る | 3メートル |
| 3週目 | 私の足元まで来る | 1メートル |
| 5週目 | 手のそばで丸くなる | 触れる距離 |
| 6週目 | 名前を言うと顔を上げる | 呼べば来る |
| 6週目・来客の日 | 部屋の奥から2時間出てこない | 1週目と同じ |
| 来客が帰って30分後 | また足元まで来る | 1メートル |
この表を作ったとき、いちばん引っかかったのは最後の2行です。戻るのも早いけれど、その早さは私に対してだけでした。一人暮らしのペットの毎日には、人の変数が1つしかありません。だから記録の縦の並びは、全部「私との距離」になっていました。ほかの人との距離を測った行は、6週間で1行もありませんでした。
来客の日に奥へ入るのは、こちらのやり方が間違っていた結果ではありません。その子にとって、初めての種類の出来事が起きただけです。保護犬・保護猫と暮らしはじめた家では、進んだ・戻ったで数えると、来客のたびに気持ちが上下します。数えるなら、隠れたかどうかではなく、出てくるまでにかかった時間のほうにしてください。時間は回数を重ねると短くなります。
早いのではなく、覚える相手が1人しかいない|一人暮らしのペットで保護犬・保護猫の距離が縮む理由
一人暮らしの部屋では、その子が受け取る人の情報が1人ぶんに固定されます。声の高さが1つ、歩幅が1つ、立ち上がるときの音が1つ、においが1つ。覚える量が少ないので、覚え終わるのが早い。これが、保護犬・保護猫を迎えた一人暮らしの家で「思ったより早く慣れた」と感じる理由です。速さの正体は、その子の性格ではなく、部屋の中にある人の種類の数でした。
ただ、そこで身についたのは「人間というものは、だいたいこんな生きものだ」という理解ではありません。「この人は、こういう動き方をする」という、1人ぶんの理解です。ひとまとめにするには、少なくとも2つの例が要ります。例が1つしかないと、その1つがそのまま基準になります。だから、玄関から入ってきた2人目は、似ている人ではなく、まったく別のものとして届きます。
| 何が起きているか | 一人暮らしの家での進み方 | |
|---|---|---|
| その人に慣れる | 1人ぶんの動き方を覚える | 例が1つなので、数週間で進みます |
| 人に慣れる | 人にはいろいろあると分かる | 例が1つしかないので、進みません |
| 場所に慣れる | 部屋の音と光と時刻を覚える | 変わるものが少ないので、早く進みます |
| 触られることに慣れる | 手の触れ方に幅があると分かる | 触る手が1種類なので、幅が育ちません |
| 外に慣れる | 家の外の人と音を受け取る | 散歩や通院の回数ぶんだけ進みます |
家族が4人いる家では、意図しなくても毎日4種類の人が動いています。声の高さも、歩き方も、触り方も違う。その子は、教えられなくても「人にはいろいろある」を毎日受け取っています。一人暮らしの家には、その環境が最初からありません。だから、慣れるのは早いのに、慣れる範囲は狭いままになります。早さと広さは、別々に動いていました。
誤解のないように書くと、これは手の数が足りない、という話ではありません。手の種類が1種類しかない、という話です。ケアの場面でも同じことが起きます。一人暮らしでは、その子の被毛に触れるのも、皮膚を見るのも、いつも同じ手です。触られること自体には慣れても、それは「この手に慣れた」であって、他人の手が来たときには、また最初からになります。動物病院で台の上に乗せられた日に、家では触れていた場所が触れない、ということが起きるのはここです。
だから、やることは「もっと慣れさせる」ではありません。私の側との距離は、もう十分に縮んでいました。足りていなかったのは、比べる相手のほうです。保護犬・保護猫を迎えた一人暮らしの家で次にやることは、練習を増やすことではなく、部屋に入ってくる人の種類を1つ増やすことでした。
2人目は、同じ人・同じ曜日・同じ場所で作る|一人暮らしのペットと保護犬・保護猫に向けた考え方
条件は1つだけです。同じ人が、定期的に来ること。一人暮らしのペットに向けた手当てとしては、これが中心になります。いろいろな人に会わせるのではありません。1回だけ来た人は、2人目になりません。その子から見ると、1回きりの人は「知らない人がまた1人増えた」でしかないからです。2人目になるのは、毎回同じ服のにおいで、同じ椅子に座って、同じくらいの時間で帰る人です。頻度は月に2回で足ります。
-
頼む人を1人だけ決める
友人でも、離れて住む家族でも、ペットシッターでも構いません。選ぶ基準は、あと3か月、月に2回来られるかどうかだけです。犬や猫が好きかどうかは、この段階では条件になりません。むしろ、好きな人ほど手を出したくなるので、そこは先に伝えておきます。
-
曜日と時刻を固定する
第2と第4の土曜、14時から30分。この形にしておくと、その子は3回目あたりから、来る前の準備の音で気づくようになります。予告なしに来る人は、何回来ても2人目になりません。同じ曜日に同じ時刻というのは、こちらの都合ではなく、その子が予測できるようにするための条件です。
-
来た人がやらないことを、先に3つ伝える
名前を呼ばない。目を合わせない。その子のほうへ歩かない。この3つだけ、玄関で伝えておきます。善意の手は、その場では止まりません。「触らないでね」だけだと、しゃがんで顔を近づけることまでは止まらないので、動作の形で伝えてください。
-
座る椅子と、荷物を置く場所を毎回そろえる
人が変わらないことに加えて、その人がいる位置も変えません。同じ椅子、同じ側、同じ場所に鞄。覚える材料を減らすほど、2人目は早く2人目になります。1回目から4回目までは、これだけで足ります。飲み物を出して、私と話して、30分で帰る。その子は部屋の奥にいたままで構いません。
-
近づいてきた日も、こちらからは何もしない
5回目あたりで、その子が自分から椅子の周りに来ることがあります。ここで触ってもらうと、たいてい次の回に戻ります。近づいてきた日は、近づいてきたという記録だけ残してください。触られることに慣れるのは、いちばん最後です。順番を先に進めると、そこまでの回数がやり直しになります。
| 回 | その人がすること | その子の位置 |
|---|---|---|
| 1〜2回目 | 入って座る。30分で帰る | 部屋の奥から出てきません |
| 3〜4回目 | 同じ椅子、同じ荷物の位置 | 同じ部屋にいて、離れて見ています |
| 5回目 | 変えません。まだ何もしません | 椅子から2メートルまで来ます |
| 6回目 | 床に座って、こちらと話し続けます | 1メートルまで来て、においを取ります |
| 7回目 | 手は動かさず、置いたままにします | 自分から手に鼻を当てます |
| 8回目 | その子が寄ってきたら、背中に手を置くだけ | そのまま同じ部屋にいます |
この8回のあいだ、私の側でやり方を変えたことが1つあります。その人が来る日には、こちらからのケアを入れない。体に触る日と、新しい人が来る日を同じ日にしないためです。一人暮らしだと、時間のある日にまとめてやりたくなりますが、まとめた日ほど翌週に戻りました。ブラシも、目のまわりを拭くのも、来客のない日に回しています。
水を使う日を作れない週も、触る時間の長さだけはそろえられます。この家で、その子の背中に触れる手は1種類しかありません。だから、こちらが触った時間の長さが、そのまま翌日の距離として返ってきます。持つものを増やすほど、手に取るまでの動きが日によって変わるので、一人暮らしのペットのケアでは、体のどこにでも同じものを使えるほうが続きました。mofuwa スキンケアミストは電解水100%で、拭いたあとにその子が自分でなめる場所へも、そのまま置けます。背中から耳のうしろ、足の先まで、場所ごとに持ち替えなくて済みます。布に含ませて、その子が自分から寄ってきた日にだけ、背中を毛の流れに沿って一往復。往復の数を先に決めておくと、こちらの手が長くなった日を作らずに済みます。保護犬・保護猫を迎えた家では、手の長さが変わった日に、次の日の距離のほうが動きます。
いちばん時間がかかるのは1人目から2人目です。ここを越えると、その子の中に「人にはいろいろある」という枠ができます。私の家では、2人目に4か月かかり、3人目は3回で同じ部屋にいられるようになりました。一人暮らしのペットにとって、2人目は人数が1人増えたという意味ではなく、比べる相手が初めてできたという意味を持っています。
先に広がったのは、触れる範囲ではなく出てくるまでの時間|保護犬・保護猫に出た変化
4か月・8回を終えたところで、記録を並べ直しました。いちばん動いたのは、触れる範囲ではありません。その人が入ってきてから、その子が出てくるまでの時間でした。1回目は2時間、4回目で20分、8回目は玄関のドアが閉まった時点で同じ部屋にいました。触れるようになったのは、そのあとです。ペットの側の順番は、こちらが決めたのではなく、その子の側で決まっていました。
| 1回目 | 8回目 | |
|---|---|---|
| 出てくるまでの時間 | 2時間 | 0分(同じ部屋にいます) |
| その人との距離 | 部屋の奥 | 椅子のそば |
| 触られることの受け止め | 触っていません | 背中に手を置くところまで |
| 宅配の人が玄関に来たとき | 奥へ入って出てきません | 顔を上げて、その場にいます |
| 私との距離 | 呼べば来る | 変わっていません |
| 毎日のケアにかかる時間 | 5分 | 5分(変えていません) |
「私との距離」の行が変わっていないのが、この4か月でいちばん納得したところです。2人目を作っても、1人目との関係は減りませんでした。増えたのは相手の数ではなく、その子が持っている人の種類の幅のほうです。一人暮らしの家で保護犬・保護猫と暮らしていると、外へ連れ出す回数を増やすことばかり考えがちですが、家の中に定期的に来る人を1人置くほうが、こちらの負担も少なく続きました。
- 家でできること:来てもらう人を1人決めて、曜日と時刻を固定する
- 家でできること:出てくるまでの時間を、毎回1行だけ書き残す
- 家でできること:その人が来る日に、こちらからのケアを重ねない
- 家でできること:触るのは、その子が自分から寄ってきた日だけにする
- 家ではできないこと:以前どうしていたかを推測して、進み方の理由にすること
- 家ではできないこと:触れない場所が増えてきた理由を、慣れの話として片づけること
これまで触れていた場所を急に触らせなくなった、同じ場所をなめ続けている、地肌が赤い、被毛が薄くなってきた、触ると声を出す、食べる量が落ちたまま戻らない、隠れている時間が日ごとに長くなる。こうした変化は、人に慣れる話の中では説明がつきません。回数を重ねる前に動物病院にご相談ください。一人暮らしだと、比べてくれる人が家にいないぶん、変化に気づくのが遅れます。いつからか、どこか、左右のどちらかを1行書いて持っていくと、その場で切り分けてもらえます。迷ったときは早いほうを選んで構いません。
通院の日にも、この4か月の効きが出ました。台の上で他人の手が来たとき、以前より短い時間で降りられるようになっていました。家で触られる練習をしたからではありません。私以外の人が定期的に部屋にいたので、他人の手が「初めてのもの」ではなくなっていたからです。皮膚や被毛を見てもらう場面は、保護犬・保護猫を迎えた家にとって、そのまま他人に触られる場面でもあります。
最後にまとめておきます。一人暮らしで保護犬・保護猫を迎えると、慣れるのは早い。ただ、それは覚える相手が1人しかいないからで、広さのほうは進んでいません。速さは環境が勝手に作りますが、広さは意図的に作らないと生まれません。同じ人に、同じ曜日、同じ場所へ、月に2回来てもらう。それだけで、その子の中に比べる相手ができます。ペットの側にやってもらうことは、この4か月に1つも入っていませんでした。動いたのは、部屋に入ってくる人の種類の数だけです。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
