C12Q&A・豆知識
プラスチックの食器はあごに悪い?
猫の器を買い替えるとき、最初に見られるのは素材の欄です。プラスチックの食器で問題になりやすいのは、素材そのものより洗いにくさのほうです。細かい傷が付くと、その溝に汚れが残り、洗ってもそこだけ落ちません。同じことは陶器でもステンレスでも起こります。だから見るところは、器の材質名よりも、光に当てたときに浮かぶ細かい傷になります。この記事では、猫のあごと食器の関係を、8つの問答に分けて書きます。
プラスチックの食器は、猫のあごに悪いのですか
答えは条件で割れます。傷のない食器なら、プラスチックでも猫のあごに問題は起きにくく、細かい傷が増えた食器なら、素材が何であっても洗い残しが出ます。プラスチックという名前だけで良し悪しが決まる場面は、あまりありません。決めているのは、その器がいま洗いきれる状態にあるかどうかのほうです。
猫があごを乗せているのは、器の内側のふちです。顔を器に入れて食べているあいだ、あごの下の毛の薄い面が、器の同じ場所に触れ続けています。1日に2回食べる子なら、その面に毎日2回あごが当たります。食器の話が猫のあごの話につながるのは、この触れている時間のためです。
だからプラスチックの食器を疑うときに見るところは、パッケージの素材表示よりも、器の内側の面になります。洗ったあとの面が、指で触れて引っかからないか。ここが、家で確かめられるいちばん近いところです。素材の欄は買うときの1回しか使えませんが、面の状態は毎日見られます。
プラスチックの食器には、軽くて割れにくく、猫が前脚で押しても欠けにくいという利点があります。ここで書いているのは、避けるべき素材があるという話ではありません。どの素材でも、細かい傷が入ったあとは同じ条件になる、という話です。だから素材を選ぶ話と、器を見続ける話は、別のこととして分けて考えられます。
食器に付く細かい傷とは、何が起きている状態ですか
食器に付く細かい傷とは、目で数えられる1本の傷ではなく、髪の毛より細い線が面いっぱいに入った状態のことです。1本ずつは見えないのに、光に当てると面が白く曇って見えます。毎日使うプラスチックの食器では、この曇りが数か月で出ることもあります。
問題になるのは傷そのものよりも、傷が作る溝の幅です。溝がスポンジの繊維より細いと、洗剤の泡は入っても、こする力が届きません。目には落ちたように見えて、溝の中だけが残ります。これが洗い残しと呼ばれている状態です。猫のあごが当たるのは、その面の上になります。
- 金属のスプーンで、残ったフードをこそげる:面に直接、線が入ります
- 固いスポンジやたわしで、円を描くように洗う:細かい線が面いっぱいに広がります
- 洗ったあと、乾く前に重ねて収納する:底の裏と内側の面がこすれます
- 食器洗い機で、金属の食器と一緒に入れる:当たった場所に線が残ります
- クレンザーや粉の洗剤を使う:粒がそのまま研磨の役をします
どの素材でも、同じことが起きます。プラスチックは柔らかいぶん線が入りやすく、陶器は釉薬(ゆうやく)に細かいひびが出て、ステンレスにも金属どうしの擦り傷が残ります。入りやすさに差はあっても、入ったあとの条件は同じです。猫のあごが触れているのは素材の名前ではなく、その面だからです。
食器の傷は、家でどうやって確かめられますか
確かめ方は3つあります。どれも道具は要りません。プラスチックの食器でも陶器でも、同じやり方で見られます。
| 見方 | やること | 何が分かるか |
|---|---|---|
| 光に当てる | 窓辺か照明の下で、器を斜めに傾ける | 正面からは見えない細かい線が浮かびます |
| 水を切る | 洗ったあと、水を切って15秒ほど置く | 水滴が線に沿って残ると、そこに溝があります |
| 指でなぞる | 乾いた指の腹で、内側の面をゆっくりなでる | 引っかかりがあれば、指で分かる深さの傷です |
いちばん確かなのは光です。正面から見ると、傷のある食器もない食器も同じに見えます。斜めから見て初めて、面の曇りが分かります。プラスチックの食器は白や淡い色のものが多いので、暗い場所ではとくに見えません。明るいところへ持っていってください。
傷が集まる場所にも決まりがあります。面の中央よりも、猫の口が当たる内側のふちと、側面と底の境目に集まります。ここは食べるたびに舌と口が当たり、洗うときにスポンジがいちばん強く当たる場所でもあります。器の全体を見るより、この2か所だけを光に当てるほうが早く分かります。
陶器やステンレスに替えれば、それで済みますか
替えた直後は済みます。ただし、替えたあとの器にも、同じ経路で線が入っていきます。素材を替えるのは一度きりの手当てで、傷を見るのは続く見方です。プラスチックの食器をやめても、見る習慣がないままなら、半年後には同じ状態に戻ります。
| 素材 | 細かい線の入りやすさ | 替えたあとも残る条件 |
|---|---|---|
| プラスチック | 入りやすい | 軽くて割れないので、落としても欠けません |
| 陶器 | 入りにくい | 釉薬に細かいひびが出ます。欠けると縁が鋭くなります |
| ステンレス | 入りにくい | 金属どうしが当たると擦り傷が残ります |
| ガラス | 入りにくい | 傷が透けて見えるので、確かめやすいほうです |
この表で見てほしいのは、素材の順位ではありません。どの素材にも、傷が入る道が1つずつあるということです。選ぶときの基準に「傷が見えるかどうか」を足しておくと、あとが楽になります。白い器や透明な器は、面の曇りが分かりやすいほうに入ります。
猫が2匹以上いる家では、器の数だけ確かめる面が増えます。同じ日に買った器でも、よく使うほうから先に曇ります。1つだけ見て全部を判断しないほうが確かです。プラスチックの食器を人数分そろえている家では、いちばん古い1つを基準にすると分かりやすくなります。
プラスチックの食器を替える時期は、どう決めればいいですか
年数では決まりません。光に当てて面が曇って見えた時点が、その器の替えどきです。1年で来る器もあれば、3年もつ器もあります。使う回数と、洗い方と、収納の仕方で変わるからです。同じ商品を2つ買っても、片方だけ先に曇ることがあります。
決めやすくする方法が1つあります。同じ器を2つ用意して、日ごとに交互に使うことです。並べて光に当てると、曇りの差がそのまま見えます。片方だけ先に曇っていれば、洗い方か置き方に理由があります。プラスチックの食器でも陶器でも、この比べ方は使えます。
「1年ごとに替える」と決めても、傷は1年きっかりでは来ません。月の初めに1回、器を光に当てる日を決めるほうが、実際の状態に合います。猫の毎日のケアの中では、いちばん時間のかからない作業です。器を2つ持って窓辺へ行くだけなので、1分もかかりません。
洗い方を変えれば、傷のある食器でも大丈夫ですか
洗い方で戻せる範囲と、戻せない範囲があります。面に付いた汚れは洗えば落ちますが、溝の中に入ったぶんは、こすっても届きません。傷のある食器を洗い方だけで元に戻すのは難しい、というのが正直なところです。
- ぬるま湯で先にふやかす:乾いた汚れをこそげる回数が減ります
- 柔らかい面のスポンジを使う:新しい線を足さずに済みます
- 猫の器だけスポンジを分ける:人の食器の油が面に残りにくくなります
- 洗ったら立てて乾かす:重ねると、乾く前にこすれます
毎日の洗い方でできるのは、これ以上、細かい傷を増やさないことまでです。すでに曇っている器では、洗い方を変えても洗い残しの量はあまり変わりません。ここを「洗い方が足りない」と受け取って、力を入れてこするほうへ進むと、線がさらに増えます。洗い方を変えても追いつかないと感じたときが、器を替える合図です。
洗剤の種類を変えることもよく試されますが、溝の幅の話は変わりません。プラスチックの食器で気になる油のにおいが残るときは、洗剤よりも、ふやかす時間を長く取るほうが効きます。力ではなく時間で落とす、という置き換えです。
食器のほかに、猫のあごが触れている面はありますか
食器だけではありません。水入れの縁、床に直接置いた皿、寝床のふち、段ボールの角、人の膝。猫のあごの下は毛が薄く、自分の舌が届きにくい面なので、触れたものがそのまま残ります。プラスチックの食器を替えても変わらないとき、ここが残っていることがあります。
- 水入れの縁:食器より触れる回数が多く、ぬめりも出やすい場所です
- 床に直接置いた皿:器の縁だけでなく、床にもあごが当たります
- 寝床やクッションのふち:あごを乗せて眠る子では、触れている時間がいちばん長くなります
- 段ボールや家具の角:においを付けるときに、自分からあごをこすりつけます
こうして並べると、器だけを替えても足りないことが分かります。触れる面の数だけ、洗う面があります。全部を毎日洗うのは続かないので、触れている時間の長い順に2つだけ決めておくのが現実的です。多くの家では、水入れの縁と寝床のふちになります。
そのうえで、あご側にも毎日手が入る形をつくっておくと、面の側と体の側の両方から見られます。猫のあごは、こすると毛が抜けやすい場所です。器の傷と同じで、ここも力ではなく時間で落とす側に寄せておくほうが続きます。mofuwa 猫あごクリーナー も、その側の道具です。9つの無添加のアルカリ電解水ジェルで、ぬるま湯であごを軽く濡らしてふやかし、コットンにとってくるくるとなでると、浮いた汚れが一緒に取れます。二度拭きもすすぎも要らないので、器を洗ったあとの流れにそのまま足せます。器の面を斜めから光に当てるのと同じで、使ったコットンのほうも見てください。付いていた量が、その日の答えです。プラスチックの食器を替えた週にコットンが薄くなるなら、器の面のほうが効いていたと読めますし、変わらないなら、水入れの縁か寝床のふちが残っているということになります。器を替えた週を過ぎても赤みが引かないなど、炎症や出血がある場合は使用せず、獣医師にご相談ください。ついでに皮膚の色や被毛の流れも見られるので、器の面と体の面を同じ日に確かめられます。
プラスチックの食器と猫のあごの話を、2つの見方に畳む
ここまでを畳みます。食器の話は、2つの見方に分かれます。
| 見方 | 何を見るか | いつ使うか |
|---|---|---|
| 素材で見る | 器の材質と形 | 買うときの1回だけ |
| 傷で見る | 光に当てた面の曇り | 月に1回、使っているあいだずっと |
買うときに効くのが前者で、使っているあいだ効くのが後者です。プラスチックの食器を陶器に替えた家でも、後者の見方がなければ、いずれ同じところへ戻ります。逆に、傷を見る習慣がある家なら、器がプラスチックのままでも状態を保てます。素材の話は入口で、傷の話は続きです。
最後に、家では決められないことを書いておきます。猫のあごの黒いつぶつぶが、器の側の事情なのか、体の側の事情なのかは、見た目からは切り分けられません。器を替えても変わらないときは、食器の話を続けるより、体の側を見てもらうほうが早く進みます。
黒いつぶつぶのまわりが赤い、腫れている、触ると痛がる、毛が抜けてきた、同じ場所をこすり続けている。こうした変化が続くときは、食器を替える前に動物病院にご相談ください。いつから出ているか、どの器を使っていたか、器を替えた日付を書いて持っていくと、その場で見てもらえます。猫の皮膚のことは、毎日見ている飼い主の記録がいちばん役に立ちます。
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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
