C09シーン別・暮らし

赤ちゃんが生まれた家、シニア猫と暮らす人はどうしている?

公開日 2025年8月9日|文=mofuwa編集部

明るく静かな部屋で、淡い色の布の上に丸くなって眠っている高齢の猫
移すのではなく、移れるようにする。決めるのは場所で、動かすのは布1枚です。写真:Merve Bayar/Pexels

ベビーベッドを寝室に入れた週から、その子が窓際で寝ている時間が、1日16時間から細切れになりました。場所は変えていません。変わったのは、夜中にその窓際の横を人が3回通るようになったことだけです。うちの子は17歳で、一日のほとんどを同じ1か所で過ごしています。赤ちゃんが来ると、家の中から静かな場所が先に減ります。そして老猫は、そこが静かでなくなっても自分からは移りません。他に知っている場所がないからです。ペットの側で何かが起きているというより、家の音のほうが動いた、という話です。この記事では、寝床を持って運ぶのではなく、その子が自分で移れるようにするための手順を5つに分けて書きます。

赤ちゃんが来た月に、家から静かな部屋が2つ減りました|老猫が長く寝ている場所の前提

最初に、家の音がどう動いたかを書きます。赤ちゃんが来た月、寝室にベビーベッドが入りました。夜中に人が起きて、明かりがついて、廊下を通ります。同じ月に、洗濯機を回す回数が1日1回から2回になりました。部屋の数は変わっていませんが、静かな時間が続く部屋は2つ減っています。寝室と、洗濯機のある脱衣所です。どちらも、その子が長く寝ていた側の部屋でした。

老猫は、一日の大半を寝て過ごします。うちの子は17歳で、朝から夕方まではほとんど窓際にいます。ここで大事なのは長さではなく、寝る場所が1か所に決まっていることのほうです。若い猫は、日差しの向きや室温で寝る場所を変えます。年を取ると、移動そのものが減るので、1日のうちに使う場所の数が少なくなります。うちの子が一日に使っていた場所は、水の器を含めて3か所だけでした。

だから、その3か所のうち1つが静かでなくなっても、行き先がありません。ペットのケアの話をする前に、ここを先に見ておく必要がありました。赤ちゃんが来た家で老猫が同じ場所にいるのは、そこが気に入っているからとは限りません。他に知っている場所がないので、動かないだけ、という状態がありえます。実際、うちの子は窓際にいたまま、寝ている時間が2時間ごとに切れるようになりました。

Note赤ちゃんの側の音を減らす話ではありません

泣き声も、洗濯機も、夜中の明かりも、減らせるものではありません。減らそうとすると、家族の生活のほうに無理が出ます。ここで動かせるのは、その子が使える場所の数のほうです。いまの3か所に、静かな時間が長い場所を1つ足す。足りないのは静けさそのものではなく、選べる行き先です。ペットの側に我慢してもらう、という組み立てにはしません。

耳で1週間測ってから、部屋を1つ決める|老猫の静かな場所を作り直す5つの手順

手順は5つです。全部を1日でやろうとしないでください。1つ目に1週間かかりますし、4つ目は待つだけの時間です。赤ちゃんが来た家では、こちらの手が空く時間も限られます。1週間ぶんの記録と、布1枚と、待つことでできています。道具を買う手順はありません。ペット用品を足す前に、場所のほうを決めます。

  1. 1週間、部屋ごとの音を耳で測る

    決まった時刻に、部屋の真ん中で30秒立って、聞こえた音を紙に書きます。朝7時・昼2時・夜9時の3回。書くのは「大・中・小」の3段階と、聞こえたものの名前だけです。機械は要りません。その子が受け取っているのも、機械の数値ではなく、いま聞こえている音だからです。1週間で21行たまります。赤ちゃんのいる家では、抱いたまま立つことになりますが、それで構いません。

  2. いちばん静かな部屋ではなく、ぶれの小さい部屋を選ぶ

    21行を見て、部屋を1つ決めます。選ぶ基準は「いちばん静かだった部屋」ではありません。朝・昼・夜で段階が動かなかった部屋のほうを選びます。老猫が困るのは大きな音そのものより、静かだと思っていた場所が急にうるさくなることのほうです。うちは、いちばん静かだったのは納戸でしたが、洗濯物を出し入れするたびに段階が動くので外しました。

  3. 寝床を移す前に、その部屋へ古い布を1枚だけ置く

    決めた部屋の、壁が2面あって片側からしか人が来ない角に、洗っていない古い布を1枚置きます。その子が寝ていた場所に敷いてあったもので構いません。洗ってしまうと、その子のにおいが消えます。においが残っている布は、老猫にとって「もう知っている場所」の合図になります。新しいベッドを買って置くのは、この段階ではしません。

  4. 自分で移るのを待つ。抱いて連れて行かない

    ここが手順の本体です。待つ期間を先に決めておきます。うちは2週間にしました。その間、こちらからは何もしません。連れて行かない、呼ばない、布の場所を動かさない。老猫は、新しい場所を1日では選びません。数日は前を通るだけで、そのうち座って、そのあと寝るようになります。移った日を紙に書いておくと、あとで役に立ちます。

  5. 移ったら、水を先に、数日おいて食事をそこへ運ぶ

    寝る場所として使い始めたら、水の器をその部屋へ移します。食事は同じ日にせず、3〜4日おいてからにしてください。変化を1つずつにするのは、この5つの手順で通しています。水と食事が移ると、こちらがその部屋へ毎日行く用事ができます。老猫の毎日のケアで、これが効いてきます。

1週間の音の記録は、こういう形で足ります
部屋朝7時昼2時夜9時判断
寝室中(廊下の足音)小大(明かり・泣き声)ぶれが大きい。外す
脱衣所大(洗濯機)大(洗濯機)中音が続く。外す
台所大中大人が立つ回数が多い。外す
納戸小小小出し入れのたびに動く。外す
和室小小小1週間、段階が動かなかった。ここに決めた
玄関中中中宅配が増えた。外す

この表を作ってから決めると、家族にも説明しやすくなります。「和室にこの子の場所を作る」ではなく、「1週間測って、和室だけ音の段階が動かなかったから、そこにする」という言い方になります。赤ちゃんが来た家では、部屋の使い方をめぐる相談が増えます。記録が1枚あると、その相談が短く済みました。ペットの居場所を決める話も、感覚ではなく紙の側に置けます。

寝床ごと持って運ぶとつまずきます|赤ちゃんとペットの毎日で、待つ側にまわる順番

最初にやってしまったのが、これでした。その子が寝ていたベッドを持ち上げて、和室へ運びました。結果は、その子は窓際の、ベッドが置いてあった床のうえで寝ました。老猫が覚えているのは、寝床という物ではなく、場所のほうです。物を動かしても、場所は動きません。運んだ翌日にベッドを元へ戻して、手順を組み直しました。

つまずくところは、だいたい決まっています。下に並べたのは、うちで実際にやってしまったことと、途中で気づいてやめたことです。共通しているのは、どれも「早く移ってほしい」という理由から出ていることでした。赤ちゃんが来た家では、こちらに待つ余裕がなくなります。だから、待つ期間を先に決めて紙に書いておく、という順番にしました。

やってしまったことと、代わりにやったこと
つまずき何が起きたか代わりの手
寝床ごと運んだ床の同じ場所で寝た。物ではなく場所を覚えている布を1枚、新しい部屋に置くだけにする
抱いて連れて行った10分でもとの場所へ戻った自分で歩いて行くまで待つ
布を洗ってから置いた3日間、近づきもしなかった洗わない布を使う。においを残す
新しいベッドを買った上に乗らないまま2週間過ぎた先に古い布。新しい物は移ったあと
家全体を静かにしようとした家族の生活が回らなくなった1部屋だけを静かに保つ
水と食事を同じ日に移した食事の場所が分からず、器の前で立ち止まった水が先、3〜4日おいて食事
移らないので3日でやめた元の場所のまま、細切れの睡眠が続いた2週間と決めて、その間は触らない

待つ期間を2週間にしたのは、老猫が新しい場所を選ぶまでの日数に幅があるからです。うちの子は9日目に和室で寝ました。2週間たっても移らなかったときは、布をもう1枚足すか、部屋そのものを選び直します。足すのは布であって、こちらの手ではありません。回数を増やすと、そこは人が来る場所になってしまい、静かな場所として成り立たなくなります。ペットのケアで頻度を上げたくなる場面ですが、ここは上げないところです。

Point赤ちゃんの泣き声が届く部屋でも構いません

音がまったく届かない部屋を探すと、たいてい見つかりません。うちの和室にも、泣き声は届いています。選んだのは、朝・昼・夜で音の段階が動かない部屋でした。老猫にとっては、大きさより、変わらないことのほうが効きます。ペットの側に完全な静けさを用意しようとすると、赤ちゃんのいる家では手順そのものが止まります。届いていい、という前提から始めてください。

移ったあとに水と食事を運ぶ|老猫の被毛と皮膚を毎日見るコツと、動物病院に相談するやり方

移ったあとに、もう一つ起きることがあります。静かな部屋は、こちらが行く回数の少ない部屋でもあります。これまで、その子は家族が集まる部屋の窓際にいたので、通りがかりに毎日見ていました。和室に移ってからの数日、こちらがその部屋へ入る用事がありませんでした。老猫のケアで、これはいちばん避けたい形です。だから、水と食事をそこへ運びます。用事のほうを作る、という順番です。

老猫は、自分でできる量が減っています。毛づくろいで口が届く範囲が狭くなり、届かない場所を人が代わりに触ることになります。後ろ足のつけ根、尾のつけ根、背中の真ん中、あごの下。この4か所は、赤ちゃんが来ても来なくても変わらず、人の手が要る場所です。赤ちゃんが来た家で変わるのは、その手を出せる時刻と回数のほうでした。

水と食事を運んだあと、その部屋で毎日見ている順番
いつ見る場所何を見るか
朝、水を替えるとき水の減り方前の日より多い・同じ・少ない、の3段階だけ
朝、水を替えるときあごの下食べたあとの汚れが残っていないか
夜、食事を出すとき背中の真ん中毛の流れが寝たままになっていないか
夜、食事を出すとき尾のつけ根毛が固まっている場所がないか
週に1回後ろ足のつけ根被毛の下の皮膚が見える程度に分けて見る
週に1回体重同じ曜日、同じ時刻に

触る回数は増やしていません。増やしたのは、その部屋へ行く用事の数だけです。水を替えるのと食事を出すので1日2回。そのついでに、上の表の1〜2行を見ます。老猫は、触られている時間そのものが体力を使うので、赤ちゃんが来た時期に手数を増やすのは向いていませんでした。見るだけの回数を増やして、手を入れるのは週に何回か、というやり方に落ち着いています。ペットの毎日のケアは、触る時間より、目を通す回数のほうが動かしやすいところでした。

水を使わない日のケアも、この部屋でやるようにしました。猫用の洗い流さないグルーミングウォーターを布に含ませて、あごの下と尾のつけ根を毛の流れに沿って一往復。猫用は噴射の音が出にくい容器なので、静かな場所として作った部屋でも使えます。体に直接吹きかけず、布に取ってから当てるのは、老猫が音そのものに反応するからです。汚れを落としきるためではなく、届かなくなった場所に人の手を通しておくためのものです。

Caution場所を作り直しても変わらないときは、動物病院にご相談ください

静かな場所へ移ってから2週間たっても、寝ている時間が細切れのまま、食べる量が戻らない、水を飲む量が明らかに増えた、体重が落ちている、トイレの回数が変わったまま、同じ場所をなめ続けている、触ると声を出す、被毛の一部が固まったまま戻らない。こうした変化が続くときは、部屋の音の話として扱わずに、動物病院にご相談ください。1週間ぶんの音の記録と、移った日を書いた紙、体重の推移を持っていくと、そのまま伝えられます。赤ちゃんが来た時期は、家の側の変化と、その子自身の変化が重なりやすい時期です。迷ったときは早いほうを選んで構いません。

最後にもう一度書いておきます。この手順は、老猫を新しい部屋へ移すためのものではなく、移れるようにするためのものです。動かすのは布1枚と、水と食事の置き場所だけ。決めるのは部屋で、選ぶのはその子です。赤ちゃんが来て家の音が変わったとき、ペットの側に慣れてもらうのではなく、選べる場所を1つ足す。うちではこの順番のほうが、結果として早く落ち着きました。

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猫用 mofuwa グルーミングウォーター

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よくある質問

赤ちゃんが生まれてすぐで、1週間も音を測る余裕がありません。短くできますか。
3日でも足ります。朝・昼・夜の3回を3日ぶん、9行あれば、部屋ごとのぶれの大きさは見えてきます。書くのは3段階と、聞こえたものの名前だけです。抱いたまま30秒立って、耳で聞いた印象をそのまま書いてください。行数が少ないぶん、判断に迷ったら、迷った2部屋の両方に古い布を1枚ずつ置いて、その子が選ぶほうを見る、という決め方でも構いません。
2週間待っても、老猫が新しい部屋へ移りません。どうすればいいですか。
こちらの手を増やさず、布をもう1枚足してください。その子が寝ていた場所に敷いてあったもの、あるいは家族の衣類でも構いません。それでも動かないときは、部屋のほうを選び直します。ぶれの小さい部屋が他になければ、いまいる場所の周りで、人が通る側に何かを置いて経路を1本ずらす方法もあります。ペットのケアと同じで、待つ期間を決めて、その間は動かさないほうが結果が読めます。
水と食事を新しい部屋へ移すと、家族が近づけなくなりませんか。
近づいてもらって構いません。避けたいのは、決まった時刻以外に人が出入りすることのほうです。水を替える朝と、食事を出す夜。この2回はこちらが必ず行きます。それ以外の時間は静かなままにしておく、という使い方です。赤ちゃんを抱いてその部屋へ入るのも、時刻が決まっていれば問題になりませんでした。ペットの側から見ると、人が来ること自体より、来る時刻のほうが手がかりになります。老猫が受け取っているのは、人の有無ではなく、いつ来るか分からない、という状態のほうです。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。