C03使い方・お手入れ手順

シニア期に入ったら変えるケアの手順

公開日 2025年8月13日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、淡い色のブランケットの上に静かに横たわっている年をとったクリーム色の犬
呼んでから動き出すまでの秒数は、体のどこより先に変わります。写真:Ketut Subiyanto/Pexels

夕方6時、廊下の突き当たりの寝床に向かって名前を呼んでから、その子の体が動き出すまでに12秒かかりました。去年の夏、同じ場所で同じ呼び方をしたときは3秒でした。シニア期への移行でいちばん早く動くのは、被毛や皮膚の様子より、この秒数です。シニアへの移行期のケアは、呼んで来てもらう形を、こちらが道具を持って行く形に組み替えるところから始めます。数えるのは、名前を呼んでから体が動き出すまでの秒数だけです。

呼んでから動き出すまでの秒数|シニアへの移行でケアの起点が変わる

シニア期への移行で最初に測るものは、体ではありません。名前を呼んでから、その子の体が動き出すまでの秒数です。立ち上がるまででも、こちらの足元に着くまででもなく、頭を上げて体が動き出すまでを数えます。同じ時刻、同じ場所、同じ呼び方で3日。時刻をそろえるのは、寝入ったばかりの時間帯だけ秒数が伸びるためです。犬でも猫でも、この数字は数えられます。

秒数ごとに、ケアの起点をどこに置くか
呼んでから動き出すまでその子の側で起きていることケアの起点移行で変えるもの
3秒以内呼ばれた場所から自分で来るこちらの足元まだ変えない
4〜9秒来るが、途中で一度止まるその子と寝床のあいだ道具を先に手に持つ
10〜20秒起き上がるまでに間がある寝床の横こちらが行く
20秒より長い、来ない頭は上げるが体が動かない寝床の上立たせない

10秒が境目です。10秒を超えたあたりから、呼んで来てもらう形の手順は、その子が来るのを待つ時間のほうが長くなります。待っているあいだにこちらは立っているので、来たときにはもう、ケアの前に1分近く使っています。シニア期への移行でケアが続かなくなる家の多くは、手順の中身を変える前に、起点の場所を変えていません。手順そのものは、この時期に変える必要がありません。変えるのは、どこで始めるかです。

名前を呼んでから、体が動き出すまでの秒数 同じ時刻・同じ場所で3日ずつ数えた秒数です。呼ぶ形のままでは秒数が伸び続けますが、こちらが道具を持って寝床の横まで行った日は、待つ時間そのものがなくなります。 夕方6時、廊下の突き当たりの寝床で3日ずつ数えた平均 去年の夏、同じ場所で呼んだとき 3秒 移行のはじめ、同じ呼び方で 12秒 移行が進んだ日、呼んでも体が動かない 20秒以上 呼ばずに、道具を持って行った日 0秒 秒数は日によって上下します。3日の平均で見てください
呼ぶのをやめた日から、待ち時間は0秒になります。

秒数が伸びる理由を、家で決めようとしないでください。足の踏み込みが浅くなったのか、耳の聞こえ方が変わったのか、起き上がる姿勢が痛いのかは、数字からは分かれません。分からないまま進められるのが、この測り方の利点です。理由がどれであっても、こちらが行く形にすれば、その子が動かなくてよくなります。理由を決めるのは家の仕事ではなく、数えるほうが家の仕事です。

紙は1枚でかまいません。日付と、その日の秒数を書くだけです。できたかどうかは書きません。秒数だけを縦に並べていくと、2週間で傾きが見えます。傾きが緩いなら、移行はゆっくり進んでいます。3日で倍になるような動き方をしたときは、それは移行の話ではなくなります。

道具を持って、その子のいる場所へ|シニア移行期のケアを毎日回す手順

手順は5つです。呼ばずに寝床の横へ座る、手のひらに出して顔の高さより下でかいでもらう、上を向いている側の背中だけになじませる、同じ向きにブラシを1回通す、立たせずに終える。使うのは mofuwa グルーミングスプレーの1本とブラシだけで、道具は持って行きます。取りに戻る動きが1回入るたびに、その子が起き上がってしまいます。

  1. 1|呼ばずに、道具を持って寝床の横へ座る

    名前を呼ぶのは、秒数を測る日だけにします。ケアの日は、1本とブラシを持ってから寝床の横に座ります。座るのは、その子の頭の側ではなく背中の側です。頭の側に座ると、こちらを見るために首を回すことになり、その動きだけで姿勢が崩れます。

  2. 2|手のひらに出して、顔の高さより下でかいでもらう

    手のひらに少し出して、その子の鼻先より低い位置で止めます。上から近づけると、頭を持ち上げる必要が出てきます。自分からにおいをかいで、顔を戻したら次へ進みます。この10秒は毎日同じ形でくり返します。

  3. 3|上を向いている側の背中だけになじませる

    横になっているとき、上を向いている側の背中に、毛の向きに沿って一度だけ手を滑らせます。反対側へは回しません。反対側は、その子が寝返った日に回ってきます。ここで体を起こしてしまうと、この工程は寝たままできる工程ではなくなります。

  4. 4|同じ向きに、ブラシを1回通す

    手でなじませた面が乾いたら、同じ向きにブラシを一度だけ通します。乾いた被毛に直接ブラシを入れると静電気が起きて、細い毛が浮き、毛先が引っぱられます。その一瞬の引っぱりで、寝たままでいられる秒数が短くなります。

  5. 5|立たせずに終える

    終わりの合図は、こちらが手を離すことです。立たせて確かめたり、反対側を見るために体を返したりしません。その子が自分で立ったら、その日はそこで終わりにします。立たなかった日のほうが、翌日の秒数は短く出ます。

この5つを寝床の上で通せるのは、グルーミングスプレーが持って行ける形をしているからです。犬も猫も体から脂を出すので、昨日ふれた背中は今日また汚れます。シニア期への移行で変わるのは、汚れる速さではなく、洗う工程にかかる負担のほうです。湯を使う工程そのものが負担になっている子には、湯船に入れないという選び方があります。洗う日と洗う日のあいだを、寝床の上で毎日つなげる形にしておくと、洗う日の1回を短くできます。

余分な皮脂は、電解水と油がなじむことで浮いて落ちます。必要な皮脂は残るので、背中の1か所を毎日なじませても、被毛が乾いて硬くなることはありません。中身は水だけで、成分を足していません。口に入ることを見込んだ基準に照らして確かめてあるので、なめる場所にかかっても、量を数えずに済みます。量を数えなくていいことが、手の動きを1つ減らします。

ブラッシングの前に使うと、静電気の起きにくい状態で梳かせます。移行期の被毛は、同じブラシでも引っかかりが増えることがあります。引っかかった一瞬に、その子は前足を突っぱねて体を起こそうとします。起きてしまえば、寝たままの工程が立った工程に変わり、そこから先は毎日続きません。この5つは、その子を起こさないための順番でもあります。

時刻は、秒数を測ったときと同じ時刻にそろえます。夕方の同じ時間帯、食事の前後のどちらかに固定してください。場所を移す日と、時刻を動かす日は、別の週に分けます。同じ週に2つ動かすと、秒数が伸びた理由が、場所なのか時刻なのか分からなくなります。シニア移行期のケアで確かなことは、条件を1つずつしか変えないほうが早く落ち着くという点です。

秒数が伸びた日に工程を足してしまう|シニア移行のケアで家でできる立て直し

崩れるのは、秒数が伸びた日に手を増やしたときです。伸びた数字を見ると、足りていないように見えます。ところが足すほど、その子が寝たままでいられる時間から食い込みます。

立て直し方も決めておきます。工程を減らすのではなく、起点を1段だけ寝床へ寄せて、同じ5つをそのままやります。足元で始めていたなら寝床のあいだへ、あいだで始めていたなら寝床の横へ。工程の数を減らすと、翌週にはもっと減らすことになり、2か月で毎日のケアが消えます。移行期に減らすのは工程の数ではなく、その子が動く距離です。

伸びたように見えて、その子の変化ではない日もあります。気温が急に上がった日、来客のあった日、床の敷物を変えた日です。この手の日は工程を動かさず、秒数の横に横線を1本引いておきます。あとで紙を見返したときに、移行による伸びなのか、その日だけの出来事なのかが区別できます。

Caution秒数が1週間で倍になったとき

呼んでから動き出すまでの秒数が、1週間で倍になった/呼んでも頭を上げず、手のにおいには反応する/寝たままでいられる秒数は長いのに、同じ側ばかりを向いている/被毛を指で分けると皮膚が赤く見える、さわると熱い/立ち上がるときに前足だけで体を引き上げている。こうした動き方は、シニア期への移行という説明だけでは追いつきません。耳の聞こえ方や、起き上がる姿勢の痛みが隠れていると、こちらが起点を寄せても秒数は戻りません。秒数を書いた紙を持って、動物病院で体のほうを見てもらう日をつくってください。何日目から何秒に伸びたのかが、紙1枚でそのまま伝わります。そのうえで、家では寝床の横の5つを続けます。

週の回数ではなく秒数で決める|シニア移行期のケアの頻度と続けるコツ

移行期の頻度は、週に何回という形では決まりません。決めるのは、その子が同じ姿勢でいられた秒数です。40秒いられた日は5つぜんぶ、20秒なら3つまで、10秒なら2つで終わり。同じ5つを、毎日その日の秒数に合わせて途中で止めます。途中で止めても崩れない順番に並べてあるので、止めた場所が翌日の出発点になります。

その日の秒数で、どこまで進めるかを決める
寝たままでいられた秒数その日に進めるところまで翌日の出発点紙に書くこと
40秒以上5つぜんぶ同じ5つ秒数と、ブラシを通せたか
20〜40秒3つめの背中まで2つめから秒数だけ
10〜20秒2つめのにおいまで1つめから秒数だけ
10秒より短い寝床の横に座るだけ1つめから秒数と横線

表の右端が、移行期にこちらが持つ唯一の物差しです。できた工程の数ではなく、秒数のほうを毎日書きます。工程の数を書くと、少ない日が失敗に見えます。秒数を書いておけば、2つで終わった日も、その日にできることは全部やった日として残ります。シニア期のケアで毎日が途切れる家は、少なかった日を記録から落としています。

続けるコツは、道具の置き場所です。1本とブラシは、寝床から手の届く場所に置いたままにします。棚に戻すたび、こちらが取りに行く数秒が入り、その数秒でその子が起きます。持って行く工程を、持たなくて済む場所に変えてしまうのがいちばん効きます。床に出したままの1本が、この時期の毎日を支えます。

1か月たったら、紙の秒数を横に並べてください。見るのは平均ではなく、10秒より短い日が何日あったかです。その日数が増えていなければ、移行はゆっくり進んでいます。今夜は、寝床の横に座って、手のひらのにおいをかいでもらうところまでで終わりにしてかまいません。

Product

mofuwa グルーミングスプレー

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よくある質問

猫でも、同じ秒数の測り方でいいですか。
同じ測り方で数えられます。ただし猫は呼ばれても返事をしない日があるので、体が動き出すまでではなく、耳がこちらへ動くまでを1つめの合図にしてください。耳が動いてから体が動くまでの時間が、犬の秒数と同じ役目をします。起点の寄せ方も同じです。窓辺や棚の上で寝ている子なら、床に降りてくるのを待たずに、こちらが椅子を持っていって高さを合わせます。降りる動作そのものに秒数を使う時期だからです。
秒数を測る日は、週に何日つくればいいですか。
週に2日で足ります。同じ曜日、同じ時刻に固定してください。毎日測ると、その日の眠りの深さで数字が上下し、傾きが読めなくなります。ケアの日はケアだけ、測る日は測るだけに分けます。測る日に呼んだあとは、そのまま寝床の横で5つを進めてかまいません。呼んだ日と呼ばなかった日の秒数を別の列に書いておくと、呼ぶ形をやめた効果がそのまま数字で見えます。
何歳から移行の時期と考えればいいですか。
年齢の数字では決めていません。この記事で見ているのは、呼んでから動き出すまでの秒数だけです。同じ年齢でも、3秒のままの子と12秒になっている子がいます。数字が10秒を超えた時点が、その子にとっての移行の入口です。逆に、年齢が上がっても3秒のままなら、起点を寄せる必要はまだありません。体重や犬種で線を引くより、毎週2回の秒数のほうが、その子に合った時期を示します。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。