C05犬種・猫種別ケア
コトンドテュレアールはなぜ涙やけが起きやすいのか。シルキーコートから考える
コトンドテュレアールの目の下を乾いたコットンで拭くと、そのときは毛が白く戻ります。ところが半日たって同じ場所を見ると、また薄く色づいています。拭き足りなかったのでも、力が弱かったのでもありません。コトンドテュレアールの涙やけが拭いても戻ってくるのは、涙が毛の表面にないからです。この犬種の毛は、綿という名前がついているとおり細く、柔らかく、そして水を吸います。涙は毛の上にのっているのではなく、毛の中と、毛と毛のあいだの狭いすきまへ入っていきます。表面をなでる拭き取りが触れているのは、そのうちのいちばん外側だけです。この記事では、吸ってしまう毛の話から始めて、毎日の拭き取りで動かせるのはどこまでかを書きます。
白い毛が、乾いたころに色づく|コトンドテュレアールの涙やけで飼い主が最初に気づく経験
朝、目やにを取るついでに、コトンドテュレアールの目の下を乾いたコットンで拭きます。コットンには薄い茶色がつき、毛はいったん白く戻ります。ここで「取れた」と思えるのが、この犬種の涙やけのやっかいなところです。夕方になって同じ場所を見ると、拭く前と同じ薄い色が戻っています。朝と夕方でくり返して、そのうち日課になります。
力を入れれば取れるのではないか、と考える方は多いです。実際にやってみると、コットンにつく色は増えません。増えるのは、目のまわりの皮膚の赤みのほうです。こすった回数と、色が薄くなった度合いが、まったく比例しません。ここで多くの飼い主が、拭き取りのやり方が悪いのではと考えはじめます。
けれど、この経験はやり方の問題ではありません。コトンドテュレアールの目のまわりの毛は、涙が触れた瞬間から、それを内側へ引き込んでいます。拭き取りで触れているのは毛の表面で、色が見えているのは毛の中です。触れている場所と、色がある場所がずれている。それが、拭いても戻ってくるという経験の中身です。
この犬種と暮らしている方が、最初にこの違和感に気づく場面は、だいたい決まっています。次のどれかに心当たりがあれば、毛が涙を吸っているほうの話として読んでください。
- 拭いた直後は白いのに、半日で同じ濃さに戻る:色の出どころが表面ではありません
- コットンにつく色が、毎回ほとんど同じ薄さ:取れる量に上限があるという意味です
- 濡らして拭くと、かえって範囲が広がって見える:水と一緒に、色が毛の中を移動しています
- 毛を根元でつまむと、先のほうだけ色が濃い:涙が入った時間の長さが、色の濃さになっています
- 目頭より、目の下の少し離れた場所のほうが濃い:涙が毛づたいに運ばれた先です
拭いた直後に白く見えるのは、毛の表面についていたぶんが移ったからです。コトンドテュレアールの場合、その量は全体のごく一部です。残りは毛の中にあって、乾いてくると、また色として外から見えるようになります。取れた・取れないで判断すると、毎日拭く回数だけが増えていきます。見るのは色の濃さではなく、その色がどれくらいの速さで戻ってくるかのほうです。
涙は毛の表面ではなく、毛の中に入っています|コトンドテュレアールの涙やけの背景
コトンドテュレアールという名前の「コトン」は、フランス語で綿のことです。マダガスカル島の南西、トゥリアラという港町の名前と合わせて、この犬種の名前になっています。名前が毛の手ざわりからついているくらい、毛が細くて柔らかい犬種です。硬い上毛が外側をおおう二層の被毛ではなく、同じ性質の柔らかい毛が全身にあります。
毛が涙をどう扱うかは、この細さと柔らかさで決まります。比べると分かりやすいのは、硬い毛を持つ犬種です。太くて硬い毛は、表面で水をはじきます。涙は毛の上で丸くなって留まり、毛の中には入りません。だから乾いた布を当てれば、水滴はそのまま布へ移ります。拭くという動作が、そのまま「取る」になります。
コトンドテュレアールの毛では、同じことが起きません。1本1本が細いので、同じ面積に生えている毛の数が多く、毛と毛のあいだのすきまが極端に狭くなります。細いすきまは、液体を自分から吸い上げます。ティッシュの端を水につけると、水が上へのぼっていくのと同じことが、目のまわりの毛の中で起きています。涙は毛の上で丸くなれず、下へ、そして毛のあいだへ引き込まれます。
もうひとつ、毛そのものも水を含みます。細い毛ほど、太さに対する表面の割合が大きく、水を含んだときの変化も早く出ます。つまりコトンドテュレアールでは、毛のあいだと毛の中の二か所へ、同時に涙が入っていきます。そのあと水分だけが乾いて抜け、涙にふくまれていた成分が中に残ります。外から見えている変色は、この残ったぶんの色です。
| 水をはじく硬い毛 | コトンドテュレアールの毛 | |
|---|---|---|
| 毛1本の太さ | 太く、張りがある | 細く、指の中でつぶれる |
| 毛と毛のあいだ | 広い。空気が通る | 狭い。液体が入り込む |
| 涙が最初に行く場所 | 毛の表面。丸く留まる | 毛のあいだと、毛の中 |
| 拭いたときに移るもの | 涙のほぼ全部 | 表面にあったぶんだけ |
| 乾いたあとに残るもの | 毛の外側の跡 | 毛の内側に入った成分 |
| 色が見えはじめるまで | 濡れているあいだ | 乾いてから、あとで |
この背景が分かると、毎日の拭き取りで何が起きていたかも見えてきます。乾いたコットンを当てたとき、移ってくるのは表面のぶんです。強くこすっても、毛の中に入ったものは布のほうへ出てきません。出てくるのは、力をかけられた毛と、その下の皮膚の反応だけです。目のまわりを何度もこすると赤くなるのは、そのためです。
水やぬるま湯で濡らして拭くと、範囲が広がって見えることがあります。これも同じ理由です。水が入ると、毛の中にあった色が、水と一緒にもう少し先の毛まで動きます。濡らすこと自体が悪いのではなく、濡らしたあとに乾ききらないと、動いた先でまた中へ入って留まります。コトンドテュレアールの涙やけでは、濡らしたら乾かすまでを一続きにしてください。
吸わせる時間を、短いほうへ|コトンドテュレアールの涙やけと向き合う考え方
毛が細いことは変えられません。涙が出ること自体も、家でどうにかする話ではありません。動かせるのは、涙が毛に触れてから、そこを離れるまでの時間だけです。吸い込みは、触れた瞬間に終わるものではなく、時間をかけて進みます。だから、短くするという考え方が成り立ちます。目のまわりの毛を白く戻すことを目標にせず、吸っている時間を削ることを目標にしてください。
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涙が出たことに気づいた場面で、その場で当てる
決まった時刻に拭くのをやめて、目のまわりが光って見えた時点で一度当てるほうへ変えます。乾いたコットンやガーゼを、押しつけずに数秒置くだけで構いません。まだ表面にあるうちなら、この数秒で移ります。1日に何度あってもよく、1回あたりは短いほうが目のまわりの負担になりません。
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こすらず、当てて待つ
コトンドテュレアールの毛は柔らかいので、こすると絡みます。絡んだ毛のあいだは、すきまがさらに狭くなって、次の涙をもっと吸います。当てて数秒待ち、コットンの乾いた面に持ち替えて、もう一度当てる。この2回で、表面のぶんはほぼ移ります。往復させるのは、そのあとに毛の流れをそろえるときだけにしてください。
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動かす向きは、目頭から外へ一方向に
拭き取りのときに、外から目頭へ戻す動きを入れないでください。毛の中を移動した色を、目のほうへ運ぶ動きになります。コットンは1回ごとに面を変えて、目頭から頬のほうへ向かって、短く動かします。使った面をもう一度当てないことも、同じ理由です。
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目のまわりの毛の長さを、吸う面積として見る
目の下の毛が長いほど、涙が触れる毛の本数と、毛づたいに運ばれる距離が増えます。短くそろっている子のほうが、色づく範囲が狭くなります。顔まわりのカットはトリマーに任せる範囲ですが、次に行くときに「目の下の毛が涙を吸うので、当たる長さを短くしたい」と伝えると、仕上がりの相談がしやすくなります。
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週に一度、同じ場所を同じ明るさで撮る
色の濃さは、毎日見ていると分かりません。週に一度、窓のそばで正面から撮ると、毛の色の変化が並べて比べられます。濃くなったか薄くなったかではなく、範囲が広がっていないか、左右で差がないかを見てください。動物病院やトリミングで相談するときも、この写真があると話が早く進みます。
| 条件 | 家で動かせるか |
|---|---|
| 毛1本の細さ、柔らかさ | 動かせません。この犬種の作りです |
| 涙が出る量そのもの | 家の話ではありません。相談の領域です |
| 涙が毛に触れてから離れるまでの時間 | 動かせます。気づいた場面で当てる |
| 涙が触れる毛の長さと本数 | 動かせます。顔まわりの長さの相談 |
| 拭き取りで毛を絡ませてしまうかどうか | 動かせます。こすらず、当てて待つ |
| 濡らしたあとに乾ききっているか | 動かせます。濡らすと乾かすを一続きに |
コトンドテュレアールの涙やけで、毎日の手ごたえが分かりにくいのは、判断の基準が拭いた直後の白さになっているからです。白さは数分で決まり、数時間で戻ります。そのかわり、当てる回数を増やした週は、色が戻るまでの時間が少し延びます。半日で戻っていたのが、夕方まで戻らなくなる。この延び方のほうが、毛の中に入った量が減っているという手がかりになります。
当てる液を決めておくと、この手つきはもっと短く終わります。すきまに入った涙は、水分だけが抜けて油分が中に残ります。そしてもうひとつ、乾ききらないすきまは、菌にとっても居心地のよい場所になります。mofuwa 目にやさしい涙やけクリーナーは、01(CLEAN)でゆるめて拭き取り、そのあと02(CARE)をなじませる、という2段階になっています。コットンにとってから当てる形なので、この記事で書いた「こすらずに当てて待つ」を、手つきを変えずにそのまま使えます。濡らしたら乾かすまでを一続きにする、という条件も同じです。02までなじませたあと、乾いた面で一度押さえて終えてください。毛の中まで入った色そのものが白く戻るわけではありません。変わるのは、色が戻ってくるまでの速さのほうです。
拭き取りに使う布の選び方も、吸う毛の話とつながっています。毛より繊維が硬いものは、当てたときに毛を起こして絡ませます。コットンやガーゼのように柔らかく、水を含んだあとも面が崩れないものを使ってください。同じ面を何度も当てないためには、小さく切って枚数を用意しておくほうが続きます。使い終わったコットンの色は、その日の記録としてそのまま使えます。
吸い込みの条件では説明がつかない、コトンドテュレアールの目のまわりの変化
ここまでは、細く柔らかい毛が涙を吸うことで説明のつく話でした。毎日の当て方を変えても、変化の向きが合わないときは、別の見方に切り替えてください。コトンドテュレアールの涙やけは白い毛の上に出るので、変色は目立ちますが、目立つことと急ぐことは同じではありません。急ぐのは、色ではなく次のような変わり方が出たときです。
- 片側だけ濡れている、片側だけ濃い:左右で条件が違うという意味です。毛の話では説明がつきません
- 数日のうちに、濡れている量がはっきり増えた:毛の長さも季節も変わっていないのに増えたときです
- 目やにの色や量が変わった、まぶたが腫れて見える:拭き取りの話として続けないでください
- 目を細める、前足で顔をこする、床にこすりつける:気にしている動きが出たときは、その日のうちに
- 目のまわりの皮膚が赤い、じくじくしている、においがある:こすり続けたあとにも起こります
- 光をまぶしがる、暗い場所で物にぶつかる:涙やけとは別の話として見てください
片目だけ涙が増えた、目を開けにくそうにしている、まぶたが腫れている、目やにの色が変わった、目のまわりの皮膚が赤くじくじくしている、しきりに顔をこすっている。ひとつでも当てはまるときは、拭き取りの回数を増やす前に動物病院にご相談ください。目のまわりは家で判断できる範囲が狭い場所です。白い毛の上では色ばかりが目につきますが、伝えるときに役に立つのは、色の濃さではなく、どちら側がいつから濡れているかの2つです。
相談に行くときは、いつから、どちら側が、どのくらいの間隔で濡れているかの3つをメモしていってください。週に一度撮っていた写真があれば、そのまま並べて見せられます。前の晩に念入りに拭いてしまうと、もとの状態が分からなくなります。気になっている状態のまま連れて行くほうが、その場で見てもらえる情報が多く残ります。
涙が出ること自体は、目を守るための働きです。コトンドテュレアールでそれが色として見えやすいのは、毛が白いことと、その毛が涙を中まで吸うことが重なっているからです。この犬種と暮らすうえで、涙やけをゼロにすることは目標になりません。毛の細さは、抱き上げたときの軽さや、あの手ざわりと同じところから来ています。減らせるのは色ではなく、涙が毛の中にいる時間のほうです。
気づいた場面でその場で当てる、こすらずに待つ、目頭から外へ一方向に動かす、乾かすまでを一続きにする。コトンドテュレアールの涙やけで動かせるのは、この4つです。どれも、その日のうちに終わる短い動作です。1日1回の長い拭き取りより、短い当て直しを何度かはさむほうが、毛の中に入る量は減ります。週に一度の写真で、戻ってくる速さがどう変わったかを見ていってください。
Product
mofuwa 目にやさしい涙やけクリーナー
1,870円(税込)
眼刺激性試験をクリアした2剤構成。01(CLEAN)で目やにと涙の跡を浮かせ、02(CARE)で拭いたあとの環境を整えます。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
