C05犬種・猫種別ケア
ハンガリアンビズラはなぜ日ざしによる肌の負担が起きやすいのか。短毛から考える
土曜日の午前、庭の草を抜いていた2時間、ハンガリアンビズラはこちらから3メートルと離れない草の上に伏せて、ずっと顔を向けていました。水を飲みに家へ入るとついてきて、また出ると先に立って出てくる。この犬種と暮らしている方には、見慣れた距離だと思います。夕方、背中をなでたときに毛の流れが少し粗く感じて、そこで気づきました。その日この子が日ざしの下にいた時間は、こちらが庭にいた時間と、ほとんど同じだったということです。日焼けの記録は犬の側にはありません。人の予定表のほうに、そのまま残っています。
土曜日の2時間が、そのまま2時間|ハンガリアンビズラの日焼けに気づいた経験
その日の予定は、犬のための予定ではありませんでした。朝の散歩を30分、そのあと庭の草取り、昼前に洗車、午後に子どもを送って立ち話、夕方にもう一度散歩。ハンガリアンビズラは、そのすべてに付いてきていました。付いてきた、という言い方も正確ではありません。庭に出れば先に出ていて、車のところへ行けば助手席側のドアの前で待っている。人が外にいるあいだ、この犬も外にいます。
散歩の時間だけを数えていると、その日の外時間は1時間です。ところが、庭と洗車と立ち話を足すと、そこに3時間近くが乗ります。散歩以外の外時間のほうが、散歩の3倍ありました。そしてそのあいだ、この犬は日陰を選んで移動していません。人のいる側の、日なたの草の上に伏せていました。
夕方に気づいた変化は、はっきりしたものではありませんでした。背中の毛の流れが、朝より少し粗い。手のひらを首から腰へすべらせたときに、途中で抵抗が増える感じがある。ハンガリアンビズラの被毛は短くて体に貼り付いているので、こういう小さな差が手に出ます。赤くなっていたわけでも、めくれていたわけでもありません。
その日の予定表を思い返して、はじめて数字になりました。日焼けという言葉を、この犬に対して使ってこなかったのは、散歩の時間しか数えていなかったからです。ハンガリアンビズラの日焼けを考えるとき、最初にやることは足の裏を見ることでも、被毛をかき分けることでもありません。手帳を開くことです。この経験から先の話を書きます。
もう一つ、あとから気づいたことがあります。庭にいた2時間のあいだ、この犬は一度も日陰へ移動していません。庭には木の下も、物置の影もありました。日陰はあったのに、人のいる場所を選んでいました。暑ければ移動する、涼しい場所を自分で選ぶ。他の犬で当たり前に起きることが、この犬種では起きにくい。その背景が次の話になります。
猟師の横を一日じゅう歩いてきた犬|ハンガリアンビズラが人と同じだけ日ざしを浴びる背景
ハンガリアンビズラは、ハンガリーの開けた平原で、猟をする人と一緒に働いてきた犬です。獲物を探し、見つけたら止まって知らせ、撃たれたものを回収して持ち帰る。この仕事は、人から離れたところでは成立しません。指示が届く距離にいて、人の動きに合わせて前へ出たり戻ったりする。一日じゅう、人の視界の中にいることが仕事の条件でした。
この距離感は、猟に出ない今の暮らしでもそのまま残っています。台所へ行けば台所へ、洗面所に立てば足元へ。ハンガリアンビズラと暮らしている方は、この犬が部屋を移動するたびに付いてくることをご存じだと思います。そして外へ出るときも同じです。人が外にいる限り、この犬も外にいます。距離を保つのは人のほうではなく、犬のほうが決めています。
ここが、日焼けの話とつながります。多くの犬は、日なたが暑くなれば自分で日陰へ移ります。移動する理由が、そのときの体感だからです。ハンガリアンビズラでは、移動する理由が人の位置になります。人が日なたにいれば、日なたに留まる。木陰があっても、人から離れる方向へは動かない。だから、この犬の日焼けは、犬の判断では減りません。
もう少し正確に書くと、まったく動かないわけではありません。暑さがある線を越えれば、日陰へ入ります。ただ、その線が来るまでの時間が、人の予定の長さで決まってしまう。15分の立ち話なら、この犬は動かずに待ちます。40分の洗車でも、たいていは同じ場所にいます。人が「ちょっとそこまで」と思っている用事が、そのまま日ざしの時間として積み上がります。
| 人の側での呼び名 | 実際に外にいた時間 | そのあいだの犬の位置 |
|---|---|---|
| ゴミを出しに行く | 5分 | 門のところで待っている |
| 洗濯物を干す | 10分を1日2回 | ベランダか庭の日なた |
| 庭の手入れ | 1〜2時間 | 作業している人の3メートル以内 |
| 洗車 | 30〜40分 | 駐車場の、影のない側 |
| 近所の人との立ち話 | 10〜20分 | リードの長さの範囲で座って待つ |
| キャンプや川遊び | 半日 | 人が動くたびに一緒に移動する |
この表の右端を見ていただくと、共通していることが分かります。どの場面でも、犬の位置を決めているのは人の位置です。ハンガリアンビズラの日焼けが人の生活と重なるのは、この犬種が日ざしに弱いからではなく、人の隣を選び続けるからです。順番としては、まず距離があって、そのあとに日ざしの時間が決まります。
念のために書いておくと、この距離の近さは直すものではありません。人の横で働くために積み重ねられてきた性質です。離れて日陰にいるように教えるという方向へ持っていくと、この犬がいちばん安心している状態を取り上げることになります。動かすのは犬の位置ではなく、人の位置のほうです。
予定表には、日ざしの欄がない|ハンガリアンビズラの日焼けが積み上がる理由
距離の話に、体の作りが重なります。ハンガリアンビズラの被毛は、短く、密で、体に貼り付いています。下毛がほとんどないので、被毛は一枚の層としてはたらいていません。手のひらを背中に当てると、毛を通り越して皮膚の温度がそのまま伝わってきます。長い毛や下毛のある犬では、そのあいだに空気の層があります。この犬種には、その層がありません。
体格も関係します。この犬種は胸が深く、背中の線が水平に長く伸びています。立っているときも、伏せているときも、上を向いている面がまとまって広い。加えて鼻筋が長く、耳の付け根から額にかけての毛はさらに短い。同じ時間だけ外にいても、日ざしは体じゅうに均等には当たらず、この背中と鼻筋、そして耳のふちに集まります。
皮脂の話も、ここに入ってきます。短い被毛の犬では、皮脂は毛の根元から先へ広がって、薄い膜のように地肌の上にのっています。この膜は、外からの刺激と地肌のあいだに立つ、いちばん外側の層です。洗う回数が多い時期や、暑い時期に体を流す機会が増えると、この膜が薄くなります。日ざしの時間が同じでも、地肌の側の条件が変わっている、ということが起こります。
ただ、体の作りだけでは、この犬の日焼けの話は終わりません。短毛の犬種は他にもいて、被毛の薄さだけなら同じような条件の犬はたくさんいます。ハンガリアンビズラで特徴的なのは、その体を持ったまま、人の外出時間をまるごと共有していることのほうです。体の条件と、距離の条件が掛け算になります。
そして、その掛け算の結果は、どこにも記録されていません。散歩は「30分」と数えます。庭仕事は「庭仕事」としか書きません。予定表に日ざしの欄がないので、積み上がっている時間が誰にも見えない。週末に3時間の庭仕事を2日続ければ、その週の外時間は、平日5日の散歩を全部足したものを超えます。そういう週が、季節によっては何週も続きます。
| 散歩だけで数えた場合 | 人の外出時間で数えた場合 | |
|---|---|---|
| 平日5日 | 朝夕30分ずつで5時間 | 5時間+ゴミ出しと洗濯物で1時間半 |
| 土曜 | 1時間 | 1時間+庭仕事2時間+洗車40分 |
| 日曜 | 1時間 | 1時間+川遊び半日 |
| 一週間の合計 | 7時間 | 14時間を超えることがある |
| 記録が残る場所 | 散歩の習慣として覚えている | 人の予定表の中に散らばっている |
換毛期についても書いておきます。短毛でも、この犬種の毛は春と秋に入れ替わります。抜けかけた毛が地肌の上に残っていると、皮脂が毛先まで行き渡らなくなります。その時期の外時間は、同じ長さでも地肌の条件が違います。日ざしの話をするときに換毛期を持ち出すのは遠回りに見えますが、この犬種では被毛が薄いぶん、地肌の側の条件が結果に出やすくなります。
ここまでをまとめると、ハンガリアンビズラの日焼けが積み上がる理由は3つです。被毛が層になっていないこと、上を向いた面が広いこと、そして外にいる時間が人の予定で決まっていること。このうち、最初の2つは変えられません。3つ目だけが、人の側で動かせます。
時間を削らずに、時間帯をずらす|ハンガリアンビズラの日焼けで追う毎日の変化
動かせるのが予定表のほうだと分かると、やることは急に具体的になります。外にいる時間を減らす必要はありません。この犬種にとって、人と一緒に外にいる時間は生活そのものです。減らすと別のところに無理が出ます。動かすのは長さではなく、時間帯と、人が立つ位置です。
いちばん効くのは、人が日陰に立つことです。犬を日陰へ連れて行こうとしても、人が日なたにいれば戻ってきます。逆に、人が木の下へ2メートル動けば、この犬は何も言わなくても付いてきます。庭仕事なら、道具を持って影のある側から始める。洗車なら、日が建物の影になる側の時間に回す。犬に何かを教える必要がないので、その日から実行できます。
次が、時間帯をずらすことです。土曜の庭仕事2時間を、朝の1時間と夕方の1時間に割る。用事の合計は変わりませんが、日ざしがいちばん強い時間帯から外れます。予定を消すのではなく、二つに割る。これなら、犬の側の時間も、人の側の用事も減りません。夏場は、この割り方だけで日中の時間がまとまって減ります。
3つ目が、記録です。散歩の時間しか数えていないのが問題なので、外に出た用事のほうを、5分単位で手帳に足していきます。ゴミ出し5分、洗濯物10分、と書き足すだけです。1週間続けると、自分の生活のどこに日ざしの時間が集まっているかが見えます。多くの場合、思っていた場所とは違うところに集まっています。
| 場面 | 変えるもの | 犬に教えることはあるか |
|---|---|---|
| 庭の手入れ | 影のある側から始める | ありません。人が動けば付いてきます |
| 洗車 | 建物の影がかかる時間帯に回す | ありません |
| 週末のまとまった用事 | 朝と夕方の2回に割る | ありません |
| 立ち話 | 日陰の側へ2歩動いてから話す | ありません |
| 川遊び | 上がったあとの休憩を日陰で取る | ありません |
そのうえで、毎日のケアで追うのは変化のほうです。ハンガリアンビズラは被毛が短く、地肌が手に近いので、手のひらで分かることが多くあります。帰ってきたら、首から腰へ一度なでる。それだけで、朝との差が出ます。毛の流れが粗い、手のひらに触れた面が乾いて感じる、いつもより温かい。色を見るより、この手ざわりの差のほうが先に出ます。
ブラッシングは、ラバー製のミトンで体をなでる程度で足ります。抜けかけた毛を落として、皮脂を毛先まで動かす。力を入れて何度も往復させる必要はありません。この犬種の被毛は短いので、道具を強く当てると地肌に直接あたります。換毛期は回数を増やしてよいのですが、1回あたりの力は変えないでください。
日ざしがいちばん集まる背中と鼻筋は、この犬が自分の口を届かせられる面でもあります。人用の日焼け止めをそのまま塗るのを避けたい理由も、そこにあります。塗ったものは舐めれば減り、減った分は口へ入ります。夕方に塗り直した記憶があるのに、翌朝には何も残っていない。mofuwa スキンケアミストを背中に置けるのは、この行き来を前提にした基準でつくられているからです。外の用事から戻って、首から腰へ一度なでたあと、その手でそのまま背中と鼻筋へ。手ざわりの差を見る手と、置く手を分けないでください。先になでて朝との差を取り、そのあと同じ順路をもう一度たどる。ハンガリアンビズラの日焼けで毎日追うものが、これで1回の動作に収まります。
背中や鼻筋の地肌が赤いままで、翌朝になっても引かない。皮膚がめくれる。同じ場所をなめ続けている。触ると痛がる。左右で見た目がはっきり違う。しこりのような手ざわりがある。いずれかに当てはまるときは、外にいた時間の話として片づけず、動物病院にご相談ください。ハンガリアンビズラは地肌が手に近いぶん、変化に早く気づける体です。気づけた早さを、そのまま相談の早さに使ってください。相談するときは、その週に外で過ごした時間と場所を伝えると、切り分けが早くなります。
最初の土曜日の話に戻ります。あの日の2時間は、庭仕事の2時間として手帳に書かれていました。同じ2時間が、この犬にとっては日ざしの下の2時間だった。それに気づいてから、庭仕事は朝と夕方に割るようになりました。犬の側には何も変えていません。付いてくる距離も、伏せる場所も、以前のままです。変えたのは、こちらが立っている場所と、その時刻だけです。
ハンガリアンビズラの日焼けを気にするなら、まず1週間だけ、外に出た用事を書き足してみてください。その手帳が、この犬が日ざしを浴びた時間の記録になります。被毛の薄さも、背中の広さも、人から離れない距離も、変えられるものではありません。動かせるのは、予定表の中の時刻と、人が立つ位置。ハンガリアンビズラと暮らすうえで、日焼けの話がいちばん実際的になるのは、そこに手を入れたときです。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
