C04悩み解決
毛のパサつきのケアで、実は逆効果になっている3つのこと
いま背中に生えている毛は、3か月ほど前に皮膚から出てきたものです。そのあとに何を足しても、その1本が外に出た時点より良くはなりません。毛のパサつきのケアでやってはいけないことは、ほとんどがこの前提を取り違えたところから始まります。変えられるのは、これから生えてくる毛と、いまある毛をこれ以上悪くしないことの2つだけです。この記事では、一晩で戻そうとする手に向かいやすい3つと、代わりに置く毎日のやり方を分けて書きます。
毛は生きていません|家でできることの範囲は、ここで決まる
毛は、皮膚の中にある毛球で作られます。作られたあと外へ押し出され、皮膚から出た時点で、細胞としての働きを終えています。爪の先や、人の髪の毛先と同じです。だから外に出た毛は、そのあと自分で作り直すことができません。ここが、毛のパサつきのケアで最初に押さえておきたい前提です。
つまり、いまパサついて見えている被毛は、パサついたまま入れ替わるのを待つことになります。この一文を受け入れられないと、手は「今日中にどうにかする」方向へ向かいます。毛のパサつきでやってはいけないことの正体は、ほとんどがその向きの手です。
| 対象 | 変えられるか | どのくらいの時間で |
|---|---|---|
| これから生えてくる毛の状態 | 変えられる | 数か月(新しく出てくる分から) |
| いま生えている毛の芯の状態 | 変えられない | 入れ替わりを待つしかない |
| いまある毛が、これ以上こすれること | 減らせる | その日から |
| すでに割れた毛先 | 戻らない | 切るか、伸びて入れ替わるのを待つ |
右上と左下、この2つだけが家でできる範囲です。犬の被毛が体じゅう一通り入れ替わるには、部位によって差はあるものの数か月かかります。換毛期をひとつはさむくらいの時間です。家でできることの成果も、その時間軸でしか見えません。2週間で判断できる話ではない、と先に決めておいてください。
ケアの翌日にうるおいが戻ったように見えることがあります。多くの場合、毛そのものが変わったのではなく、静電気が少なくて毛がまとまっているだけです。湿度が上がった日や、雨の日の翌日に起こります。判断はその日ではなく、同じ場所・同じ明るさで撮った写真を並べてからにしてください。
やってはいけない3つは、どれも一晩で戻そうとするやり方です
毛のパサつきで実際によく行われていて、しかも逆に働くのが次の3つです。3つとも、悪気があってやっていることではありません。むしろ熱心な人ほど当てはまります。共通しているのは、分量ではなく時間の使い方のほうです。
-
やってはいけない1:集中ケアを、1日にまとめてやる
週末に、シャンプー・トリートメント・長時間のブラッシング・保湿を一日で全部。手数が一日に集中すると、その日だけ被毛がこすれる回数が跳ね上がります。毛先は、こすれた回数の合計で傷んでいきます。合計が同じでも、1日にまとめれば、間に何もしない日が6日できます。毛にとっては、強い1日と空白の6日の繰り返しです。
-
やってはいけない2:強い洗浄と保湿を、交互に繰り返す
パサつくから保湿を足す、ベタついてきたから強く洗う、また乾くからもう一度保湿する。2週間ごとに振れ幅が大きくなっていきます。皮膚の上の皮脂と水分が、そのたびにリセットされます。新しく伸びてくる毛は、この振れ幅の中で作られることになります。
-
やってはいけない3:変化が見えないからと、方法を次々に変える
2週間やって見た目が変わらないので次の方法へ。1か月で3つ試したという話をよく聞きます。ところが毛が入れ替わるには数か月かかります。入れ替わる前に方法が変わるので、どれが合っていたのかが最後まで分かりません。3つ試した1か月より、1つを3か月続けたほうが、判断できる材料は多く残ります。
3つを並べると、形が同じであることが分かります。どれも「一晩で戻そうとする手」です。いま生えている毛は戻らない、という前提を置けば、1も2も3も選ぶ理由がなくなります。逆に言えば、この前提さえ共有できていれば、やってはいけない3つは自然に消えます。
換毛期に入ると、抜け毛が増えて全体がぼさついて見えます。ここでケアが足りなかったと判断して手数を増やすと、上の1に戻ります。換毛期は、古い毛が外に出ていく途中の景色です。この時期に増やすのはブラッシングの丁寧さであって、工程の数ではありません。
1つの方法を、毛が入れ替わるまで続ける|毎日の分量の決め方
代わりに置くのは、たったひとつです。1つの方法を、毛が入れ替わる期間だけ続ける。期間は数か月、換毛期をひとつはさむくらいを目安にします。ここで大事なのは、続ける方法の中身より、毎日の分量をどう決めるかのほうです。
-
方法を1つに決める
同じシャンプー、同じブラシ、同じ回数。比べたいものが2つあるなら、片方は次の3か月に回します。同時に2つ変えると、どちらが効いたのか分からないまま期間が終わります。
-
毎日の分量を、いちばん忙しい日に合わせる
週末の自分を基準に決めないでください。基準は、残業した日の夜にもできる量です。背中と腰まわりを2分ブラッシングする、くらいで構いません。忙しい日にできない分量は、2週間で消えます。
-
2週間に一度、同じ条件で写真を撮る
同じ場所、同じ時間帯、同じ明るさ。背中と、腰の上あたりの2枚だけ。2週間ぶんの差は、記憶のほうが先に上書きされます。写真がないと、上の「やってはいけない3」に戻ります。
-
3か月たつまで、方法を変えない
途中で足さない、引かない。やめるのは、皮膚に別の変化が出たときだけです(次のセクション)。3か月続いたら、写真を1枚目と並べて、続けるか変えるかを決めます。
| 経過 | 見る場所 | 見て分かること |
|---|---|---|
| 2週間ごと | 手帳(やった日の数) | 続けられているかどうかだけ。毛は見ません |
| 1か月 | 新しく伸びてきた根元側 | これから生えてくる毛の側に、変化が出はじめる場所 |
| 3か月 | 背中と腰の写真を1枚目と比べる | 続けるか、方法を変えるかを決める材料 |
毎日の分量を忙しい日に合わせると、残るものはかなり限られます。散歩から帰ったあとに mofuwa グルーミングスプレーを背中から腰へ吹いて、そのままブラシを2分入れる。この形なら、残業した日の夜でも工程が1つも増えません。犬は体から脂を出すので、昨日ふいた場所は今日また汚れています。毎日きれいにしておきたいのに、シャンプーもサロンも毎日の側には置けません。毎日の側をここで埋めておくと、3か月変えないものが1つ決まります。
1か月の時点で根元側を見るのは、新しく出てきた部分だけが、この3か月のケアの結果だからです。毛先はもう終わったところなので、ここを見て判断すると、何をしても変わらないという結論にしかなりません。換毛期をはさむ子は入れ替わりが早く進みます。室内で日照が一定の子や、換毛期がはっきりしない子は、もう少し時間がかかります。
日付/その日にやったこと/写真を撮ったかどうか。この3つだけです。ノートを作るとやめます。カレンダーの日付に丸をつけるだけでも、2週間ごとの確認には足ります。
途中でつまずく3つの場面と、手順の直し方
3か月続けようとすると、決まったところでつまずきます。先に知っておくと、そこで方法を変えずに済みます。
- 2週間で変化が見えず、不安になる:この時期に毛を見ないでください。見るのは手帳の日数だけです。毛のパサつきは、2週間では判断できないところに置いてあります
- 家族が別の方法を足す:良かれと思って、別のスプレーやブラシが増えます。やっていることを冷蔵庫に1枚貼っておくと、これはほぼ起きません
- 換毛期に抜け毛が増えて、悪化したと感じる:抜けているのは古い毛です。ここでブラッシングの回数を倍にすると、こすれる回数だけが増えます。回数は変えず、力を抜いて、毛先から根元へ順にほどく向きに変えてください
3つとも、対処は「手順を増やさない」ことに揃います。やってはいけない3つに戻る道は、どれも「足す」という形をしています。足したくなったら、いま何日目かを数えてください。90日に届いていなければ、まだ判断する時期ではありません。
つまずく3つのうち、換毛期がいちばん手数を増やしたくなります。ここで回数を倍にする代わりに、ブラシを入れる前にグルーミングスプレーで毛の表面を湿らせておくと、乾いた毛どうしが引っかかる音が小さくなり、同じ回数でも毛先にかかる力が軽くなります。舐めても差し支えのない基準でつくられているので、前足や口のまわりまで広げても、量を数える必要はありません。90日のあいだ変えない1つに選びやすいのは、思い出す手間がないからです。散歩のあとに玄関で、という置き場所まで決めてしまうと、忘れる日がほとんどなくなります。
左右対称に薄くなってきた、地肌が透けて見える、フケが急に増えた、かゆがって同じところをかき続ける、毛が抜けたまま生えてこない、水を飲む量や体重が変わった。これらが重なるときは、毛の手入れの話ではないことがあります。3か月続けている途中でも、いったん止めて動物病院にご相談ください。左右対称かどうかは、家で見分けられる数少ない手がかりです。
毛のパサつきでやってはいけないことは、どれも足し算の形で来ます。手帳に丸をつけて、グルーミングスプレーとブラシの2分を同じ順番で続けて、90日目に写真を1枚目と並べる。毛先が引っかかる日は、そこで手を止めて構いません。それだけで、次に変えるものを自分で決められます。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- トリミングでカットすれば、パサついた毛はなくなりますか?
- 傷んだ毛先を切れば、その部分はなくなります。ただし残った毛や、これから伸びてくる毛の状態が変わるわけではありません。切るのは「終わったところを整理する」手で、続けるケアと入れ替えるものではない、と考えてください。
- フードを変えると、毛は変わりますか?
- これから作られる毛のほうには関わります。ただし、いま生えている毛が変わることはありません。変えるなら、毛が入れ替わる数か月のあいだ同じものを続けて、他のケアと同時に変えないでください。同時に2つ変えると、どちらが効いたか分からなくなります。
- 換毛期のあいだは、何もしないほうがいいですか?
- 抜けた毛を外へ出す手は、続けてください。増やさないほうがよいのは工程の数です。ブラッシングの回数はそのままに、力を抜いて、毛先のほうから順にほどく向きに変えると、この時期の被毛を余計にこすらずに済みます。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
