C05犬種・猫種別ケア
マンチカンと暮らすなら知っておきたい、あごの黒ずみの話
マンチカンが床に置いた器で食べているところを、一度、真横から見てみてください。体ごと前へ進んで、頭が横から器へ入っていく形になっているはずです。上から下りてくる動きは、ほとんど入りません。脚が短く、肩から床までの距離が近いぶん、首を下へ折る角度が浅くて済むからです。この向きだと、器のふちへ先に届くのは口ではなく、あごの下の面になります。あごニキビとして黒い粒が見えてくるのは、たいていこの面です。器を替えるという話になると、浅い皿か深いボウルかという形の比較になりがちですが、脚の短い子で先に効いてくるのは高さのほうです。この記事では、床に置いた器と、高さを付けた器を並べて、首とあごの角度がどこまで変わるのかを比べます。
肩から床までの距離が近い|マンチカンのあごニキビが首の角度から始まる理由
猫が床の器で食べるとき、頭は上から下りてきます。肩の位置が高いほど、首を深く折って、口を器の中へ落とし込む形になります。このとき、あごの下の面は下を向いたまま、器のふちより上に残ります。口だけが器の中に入って、あごは器の外にある。これが、脚の長さがある子の食べ方です。
マンチカンは、肩から床までの距離が近い体格を持っています。床の器に対して、頭がもともと近い位置にあるので、首を深く折る必要がありません。そのぶん、頭は前へ進むほうで距離を詰めます。上から下りるのではなく、横から入っていく。この向きの違いが、あごの下の面が触れる場所を変えます。横から入ると、あごの下の面は下ではなく前を向きます。前を向いた面が最初に当たるのが、器のふちです。
当たったあとも、そこで止まりません。食べているあいだ、頭は器の中で前後に動きます。あごの下の面は、器のふちに乗ったまま、その動きに合わせてこすれます。当たっているのは一瞬ではなく、食事のあいだずっとです。器の中身に触れることもあります。ふやかしたフードやウェットフードなら、あごの毛と地肌に直接残ります。マンチカンのあごニキビを考えるとき、時間の長さのほうを見てください。
あごの下は、猫が自分で毛づくろいをするときに舌が届かない面です。前脚で顔を拭く動きも、届くのは口のまわりと目のまわりまでで、あごの下の面には回りません。触れている時間は長いのに、その子自身が拭き取る手を持っていない場所です。だからこの面だけは、その子の毛づくろいが届かないぶんを人が代わることになります。
- 肩から床までの距離が近い:首を折る角度が浅く、頭は前へ進んで器に入ります
- あごの下の面が前を向く:器のふちへ、口より先に届きます
- 食事のあいだ、ふちに乗り続ける:触れている時間が長くなります
- 器の中身にも触れる:水分のあるフードほど、地肌に残ります
- 舌も前脚も届かない面:その子自身が拭き取れません
- 被毛が短くても長くても起きる:毛の長さではなく、当たる高さで決まります
浅い皿にするか深いボウルにするか、という比較はよく語られます。ただ、脚が短い子では、形を変えても頭が入っていく向きが変わりません。横から入るという条件が残ったままだと、ふちの位置がどこであっても、あごの下の面が先に届きます。先に動かせるのは、器そのものではなく、器が置かれている高さのほうです。
床に置いた器と、高さを付けた器|マンチカンのあごニキビで変わる角度の違い
2つの置き方を、同じ項目で並べます。比べるのは器の値段でも素材でもなく、頭が器へ入っていく向きと、あごの下の面が何に、どれだけの時間触れているかです。マンチカンのあごニキビで動くのは、この2つだけです。
床に置いた器では、さきほど書いたとおり、頭は横から入ります。首はほぼ水平のまま、あごの下の面が前を向いて、器のふちに乗ります。食べ終わったあと、その面は湿っています。水を飲んだあとなら、あごの下から胸元にかけて濡れていることもあります。湿った状態で放っておかれる時間が、そのまま次の食事まで続きます。
高さを付けた器では、頭がもう一度、上から下りてくる向きに戻ります。数センチ上げるだけで、首は下へ折れる角度を取り戻し、あごの下の面は前ではなく下を向きます。下を向いた面は、器のふちにも中身にも触れません。口だけが器の中へ入って、あごは外に残る。脚の長さがある子と同じ食べ方に近づきます。
| 床に置いた器 | 高さを付けた器 | |
|---|---|---|
| 頭が器へ入る向き | 前から、横向きに入る | 上から、下りて入る |
| 首を折る角度 | 浅い。ほぼ水平のまま | 深くなる。頭が下を向く |
| あごの下の面が向く先 | 前。器のふちのほう | 下。何にも向いていない |
| 最初に器へ届くもの | あごの下の面 | 口 |
| 触れている時間 | 食事のあいだ続く | 触れないか、一瞬 |
| 食べ終わったあとの状態 | あごの下が湿っている | あごの先だけが湿る |
| 拭くことになる範囲 | あごの下から胸元まで | あごの先だけ |
| つまずきやすいところ | 毎回、同じ面が当たる | 上げすぎると前脚を突っ張る |
ただし、高くすれば高いほどよい、という比較ではありません。上げすぎると、その子は前脚を突っ張って体を持ち上げる形になります。胸元が器に当たる、食べている途中で器を押してずらす、水がこぼれて胸元が濡れる。床置きで起きていた湿りが、こんどは別の場所に移るだけです。選ぶのは「高い器」ではなく、その子の体格に合った1段ぶんの高さです。
あごの下は、器に触れていなくても皮脂が出る場所です。高さを付けた器にしても、口のまわりから回った汚れや、毛づくろいのときについた水分は残ります。変えられるのは、汚れが乗る量と、乗っている時間の長さです。器の高さを変えたあとも、あごの下を拭く手は残ります。器の話と、拭く話は別々に持っておいてください。
1段だけ上げて2週間|マンチカンのあごニキビで器の高さを決める選び方
高さの決め方は、数値で先に決めません。その子が食べているところを真横から見て、決めます。見るのは1点だけ。食べているあいだ、あごの下の面が器のふちより上にあるかどうかです。次の順で進めてください。
-
いまの器で、真横から1回ぶんを見る
しゃがんで、その子の目線と同じ高さから見ます。上から見下ろすと、あごの下の面は見えません。あごの下が器のふちに乗っているか、ふちより上に浮いているか。ここが出発点です。乗っているなら、高さを動かす余地があります。
-
本や台で、3センチだけ上げてみる
専用の食器台を買う前に、平らで滑らない台を器の下に敷いて試します。最初は3センチ。いきなり10センチにしないでください。その子が食べにくそうにしたら、そこで戻せます。滑る台の上に器を置くと、押したときに動いて危ないので、下に薄いマットを1枚はさんでください。
-
もう一度、真横から見る
あごの下の面が、ふちより上に浮いていれば足りています。まだ乗っているなら、もう2センチ足します。前脚を突っ張る、胸を器に当てる、器を押してずらす。この3つが出たら上げすぎです。1段戻してください。ちょうどよい高さは、その子の肩の高さで変わります。
-
決めた高さで、2週間続けて見る
高さを変えた日に何かが変わるわけではありません。触れている時間が短くなった結果が見えるまでに、数日から2週間かかります。同じ場所を、同じ明るさで、週に1回だけ写真に撮っておく。毎日見ていると、増えているのか減っているのか分からなくなります。
-
食後30秒だけ、あごの下を拭く手を足す
高さを変えても、口のまわりから回った汚れは残ります。食べ終わったあと、湿らせた柔らかい布で、あごの下を毛の流れに沿って1〜2回。往復させず、面を替えながら一方向に動かしてください。こするのではなく、乗っているものを持ち上げて運ぶ動きです。
| 真横から見て分かること | 次に動かすこと |
|---|---|
| あごの下がふちに乗っている | 3センチ上げて、もう一度見る |
| あごの下がふちより上に浮いている | その高さで2週間続ける |
| 前脚を突っ張って体を持ち上げている | 1段下げる。上げすぎです |
| 胸元が器に当たって濡れている | 1段下げて、拭く範囲を胸元まで広げる |
| 高さを変えても、あごが器の中へ入る | 食器の話としては、ここまでです |
黒い粒が気になると、1日に何度も拭きたくなります。ただし、あごの下は面積が小さく、洗いすぎや拭きすぎで地肌のうるおいのほうが先に減ります。回数を増やす前に、器の高さが動かせていないかを見てください。触れている時間そのものが短くなれば、拭く回数は増やさずに済みます。強くこすることも、同じ理由で避けてください。
食べる器と水の器で高さを変える|マンチカンのあごニキビでの使い分け
食べる器と水の器は、同じ高さでそろえたくなります。ただ、この2つはあごの下の面に対して条件が違います。食べる器は中身が減っていく器で、水の器は中身の高さがほとんど変わらない器です。ここで使い分けが要ります。
食べる器では、フードが減るにつれて、口を届かせるために頭が少しずつ深く入ります。食事の後半ほど、あごの下の面が器の中へ近づきます。だから、最初のひと口ではなく、最後のひと口を真横から見て高さを決めてください。途中まで浮いていたのに、最後だけ乗っているという子が少なくありません。
水の器は逆です。水位が低いと、あごを沈めないと口が水面に届きません。水の器で動かせるのは、器の高さと、水面の高さの2つです。器を上げるだけでなく、水を多めに入れて水面をふちの近くに保つと、頭を深く入れずに飲めます。少なく入れて何度も足すより、多めに入れて1日2回替えるほうが、あごの下が濡れる時間は短くなります。
| 食べる器 | 水の器 | |
|---|---|---|
| 中身の高さ | 食べるほど下がる | ほとんど変わらない |
| 真横から見る場面 | 最後のひと口 | 飲み始めの数秒 |
| 高さを決める基準 | 減りきったときに、あごが浮くか | 水面がふちに近いか |
| 高さのほかに動かせること | 1回に入れる量を減らして回数を分ける | 水を多めに入れて、水面をふちに近く保つ |
| 食後に湿る場所 | あごの下と口のまわり | あごの下から胸元まで |
置く場所も、高さとセットで考えてください。壁ぎわに寄せると、頭を入れる向きが正面からに限られます。少し離して、体を横から寄せられるようにすると、その子は自分で入りやすい角度を選びます。器の位置を決めるのは人ですが、頭の角度を決めるのはその子です。選べる余地を残しておくほうが、無理な姿勢になりません。
あごの下に残るのは、皮脂だけではありません。器のふちに乗っている面には、フードのかけらと、ふやけた中身の水分がそのまま移ります。高さを1段上げても、最後のひと口で口のまわりに回ったぶんは残ります。mofuwa猫あごクリーナーは、あごに留まるようジェルにしたアルカリ電解水で、コットンにとってくるくるとなでたあと、二度拭きもすすぎも要りません。本来はぬるま湯であごを軽く濡らし、ふやかしてから使うものですが、床の器で食べている子は食べ終わった直後のあごの下がまだ湿っているので、その一手間が食事のほうで済んでいます。器を洗って乾かすまでのあいだに、あごの下も終わらせてしまえる時間割です。ただし当てる前に、器のふちが毎回あたっていた線のところを一度見てください。炎症や出血がある場合は使用せず、獣医師にご相談ください。
器の内側は、洗ったあとに水気が残ると、そこにぬるつきが出ます。洗ってから完全に乾かすまでの時間を確保できるのは、器が2組あるときだけです。1組しかないと、洗ってすぐ次の食事に使うことになります。食べる器と水の器を、それぞれ2つずつ持っておくと、乾かす時間を1日ぶん取れます。高さを変えるより先に効くことがあります。
高さを変えても戻る時期|マンチカンのあごニキビ
器の高さを変えて、拭く手も足して、それでも同じ場所が短い間隔で戻ってくることがあります。そのときは、器の側で説明できる範囲を越えています。ここから先は、家で試す手を足していく時期ではありません。
見るのは、増減の速さです。器を変えた日から2週間、週に1回の写真で比べて、粒の数が変わらないか増えている。あるいは、いったん減ったのに、1か月しないうちに元へ戻った。同じ条件を続けているのに戻るという時期が、切り分けの合図です。季節の変わり目や、フードを替えた時期と重なっていないかも、あわせて思い出してください。
- 器の高さを変えて2週間たっても、粒の数が減らない:触れる時間の話では説明がつきません
- 地肌が赤い、腫れている、じくじくしている:拭く手を止めて、先に見てもらってください
- 粒が黒からべたついた塊に変わった:見た目の質が変わるのは、時期を待たないほうがよい変化です
- あごの下を触ると嫌がる、痛がる:布を当てる時点でやめてください
- あごの毛が抜けて、地肌が広く見えている:拭きすぎでも起きます。回数をさかのぼって確認してください
- 顔を床や家具にこすりつける回数が増えた:あごの下だけの話ではないことがあります
地肌が赤い、腫れている、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、あごの毛が抜けて地肌が見えている、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、器を替えたり拭く回数を増やしたりする前に、動物病院にご相談ください。あごの下は人の目線から死角になる面で、気づいたときには広がっていることがあります。2週間待つと決めてよいのは、赤みも痛みも出ていないときだけです。
動物病院へ行くときは、いまの器の高さ、変えた日、週に1回撮った写真の3つを持って行ってください。この3つがあると、器の条件で説明のつく範囲なのかどうかを、その場で切り分けてもらえます。受診の前夜だけ器を高くしたり、あごの下を余分に拭いたりすると、そのとき何が起きていたのかが読めなくなります。器も高さも、気づいたときのままにしておいてください。
マンチカンと暮らすうえで、あごの下が器に近いという条件自体はなくなりません。脚が短いという体格は、その子の作りだからです。動かせるのは、あごの下の面が器のふちに触れている時間のほうです。形ではなく高さを見る。真横から見て決める。1段だけ上げて2週間待つ。マンチカンのあごニキビで家庭が持てる手は、この3つです。
Product
よくある質問
- マンチカンのあごニキビは、器の形を変えれば減りますか?
- 形よりも先に、置いている高さを見てください。脚が短いと、頭は器へ上から下りるのではなく横から入ります。この向きが残っていると、浅い皿でも深いボウルでも、口より先にあごの下の面がふちへ届きます。形を検討するのは、高さを動かしてからで間に合います。
- 食器台は、高いものを選んだほうがいいですか?
- 高いほどよい、ということはありません。上げすぎると前脚を突っ張って体を持ち上げる形になり、胸元が器に当たったり、水がこぼれて濡れたりします。まず3センチだけ上げて、真横から見てあごの下がふちより上に浮いているかを確かめてください。そこで足りていれば、それ以上は要りません。
- あごの下は、毎日何回拭けばいいですか?
- 回数を増やす方向には寄せないでください。あごの下は面積が小さく、拭きすぎると地肌のうるおいのほうが先に減ります。食べ終わった直後に1回、毛の流れに沿って往復させずになでる。それで足りない日が続くなら、拭く回数ではなく器の高さが動かせていないかを先に見てください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
