C05犬種・猫種別ケア
ノルウェージャンフォレストキャットのケア|毛玉を減らす3つの習慣
ノルウェージャンフォレストキャットの毛玉を指でつまんで持ち上げると、毛玉だけでなく、その下の皮膚がテントのように一緒に持ち上がります。手を放すと、皮膚は元に戻ります。この持ち上がり方が、この猫種の毛玉を家でほどくときの、いちばん大事な手がかりです。毛玉の中では、抜けて根元の離れた下毛が、生えたままの長く硬い上毛に何重にも巻きついています。上毛の根元は皮膚につながっていますから、毛玉を持って引けば、力はそのまま皮膚へ届きます。痛みが出るのはこのためで、力の強さの問題ではありません。この記事では、なぜそうなるのかを先に書き、そのあとで、上毛を引かずに下毛だけを外へ出すための手順を並べます。
長く硬い上毛に、下毛が編み込まれる|ノルウェージャンフォレストキャットの毛玉が皮膚を引く仕組み
ノルウェージャンフォレストキャットの被毛は、北欧の森と冬に合わせた作りをしています。外側にあるのは長くて硬い上毛で、雨や雪を弾いて、体の内側まで水を届かせないための毛です。その内側に、細くて密な下毛が入っています。硬い外側と、やわらかい内側。この2種類が層になって、体温を保っています。首まわりのラフや、後ろ脚の飾り毛が長く伸びるのも、同じ作りの延長にあります。
毛玉ができるのは、内側の下毛が抜けたあとです。抜けた下毛は根元が離れているので、そのままなら外へ出ていくはずのものです。ところが、外側には長く硬い上毛が何本も立っています。抜けた下毛は、外へ出ていく途中で上毛の軸に巻きつきます。1本が巻きつくと、次の1本はその上に巻きつく。これが繰り返されて、上毛を芯にした小さなかたまりができます。ノルウェージャンフォレストキャットの毛玉は、こうしてできた編み目です。
ここが、この猫種の毛玉を扱うときの分かれ目になります。編み目の芯になっている上毛は、抜けた毛ではありません。いま生えている毛です。根元は毛根につながっていて、毛根は皮膚の中にあります。つまり、毛玉は皮膚に固定されています。毛玉をつまんで引けば、力は編み目から上毛へ、上毛から毛根へ、毛根から皮膚へと、順番にそのまま伝わります。冒頭で書いた「皮膚がテントのように持ち上がる」のは、この経路が一直線につながっているからです。
| 上毛 | 下毛 | |
|---|---|---|
| 長さと硬さ | 長く、硬く、まっすぐ | 短く、細く、やわらかい |
| 根元の状態 | 生えている。皮膚につながっている | 抜けている。どこにもつながっていない |
| 編み目での役割 | 芯。動かない棒の役をしています | 巻きつく側。外へ出せる毛です |
| 引いたときに起きること | 毛根ごと皮膚が引かれます | 編み目からほどけて外へ出ます |
| 家で外へ出してよいか | 出してはいけません | 出すのが目的です |
この表を見れば、家でやるべきことは1行で決まります。下毛だけを外へ出し、上毛は1本も引かない。毛玉を「かたまり」として扱っているうちは、この区別ができません。かたまりごと引き離そうとすれば、必ず芯の上毛も一緒に引くことになるからです。ノルウェージャンフォレストキャットの毛玉をほどくとは、かたまりを取ることではなく、巻きついている側だけを抜いていくことです。
毛玉に触れた瞬間に体をよじる、手をどけようとする、声を出す。これは我慢の足りなさではなく、実際に皮膚が引かれているという事実に対する反応です。一度その経験があると、次からは毛玉のない場所に触れただけで逃げるようになります。ノルウェージャンフォレストキャットは体が大きく力もあるので、押さえつけて続けるのは飼い主にとっても危険です。引く向きを変えて痛みが出なくなれば、触らせてくれる時間は戻ってきます。
上毛を引かず、下毛だけを外へ出す|ノルウェージャンフォレストキャットの毛玉をほどく手順
ここからが手順です。道具を持つ前に、指の位置を決めます。順番を守るほど、猫の側の負担が減ります。1日で全部ほどききる必要はありません。1つの毛玉を3日かけて外へ出すつもりで構いません。ノルウェージャンフォレストキャットは体が大きいぶん、1回のケアで回れる範囲も限られます。
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毛玉と皮膚のあいだに、指を1本差し込む
最初にやるのはこれだけです。毛玉の根元側、皮膚に近いところへ人差し指を寝かせて入れ、指を土台にして毛玉を皮膚から浮かせます。このあと何をしても、力は指で止まって皮膚まで届きません。指が入らないほど地肌に張りついている毛玉は、家でほどく範囲を超えています(第4節)。
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毛玉の外側にある上毛を、左右へ振り分ける
編み目の芯になっているのは上毛です。まず、毛玉の周りに立っている上毛を指で左右へ分けて、編み目の縁を出します。分けるのは上毛、出すのは下毛。この分け方をしておくと、あとで道具を入れたときに上毛が歯にかかりにくくなります。
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毛先の側から、編み目を1段ずつ崩す
根元から入れたくなりますが、根元は上毛が最も密に立っている場所です。編み目は、毛先の側から崩してください。毛先側は巻きつきがゆるいので、指先で少し引くだけで下毛が外へ出てきます。1段ほどけると、次の段の縁が見えます。ここを繰り返します。
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道具は毛の流れに沿って、浅く当てる
毛玉に直角から当てて力で崩すと、芯の上毛にも歯がかかります。道具は毛の流れに沿わせて、歯の先だけを編み目の縁に浅く引っかけてください。1回で動かす量は、下毛が数本外へ出る程度で十分です。歯が途中で止まったら、そこは無理をせず、また指で1段ほどきます。
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外へ出た下毛を捨てて、その日はそこで終える
手元に集まった毛は、その場で外へ捨ててください。放しておくと、同じ場所でまた巻きつきます。編み目が小さくなったところで、その日は終わりです。残りは翌日にまわします。1回でほどききろうとした日ほど、次の日に触らせてもらえなくなります。
乾いたままの編み目には、指も歯も引っかかります。mofuwa の毛玉予防ジェルは、この段で使う道具です。ほぐしたい毛玉に直接なじませ、毛玉がしっとり濡れる程度にしてから、道具を入れてください。巻きついた下毛のあいだに潤滑がまわるので、同じ手つきでも編み目がゆるみ、上毛を引かずに1段ずつ外へ出せます。ゆるんでこないときは、mofuwa のグルーミングスプレーを足してもみこむと、よりほぐれやすくなります。この商品は、毛玉ができたときの選択肢が切ることだけになる、という場面をなくすためにつくられています。
手順の途中で、猫が体をひねって逃げようとしたら、その時点で止めてください。追いかけて続けても、外へ出せる下毛の量は増えません。むしろ、次に毛玉へ手を伸ばしたときの拒否が強くなるぶん、全体としては遅くなります。ノルウェージャンフォレストキャットの毛玉は、首まわりのラフの下、脇の下、後ろ脚の飾り毛、尾のつけ根といった、上毛が長く伸びる場所にできやすいので、こうした場所ほど短い時間で区切ることをおすすめします。
毛玉は皮膚に固定されていて、しかも上毛に押し上げられているので、外から見えるより地肌に近い位置にあります。はさみの刃先を入れると、毛と一緒に皮膚を挟みます。猫の皮膚は薄く、毛玉に引かれているぶんテント状に持ち上がっているので、毛だけを切っているつもりでも刃先が届きます。切って短くしたい状態まで進んでいる毛玉は、動物病院やトリミングサロンで、道具と手を分けて対応してもらってください。
編み目が戻る前に見つける|ノルウェージャンフォレストキャットの毛玉と毎日の頻度
毛玉を上手にほどけるようになることと、毛玉が大きくなる前に見つけることは、別の技術です。ここでは3つの習慣を挙げますが、3つとも毎日やるものではありません。手の使い方に関するもの、道具の当て方に関するもの、見つけるタイミングに関するもの。決める単位が、触るたび・全身で1つ・場所ごとに分かれているので、どれか1つが止まっても残りは動きます。
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習慣1:触るときは、いつも指を先に入れる
毛玉があってもなくても、ノルウェージャンフォレストキャットの毛の中には、まず指を入れる。これを触り方の既定にしてしまいます。指が入るかどうかが、そのまま毛玉の有無と深さの検査になります。膝に乗っているとき、寝ているとき、抱き上げたとき。道具を用意しなくてもできるので、1日に何度でも回ります。指が止まった場所を覚えておいて、あとで手順に入ってください。
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習慣2:道具は編み目に対して、いつも同じ向きから当てる
毛の流れに沿って、毛先の側から。この向きだけを固定します。向きが決まっていれば、力の加減は毎回考えなくて済みます。逆に、向きが日によって変わると、力を抜いていても上毛にかかる日が出てきます。ノルウェージャンフォレストキャットの上毛は硬いので、逆から当てたときの引っかかりが強く出ます。1か所ごとに向きを決めるのではなく、全身で1つの向きに統一してください。
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習慣3:頻度は日数ではなく、編み目の戻り方で決める
週に何回、と決めても、換毛期には足りず、夏には多すぎます。前回ほどいた場所に、何日で編み目が戻ったかを見てください。3日で戻る場所は3日おき、2週間戻らない場所は2週間おきで足ります。ノルウェージャンフォレストキャットは季節で下毛の抜ける量が大きく動くので、この決め方だと季節のずれに自動的に合います。首まわりと後ろ脚は、ほかより短い間隔になることが多い場所です。
| 何を決めるか | 決める単位 | |
|---|---|---|
| 習慣1 | 毛に触れるときは、先に指を入れる | その日の、触るたび |
| 習慣2 | 道具を当てる向きを、毛先の側に固定する | 全身で1つ。変えません |
| 習慣3 | 次に手を入れるまでの間隔 | 場所ごと。編み目の戻る日数で決めます |
湿った状態で放置しないことも、毎日の側の話として書いておきます。雨に濡れた日や、部屋干しで湿度の高い日は、下毛が上毛に張りつきやすくなります。濡れたまま乾かさずにおくと、編み目は乾いたときに締まります。この猫種の上毛は水を弾きますが、弾かれた水は毛の内側へ入りにくいだけで、外側に長く残ります。濡れた場所は、乾いた布で押さえて水気を取り、風の通る場所で乾かしてください。
mofuwa の毛玉予防ジェルは、編み目ができる前の日にも、同じ場所で使います。5プッシュを手のひらに取って伸ばし、首まわりや後ろ脚の飾り毛のように上毛の長い場所を、毛の流れに沿ってなでてから、ブラッシングでなじませてください。2〜3日に1回で足ります。続けて使うとトリートメント成分が被毛1本1本をコーティングするので、抜けた下毛が上毛の軸に巻きつきにくい状態が続きます。乾いた冬に静電気で毛先が広がる時期ほど、この一手間で戻る日数が変わります。
指が入る毛玉と、入らない毛玉|ノルウェージャンフォレストキャットで家でできる線引き
第2節の1番目に「指を差し込む」を置いたのは、手順のためだけではありません。指が入るかどうかが、家でできるかどうかの線そのものだからです。指が入れば、皮膚に力を届かせずに作業できます。入らなければ、何をしても皮膚が引かれます。この線は、毛玉の大きさや見た目では引けません。
- 指が根元まで入り、毛玉が皮膚から浮く:家で手順どおりに進められます
- 指の先しか入らない:今日は縁だけをほどいて、翌日にもう一段。無理に押し込まないでください
- 指がまったく入らず、地肌に張りついている:家では止めます。相談してください
- 毛玉の下から湿ったにおいがする、地肌が赤い:ほどく前に、皮膚のほうを見てもらってください
- 触れると声を出す、噛もうとする:痛みが出ています。その日は触らないでください
- 同じ場所が数日でまた編み目になる:ケアの間隔ではなく、その場所の条件を確かめてください
最後の項目について補っておきます。首輪の当たる位置、寝床の縁、いつも体を寄せている家具の角。毎日決まった時間、同じ場所が押さえられていると、その場所だけ編み目の戻りが早くなります。ノルウェージャンフォレストキャットは体が大きく、寝る姿勢も決まりやすいので、体の左右で戻り方が違うこともあります。ケアの回数を上げる前に、その場所を押さえているものを一つ外してみてください。
毛玉の下の地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、その場所をなめ続けている、毛が根元から抜けて地肌が見えている、毛づくろい自体が減った、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、ほどく作業を進める前に動物病院にご相談ください。毛玉に隠れて皮膚の状態が見えなくなることがあり、家庭でできるのは毛の側までです。指がまったく入らない場所が2か所以上あるときや、同じ場所が3日で編み目に戻るときは、その週のうちに見てもらってください。
相談やトリミングの前には、指が入らなかった場所、いつからそこにあるか、その週に何回手を入れたかの3つをメモしていってください。この3つがあると、被毛の作りで説明のつく毛玉なのか、それとも皮膚の側で起きていることなのかを、その場で切り分けてもらいやすくなります。前の晩に無理をしてほどこうとすると、もとの状態が分からなくなるので、そのまま連れて行ってください。
ノルウェージャンフォレストキャットと暮らすうえで、下毛が抜けることも、上毛が長いこともなくなりません。北欧の冬を越すための作りが、そのままこの猫種の姿になっているからです。変えられるのは、抜けた下毛が上毛に巻きついたまま何日置かれるかと、手を入れるときの引く向きの2つです。毛玉をかたまりとして引き離すのをやめて、巻きついている側だけを外へ出す。ノルウェージャンフォレストキャットの毛玉で、猫の側の負担がいちばん変わるのはここです。
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よくある質問
- ノルウェージャンフォレストキャットの毛玉は、シャンプーでほどけますか?
- 水に濡れると、編み目はむしろ締まります。上毛は水を弾きますが、弾かれた水は毛の外側に残るので、下毛が張りついたまま乾いて固まります。洗う前に、ほどける範囲はほどいておいてください。ほどけない毛玉があるまま洗うと、乾いたあとに指が入らなくなることがあります。
- 子猫のうちから、毛の中に指を入れる練習をしたほうがいいですか?
- 毛玉ができる前から触られることに慣れていると、あとの手順が進めやすくなります。ただ、無理に押さえて続けると逆の記憶が残ります。膝に乗っているときに数秒だけ指を入れる、というくらいの短さから始めてください。ノルウェージャンフォレストキャットは体が大きくなるので、成猫になってからだと保定そのものが難しくなります。
- 換毛期以外にも毛玉ができるのは、手入れが足りないからでしょうか?
- 手入れの量だけでは決まりません。首輪の当たる位置、寝床の縁、体を寄せている家具の角など、毎日同じ場所が押さえられていると、その場所だけ編み目が早く戻ります。回数を増やす前に、その場所を押さえているものを一つ外して、戻る日数が変わるかを見てください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
