C04悩み解決
犬のドライヤー嫌い|まず疑いたい3つの原因
ドライヤーを引き出しから出した瞬間に、その子が部屋を出ていきました。まだスイッチは入れていません。風も熱も、まだ1ミリも届いていない段階です。ここまで見えていれば、原因を探す範囲はぐっと狭くなります。ドライヤーを嫌がる理由を音や風から考えはじめると、うちの子には当てはまらない話を何か月も試し続けることになります。この記事では、嫌がりはじめる瞬間を3つに分けて、原因を1つに絞る道筋を書きます。
何年も続くドライヤー嫌いも、始まる瞬間は3つのどれか
ドライヤーを嫌がるという相談で、最初に確かめてほしいのは「いつから嫌がるようになったか」ではありません。その1回のなかで、どこから嫌がりはじめるかです。乾かす手順は、道具を出す・スイッチを入れる・体に当てる、という3つの段に分かれています。どこで嫌がりはじめるかが分かれば、原因はそのうちの1つに絞れます。
- ドライヤーを出した時点:引き出しを開ける音、コードを引き出す音、床に置かれた本体を見た瞬間。まだ音も風も出ていません
- スイッチを入れた時点:体から離れた位置で回しただけで、部屋を出ていく。風はどこにも当たっていません
- 体に当てた時点:ここまでは平気で、風が毛に触れてから嫌がる
多くの飼い主が「ドライヤーが嫌い」とひとまとめにしますが、この3つは原因がまるで別ものです。1つ目は道具そのもの、2つ目は音、3つ目は風か熱か触られ方の話になります。ひとまとめにしたまま手を打つと、音を静かにしても変わらない、風を弱くしても変わらない、という結果だけが残ります。
順番も大事です。1つ目で嫌がっている子は、2つ目と3つ目にたどり着く前に気持ちが決まっています。手前で決まっている子に、奥の手当てをしても届きません。だから、いちばん手前がどこかを先に見にいきます。見にいくのは、シャンプーの日ではなく、何でもない日で構いません。
猫はドライヤーを使わずに済ませることが多いぶん、道具そのものに慣れる機会がほとんどありません。出した時点で逃げる子の割合が、犬より高くなります。犬か猫かではなく、その子がどの段で止まっているかで見てください。
出した時点・入れた時点・当てた時点|原因の分かれ方
3つの段を、原因と見る場所で並べます。この表は、うちの子がどこで嫌がるかを1つ選ぶために使ってください。複数に丸をつけると、また元のひとまとめに戻ります。いちばん手前で起きているものを1つだけ選びます。
| 嫌がりはじめる瞬間 | 原因として考えられるもの | 次に見にいく場所 |
|---|---|---|
| ドライヤーを出した時点 | 道具そのもの。見た目、置き場所、コードを引き出す音、出てくる方向 | 乾かす前の1〜2分。どこに置いてあり、どんな音を立てて出てくるか |
| スイッチを入れた時点 | 音。回転音の高さと、部屋の壁や床での反響 | 部屋の広さと床材、その子との距離、風量の段 |
| 体に当てた時点 | 風の強さか、熱か、当てられ方(体を押さえている手)のどれか | 風が最初に触れた場所と、そのとき体を支えていた手 |
1行目に当たる子は、乾かす前から結論が出ています。ドライヤーの本体が、その子にとって「このあと嫌なことが起きる」という合図そのものになっています。合図になっているのは風でも熱でもなく、引き出しの音や、床に置かれた形です。ここを変えないまま風量を下げても、逃げるタイミングは1ミリも動きません。
2行目は音です。同じ機種でも、脱衣所のように壁が近い部屋では音が返ってきて大きく聞こえます。犬も猫も、人より高い音がよく聞こえるので、人が「そんなにうるさくない」と感じる音でも、その子には別の音量で届いています。距離を1メートル取るだけで、届く音は目に見えて変わります。
3行目まで来て嫌がる子は、風・熱・触られ方の3つのどれかです。ここは1回では絞れません。風量を1段下げた回、送風だけにした回、体を押さえずに床に立たせたままの回。1回につき1つだけ変えて、嫌がる場所が動くかを見ます。3つ同時に変えると、どれが効いたのか分からなくなります。
スイッチを入れずに5分置く、という原因チェック
1つ目かどうかは、その日のうちに分かります。やることは1つだけです。ドライヤーをいつもの場所からいつもの手順で出して、スイッチを入れずに、床に置いて5分そのままにしておく。それだけで嫌がるなら、原因は道具そのものです。音でも風でも熱でもありません。
-
何でもない日にやる
シャンプーの日は避けてください。お湯の音や、脱衣所に連れていかれた時点で、すでに別の記憶が動いています。ふだんその子が過ごしている部屋でやります。
-
いつもの場所から、いつもの手順で出す
こっそり出さないでください。引き出しを開ける音、コードを引き出す音まで含めて、いつもと同じにします。調べたいのは、ドライヤーという道具にまつわる一式です。本体だけを静かに置いても、条件が変わってしまいます。
-
スイッチは入れず、床に置いて5分待つ
呼び寄せない、おやつで釣らない、目を合わせない。飼い主は座って、いつも通りにしています。その子が自分で決めた動きだけを見ます。
-
5分で起きたことを、そのまま書く
部屋を出たか、伏せたまま体だけ向きを変えたか、近づいてにおいを嗅いだか、何も起きなかったか。時間も書いてください。出した瞬間に出ていったのか、2分たってから離れたのかで、意味が変わります。
-
何も起きなかったら、翌日にスイッチだけ
次は、体から2メートル離した位置で、風を誰にも当てずに30秒だけ回します。ここで嫌がるなら2つ目、これも平気なら3つ目です。1日1段ずつで足ります。
確かめたあとに続けて乾かすと、「ドライヤーが置いてあると、やっぱりこうなる」という結びつきを強めてしまいます。調べた日は、調べただけで終わりにしてください。5分置いて、片づけて、それきりにする。この日をはさむこと自体が、道具と嫌な記憶のあいだに距離をつくります。
3日あれば、3つのどれかに決まります。原因が1つに決まると、やることが減ります。いままで手当たり次第に試していたもののうち、関係のないものを捨てられるからです。ここまでが、切り分けの手順です。
分岐が決まったら、様子見のあいだに変えるのは1つ
分岐ごとに、次の1回で変えるものが違います。変えるのは1つだけにしてください。まとめて変えると、嫌がる場所が動いたときに理由が分からなくなります。様子見といっても、何もせずに見ているという意味ではなく、1回に1つずつ動かしながら見る、という意味です。
-
出した時点で嫌がるなら|置き場所と出し方を変える
引き出しから出すのをやめて、乾かす30分前から部屋の隅に置いておきます。コードは前もって伸ばしておき、その子の前で引き出さない。本体を見ても何も起きない時間を、先につくります。置いてあるだけの日を数日はさんでから、次のシャンプーに進みます。
-
入れた時点で嫌がるなら|音の届き方を変える
部屋を変えます。壁が近い脱衣所から、布やカーペットのある部屋へ移すだけで、返ってくる音が減ります。風量は最初から下の段で入れて、体から離れた位置で回しはじめる。スイッチを入れる場所を、その子の頭の高さより下にするのも効きます。
-
当てた時点で嫌がるなら|風か熱か手かを1つずつ外す
1回目は送風(冷風)だけにして、熱を外します。2回目は風量だけ下げます。3回目は体を押さえずに、床に立たせたまま当てます。3回のうち、どの回で嫌がる場所が後ろにずれたかを見ます。ずれた回に外したものが、その子の原因です。
どの分岐でも共通するのは、乾かす時間そのものを短くすると、次の回が楽になることです。タオルで水を移す作業を先に増やしておくと、風を当てる時間は目に見えて減ります。乾いたタオルを2枚使い、1枚目で押さえて、絞ってから2枚目でもう一度押さえる。こするのではなく押さえて移す。ここで減らした水の分だけ、ドライヤーの時間が短くなります。
乾かす時間を短くする手は、シャンプーの日の外側にもあります。犬の体は毎日脂を出しているので、昨日ブラシを通した毛でも、今日の散歩でまた汚れます。毎日きれいにしてあげたいのに、シャンプーは毎日できないし、サロンにも毎日は通えません。mofuwa グルーミングスプレーは、この「毎日」の側を成り立たせるためにつくられたものです。舐めても差し支えのない基準でつくられているため、足先でも口のまわりでも、量を加減せずに使えます。
この記事の3つの分岐に、そのままつながる使い方が1つあります。ブラッシングの前にグルーミングスプレーをひと吹きしておくと、静電気で毛が立たないぶん、ブラシの先が地肌の側まで入ります。もつれのほどけた毛は、濡らしたときに内側へ水が入りません。濡らす前にほどけているほど、風を当てる時間は短くて済みます。1つ目の子ならドライヤーが床に置かれている時間、2つ目の子なら音を聞いている時間、3つ目の子なら風が当たっている時間が、そのぶん減ります。嫌がりはじめる瞬間に届く前に、その日の作業が終わっているという形です。地肌が赤い場所や、じゅくじゅくしている場所は避けてください。
片側だけ、特定の場所だけ、という嫌がり方の線引き
3つの分岐は、どれも「その子の好き嫌い」の範囲の話です。体の側に理由があるときは、この3分岐に当てはまりません。当てはまらない嫌がり方は、乾かし方を工夫して様子を見る対象ではなく、動物病院で診てもらう対象です。
特定の場所に風が当たったときだけ鳴く、体を触られた瞬間に振り向いて口が出る、当てていた場所の皮膚が赤い・かさぶたがある・においがある、耳に風が向いたときだけ頭を振る、片側だけを嫌がる、これまで平気だったのに数日のうちに嫌がるようになった、乾かしたあとに同じ場所を舐め続ける。この7つは、3つの分岐のどこにも収まりません。乾かし方を変える前に、動物病院で診てもらってください。
「片側だけ」「特定の場所だけ」は、とくにはっきりした線です。道具も音も、左右どちらにも同じように届きます。片側だけで反応が違うなら、風や音では説明がつきません。耳、皮膚、関節など、その場所の側に理由があると考えてください。
受診するときは、5分置いたチェックのメモと、1回ずつ変えた記録を持っていってください。「いつから、どの段で、どちらの側を嫌がるか」がそろっていると、その場の様子だけでは分からないことが伝わります。スマートフォンで乾かしている場面を20秒撮っておくのも有効です。診察室では、家と同じようには嫌がってくれません。
反対に、3つの分岐のどれかにきれいに当てはまり、皮膚にも耳にも変化がなく、片側だけということもないなら、家で続けて構いません。1回に1つずつ変えながら、嫌がりはじめる瞬間が後ろにずれていくかを見てください。ずれていれば、その方向で合っています。1か月やっても1ミリも動かないときは、そこで一度相談してください。毎日のブラッシングと、間の日のひと吹きは、そのまま続けて構いません。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- 子犬のうちから慣らせば、ドライヤーを嫌がらなくなりますか?
- 小さいうちから道具を見せておくことは、1つ目の分岐(道具そのもの)を起きにくくします。ただ、慣らし方として音や風をいきなり当てると、逆に2つ目や3つ目の記憶をつくることがあります。まずは置いてあるだけの状態を見せる、次に離れた場所でスイッチだけ入れる、という順で進めてください。
- タオルドライだけで済ませてはいけませんか?
- 毛の内側が湿ったままの時間が長くなると、地肌が蒸れやすくなります。とくに毛の密な子や、耳のうしろ、脇、足のつけねは乾きにくい場所です。タオルで水を移す作業を丁寧にしたうえで、最後に風を短く当てるのが現実的です。全部をタオルで済ませる前提にしないでください。
- 音が原因なら、静かなドライヤーに買い替えれば解決しますか?
- スイッチを入れた時点で嫌がる子には、買い替えが効くことがあります。ただ、出した時点で嫌がる子には、静かな機種に替えても変わりません。本体の見た目と置き場所が合図になっているからです。買い替える前に、5分置くチェックでどの段かを確かめてください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
