C04悩み解決
シャンプー嫌いのケアで、実は逆効果になっている3つのこと
お湯を止めた瞬間、その子の耳がわずかに前へ動いて、そのあとまた寝ました。終わったと思って力を抜いた直後に、ドライヤーの手が伸びてきたからです。シャンプーを嫌がる子のケアでやってはいけないことを3つ挙げるとすれば、どれもこの一瞬に関わっています。洗う工程そのものより、「終わった」がその子に伝わっているかどうかのほうが、次回の身構え方を決めます。終わりが分からないまま毎回を過ごすと、その子は最初から最後まで気を張り続けることになります。
家でできる見直しは、お湯を止めたあとから始まる
シャンプーを嫌がる子への手立てを探すと、たいてい洗っている最中の話が出てきます。お湯の温度、かけ方、声のかけ方。どれも大事ですが、家でできる見直しでいちばん結果が変わるのは、お湯を止めたあとの数分のほうです。
犬も猫も、始まりよりも終わりを覚えます。終わりがはっきりしている作業は、次に始まったときに「いつか終わる」と分かるので、途中で力を抜けます。逆に、終わりの見当がつかない作業は、最初から全力で身構えるしかありません。シャンプーを嫌がる度合いが年々強くなる子には、この差が積み上がっていることがあります。
| 終わりが伝わっている | 終わりが伝わっていない | |
|---|---|---|
| 洗っている最中 | 途中で力が抜ける瞬間がある | 最初から最後まで固まったまま |
| お湯を止めたとき | 体をぶるっと振る、耳が戻る | 反応が変わらない。まだ待っている |
| 次回、浴室の前で | 立ち止まるが、入る | 入口の手前で足を止める |
| 回数を重ねたとき | 嫌がり方が横ばいになる | 少しずつ強くなる |
右の列に心当たりがあるなら、洗い方を工夫する前に、終わり方を1つ決めるほうが早く届きます。手順を増やす話ではありません。いま毎回やっていることの、どこを終わりにするかを決めるだけです。
猫は自分で毛づくろいを終える動物なので、他者に体を触られる時間の終わりに敏感です。タオルにくるまれた時点を終わりと受け取る子が多いので、そのあとに手を足すと、区切りが後ろへずれてしまいます。猫の場合は、タオルの前後に工程を足さないことが、そのまま合図の役目をします。
やってはいけない3つは、どれも「終わった」を消している
ここから挙げる3つは、どれも熱心なケアとしてやられていることです。悪気がないぶん気づきにくく、しかも3つとも、その子の側から見ると「まだ終わっていない」に変わります。
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洗い終わったのに、そのまま乾かす工程へ続ける
人にとっては1つの作業の続きですが、その子にとっては別の作業が間を空けずに始まったことになります。お湯が止まったことを終わりだと思った直後に、次が来る。これを何度か繰り返すと、お湯が止まっても力を抜かなくなります。やってはいけない、というより、あいだに何もない時間を10秒だけ置いてください。
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途中でお湯を止めて、また再開する
泡を足すため、シャンプーを取りに行くため、電話が鳴ったため。理由はさまざまですが、止めて再開するたびに「終わった?」を1回ずつ増やしています。期待して力を抜いたのに、また始まる。これが2回、3回と続くと、次回は最後まで力を抜きません。必要なものは、浴室に入る前に全部そろえておいてください。
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終わってもすぐ拭かずに、浴室に留める
床の泡を流したい、次の子を洗いたい、といった事情で、洗い終わった子を浴室に残すことがあります。濡れたまま、あの場所にいるあいだは、その子のなかでシャンプーは終わっていません。浴室から出るという分かりやすい区切りを、いちばん最後まで渡さないことになります。
この3つに共通しているのは、手を抜いた結果ではなく、丁寧にやろうとした結果として起きることです。だから回数を重ねるほど強くなります。嫌がるから、次はもっと丁寧にやってあげようという方向に足していくと、工程が伸びて、終わりはさらに遠くなります。
終わったあとに、ごほうびを出したり、たくさんほめたりするのは悪いことではありません。ただしその内容が毎回違うと、合図としては働きません。ある日はおやつ、ある日は抱っこ、ある日は何もなし。その子から見ると、どれが終わりの印なのか決まりません。やってはいけない3つを外したあとに残るのは、この「毎回違う」という問題です。
毎日の1分で、終わりの合図を作る
代わりに置くのは、毎回同じ終わりの合図です。内容は何でも構いません。浴室のドアを開けて外へ出る、乾いたタオルを1枚だけ背中にかける、同じ言葉を同じ調子で言う。大事なのは中身ではなく、毎回同じであることのほうです。
- 場所で作る:洗い終わったら必ず浴室を出て、決めた場所で拭く。浴室のなかでは拭かない
- もの', で作る:終わりのタオルを1枚決めておく。乾かすためのタオルとは別にして、そのタオルは終わりのときにしか出さない
- 音で作る:同じ言葉を、同じ調子で1回だけ言う。ドライヤーの音と重ならない静かな場面に置くこと
- 順番で作る:合図のあとには、何も足さない。ここが崩れると、合図そのものが意味を失います
この合図は、シャンプーの日にだけ練習しても身につきません。毎日の1分で、シャンプーをしない日にも同じ合図を使ってください。ブラッシングの終わり、足を拭き終わったとき、爪を見終わったとき。体を触る作業の終わりに、毎回同じ合図を置きます。そうすると、その子は合図の意味を覚えます。覚えたものだけが、嫌なことの最中に届きます。
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合図を1つだけ決める
家族で相談して、1つに絞ってください。2つあると、どちらが本物か分かりません。決めたら紙に書いて、洗面所に貼っておくと家族間でぶれません。
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毎日、体を触る作業の終わりに使う
1回1分もかかりません。1週間で7回、シャンプーのない日に練習できます。シャンプーの日に月1回使うだけでは、覚えるまでに何か月もかかります。
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シャンプーの日は、合図の位置を動かさない
洗い終わり、浴室を出る、合図、そのあと乾かす。合図より前に乾かす工程を入れないでください。ここだけ守れば、順番は毎回同じになります。
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2週間、変えずに使う
途中で合図を変えると、それまでの回数が積み上がりません。うまくいかないように見えても、2週間は同じものを使ってください。コツは、増やさないことです。
終わりの合図を出したあとにドライヤーを使うと、矛盾するように思えます。実際には、合図のあとに来るものが毎回同じであれば、それも順番の一部として覚えられます。問題なのは、終わったり終わらなかったりすることです。合図→タオル→乾かす、の順を毎回そろえてください。
洗う頻度は、身構えなくなってから上げる
嫌がる子の場合、洗う頻度を先に決めてしまうと、合図が育つ前に次の1回が来ます。頻度を上げるのは、浴室の前で足が止まらなくなってからにしてください。目安として、いまの間隔をそのまま保ったまま、2か月ほど合図を続けます。
| いまの様子 | 頻度の扱い | そのあいだにやること |
|---|---|---|
| 浴室の前で足が止まる | いまの間隔のまま動かさない | 毎日の1分で合図を続ける |
| 入るが、最後まで固まっている | いまの間隔のまま | やってはいけない3つが残っていないか見直す |
| お湯を止めると力が抜けるようになった | 1回だけ間隔を詰めてみる | 合図の位置は動かさない |
| 洗った翌日も、浴室の前を普通に通る | 汚れ方に合わせて決めてよい | 合図はそのまま続ける |
洗う回数を減らすこと自体は解決になりません。間が空くほど1回が特別になり、その子の記憶のなかで嫌なことの割合が上がります。減らすのではなく、間隔を保ったまま終わり方だけを変えるのが、この記事の手順です。
去年まで平気だった子が急に嫌がるようになった、体のある一か所を触られたときだけ声を出す、洗ったあとに同じ場所をしきりに舐める、浴室で立っていられずに座り込む、耳や足先に触れると強く抵抗する、洗ったあと数日は元気がない。いずれかに当てはまるときは、合図や手順の話ではありません。痛みや皮膚の変化が背景にあることがあるので、動物病院にご相談ください。
相談するときは、いつから変わったか、どの工程で反応が出るか、洗う間隔、家で使っているものをメモしていくと話が早く進みます。嫌がる場面を短い動画で撮っておくと、言葉で説明しきれない部分が伝わります。
洗う1回の中身も、短くできます。泡を地肌まで届かせるには被毛をかき分けて擦る必要があって、その擦っている時間は、その子がじっと耐えている時間でもあります。嫌がる子にとって長いのは、工程の数ではなく、浴室にいた分数のほうです。mofuwa 入浴シャンプーは、お湯に溶かして、湯そのものを洗浄液にするタイプです。浸かるだけで全身に行きわたるので、泡立てる工程とかき分ける工程がなくなり、すすぎも軽く済みます。この記事の手順に置き直すと、お湯を止めるまでの時間が短くなる=合図までの距離が短くなるということです。そこまでに力を使い切っていない子のほうが、合図をよく覚えます。浴槽に入るのを嫌がる子は、洗面器に溶かして足先と口のまわりだけを浸ける形から始めてください。このときも、終わりには決めた合図を置きます。
合図も、浴室にいる時間の短さも、回数で育ちます。毎日1分なら2週間で14回、2か月で60回です。その60回で変わるのは、その子の性格ではなく、浴室の前で足が止まるかどうかだけです。止まらなくなった日から、洗う間隔は汚れ方に合わせて決められるようになります。数えるのは日数ではなく、合図を置いた回数のほうです。
Product
mofuwa 入浴シャンプー
400ml / 3,410円(税込)
浸かるだけで洗える入浴タイプ。「泡立て・ごしごし・すすぎ」の3手間を省けるので、高齢のペット・大型犬・多頭飼いのご家庭に向いています。
商品ページを見るよくある質問
- 合図は、言葉と動作のどちらがいいですか?
- どちらでも構いません。ただし家のなかで、その場面以外に使わないものを選んでください。「よし」「おわり」のような普段づかいの言葉は、他の場面と混ざって印は薄くなります。特定のタオルを1枚だけ使う、という形のほうが、家族全員でぶれずに続けやすいです。
- 途中でお湯を止めなければならないときは、どうすればいいですか?
- 止めること自体より、止めたときに人が浴室を離れることのほうが影響します。どうしても止めるなら、その子のそばに残り、体に手を置いたままにしてください。手が離れなければ、まだ途中だと伝わります。取りに行く必要が出ないよう、道具は先にそろえておくのが確実です。
- 多頭飼いで、2頭を続けて洗うときは?
- 1頭目の終わりの合図を出してから、2頭目を浴室に入れてください。1頭目を浴室に残したまま2頭目を洗うと、1頭目にとっては終わっていない時間が延びます。順番を分けるだけで、待っているあいだの緊張が変わります。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
