C09シーン別・暮らし
来客の前、大型犬と暮らす人はどうしている?
来客の10分前に寝室の扉を閉めたら、扉の内側から爪が床をかく音が、居間の椅子まで聞こえていました。体重が30キロを超えると、伏せて待っているだけでも音が出ます。友人が座ってから15分、会話の合間に扉のほうを2回見られました。大型犬と暮らしていると、来客の前にその子を視界から外すことはできても、存在まで消すことはできません。ペットのにおいの話も同じで、扉を1枚はさんでも、廊下と居間はつながっています。この記事は、会わせない前提をやめて、会う最初の30秒を手順にした話です。
別室に入れても扉の前にいます|大型犬と暮らす家で「会わせない」が選べない前提
来客の前に別室へ入れる、という手は、体の小さい子ならうまくいくことがあります。大型犬でこれが成立しにくいのは、扉の向こうにいることが、音と振動で伝わってしまうからです。立ち上がる音、伏せ直す音、鼻を扉の下の隙間に当てる音。廊下を歩けば床が鳴ります。来客は気づかないふりをしてくれますが、こちらは会話のあいだずっと扉の側を気にすることになります。
ペットのにおいの側も、扉では止まりません。閉めた部屋のほうが空気が動かないので、そこにこもります。扉を開けて出すときに、こもったぶんがまとめて居間へ流れます。来客が座って30分たったころに急ににおいを感じるとしたら、たいていはこの瞬間です。別室に入れることで、ペットのにおいが来客に届く時刻を後ろにずらしているだけ、という形になりがちです。
面積の条件もあります。大型犬は体表の面積が広く、床に接する部分も広い。伏せたときに床に触れているのは、腹側と、脇と、肘と、尾のつけ根です。体が大きいほど、同じ1回の拭き取りで届く割合は下がります。片手で持ち上げて足の裏を確かめる、という手も使えません。だから、来客の前の短い時間でペットのにおいを全部まとめて整える、という組み立て自体が最初から無理をしています。
- 音:立つ・伏せる・歩く。どれも床を通って居間まで届きます
- 閉じた部屋の空気:出すときにまとめて流れ出ます
- 体表の面積:拭き取り1回で届く割合が、小さい子より低くなります
- 体重:抱えて動かせないので、位置はその子の意思に頼ることになります
- 視線の高さ:座った来客の顔と、その子の顔が近い高さで並びます
- 玄関の幅:人が入る動線と、その子の体が同じ幅を取り合います
人が苦手な子や、来客に強く反応してしまう子まで、会わせる前提にする必要はありません。ここで書いているのは、別室に入れても存在が伝わってしまう体格の子について、扉の内と外のどちらが落ち着くかを一度測ってみる、という話です。扉の内側で静かに眠っていられる子なら、そのままで構いません。爪の音が続いているなら、閉めていることが落ち着く材料になっていない、と読めます。
最初の30秒を設計する5つの手順|来客とペットのにおいを、立つ位置の順番で決める
ここからが手順です。やることは、来客が入ってくる前に位置を3つ決めておくことだけ。その子が座る位置、こちらが立つ位置、来客が最初に足を止める位置。この3つが決まっていると、最初の30秒に判断が入りません。判断が入らないぶん、こちらの動きが速くならず、その子も速くなりません。
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来客が入る前に、その子が座る位置を床に決めておく
玄関から見て、正面ではなく斜め前、人が靴を脱ぐ場所から1メートル半ほど離れた床です。壁が背中側に来る位置を選んでください。大型犬は、正面に立つと体の幅で通路をふさぎます。斜めなら、来客が上がるときに体をよけずに通れます。マットや敷物を1枚置いて、そこが位置だと決めておくと、毎回同じところに座れるようになります。
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玄関で、その子を人の後ろに立たせない
後ろに回ると、来客の背中側から近づく形になります。来客が振り向いたときに顔が近いのが、いちばん驚かれる形です。こちらがその子と来客のあいだに立つのではなく、その子の斜め後ろに立って、来客からその子が最初から見えている状態にします。大型犬は見えていれば身構えられますが、急に現れると人のほうが対応できません。
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最初に嗅がせる時間を10秒だけ取る
来客が上がって靴をそろえたら、その位置から動かずに、手の甲を下げてもらいます。その子は座ったまま鼻を伸ばします。10秒で足ります。ここを飛ばして居間へ通すと、そのあと会話のあいだじゅう来客のまわりを回ることになります。においを確かめる時間を先に渡してしまうほうが、結果として来客に近づく回数が減ります。数えるのはこちらです。声に出さず、頭の中で10まで数えて切り上げてください。
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10秒が終わったら、自分の場所へ戻す
居間に、その子の場所をもう1つ作っておきます。来客が座る椅子やソファから、2メートル以上離れた壁ぎわです。声をかけて、そこまで一緒に歩いてから座らせます。引っぱるのではなく、こちらが先に歩いて、その位置で止まる。大型犬は体重で止められないので、力ではなく順番で動かします。ここまでで、玄関からの30秒が終わります。
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来客が座ってから、こちらから呼ぶ
来客が腰を下ろして、飲み物が出て、会話が始まってからです。呼ぶのはこちらのタイミングで、来客に呼んでもらわないこと。来客が呼ぶと、その子は立ち上がる理由を来客の側に持ちます。次からは、来客が座るたびに立ち上がるようになります。こちらが呼んで、来客の正面ではなく横に来させて、そこで伏せさせる。伏せたら、それ以上は動かしません。
| 時間 | その子の位置 | こちらがやること |
|---|---|---|
| インターホン | 玄関の斜め前、敷物の上 | 扉を開ける前に、座っているのを確かめる |
| 0〜10秒 | 同じ位置のまま | 来客に靴をそろえてもらう。動かさない |
| 10〜20秒 | 同じ位置で鼻だけ伸ばす | 手の甲を下げてもらい、頭の中で10数える |
| 20〜30秒 | 居間の壁ぎわへ移動 | こちらが先に歩いて、その位置で止まる |
| 30秒〜 | 壁ぎわで伏せる | 来客に先に座ってもらう |
| 会話が始まってから | 呼ばれて来客の横へ | こちらから呼ぶ。伏せたら動かさない |
ペットのにおいへの手当ては、この手順の中に組み込みます。来客が来る前にやるのは、床に接する面と、来客の顔に近づく面の2つだけです。伏せたときに床につく腹側と肘、そして玄関で顔を近づけることになる口のまわり。腹側と肘は、その子の毛づくろいがまず届かない面で、体重が乗るぶん床のものがいちばん移るところでもあります。当日は湯で湿らせた布を固く絞って、この2か所を毛の流れに沿って一往復させる。5分で終わります。全身をやろうとすると、大型犬では30分かかります。
5つのうち1つだけ選ぶなら、3つめの10秒です。嗅ぐ時間を先に渡さないと、そのぶんが会話のあいだに分割して現れます。逆に後回しにしていいのは、5つめの呼ぶところです。来客が短時間で帰るなら、壁ぎわで伏せたまま終わっても構いません。
30秒がうまくいかない日|来客が続く週に、大型犬のにおいで据え置く頻度と上げる頻度
手順を決めても、うまくいかない日が出ます。つまずくところは、だいたい3つに絞れました。1つめは、インターホンが鳴った時点でその子がもう玄関にいる場合です。位置に座らせてから扉を開ける、という順番が崩れると、そのあとの30秒は全部ずれます。対処は簡単で、インターホンが鳴ったら扉を開ける前に一度その子を敷物まで戻す。来客を10秒待たせて構いません。
2つめは、来客が犬に慣れていて、玄関で先に手を伸ばしてくれる場合です。好意なので止めにくいのですが、ここで頭の上から触られると、その子は立ち上がります。先に一言だけ伝えておきます。「上がったところで10秒だけ嗅がせてもらえますか、そのあとで触ってください」。順番の指定であって、触るなという話ではないので、伝えても角が立ちません。
3つめが、来客が続く週です。週に2回、3回と来客があると、こちらは触る回数を増やしたくなります。ここで頻度を上げると、大型犬では触られている時間そのものが長くなります。体表の面積が広いぶん、1回の拭き取りにかかる時間も長い。回数を増やすほど、その子にとっては来客の前が長く拘束される時間帯になり、玄関で落ち着きにくくなります。
| 内容 | そう決める理由 | |
|---|---|---|
| 据え置く | 体を拭き取る回数 | 面積が広いぶん、1回あたりの拘束時間が長くなります |
| 据え置く | ブラッシングの回数 | 来客の直前に増やすと、玄関で立ち上がりやすくなります |
| 据え置く | 洗う回数 | 乾ききるまでの時間が長く、来客の日に間に合いません |
| 上げる | 寝床の布を洗う頻度 | 体ではなく布の側なので、その子の負担が増えません |
| 上げる | 床の拭き取りの頻度 | 伏せる位置が決まっているので、そこだけで足ります |
| 上げる | 換気を回す頻度 | 閉じた部屋にこもるぶんを、来客の前に流しておけます |
| 上げる | 食器を洗う頻度 | 口のまわりのにおいの出どころが1つ減ります |
分け方は1つで、その子の体に触る側は据え置き、ものと部屋の側は上げる、です。大型犬でペットのにおいに手を入れるとき、体は面積のぶんだけ時間がかかりますが、寝床の布と床と食器は体格に関係ありません。来客が続く週に増やすなら、そちらから増やします。
特定の一か所だけが強い、拭き取っても半日で戻る、地肌が赤い、同じ場所をなめ続けている、耳を振る回数が増えた、体をこすりつける場所が増えた、食べる量が落ちている。こうした変化が重なっているときは、ペットのにおいを来客の話として扱わず、手順を増やす前に動物病院にご相談ください。大型犬では、伏せたときに体重がかかる肘や脇が見えにくく、気づくのが遅れがちです。迷ったときは早いほうを選んで構いません。
3回の来客で当日の手が半分になった|大型犬とペットのにおいを前日へ動かすコツとやり方
同じ友人に、3回続けて来てもらいました。1回目は別室に入れて、扉の音が15分続きました。2回目から手順に切り替えて、玄関の敷物に座らせ、10秒嗅がせてから居間の壁ぎわへ。座るまでにかかったのは、2回目が4分、3回目は玄関で座ったままでした。3回目には、来客が座ってからこちらが呼ぶまで、壁ぎわから動きませんでした。
| 1回目 | 2回目 | 3回目 | |
|---|---|---|---|
| 会わせ方 | 別室に入れた | 玄関の敷物で迎えた | 同じ |
| 当日にかけた時間 | 35分 | 12分 | 6分 |
| 拭き取った場所 | 全身をひと通り | 腹側と肘、口のまわり | 同じ2か所 |
| 前日にやったこと | なし | 寝床の布を洗った | 布と、伏せる位置の床 |
| 扉の音・玄関での動き | 扉の音が15分 | 玄関で4分立っていた | 座ったまま |
| 来客に言われたこと | 「大きいね」だけ | 「落ち着いてるね」 | 何も言われず |
変わったのは当日ではなく前日です。大型犬でペットのにおいを当日に何とかしようとすると、体表の面積のぶんだけ時間が足りません。前日にできることを3つに絞りました。寝床の布を洗って乾かすこと、居間で伏せる位置の床を1か所だけ拭くこと、そして前の晩に体を洗っておくことです。位置が決まっているので、拭く床は1か所で足ります。はじめの2つは、その子に触らずに終わります。
3つめを前日に置けるようになったのは、洗う手順そのものが短くなったからです。体重が30キロを超えると、泡を被毛の上からのせてかき分けていくやり方では、地肌まで届く前にこちらの手が終わります。届いていなかったのは、たいてい腹側と肘でした。mofuwa 入浴シャンプーはお湯に溶かして使うもので、浸かっているあいだに全身が同じだけ湯に触れます。セラミドが入っているので、乾かしたあとにトリートメントの工程を足さずに済みます。すすぎが軽く済むぶん、浴室にいるのは前の半分ほどで、乾かす時間を足しても来客の前の晩に収まりました。当日の6分がそれ以上減らなかったのは、洗う日を来客の週に置けていなかったからです。
当日にペットのにおいへ使うのは6分です。玄関の敷物を出す、腹側と肘を一往復、口のまわりを一往復、窓を開けて換気を10分。来客の前にやることが減ったのは、においが減ったからではなく、手を入れる場所が2か所に決まったからです。大型犬では、どこをやるかが決まっていないことのほうが時間を食います。
帰宅後の話も1つだけ。来客が帰ったあと、その子は壁ぎわからすぐには動きません。ここで呼び戻して撫でると、来客のあとに人が構ってくれる、という順番を覚えます。次の来客で、こちらが呼ぶ前に立ち上がるようになります。帰ったあとの10分は放っておいて、こちらは窓を開けて空気を入れ替える。それだけにしています。
会わせないという選択が使えないのは、不便なことのように見えます。ただ、選択肢が1つしかないぶん、組み立てるべきものが最初の30秒に絞られました。玄関の敷物、10秒、居間の壁ぎわ。この3つだけ決めておけば、来客のたびに考え直す必要がありません。大型犬と暮らす家で、来客とペットのにおいの話が短く終わるようになったのは、体に手を入れる時間を増やしたからではなく、位置と順番のほうを先に決めたからでした。
Product
mofuwa 入浴シャンプー
400ml / 3,410円(税込)
浸かるだけで洗える入浴タイプ。「泡立て・ごしごし・すすぎ」の3手間を省けるので、高齢のペット・大型犬・多頭飼いのご家庭に向いています。
商品ページを見るよくある質問
- 来客が犬をこわがっている場合でも、会わせる前提にするべきですか。
- その場合は無理に会わせないでください。ここで書いた手順は、別室に入れても存在が伝わってしまう体格の子について、扉の内と外のどちらが落ち着くかを一度測ってみる、という組み立てです。こわがっている来客がいる日は、こちらが玄関で受けて、その子は居間の壁ぎわで伏せたまま、という形でも構いません。位置を決めておくという部分だけを使ってください。
- 来客の直前に体を洗っておいたほうがいいのでしょうか。
- 大型犬では、乾ききるまでの時間が来客の予定に収まらないことが多いので、前日までに終わらせるか、当日は水を使わない日のケアに切り替えるほうが現実的です。当日にやるのは、床に接する腹側と肘、そして顔に近づく口のまわりの2か所です。毛の流れに沿って布で一往復させると5分ほどで終わります。
- 10秒嗅がせるあいだ、来客にはどうしていてもらえばいいですか。
- 上がったところで立ち止まったまま、手の甲を体の横に下げてもらうだけで足ります。頭の上から触らない、しゃがまない、目を合わせ続けない。この3つを先に伝えておくと、来客の側も何をすればいいか分かって楽になります。10秒を数えるのはこちらの役目です。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
