C09シーン別・暮らし
旅行とペットホテルを楽にする、多頭飼いの人の毎日の習慣
4泊5日の旅行から帰り、3頭を車に乗せて10分ほど走ったところで、後部座席の左と右でにおいが違うことに気づきました。家では3頭とも同じ部屋で寝て、同じソファに乗り、同じ床を歩いています。ところが預け先では、5日間ずっと別々のケージに入っていました。隣で寝ることも、互いに体をこすりつけることもなかった5日間です。多頭飼いの家がペットを預けると、迎えの日だけ、においが頭数ぶんに分かれます。家では一度も分かれたことのないものが、その日だけ分かれている。この記事は、旅行でペットを預けたあとの帰り道を、1頭ずつの基準をつくる時間に使うという話です。
3頭を迎えに行った車の中で、においが1頭ずつ違いました|多頭飼いの家が旅行でペットを預けた経験
うちは犬が3頭です。年齢も体格もばらばらで、家の中ではだいたい同じ場所にいます。夏の旅行で4泊5日、3頭を同じ施設に預けました。同じ施設でも、ケージは1頭ずつ別です。並びは隣どうしでしたが、あいだに仕切りがあり、5日間、体が触れることはありませんでした。多頭飼いをしていると、この状態は家では起こりません。旅行でペットを預けるという判断のときに考えていたのは、食事とお薬のことだけで、その5日間に何が起きるかまでは想像していませんでした。
迎えに行った日は夕方でした。3頭を順番に車へ乗せて、走り出して10分ほどたったころ、後部座席のにおいが左と右で違うことに気づきました。信号で止まったときに、いちばん近くにいた子の首のあたりに鼻を近づけました。次の信号で、真ん中の子。次の交差点で、いちばん奥の子。3頭とも、においの強い場所が違いました。強さの話ではありません。出ている場所が、1頭ずつ違っていたということです。
- いちばん上の子:口のまわりが強い。首から下はほとんど何も感じない
- 真ん中の子:耳のつけ根。頭をなでた手に、あとからにおいが移る
- いちばん下の子:背中の毛の中。手のひらが少しぬるつく
- 3頭に共通していたもの:足の裏。これは3頭とも同じくらいだった
- 気づけなかったもの:家で同じことをやっても、3頭の差は分からない
家に帰ってからも同じことをやってみました。玄関を上がって30分ほどしてから、もう一度1頭ずつ順番に。そのときにはもう、車の中で分かったほどの差はありませんでした。3頭は玄関で合流して、廊下を一緒に走って、いつものソファに3頭で乗ったあとでした。ほんの30分です。それだけで、分かれていたものは混ざりはじめていました。旅行でペットを預けた帰り道の、あの数十分がどれだけ特別な時間だったのかは、家に着いてから分かりました。
3頭は同じ施設に、同じ日数、同じ条件で滞在していました。だから施設の側から加わったものは、3頭にほぼ等しくかかっています。等しくかかっているものは、3頭を比べるときには差になりません。3頭のあいだに出た違いは、その子自身の側から出ているものです。条件をそろえた比較になっている、というのが、この帰り道のいちばん大事な性質です。多頭飼いの家で、これほど条件のそろった比較ができる日は、ほかにありません。
家にいるあいだは、においが頭数ぶんに混ざる背景|多頭飼いで旅行にペットを預ける前と後で変わるもの
多頭飼いの家では、体についたものが互いに移ります。移る経路は1つではありません。同じ寝床で寝る、同じソファに乗る、同じ床を歩く、同じ器から水を飲む。それに加えて、犬どうしは互いの顔や耳を舐めます。1日のうちに、直接触れる回数だけで数十回にはなります。ここに、同じ部屋の空気を24時間吸っていることが乗ります。家にいる限り、3頭のにおいは時間がたつほど1つに近づいていきます。
そこへ、こちらの鼻の側の事情が重なります。同じ家に住んでいると、その家のにおいは背景になって意識に上がらなくなります。混ざっているうえに、気づけない。多頭飼いの家で「うちの子たちがにおう気がする」と感じたときに、どの子から出ているのかが決められないのは、鼻が悪いからではありません。分かれていないものは、そもそも分けて読めないという、ただそれだけのことです。
旅行でペットを預けるという場面には、送り出す側の準備の話がたくさんあります。食事の量、お薬、持ち込む布、連絡先。そのどれもが「行く前」の話で、帰り道の話はほとんど出てきません。迎えに行った日にやることといえば、家に帰って落ち着かせて、ふだんの生活に戻すことくらいです。多頭飼いだと、帰宅後の室内はしばらく騒がしくなるので、なおさら手が回りません。それで、いちばん条件のそろった数十分が、毎回そのまま過ぎていきます。
| いつ | 3頭の状態 | そこで分かること |
|---|---|---|
| ふだんの家の中 | 混ざっている | 家全体として強いか弱いか |
| 預ける前日 | 混ざっている | 3頭ぶんの合計としての出発点 |
| 預けている5日間 | 分かれている | こちらには見えない |
| 迎えの帰り道 | 分かれたまま | 1頭ずつの出どころと強さ |
| 帰宅から30分後 | 混ざりはじめる | 差が読めるのはここまで |
| 帰宅の翌日以降 | 混ざっている | また家全体としてしか見えない |
表にすると、読み取れる幅が広いのは1行だけだと分かります。迎えの帰り道だけが、3頭を1頭ずつに分けて読める行です。そしてこの行は、年に1回か2回しか来ません。旅行のたびにペットを預けている家でも、多くて数回でしょう。多頭飼いで毎日の時間が頭数で割られている家ほど、この数十分の価値は高くなります。ここで手に入るものは、あとから家の中でつくり直すことができないからです。
預けた帰りにしか1頭ずつを測れない理由|旅行でペットを預ける日を、基準づくりの日にする
やることは単純です。迎えに行く前に、頭数ぶんの紙を用意しておく。3頭なら3枚。手帳の3ページでも、スマートフォンのメモを3つ立てておくのでもかまいません。大事なのは、迎えに行ってから用意しないことです。受け取りの手続きをして、荷物を積んで、3頭を車に乗せている最中に紙を探すことになると、その時点でもう帰り道は始まっています。多頭飼いの家で旅行のあとにいちばん足りないのは、手ではなく段取りのほうです。
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車に乗せる順番を、施設に着く前に決めておく
3頭を一度に出さず、1頭ずつ乗せます。順番はどれでもかまいませんが、毎回同じ順番にしておくと、次に旅行でペットを預けたときと比べられます。先に乗せた子から順に、乗せた場所も固定します。多頭飼いだと、車内で位置が入れ替わるだけで、あとから「どの子だったか」が分からなくなります。
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乗せる直前の30秒を、その子だけに使う
リードを持ったまま、3か所に鼻を近づけます。口のまわり、耳のつけ根、背中の毛の中。1か所10秒で足ります。30秒×頭数なので、3頭でも1分半です。この時点ではまだ体が触れ合っていないので、いちばん条件のよい状態です。触って確かめるのは、手のひらのぬるつきだけにします。
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3段階だけ書く
「強い・ふつう・弱い」の3段階です。数値も、言葉での描写もいりません。3か所×3段階なので、1頭につき3文字。書くことを増やすと、次の子を乗せるまでに終わりません。3頭ぶんで9文字。これが帰り道でつくれる、いちばん現実的な基準です。
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家に着いたら、玄関で合流させない
着いてからも1頭ずつ入れます。多頭飼いの帰宅後は、玄関で3頭が一気に合流して、そこから室内を走り回ります。合流した瞬間から、分かれていたものは混ざりはじめます。3枚のメモが書けていないなら、玄関の前で残りを書いてから入れてください。1分あれば終わります。
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3枚を突き合わせて、いちばん強い1か所に印をつける
その日のうちにやります。3頭ぶんを並べると、たいてい重ならない場所が出ます。重ならなかった場所が、その子の側から出ているものです。ここに印をつけた紙が、翌日からの毎日の順番を決めます。3頭に同じことをやる必要がなくなる、という意味です。
迎えに行った日に、その場でスプレーを使ったり、体を拭いたりしたくなります。この日だけは、測ってから触る順番にしてください。先に手を入れると、比べるための材料そのものが消えます。旅行でペットを預けたあとの手当ては、家に着いてからでも、翌日でも間に合います。逆に、1頭ずつに分かれた状態は、この数十分を過ぎたら二度と戻ってきません。順番を入れ替えるだけで、失うものがなくなります。
もうひとつ、多頭飼いだからこそ読めることがあります。3頭を比べたときに、3頭とも同じくらい強い場所が出ることがあります。うちの場合は足の裏でした。3頭に等しく出ているものは、その子の側の事情ではなく、共通の条件から来ています。預け先の床、こちらの家の床、散歩の道。1頭ずつの差と、全頭に共通するものを、同じ1回で分けて拾えるのが、多頭飼いの帰り道です。1頭で暮らしている家では、比べる相手がいないので、この分け方はできません。
旅行でペットを預ける回数が少ない家でも、この考え方はそのまま使えます。1泊でも、日帰りの一時預かりでも、体が触れ合わない時間があれば、その時間ぶんは分かれます。分かれる量は短いほど小さくなりますが、口のまわりと耳のつけ根くらいなら、半日でも差が出ます。大事なのは日数ではなく、分かれた直後に測ることです。
基準が3枚になると、毎日のケアの順番が決まる|多頭飼いの家に残る考え方
帰宅後の翌日から、毎日やることが変わりました。それまでは、3頭を順番にブラシで一巡させて、気が向いたときに全頭の足の裏を拭く、というやり方でした。3頭に同じことをしていたのは、どの子に何が必要なのかを知らなかったからです。多頭飼いで1頭あたりの時間が3分の1になるとき、全頭に同じ手を配ると、どの子にも足りない量しか回りません。3枚のメモは、その配り方を変えるための材料でした。
| 毎日やること | かかる時間 | 週に1回まわすこと | |
|---|---|---|---|
| いちばん上の子 | 食後に口のまわりを拭く | 20秒 | 寝床の布を洗う |
| 真ん中の子 | 耳の外側を一往復 | 20秒 | 頭をなでた手のにおいを確認 |
| いちばん下の子 | 背中を毛の流れに沿って | 30秒 | 手のひらのぬるつきを見る |
| 3頭に共通 | 帰宅後に足の裏 | 1頭15秒 | 玄関マットを替える |
合計しても2分かかりません。以前より短くなったのに、手が届いていない感じが減りました。やることを減らしたのではなく、やる場所を1頭ずつ違うものにしただけです。多頭飼いの毎日でいちばん消えていくのは、迷っている時間です。今日はどの子から、どこをやるのか。それが決まっていれば、帰宅後の室内が騒がしくても手は動きます。習慣として残るのは、迷わなくてよくなった形のほうでした。
洗う日のほうも、預けた帰りに1回だけ入れています。背中の真ん中と、腰から後ろ足のつけ根は、3頭とも自分では届かない面です。互いに舐め合うのは首から上までで、そこから後ろだけは、どの子も人が代わるしかありません。3枚のメモで差が出たのも、たいていこの面でした。mofuwa 入浴シャンプーは、お湯に溶かして、湯そのものを洗浄液にするタイプです。浸かるだけで全身に行きわたるので、泡立てる工程も、被毛をかき分けて擦る工程もありません。1頭ごとに湯を張り替えても、擦る工程がないぶん、3頭ぶんが一日の枠に収まります。順番は、帰り道のメモでいちばん強かった子から。同じ日に続けて通すと、3頭の差が、比べられる状態のまま残ります。
この基準は日持ちしません。家に戻れば3頭はまた混ざりますし、季節が変わればにおいの出方も変わります。だから、次に旅行でペットを預ける日が来たら、また同じことをします。紙を頭数ぶん用意して、乗せる順番を決めて、1頭30秒。前回のメモと並べれば、1年で何が変わったかも見えます。年に1回か2回しかない機会ですが、多頭飼いの家にとっては、それが唯一の測定日です。
ひとつだけ、切り分けておきたいことがあります。迎えの日に見た強さが、日を追って増えていく。同じ場所を舐め続けている。地肌が赤い。拭いても半日で戻る。こうした変わり方は、割り振りの話ではありません。1頭だけ食欲が落ちている、耳を振る回数が増えた、といったことが重なっているときも同じです。手当ての回数を増やす前に、動物病院にご相談ください。多頭飼いだと、1頭の変化がほかの子の様子に紛れます。比べられる相手がいる、というのは、気づける条件でもあります。
旅行でペットを預けるのは、多頭飼いの家にとって手のかかる行事です。書類も、荷物も、費用も、頭数ぶんかかります。それでも、帰り道の数十分だけは、頭数ぶんの見返りがあります。家の中では一度も分かれない3頭が、その日だけ分かれている。分かれているうちに、1頭ずつのふつうを書きとめておく。次の毎日は、そこから決まります。旅行の準備が「行く前」で終わらなくなると、帰ってきてからの時間の使い方も変わります。
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商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
