C09シーン別・暮らし
賃貸でにおいが気になる人のための帰省|5分で終わらせるケア
帰省の前日、押し入れからキャリーを出して床に置いた5分後に、部屋の空気が少し変わったのが分かりました。2か月しまい込んでいたキャリーは、扉を閉じたまま置かれていたぶん、前に使ったときのものがそのまま中に残っていました。ペットと暮らす賃貸の1LDKで、床にも窓にも自分なりに手を入れてきたつもりでした。それでも実家の玄関を上がったとき、母が最初に目を向けたのは、その子ではなく私が下ろした荷物のほうです。においを言われるとしたら体からだろうと思い込んでいたので、荷物を見られたことのほうが意外でした。この記事は、帰省の準備を体の側ではなく荷物の側から組み直した話です。
母が目を向けたのは、その子ではなく床に置いた荷物でした|賃貸から帰省した日の経験
出発の前夜にやったことを、順番に書きます。フローリングに掃除機をかけ、ソファのカバーを洗い、窓を2か所開けて1時間ほど換気をしました。その子には夜のうちにブラシをかけ、足の裏と口のまわりを拭き取りました。体の側の準備は、思いつく範囲で全部やったつもりでいました。キャリーは押し入れから出して玄関に置き、寝床に敷いている布をたたんで、食器を袋に入れて、それで支度は終わりです。
翌日、実家の玄関を上がりました。母は犬も猫も飼ったことがありません。その子を見て「大きくなったね」と言ったあと、視線が下がって、私が三和土に置いたキャリーで止まりました。「これ、ちょっとにおうかも。廊下じゃなくて縁側に置いてくれる」言い方は柔らかかったのですが、指されたのはその子ではありませんでした。前夜に手を入れたのは体のほうだけで、キャリーは押し入れから出しただけです。
そのあと、袋から寝床の布を出して敷きました。母がもう一度、今度は何も言わずに窓を開けました。夕方には食器を台所で洗おうとして、外の水道でいいかと聞かれました。その日、においの話題として扱われたのは、キャリーと布と食器の3つだけです。賃貸でペットのにおいとして毎日気にしてきたのは床と壁とカーテンだったので、自分が持ち込んだ荷物が話題になるとは考えていませんでした。
- キャリー:使ったあと閉じたまま押し入れへ入れています。乾ききる前に閉めた回もありました
- 寝床の布:毎日その子が乗っています。洗うのは週に1回で、乾かすのは室内です
- 食器と水の器:洗ってはいますが、袋に入れて持ち出したのは初めてでした
- おもちゃ:口に入るものなのに、洗った記憶がありません
- 移動用のシート:車の後部座席に敷きっぱなしで、外していませんでした
- ハーネスとリード:雨の日に濡れたあと、玄関にかけて乾かしています
犬猫のいない家の鼻は、こちらの家の空気に順応していません。母は、うちの部屋のにおいを一度も嗅いだことがない状態で、荷物だけを受け取っています。つまり実家に持ち込まれたのは、部屋のにおいの見本のようなものです。賃貸の部屋そのものは持っていけませんが、その部屋の空気をいちばん長く吸ってきた布と器は、まるごと運ばれます。ここを分かっていれば、前夜にやることは変わっていました。
ペットのにおいを運ぶのが荷物になる背景|賃貸の部屋で、布と器に溜まっていくもの
なぜ体より荷物なのか。理由は単純で、接している時間の長さが違うからです。その子の体は、毎日動いて、こすれて、なめられて、少しずつ入れ替わっています。布はそうではありません。同じ面が同じ向きで置かれ続け、そこへ皮脂と、抜けた毛と、口のまわりの水分が毎日積み重なります。1日ぶんでは分かりませんが、半年ぶんは分かる形で残ります。
賃貸で暮らしていると、この積み重なり方に条件が1つ足されます。布や器の置き場所を、こちらの都合で動かせないことです。収納が限られているので、キャリーは押し入れの決まった段に入ります。寝床は家具の配置で決まり、いちど決まるとほとんど動きません。食器の位置も、台所の広さで決まっています。同じ場所に置かれ続けたものは、その場所の空気の条件をそのまま受け取り続けます。
もう一つ、乾き方の条件があります。集合住宅では洗った布を室内に干すことが多く、乾ききるまでの時間が長くなります。雑菌が増えるのは、湿ったものが乾かないまま置かれている場所です。においが強くなるかどうかは、洗った回数より、洗ったあと何時間で乾ききったかのほうに引っ張られます。換気を回しているつもりでも、押し入れの中と、家具に囲まれた寝床の下には、風が通っていないことがあります。
| 持ち物 | 何が乗っているか | 賃貸でとくに溜まりやすい理由 |
|---|---|---|
| キャリー | 皮脂と毛。移動中の水分 | 使ったあと閉じてしまうので、内側が乾ききらないまま保管されます |
| 寝床の布 | 皮脂とよだれ。体温で温まった時間 | 室内干しで乾く時間が長く、置き場所も動かせません |
| 食器・水の器 | 食べかすと、器の表面の膜 | 台所が狭く、洗ったあとの水切り場所が固定されています |
| おもちゃ | 唾液と、床から拾ったもの | 洗う習慣がつきにくく、寝床の近くに置かれ続けます |
| 移動用シート | 足の裏と腹側から移ったもの | 車に敷いたままなので、家の換気とは無関係に温まります |
| ハーネス・リード | 首まわりの皮脂と、外の水分 | 玄関にかけたまま乾かすので、風の通り道から外れています |
ペットのにおいの出どころとして、この表を並べるとはっきりすることがあります。6つのうち5つは、その子の体ではなくものの側です。帰省の前にブラシを何度かけても、キャリーの内側と寝床の布は変わりません。体を拭き取るのは1回で終わりますが、布は1日ぶんの皮脂を毎日受け取り続けています。持っていくときに、その差がそのまま実家の畳の上へ移ります。
そしてもう1点。賃貸のペットのにおいを気にしている人ほど、部屋の側に手を入れてきています。床の拭き取り、こまめな換気、消臭のできるスプレー。手を入れた結果として、部屋の空気は自分の鼻には分からなくなっています。ここが逆転していて、部屋のにおいに気づけない人ほど、荷物のにおいにも気づけません。帰省は、その気づけていない部分だけを他人の家へ運ぶ日になります。
他人の家の基準がこちらより厳しくなる理由|帰省の前に、体ではなく荷物へ手を入れる考え方
実家の基準がこちらより厳しいのは、家族が神経質だからではありません。犬猫がいない家には、比べる相手としての「うちのにおい」が存在しないからです。こちらの家では、そのにおいが背景になっていて、強くなったか弱くなったかしか判断していません。実家では、何もない状態に足されたものとして受け取られます。同じにおいでも、受け取り方の起点が違います。
畳とカーペットの家では、条件がもう1つ足されます。畳は目の方向に沿ってものを抱え、カーペットは立った毛のあいだに絡めます。賃貸のフローリングは表面で止まるので、拭き取りが1回で完結していました。実家の床はそうではありません。荷物を置いた場所と、その子が伏せた場所は、こちらが帰ったあとも家族が使い続けます。だから、ペットと一緒に持ち込む量そのものを減らしておくほうが早く終わります。
ここまで分かった上で、出発前の5分をどこに使うかを決めます。答えは荷物の側です。体は前夜に1回拭き取れば足りますが、荷物は前夜に手を入れないと当日は間に合いません。順番を書きます。
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3日前:キャリーの扉を開けて、風の通る場所に出しておく
押し入れから出すのは前日ではなく3日前です。閉じたまま保管された内側は、開けてから乾ききるまでに時間がかかります。窓を開けたときに換気の風が通る位置へ、扉を開けたまま置いてください。その子が中に入って昼寝をしても構いません。当日に初めて出すより、においの面でも、その子が中に入る面でも楽になります。
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2日前:寝床の布を洗って、完全に乾ききるまで待つ
前日に洗うと、賃貸の室内干しでは乾ききらないまま袋に入ることになります。湿ったまま袋に入れた布は、移動の数時間でいちばん強くなります。2日前に洗って、丸1日以上かけて乾かす。触って冷たく感じる部分が残っていたら、まだ乾いていません。厚みのある縁の部分から確かめてください。
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前日:食器と水の器を、袋ではなく蓋のある容器に入れる
食器は洗ってあっても、表面の膜が残っていることがあります。指でこすってぬるつくなら、もう一度洗ってから完全に乾かしてください。乾いたら、布の袋ではなく蓋のある容器に入れます。布の袋は、食器のにおいをそのまま吸って、帰りまで抱えます。
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前日:おもちゃと移動用シートは、持っていくものを2つまでに絞る
帰省の日数ぶんに必要なものだけにします。おもちゃは洗って乾かせるものを1つ。移動用シートは、車に敷きっぱなしのものではなく、洗って乾かしたものに替えます。持ち物を減らすこと自体が、持ち込むにおいの量を減らすいちばん確実な手です。実家で足りなければ、向こうで代わりのものを借りられます。
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当日の出発5分前:体は足の裏と口のまわりだけ
全身をやろうとすると出発に間に合いません。床に接する四つ足の裏と、食べたあとに残る口のまわり。この2か所だけを、少し湿らせた布で一往復させます。乾いた布でこすると、口のまわりの汚れは落ちずに広がります。玄関先で立たせたまま終わるので、体に使う時間は5分で足ります。残りの時間は荷物に使ってください。
この5つのうち、1つだけ選ぶなら3日前のキャリーです。閉じた空間で温まったものは、開けた瞬間にいちばん強く出ます。実家の玄関で下ろした荷物が最初に指されたのは、そこが理由でした。逆にいちばん後回しにしていいのは当日の体です。前夜に拭き取ってあれば、朝にもう一度やる必要はありません。
洗う日についても、同じ物差しで決められます。帰省のために回数を増やす必要はありません。変えるのは日付のほうです。前日に洗うと、賃貸の室内では乾ききらないまま車に乗せることになります。寝床の布を2日前に洗うと決めたのと、条件はまったく同じです。厚みのある首まわりと内股は、布の縁と同じで最後まで乾きません。触って冷たいところが残っていたら、まだ途中です。
浴室で長引くのは、泡を立てる時間より、流しきる時間のほうです。mofuwa モイストシャンプーは、シャンプーの中でいちばん量の多い「水」の側を変えてあります。原料の水は、精製水で薄めていない電解水(特許第5253483号の技術で作られたもの)です。薄めるための水を足していないので、アミノ酸系の洗浄成分は少ない量で足ります。足したものが少なければ、そのぶん流しきるまでが短くなり、濡れている時間も延びません。何割が電解水かという数字は出していませんが、ここで効いているのは割合ではなく、水の側を入れ替えたぶんだけ足すものを引けている、という組み立てのほうです。乾ききるまでを短くしたいなら、乾かす工程ではなく、その前の濡れている時間から削るほうが確実です。寝床の布を2日前に洗うと決めたのと、考え方はそろいます。2日前に洗って、寝床の布と一緒に乾かす。荷物を3日前から順に開けていく列に、この日も入れてしまうほうが手数が減ります。
同じ部屋にいると順応するので、荷物のにおいも背景になります。買い物などで30分ほど外に出て、帰宅後すぐに袋の口を開けて嗅いでみてください。賃貸の部屋の空気をいったん外の空気で入れ替えてから確かめると、実家の家族が受け取るものに近づきます。強い・同じ・弱いの3段階で足ります。数値にする必要はありません。この10秒を前日にやっておくと、当日に慌てて荷物を開け直すことがなくなります。
畳の上で起きた変化|賃貸に戻ってからの5日と、次の帰省へ持ち越すもの
次の帰省で、荷物の順番を変えてみました。3日前にキャリーを開けて廊下に置き、2日前に寝床の布を洗って丸一日干し、食器は蓋つきの容器に入れました。おもちゃは1つだけ、移動用シートは洗ったものに替えました。玄関を上がったとき、母は何も言いませんでした。縁側に置いてくれとも、外の水道でとも言われていません。同じ子で、同じ実家で、変えたのは荷物の側だけです。
| 1回目 | 2回目 | |
|---|---|---|
| キャリー | 前日に押し入れから出した | 3日前に扉を開けて換気の通る場所へ |
| 寝床の布 | たたんで袋に入れた | 2日前に洗い、丸1日以上乾かした |
| 食器・水の器 | 布の袋に入れた | 乾かしてから蓋つきの容器に入れた |
| おもちゃ | 3つ持っていった | 洗って乾かせるものを1つだけ |
| 体のケア | 前夜にブラシ、当日の朝にも拭き取り | 前夜に1回。当日は足の裏と口のまわりだけ |
| 実家で言われたこと | 置き場所と流しについて2回 | なし |
帰省先でペットの荷物を置く場所も決めました。キャリーは、家族が毎日通る廊下ではなく、風が通る位置の壁ぎわに置きます。寝床の布は、こたつ布団やソファではなく、持っていったマットの上に敷きます。食器は、台所の流しを借りるのではなく、洗面所か外の水道で洗って、そのまま乾かしてから容器に戻します。置き場所を先に決めておくと、家族に聞かれる前にこちらから言えます。説明ではなく、場所の申告だけで足ります。
帰宅後にやることも、5日に割りました。帰った日は、玄関で四つ足の裏を拭き取るのと、布を洗濯機に入れるところまで。翌日にキャリーを開けたまま干し、3日目に食器と水の器をもう一度洗い、4日目におもちゃを洗い、5日目に移動用シートを洗って乾かします。帰宅後の夜に全部やろうとすると、たいてい布だけで終わって、キャリーは閉じたまま押し入れへ戻ります。次の帰省で困るのは、そこで戻したキャリーです。
賃貸のペットのにおいを部屋の側から追いかけていたころは、床と壁とカーテンばかり見ていました。手が届く範囲を全部やっているつもりで、押し入れの中と、家具に囲まれた寝床の下と、玄関にかけたリードだけが、ずっと同じ条件のまま残っていました。帰省は、その残っていた部分を他人の家で見せられる日でした。年に何回かしかない日ですが、ペットと暮らす部屋の状態を外から測れる、数少ない機会でもあります。
最後に、切り分けておきたいことを1つ書きます。荷物に手を入れても、その子の体から出るにおいだけが強くなっていくとき、これは帰省の準備の話ではありません。特定の一か所だけが強い、拭き取っても半日で戻る、地肌が赤い、同じ場所をなめ続けている、耳を振る回数が増えた、食べる量が落ちている。こうした変化が重なっているときは、拭き取りの回数を増やす前に動物病院にご相談ください。賃貸で暮らしていると、部屋の側の問題として片づけてしまいがちです。迷ったときは、早いほうを選んで構いません。
帰省の準備は、体を整える日だと思っていました。実際に他人の家へ運ばれるのは、その子が毎日乗っている布と、毎日口をつけている食器と、閉じたまま保管されていた箱のほうです。持っていくものを3日前から順に開けていく。それだけで、実家の玄関で言われることが変わります。ペットと暮らす賃貸の部屋で、いちばん手が届いていなかった場所を教えてくれるのが、年に数回の帰省でした。
Product
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商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
