C14トリマー/獣医師視点
毛玉予防を「予防」と呼べる根拠
耳の後ろにブラシをひと通し入れて、毛先から3cmのところで止まった。毛玉予防の話は、この1つの位置から始めます。止まった深さを指で確かめて、前の週と同じ紙に書いておく。それだけで来週、その位置が毛先側へ戻ったのか、根元側へ下がったのかが分かります。毛玉予防を「予防」と呼べる根拠は、起きなかった毛玉の数ではなく、手を入れる前と後で同じものを測れているかどうかに置けます。ほどけた回数をいくら積み上げても、それは後始末の記録です。この記事では、サロンの現場で共有されている止まる深さの見方をたどって、犬と猫それぞれの起点と、うるおいと静電気の側から変えられる条件までを並べます。
ブラシが止まった位置を、前の週と比べているか|毛玉予防の経験が根拠に変わるところ
台に乗った子に最初にするのは、毛玉をほどく作業ではありません。背中にブラシをひと通しだけ入れて、どこで止まったかを指で確かめます。見る場所は耳の後ろ、脇の内側、尾のつけ根の3か所。止まった位置が毛先から3cmのところなのか、根元まで1cmのところまで下がっているのか。それだけを毎回同じ場所で見ていると、毛玉予防の経験が、人によって違う感覚から、その日測れる位置の話に移ります。ほどく作業はそのあとに回します。
止まる位置にこだわるのは、毛玉が点ではなく面で締まっていくからです。毛が1本ずつ絡むのではなく、隣り合った毛が寄って束になり、その束が根元の側から順に詰まっていきます。だから毛先の側で止まっているうちは、指で束を分けられます。根元まで下がると、被毛を引くと地肌ごと持ち上がるので、家の道具では戻りません。同じ毛玉という言葉でも、毛先で止まっているものと根元で締まっているものは、まったく別の状態です。
| 止まった深さ | 指を入れたときの手ざわり | その日にできること | 次に見る日 |
|---|---|---|---|
| 毛先から3cm | さらっと抜け、毛束が指で分かれる | ブラシの前に根元を湿らせる | 1週間後 |
| 毛先から2cm | 指が引っかかり、毛が束のまま動く | 束を毛先の側から少しずつ分ける | 3日後 |
| 根元から1cm | 引くと地肌ごと持ち上がる | その日はほどかず、範囲だけ書く | 翌日 |
| 根元で面になっている | ブラシの先が入らない | 家では触らず、範囲と日付を残す | 同じ日のうちに |
この表のいちばん上と2行目のあいだに、毛玉予防と呼べる範囲の線があります。手を入れる前と後で同じものを測れているときだけ、その手は予防のためにできることとして数えられます。毛先から3cmで止まっていた位置が、翌週も3cmのままだった。あるいは4cmまで戻った。これは前と後で同じ物差しを当てているので、根拠のある比べ方です。反対に、ほどけたかどうかだけを見ていると、比べるものが毎回変わってしまいます。毛玉予防の根拠は、位置が動いた向きのほうにあります。
締まっていく向きは決まっている|毛玉予防が根拠を持ちにくい背景
毛玉ができる条件は4つあり、どれも単独では面になりません。換毛期に抜けた下毛が毛の中に残る。静電気で毛同士が寄る。うるおいが抜けて毛が硬くなり、隣の毛の上を滑らなくなる。そこへ同じ向きのブラシが通る。この4つのうち2つ以上が同じ週に重なったところから、束ができはじめます。犬でも猫でも重なり方は同じで、変わるのは重なる場所だけです。
やりにくいのは、締まる向きが一方通行だという点です。一度寄った面に同じ向きのブラシを通すと、束は毛先側へほどけるのではなく、根元側へ押し込まれます。毛先から2cmだった位置が3日で根元から1cmまで下がるのは、この押し込みが毎日足されるからです。ほどく作業が後始末になってしまうのは、ほどく時点でもう向きが決まっているためです。毛玉予防を考えるなら、通す前に毛を滑る状態へ戻しておく側に手を置くことになります。
ここまでが仕組みの側の話で、根拠の側にはもう1つ事情があります。毛玉予防がうまくいった日には、何も起きません。起きなかったことは数えられないので、記録に残るのは毛玉ができた日と、ほどいた日だけになります。そのため毛玉予防の話は、どうしても「あの子は毛玉になりにくい子だった」という形の経験談に寄ります。位置を測るという手順を挟むのは、起きなかった日にも数字が残るようにするためです。
犬と猫で起点が違う|犬の毛玉予防の考え方を、3つの根拠から組む
毛玉予防の考え方を組み立てるとき、そろえておく根拠は3つです。起点が決まっていること、測り方が毎回同じであること、手を入れる前と後で測り直していること。3つのうち1つでも欠けると、変えた手が働いたのかどうかが読めなくなります。とくに欠けやすいのは1つ目で、気になった場所をその日ごとに見てしまうと、位置が動いたのか場所が変わったのかが混ざります。
| そろえる根拠 | 何を決めるか | 測り方 | 崩れるとき |
|---|---|---|---|
| 起点 | 見る場所を3か所に固定する | 耳の後ろ・脇の内側・尾のつけ根 | 気になった場所を足してしまう |
| 測り方 | ひと通し目で止まった深さ | 毛先から何cmかを指で数える | ほどいたあとに測ってしまう |
| 測り直し | 同じ曜日に1回だけ | 前の週の数字の隣に書く | 毛玉が出た日にだけ測る |
起点の置き方は、犬と猫で変わります。犬の毛玉予防の考え方は、人の手とブラシが届く範囲から組みます。耳の後ろと脇の内側は、ブラシが通っていても人の手のひらが地肌まで入りにくい場所です。猫はこれに舌が加わるので、届く範囲がもっと広い。そのぶん自分の舌が届かない背中の真ん中と腰の上だけが取り残され、長毛の猫ではそこへ脇の内側が加わります。犬は届く手の数で、猫は届かない角度で起点が決まります。
季節の側でも起点は動きます。換毛期は下毛の量が増えるので、3か所のうちいちばん深い位置が入れ替わります。春は脇の内側が先に詰まり、秋から冬は静電気が乗る背中の後ろ半分と尾のつけ根が先に来る、という順番になりやすい。起点を3か所に固定しておくと、この入れ替わりも数字の並びとして残ります。どこが先に来たかを覚えておくのは、翌年の同じ時期に手を早める根拠になります。
今月は5つほどけた、先月は8つだった。この数え方は、毛玉ができた回数を数えているので、後始末の記録です。ほどけた数が減ったのは、手が働いたからなのか、その月の湿度が高かったからなのか、被毛が短く切られていたからなのかが分かれません。数えるなら、ほどく前のひと通し目で止まった深さのほうです。止まった位置は、ほどく作業をする前にしか測れません。測る順番を逆にすると、その週のぶんは残らなくなります。
3週間で止まる位置はどこまで戻るか|毛玉予防の変化を家で測る
家で回す順番は4つです。測る、湿らせる、通す、同じ曜日に測り直す。このうち順番の話になるのは2番目で、うるおいを入れるのはブラッシングのあとではなく前になります。硬いままの毛にブラシを通すと、束は根元側へ押し込まれます。先に毛を滑る状態へ戻してから通すと、同じ力でも毛先の側に束が残ります。毛玉予防の変化として最初に出るのは、この止まる位置が1cm戻ることです。
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起点の3か所を紙に書いてから始める
耳の後ろ、脇の内側、尾のつけ根。その子の体で分かりにくい場所があれば、そこを写真に撮って紙に貼っておきます。毎週同じ場所を探す時間がなくなります。
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ひと通し目で止まった深さを、毛先から数える
力を足して通し切らないこと。止まったところで手を止めて、毛先から指2本ぶんか3本ぶんかを数えます。cmで書けなければ、指の本数のままで構いません。
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根元を湿らせてから、2回目を通す
毛の上ではなく、毛を分けた根元に入れます。硬さが抜けるまで20秒ほど待ってから通すと、同じ力で入る深さが変わります。
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同じ曜日に、前の週の数字の隣に書く
3週ぶんが並ぶと、戻っているのか下がっているのかが読めます。1週だけでは、その日の湿度と区別がつきません。
3番目で困るのは、湿らせた根元がそのまま毛づくろいの通り道になることです。犬は振り向いて届き、猫は起点の近くを舌で梳きます。mofuwa スキンケアミストは高機能性電解酸化水100%で、舌が通る場所に置くものとして、水そのものの規格を清涼飲料水の基準と同じ項目で確かめています。だから根元に入れたあと、舐められるかどうかを気にして手を止めずに済みます。水分の浸透力は精製水の35倍という自社の検証があり、被毛の上にとどまらず根元の側へ進みます。
スキンケアミストを使う場所は、止まる位置を測った3か所と同じでかまいません。べたつきが残らないので、20秒待ってそのままブラシを通せます。ブラッシングの前に置くものが乾いたあとも重く残ると、翌日の静電気が増えて、寄る条件のほうを足してしまいます。測る、入れる、通す。この3つが1回の流れにまとまっていると、毛玉予防の手順として思い出す手間がなくなります。
同じ考え方で使われているグルーミングスプレーについて、実際にお使いいただいている獣医師の近藤竜太先生から、こうご感想をいただいています。
「mofuwaグルーミングスプレーを日常のケアとして使用してもらうことにより、毛玉予防や被毛を清潔に保つことができます。スプレーしてブラッシングするだけなので、体力低下によりなかなかシャンプーができないシニア犬やシャンプーが苦手な猫ちゃんなどにもおすすめです。」
3週続けても位置が戻らない形もあります。同じ起点に4週連続で束が戻る。束をほどいたあとの地肌が赤い。束のあった場所の被毛が薄くなって地肌が見える。このいずれかが出ているときは、測ってきた止まる深さと日付の紙を持って、動物病院で地肌のほうを見てもらってください。位置の記録があると、いつから、どの起点で起きているかがその場で伝わります。
毛玉予防を「予防」と呼べる根拠は、起きなかった数ではなく、止まる位置が前の週より毛先側にあることです。測れる数字が1つあれば、その手を続ける理由も、変える理由も自分で決められます。起点を3か所に決めて、ひと通し目で止まった深さを数える。その位置に毎日うるおいを入れてから通す。この順番のまま、来週も同じ紙に書き足して続けてください。
近藤 竜太 先生/白金高輪動物病院 院長・獣医師(麻布大学卒/比較眼科学会所属)
東京都港区白金1-2-2 白金ザ・スカイ西棟1階
※実際にお使いいただいている獣医師のご感想で、本記事の監修を受けたものではありません。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見る掲載しているご感想は個人の感想であり、効果を保証するものではありません。本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。気になる変化が続く場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
