C02技術・エビデンス
エビデンスがある、と言えるための最低条件
試験成績書を1枚だけ机に広げて、指を3か所で止めてみると、エビデンスと呼べる条件がそろっているかどうかが見えます。止める場所は、試料の欄、検査時間の欄、それに検査機関の名前の欄です。何を測ったか、どんな条件で測ったか、誰が測ったか。この3つが最低条件です。ここでは条件がそろっている試験を1件だけ取り出して、7つの問いと答えの形で、そろっていない書き方との差を見ていきます。
エビデンスとは、何がそろっている状態のことですか
誰かが測った記録があって、その記録に、何を測ったか・どんな条件で測ったか・誰が測ったかの3つが書かれている状態です。言葉の強さは条件に入りません。数字の大きさも入りません。エビデンスという言葉が指しているのは、書かれた3つをたどれば別の人が同じ手順で測り直せる、という状態のことです。
3つのうち1つが欠けると、その数字は行き先を失います。試料の欄がなければ、測られたのが製品なのか原料の水なのか分かりません。検査時間の欄がなければ、一瞬の話か1日置いた話かが決まりません。検査機関の名前がなければ、あとから誰にも確かめ直せません。欠けた1つは、読む側が想像で埋めることになります。そして想像で埋めた部分が、いちばん先に大きく伝わります。
| 欄 | そこに書かれているもの | 欠けたときに起きること |
|---|---|---|
| 試料 | 測ったものの名前。製品か、原料に使っている水か | 製品の話と水の話が入れ替わる |
| 試験条件 | 接触させた時間、温度、比べた相手 | 数字の大きさだけが記憶に残る |
| 検査機関 | 測った人の名前。社内なら自社調べの表記 | 同じ手順で測り直せない |
この記事で扱う試験は1件だけにします。mofuwaが使っている電解水の、菌を対象にした試験です。1件を3つの欄に分けて読む練習をすれば、ほかの数字も同じやり方で読めます。数字を並べて多いほうを選ぶ読み方は、ここでは使いません。
なぜ数字だけでは足りないのですか|エビデンス なぜ条件がついてくるのか
条件が書かれていない数字は、料理の分量だけが残ったレシピと同じで、同じところにたどり着けないからです。「塩を大さじ1」とだけ書かれた紙を渡されても、何人分なのか、鍋の大きさはどれくらいなのか、いつ入れるのかが分かりません。分量は正しいのに、作れません。エビデンスの条件が要るのは、これと同じ理由です。
レシピで言えば、試料は材料の名前、試験条件は分量と火加減、検査機関は誰の台所で作ったかにあたります。3つがそろった紙は、渡された人がもう一度作れます。そろっていない紙は、書いた人しか作れません。自分しか作れない紙のことを、エビデンスとは呼びません。犬と猫のケア用品の資料でも、この線の引き方は変わりません。
材料の名前が試料、分量と火加減が試験条件、誰の台所かが検査機関です。味がよかったという感想は、どの欄にも入りません。感想は読む値打ちがありますが、再現の手がかりにはならないからです。数字を家に持ち帰るときも、感想の側と条件の側を分けて置いてください。
もうひとつ、レシピの例えには続きがあります。分量が書かれていても、その料理が体にどう働くかは、レシピの外の話です。試験の紙も同じで、測った条件までが紙の中、そこから先の暮らしは紙の外です。この境目を先に引いておくと、数字を読んだあとに言えることと言えないことが、自分で分けられるようになります。
条件がそろっている試験は、どんな1行になりますか|エビデンス 知りたいときの見本
mofuwaが使っている電解水を試料として、一般細菌を対象に、検査時間30秒後に生菌が検出されませんでした。試験は外部の検査機関に依頼したもので、江東微生物研究所ほか4社に分けて出しています。一般細菌のところには、大腸菌O157:H7や黄色ブドウ球菌といった菌の名前が並んでいます。これで3つの欄が埋まりました。
1行を欄ごとに読み直します。試料は製品ではなく原料に使っている電解水で、対象は菌の名前まで特定されていて、試験条件は30秒という接触時間で区切られていて、測った人は社外です。生菌が検出されなかったというのは、その方法で数えられる下限を下回ったという意味で、ゼロが確かめられたという意味ではありません。ここまでが紙の中です。
そして紙の外のことを書いておきます。この試験は水そのものを調べたもので、家の床や、その子の毛の上で測ったものではありません。30秒という区切りも、試験室で決められた接触時間です。家の中では、水がどこにどれだけ留まるかが場所ごとに違うので、同じ数字にはなりません。30秒で除菌できますという書き方をしないのは、そのためです。
特許5253483があれば条件を満たしますか|エビデンス 疑問が残るところ
満たしません。登録されているのは技術のほうで、その水の働きが証明されたという書類ではないからです。特許5253483が登録しているのは、電解槽を3つの部屋に区切って水を2か所から通す装置と、その製法です。審査で見られるのは、その作り方が新しいかどうかです。できた水が何をするかは、審査の対象に入っていません。
ただし、装置の話と試験の話は無関係ではありません。部屋を分ける構造にすると、電気を流すために足した電解質に由来するものが、取り出す水に持ち込まれません。混ざりものが入っていないので、飲みものに使う水の規格基準と同じ物差しで検査を受けられます(調査機関は江東微生物研究所)。つまり特許は、検査を受けられる水をつくる側の条件です。
- 特許5253483=装置と製法の登録。新しさが審査されている
- 規格基準の検査=その水に混ざりものがないかを外部で測ったもの
- 菌を対象にした試験=条件を決めて、生菌の数を数えたもの
- この3つは別の段にあり、1つが残りの2つを保証することはありません
浸透の速さを示す数字についても同じです。速いという言葉だけでは読めず、何と比べたかが書かれていて初めて読めます。番号・基準・試験を1つにまとめて語ると、いちばん強く聞こえるところだけが残ります。3つを分けて置くのが、エビデンスの条件を守った書き方です。
犬や猫の用品では見方が変わるのですか|犬 エビデンス なぜ出す側が条件を書くのか
変わるのは、効き目を審査する仕組みが用意されていないところです。犬や猫に使うスプレーやシャンプーの多くは雑貨にあたり、医薬品のような審査の手続きがありません。だから、犬と猫の用品で数字を出すときは、条件を書くかどうかが出す側の判断に委ねられます。書かなくても通ってしまう場所で、書くほうを選ぶかどうかという話になります。
mofuwaのスキンケアミストは、この水だけでできています。水は飲みものに使う水と同じ規格基準の検査を受けているので、口のまわりや耳の内側のように、そのあと舐めてしまう場所にも置けます。塗ったものが舐めて取れてしまう、という飼い主の声から出発した設計です。スキンケアミストを使う場面が広いのは、置ける場所を先に決めてから中身を決めた順番から来ています。
ここでも紙の中と外を分けます。先に出した試験は水を調べたものなので、スキンケアミストが菌を殺しますという形では書けません。書けるのは、使っている水がどんな条件でどう測られたか、という事実までです。エビデンスの条件を守るというのは、言えることを減らすほうへ働きます。それでも減らしたほうが、読んだ人が自分で判断できます。
成分の話も同じ構えです。入っている成分を危ないとも安心とも書かず、その成分がそこにある役割だけを書く。入っているか入っていないかだけでは、その1本が自分の家に合うかは決まりません。合うかどうかは、使う場所と使う頻度と、そのあとの記録で決まります。
家で読むときは、どこを見ればいいですか
見るのは3か所です。数字のとなり、測った人の名前、試料の欄。この順に目を落とすだけで、覚えておく数字と、忘れてよい数字が分かれます。紙が手元になくても、商品の説明文やラベルで同じことができます。
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数字のとなりを読む
30秒や何倍という数字を見つけたら、そのとなりに接触時間や比べた相手が書かれているかを見ます。書かれていなければ、覚えなくてよい数字です。
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測った人の名前をさがす
検査機関の名前があるか、社内で測ったものなら自社調べと書いてあるか。名前のない数字は、あとから確かめ直せません。
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試料の欄で製品と原料を分ける
測られたのが製品そのものか、原料に使っている電解水か。ここが入れ替わると、家で言えることが変わります。
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家の側は日数で数える
2週間、1日2回。家でできるのは、条件をそろえて記録することです。試験室の数字を家で再現することはできません。
記録のほうにも条件を書いてください。どこに、1日何回、何日続けたか。この3つがそろっていれば、2週間前の自分の記録と今日を比べられます。比べる相手が自分の記録になるので、よその数字と競う必要がなくなります。
記録した2週間のあいだ、同じ場所の赤みが同じ広さのまま続くなら、それは3つの欄とは別の話です。体の中で起きていることを決めるのは、家の記録ではなく動物病院の検査です。記録した日付と回数を持っていくと、そのまま診察の材料になります。ケアは記録を続けながらで構いません。
3つの欄がそろった1行だけを、手元に残す
試料、試験条件、検査機関。慣れれば、この3か所を見るのに10秒もかかりません。そろっている1行はそのまま書き写せて、そろっていない1行は、言葉の強さしか残りません。エビデンスと呼ぶための条件は、それほど多くありません。そのぶん、外すと何も残らない条件でもあります。
Product
mofuwa スキンケアミスト
200ml / 3,300円(税込)
アルコール・添加物・香料・界面活性剤・鉱物油・オイル・着色料・防腐剤の8つがフリー。気になる部分に直接なじませて、肌のコンディションを整えます。
商品ページを見る本記事は商品の情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。掲載している検証データは特定条件下での試験結果であり、すべての環境で同じ結果を保証するものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
