C05犬種・猫種別ケア
マンクスのダブルコート|抜け毛を毎日のケアで防ぐ
短毛のマンクスと長毛のマンクスを並べて背中に手を置くと、毛の長さはまるで違うのに、押し返してくる厚みがほとんど同じことがあります。表に見えている毛の長さと、その下にある下毛の量が、この猫種では結びついていません。だから、マンクスの抜け毛は見た目から予想できません。毛が短いから少ないはずだ、という当てが外れます。多くの猫では、毛が長ければ抜けたときの量も多く、短ければ少ない、という読み方がだいたい通ります。マンクスではその前提が使えません。この記事では、毛の長さで量を読める猫と、読めない猫を並べて、確かめ方と道具の当て方がどう変わるかを書きます。
毛の長さが変わっても、下毛の厚みは変わりません|マンクスの抜け毛が読めない理由
マンクスの被毛は二層でできています。外側にあるのが上毛で、内側にあるのが下毛です。ここまではダブルコートの猫と同じですが、マンクスにはもうひとつ条件があります。同じ猫種の中に、上毛が短い子と、上毛が中くらいの長さまで伸びる子がいます。手ざわりも違います。短毛の子は毛が体から少し立って厚みのある手ざわりになり、長毛の子は絹のように流れます。
違うのは、そこまでです。上毛の長さは子によって変わりますが、その下にある下毛の厚みは、どちらでもよく似ています。短毛の子の被毛が薄いわけではありません。短い毛の下に、長毛の子と同じくらいの下毛が詰まっています。マンクスの抜け毛を考えるとき、この一点が全部の前提になります。
多くの猫では、表に見えている毛の長さが、抜けたときの量とだいたい対応します。長い毛の猫は塊が目立ち、短い毛の猫は落ちる量が少なく見えます。飼い主はそれを何年もかけて覚えます。マンクスでは、その覚え方が働きません。短毛の子を迎えて、毛が短いから抜け毛は少ないだろうと構えていると、換毛期に予想の外へ出ます。逆に、長毛の子だから大変だと身構えて、実際にはそれほど変わらなかった、ということも起きます。
- 上毛の長さは子によって変わる:短い子と、中くらいまで伸びる子がいます
- 下毛の厚みは、どちらでもよく似ている:長さの差ほどには変わりません
- 短毛の子は毛が体から少し立つ:押すと戻ってくる厚みがあります
- 長毛の子は毛が流れて寝る:厚みが外から分かりにくくなります
- 抜けるのは主に下毛:だから、長さではなく厚みのほうが量を決めます
- 迎える前に見た印象は当てにならない:毛の長さは、量の手がかりになりません
短毛のマンクスを選ぶとき、毛が短いぶん楽だろうと考えることがあります。ただ、抜けてくるのは下毛のほうなので、上毛の長さは量の目安になりません。短い毛のあいだから細かい下毛が出てくるので、床では長毛の子より散らばって見えることもあります。楽か大変かではなく、どちらも下毛の厚みで考える、というのがこの猫種での出発点です。
毛の長さで量を読める猫と、読めない猫|マンクスの抜け毛にある違い
ここで2つの型を並べます。ひとつは、上毛の長さと下毛の量がだいたい対応している猫。もうひとつは、対応していない猫です。マンクスは後者にあたります。この違いを踏まえないまま、前者の読み方をマンクスに当てはめると、換毛期のたびに予想が外れます。何を見て判断するかが、そもそも違うからです。
毛の長さで量を読める猫では、見た目が判断材料になります。毛が長くなった、短く刈った、という変化がそのまま量に返ってきます。飼い主は、鏡を見るように猫を見て予定を立てられます。ブラッシングの頻度も、毛の長さから決めて構いません。多くの猫種でこの読み方が通るので、これが標準だと思われています。
マンクスでは、見た目が判断材料になりません。表に出ている長さは、下毛の厚みについて何も教えてくれないからです。代わりに使うのは、指を沈めたときにどこまで入るか、という感触のほうです。短毛の子でも指が途中で押し返されるなら、そこには厚みがあります。長毛の子でも、指が地肌まですっと届く場所があります。マンクスの抜け毛は、猫ごとではなく場所ごとに読むことになります。
| 毛の長さで量を読める猫 | マンクス(読めない猫) | |
|---|---|---|
| 量を決めている層 | 上毛と下毛が、そろって増える | 下毛の厚みだけが量を決める |
| 上毛と下毛の関係 | 長い子ほど、下毛も厚い | 長さが違っても、厚みは似ている |
| 判断に使うもの | 見た目。毛の長さと見え方 | 指の沈み方。押し返される深さ |
| 迎える前の予想 | 毛の長さから、だいたい立つ | 立たない。触ってからになる |
| 同じ猫種の中のばらつき | 毛の長さと連動する | 毛の長さとは連動しない |
| ブラッシングの決め方 | 毛の長さで頻度を決めてよい | 場所ごとに、厚みを確かめて決める |
| 換毛期に増える量 | 見た目からおおよそ読める | 短毛の子でも大きく増えることがある |
この違いは、猫種としての優劣ではありません。下毛が厚いのは、風の強い島で暮らしてきた猫の作りだからです。外の毛の長さは環境や血のつながりで振れても、体温を保つ層のほうは削られなかった、と考えると筋が通ります。マンクスの抜け毛で変えられるのは量そのものではなく、抜けた下毛が上毛のあいだに留まっている時間のほうです。
同じ家に別の猫がいると、その子と比べて量を判断しがちです。ただ、相手が毛の長さで量を読める猫なら、比べても答えは出ません。マンクスは、同じ家の別の猫ではなく、その子自身の先週と比べてください。比べる相手を変えるだけで、増えているのか、いつもどおりなのかが分かるようになります。
見た目ではなく指の沈み方で決める|マンクスの抜け毛を確かめる見分け方
確かめ方に入ります。使うのは目ではなく指です。毛の流れと直角に、指を1本まっすぐ沈めて、どこで押し返されるかを見ます。マンクスの抜け毛では、この深さが、その場所に残っている下毛の厚みをそのまま表します。短毛の子でも長毛の子でも、やることは同じです。1か所30秒もかかりません。
-
背中の真ん中で、指を1本まっすぐ沈める
毛をかき分けるのではなく、上から差し込むように入れます。地肌まで届くか、途中で止まるか。止まった深さが、そこにたまっている下毛の厚みです。長毛の子は毛が寝ているので、上毛をよけてから入れると分かりやすくなります。
-
同じことを、肩・腰・わき腹でくり返す
マンクスは体つきががっしりしていて、面によって条件が変わります。1か所で決めず、4か所で比べてください。ぜんぶ同じなら全身に手を入れる日、1か所だけ止まるならその場所だけの日です。1日で全身を回そうとしないほうが続きます。
-
止まった場所の毛を、1本つまんで送る
指の中でくしゃりとつぶれるなら下毛、張りが返ってくるなら上毛です。つまめるのが下毛ばかりなら、その場所は下毛を出す日にあたります。上毛ばかりで表面が絡んでいるなら、先に表面をそろえる仕事が残っています。
-
毛の長さを基準にしないと、口に出して決めておく
短毛だから浅いはず、長毛だから深いはず、という当てを一度捨てます。マンクスの見分け方は、その日その場所の指の感触だけで足ります。迷ったら、前の週に同じ場所で指がどこまで入ったかと比べてください。
| 指を沈めたときの感触 | その場所でやること |
|---|---|
| すっと地肌まで届く | その場所は今日はやらなくて構いません |
| 途中で軽く押し返される | 毛の流れに沿って、表面をそろえるだけ |
| 浅いところで止まる | 下毛を出す日。層を1枚ずつ、短く通す |
| 場所によって深さがばらばら | 止まる場所だけを、日を分けて回します |
深さそのものより、先週からどう動いたかのほうが役に立ちます。曜日と場所を固定すると、比べられる数字になります。マンクスは見た目に手がかりがないぶん、記録が効きます。撫でるついでに背中で1回、と決めてしまえば、思い出さなくても回るようになります。
表面をそろえる日と、下毛を出す日|マンクスの抜け毛で道具を使い分ける
指で決まったら、道具を選びます。マンクスの抜け毛では、道具を選ぶ順番が毛の長さではなく、指が止まったかどうかで決まります。短毛の子だから軽いブラシ、長毛の子だから目の粗いもの、という選び方をしないでください。同じ子でも、場所によって選ぶものが変わります。
| 表面をそろえる日 | 下毛を出す日 | |
|---|---|---|
| どんな日か | 指が地肌の近くまで入る | 指が浅いところで止まる |
| 動かす向き | 毛の流れに沿って、長く | 分けた層に沿って、短く |
| 当てる深さ | 毛先から中ほどまで | 層を1枚ぶんだけ |
| 1か所の回数 | 3〜4往復 | 1〜2往復で場所を移す |
| 終わったときの毛 | 流れがそろって寝ている | 落ちた下毛が細かく出ている |
| やりすぎたときに起きること | 毛先が割れて静電気が起きやすくなる | 地肌のうるおいまで持っていかれる |
下毛を出す日でも、上から一気に入れないでください。指で毛を分けて層を1枚出し、その層のぶんだけ通してから、分ける線を少し上へ移します。これを3〜4回くり返せば、その一帯に届きます。深さを先に決めておくと、道具が地肌に当たりません。短毛の子は毛が立っているので、分ける線が作りにくく感じますが、押さえる手を添えれば同じことができます。
空気が乾く時期には、抜けた下毛が静電気で上毛に張りつきます。張りついた毛は、道具を通しても出てきません。mofuwa グルーミングスプレーは、グルーミングスプレーでありブラッシングスプレーでもある1本で、静電気の起きにくい状態にしてから梳かすために使います。層を分ける前に、背中から腰まで毛の流れに沿って行き渡らせてください。マンクスは毛づくろいで背中まで口を持っていく猫です。グルーミングスプレーは舐めても差し支えのない基準でつくられているので、下毛の厚い子で量が要る日も、控えずに行き渡らせられます。指が止まった場所ほど先に多めに入れておくと、そのあと層を1枚出すときに、抜け毛が毛先で引っかからずに出てきます。
抜け毛が増えると、洗って落としたくなります。ただ、マンクスは下毛が厚いので、乾かしきるまでに時間がかかります。濡れた状態が長く続くほど、抜けた下毛は上毛のあいだに張りついて出にくくなります。洗う回数を増やせば、地肌のうるおいも同時に減ります。増やすなら洗う回数ではなく、層を1枚ずつ出す日のほうです。
毛の長さを基準にしない|マンクスの抜け毛でケアの組み立てを選ぶ
最後に、組み立ての選び方をまとめます。抜け毛を毎日のケアで防ぐ、という言い方をするとき、動かせるのは抜ける量ではなく、抜けた下毛が上毛のあいだに留まっている時間のほうです。下毛が厚いのはこの猫種の作りなので、そこは変わりません。選ぶのは、毎日少しずつ出しておくか、週末にまとめて出すかです。
| 毎日、指で確かめて短く | 週末にまとめて | |
|---|---|---|
| 1回あたりの時間 | 3分。止まった場所だけ | 20分以上かかる日が出る |
| 猫の負担 | 短いので途中で逃げにくい | 長く押さえられることになる |
| 厚みの変化への気づき | 先週との差で毎週わかる | 気づいたときには進んでいる |
| 向いている家庭 | 毎日決まった時間が取れる | 平日に時間が取れない |
| 注意したいこと | 浅い場所まで触らないこと | 1日で全身を回そうとしないこと |
毎日のほうが良いに決まっている、とは書きません。押さえられるのを強く嫌がる子に毎日道具を持つと、ブラッシングそのものを避けるようになります。その場合は、指を沈めて確かめるところまでを毎日、道具を持つのは週2回、という分け方でも構いません。確かめるだけの日をつくると、どこから手を入れればよいかが先に決まります。マンクスの選び方は、頻度より順番です。
- 換毛期でもない時期に、指が急に止まるようになった:季節の区切りと合わない変わり方です
- いつも同じ一か所だけが戻る:寝床の縁や、体を寄せている面を思い出してください
- 左右で指の入る深さが違う:寝る向きが関係していることがあります
- 層を出したあとの地肌が赤い、においがある:湿った時間が続いた結果として起こることがあります
- 毛が根元から抜けて、地肌が広く見えている:抜けたのではなく、生えていない可能性があります
- その場所を舐め続けている、触ると嫌がる:抜け毛より先に、皮膚のほうを見てください
地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所を舐め続けている、毛が根元から抜けて地肌が広く見えている、食べる量や元気が落ちている。いずれかに当てはまるときは、ブラッシングの回数を増やす前に動物病院にご相談ください。マンクスは下毛が厚く、地肌の変化が外から見えにくい作りです。抜け毛の量で様子を見る前に、指が止まる場所の地肌を見てもらってください。
相談に行くときは、指が止まる場所、いつからか、先週との深さの差の3つをメモしていってください。この3つがあると、被毛の作りで説明のつく抜け毛なのかどうかを、その場で切り分けてもらえます。前の晩に念入りにブラッシングしないでください。指が止まる場所が消えてしまい、当日に同じところを確かめられなくなります。
マンクスと暮らしていると、毛の長さから量を予想したくなります。短毛の子なら少ないはず、長毛の子なら多いはず、という当てです。ただ、この猫種ではその当てが働きません。短い毛の下にも、長い毛の下にも、同じくらいの下毛が詰まっています。見た目で決めるのをやめて、指が止まった場所だけに手を入れる。マンクスの抜け毛で動かせるのは、そこです。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- 短毛のマンクスなら、抜け毛は少ないですか?
- 毛の長さと量は結びついていません。抜けてくるのは主に下毛で、その厚みは短毛の子でも長毛の子でもよく似ています。短い毛のあいだから細かい下毛が出るので、床では長毛の子より散らばって見えることもあります。量を知りたいときは、毛の長さではなく指を沈めて厚みを確かめてください。
- ブラッシングの頻度は、どのくらいがいいですか?
- 毛の長さでは決めないでください。背中・肩・腰・わき腹の4か所に指を沈めて、地肌まで届く場所はその日やらなくて構いません。浅いところで止まる場所だけ、層を1枚ずつ出します。全部が止まるようになったら、換毛期の入り口だと考えて、手を入れる日を増やしてください。
- 同じ家の別の猫より抜け毛が多い気がします。異常でしょうか?
- 相手の猫が毛の長さで量を読める子だと、比べても答えが出ません。マンクスは下毛が厚いので、見た目の毛の長さから想像する量より多く出ることがあります。比べるなら、同じ場所で先週の指の深さと比べてください。地肌が赤い、同じ場所を舐め続けているといった変化があるときは、動物病院にご相談ください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
