C08季節・行事
はじめての人に抱かれる日|譲渡会に連れて行く前の朝
受付が開く10時から、片づけを始める13時まで。その3時間のあいだに、その子が知らない人の腕に乗る回数を数えると、多い日で6回か7回になります。譲渡会の日の支度は、家を出る時刻から逆算されることがほとんどで、腕に乗る回数から逆算されることはあまりありません。抱っこは会場で起きることなので、朝の時点では手が出せないように見えるからです。それでも1回目の抱っこだけは、家を出る前の10分で軽くできます。9月は換毛期の入り口にあたり、前の週まで指に残らなかった毛が、ブラッシングで急に指の腹へ集まってくる時期です。その毛を家で落としておくか、会場の1回目で人の服に移すかという差になります。
腕に乗る回数から逆算する|譲渡会に連れて行く朝の抱っこと、その日の背景
譲渡会の当日を、時刻ではなく回数で数えると、朝にやることが決まります。3時間の会場で6回か7回。1回あたりの長さは、短い人で20秒、長い人で3分ほどです。抱く人は毎回入れ替わり、腕の高さも、手を入れる場所も、声の大きさも、そのつど変わります。その子の側から見ると、同じことが6回か7回くり返されるのではなく、初めてのことが6回か7回続くという形になります。
| 回 | だいたいの時間帯 | その子の体に起きること | 人の側に残るもの |
|---|---|---|---|
| 1回目 | 受付の直後 | 体がいちばん固い。呼吸が浅くなる | 服の胸元に毛がまとまってつく |
| 2〜3回目 | 開始から1時間 | 体温が上がりはじめる。毛の根元が温まる | 手のひらに脂と毛が混ざって残る |
| 4〜5回目 | 昼をはさむころ | 温まった毛から前日のにおいが立つ | 腕の内側にだけ毛が残る |
| 6〜7回目 | 片づけの前 | 疲れて体の力が抜ける。抱きやすくなる | 服につく量は減っている |
表の右端を見ると、人の服にいちばん毛が移るのは1回目だと分かります。まだ体が固く、毛が浮いたままで、抜けかけの毛が地肌に引っかかっている状態で抱かれるからです。6回のうち、朝の支度で軽くできるのは、この1回目だけです。2回目から先は、その子の体温と、抱く人の腕の高さで決まってしまいます。
1回目を軽くしておくことに意味があるのは、抱いた人の手元に残るものが、次の人へそのまま引き継がれないからでもあります。譲渡会では、同じ子を続けて抱く人はいません。1人目が服についた毛を払っている横で、2人目が並んでいます。1回目の抱っこで人の胸元に毛がまとまってつくと、その光景を見た2人目は、腕を伸ばす高さを無意識に下げます。抱き方が浅くなり、その子の体は3回目までゆるみません。
朝の時点で決まっているものは、毛の量と、毛のあいだにたまった前日の外のにおい、それと地肌の乾きぐあいの3つです。会場の気温も、人の数も、待ち時間も、飼い主の側では動かせません。動かせる3つのうち、ブラッシングで手が届くのは毛とにおいで、残りの乾きは季節の変わり目の室温で決まります。この記事では、6回か7回という回数を最後まで物差しにして進めます。
1回目と5回目で服のつき方が変わる|譲渡会の抱っこと換毛期が重なる理由
同じ子を同じ日に抱いても、1回目と5回目では人の服につく毛の量が違います。その子が変わったのではなく、毛の側の状態が3時間で変わっているからです。抜けかけの毛は、根元が温まって毛穴がゆるむと落ちやすくなります。抱かれて体温が上がるほど、落ちる場所は床ではなく人の服になります。
- 体温:抱かれている20秒から3分のあいだ、その子の体は人の体温にはさまれます。毛の根元が温まると、抜けかけの毛が浮いて、離れるときに服へ移ります
- 湿度:9月の会場は、人が集まると湿度が上がります。湿った毛はまとまって落ちるので、1本ずつではなく、かたまりで服につきます
- 気温と室温の差:朝の外の気温が下がりはじめる時期に、会場の中だけが暖かい。この差が大きい日ほど、入った直後の1回目で毛が浮きます
- 換毛期:夏の毛が抜け、冬の毛に入れ替わる時期です。指を入れると、前の週まで残らなかった毛が急に集まってきます
この4つのうち、会場で動かせるものは1つもありません。だから譲渡会の抱っこを軽くする手当ては、家を出る前に済ませておく形になります。浮いている毛を先に落としておけば、体温が上がっても服へ移る量はそのぶん減ります。毛を減らすのではなく、落ちる場所を家に寄せる、という言い方のほうが近いかもしれません。
換毛期の入り口では、もう1つ、地肌の乾燥が同時に始まります。外の気温が下がって空気の湿度が下がり、そこへ室温を上げる日が重なると、毛の下の地肌からうるおいが抜けやすくなります。乾いた毛は静電気を持ちやすく、静電気を持った毛はブラシに巻きついて、地肌から引っぱられて抜けます。朝の支度で乾いた毛にいきなりブラシを入れると、落とすつもりだった毛に、本来まだ抜けなくていい毛が混ざります。
その日の朝にできることの範囲も、ここではっきりします。毛を減らすことでも、においを消すことでもなく、6回か7回の1回目に、浮いた毛と前日のにおいを持ち込まないことだけです。3時間ぶんの条件を朝に先回りすることはできませんが、入口の1回だけは、家の側の10分で作れます。
出る前の10分で手を入れる4か所|譲渡会の抱っこを、その子の経験として軽くする
触る場所は4か所です。胸、首のうしろ、脇の下、しっぽのつけ根。全身をとかす必要はありません。人が抱くときに手が入る場所と、腕がふれる場所が、この4か所にほぼ収まるからです。背中の真ん中は見た目に分かりやすい場所ですが、抱かれているあいだ、そこは人の体から離れています。
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胸|抱かれたとき、人の服にいちばん近い面
前足のあいだから胸へ、上から下へ指を通します。ここは1回目の抱っこで人の胸元に当たる場所で、浮いた毛がまとまってつくのもここです。ブラッシングの前に毛を湿らせておくと、静電気で毛が立たず、ブラシが地肌まで届きます。時間は2分。
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首のうしろ|人の手が最初に入るところ
抱き上げる人は、たいてい首のうしろか脇の下に手を入れます。ここは毛が厚く、換毛期には下の毛がいちばん早くゆるみます。毛の流れに沿って3回、逆に1回。逆にとかすのは、浮いた毛を拾うためで、ここだけは往復させます。時間は2分。
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脇の下|抱かれているあいだ、ずっと閉じている場所
前足を少し持ち上げて、脇の下へ指を入れます。抱っこのあいだは人の腕と体ではさまれて、いちばん蒸れる場所です。ブラシではなく指で、毛のあいだに空気を通すつもりで動かします。ここで手を止めると、その子は前足を下ろします。下ろしたらそこで終わりにしてください。時間は1分。
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しっぽのつけ根|下ろすときに人の腕がこすれる面
抱かれた子を床に下ろす動きで、人の腕が最後にふれるのがここです。脂がたまりやすく、においが立ちやすい場所でもあります。毛の流れに沿って、短いストロークで。強く押しつけないこと。時間は2分。
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最後に、家の中で1回抱き上げる
4か所を終えたら、家の中で1回だけ抱き上げて、10秒で下ろします。これがその日の0回目です。会場の1回目をいきなり知らない人にさせるより、同じ動きを家で1度通しておくほうが、体の固さが残りません。時間は1分。
この10分で使うものを1本にしておくと、会場でも同じ1本で足ります。mofuwa グルーミングスプレーは、毎日シャンプーはできない、サロンにも毎日は通えない、それでも毎日きれいにしてあげたい、という間を埋めるためにつくられた1本です。犬も猫も体から脂を出すので、昨日きれいにした場所が今日また汚れます。吹きかけてブラシを通すだけなので、朝の支度の10分に収まります。
譲渡会の日にこの1本が効いてくるのは、抱かれた子がそのあと自分をなめるからです。飲みものに使う水と同じ規格基準をクリアしている電解水なので、6回か7回のどの回のあとになめても、かけた量を数えずに済みます。余分な脂は電解水となじんで乳化して落ち、地肌に要る皮脂は残ります。だから朝に多めに使っても、会場に着くころに毛がぱさついているということが起きません。
ブラッシングの前に湿らせる、という使い方のほうも、この時期には別の意味を持ちます。乾いた毛をとかすと静電気が起きて、毛が浮いて指に絡みます。先に湿らせておくと、静電気の起きにくい状態で梳かせるので、抜けかけの毛だけが落ちます。換毛期の入り口で毛の量が急に増えて見えるのは、抜ける量が増えたからではなく、抜けた毛が静電気で毛のあいだに留まっているからでもあります。
猫を連れて行く場合は、4か所のうち脇の下としっぽのつけ根を先にします。猫は抱かれるとき、前足を人の肩にかける形になることが多く、胸から先に触ると体をひねって逃げるからです。グルーミングスプレーを猫に使うときは、体に向けて吹きかけずに、手のひらに出してから手で広げるほうがおすすめです。霧の音のほうが先に届いてしまうと、朝の0回目からやり直しになります。香りを足していない1本なので、会場でほかの子のにおいと混ざっても、その子の側で確かめるものが変わりません。
会場に持って行くのは、この1本とブラシ、それと毛を払う道具だけで足ります。抱っこと抱っこのあいだは、長くても5分ほどしかありません。その5分で袋の中を探すことになると、手が止まって、次の人を待たせます。持ち物が1本だと、3回目のあとに胸だけ、5回目のあとに脇の下だけ、という短い手の入れ方ができます。
3回目から先で、抱かれるたびに同じ脇の下をなめている/抱き上げられる瞬間だけ声が出る/前の週より抜ける毛の量が増えて、毛をかき分けると地肌に赤みが見える/朝のブラッシングで、いつもは止めない場所で手を止めさせる。こうした変わり方は、人に慣れていないという理由だけでは説明がつきません。抱かれた回数と、何回目からその動きが出たかを書いた紙を持って、動物病院で体の側を見る診察を1回はさんでください。回数と場所が書いてあると、当日の緊張なのか、前からあったものなのかを分けて話せます。
帰ってきた夜に出ているもの|譲渡会のあとの抱っことブラッシングで見える変化
帰宅した日の夜に見るのは、毛のつやではありません。その子が自分から人の横に来るかどうかです。6回か7回、知らない人の腕に乗った日の夜に、寝床ではなく人のいる部屋を選ぶなら、その日の抱っこは重すぎなかったということになります。部屋の隅を選んだ日は、次の回までに家の側で0回目をもう一度作ります。
| いつ | 見るところ | そのままでいいとき | 手を入れるとき |
|---|---|---|---|
| 当日の夜 | 人のいる部屋に来るか | 自分から来て、横で寝る | 隅を選ぶ日が2日続く |
| 翌日の朝 | 脇の下と胸の毛 | 指を入れても引っかからない | 毛がまとまって固まっている |
| 2〜3日目 | 抜け毛の量 | 換毛期らしい量で落ち着く | 前の週の倍の量が出続ける |
| 1週間後 | 抱き上げたときの体 | 10秒たつと力が抜ける | 10秒たっても固いまま |
表の左端が日数で並んでいるのは、譲渡会が1回きりの行事ではないからです。同じ子が次の会に出ることもあり、別の子が同じ家から出ることもあります。1回目の抱っこを軽くする10分は、その日のためではなく、次の回の1回目のために積み上がります。前の回で6回のうち3回目までに体の力が抜けた子は、次の回では2回目で抜けます。
換毛期のほうも、この1週間で見え方が変わります。会場から帰った翌日にいつもの倍の毛が出るのは、3時間ぶんの体温で浮いた毛が、家で落ちているだけのことがほとんどです。2日か3日でいつもの量に戻るなら、それは会場で起きたことの後始末です。戻らずに続くときだけ、季節の変わり目の乾燥と室温のほうを疑います。暖房を入れる時期が近づいたら、部屋の湿度を先に見ておくと、ブラッシングの手ごたえが変わります。
今夜やることは1つで足ります。胸と脇の下に指を入れて、引っかかるところがないかだけ確かめてください。次の譲渡会の朝にまた10分が要るので、毎日のブラッシングは1か所ずつでかまいません。抱っこの回数は会場で決まりますが、1回目の重さだけは、いつも家の側にあります。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
