C09シーン別・暮らし
シニア犬と暮らす人がドッグランで困ること、その手当て
ドッグランのフェンスの内側で、その子はほとんど歩きません。入ってすぐ地面のにおいを嗅いで、5分もするとこちらの足元に座ります。走り回っているのはよその子で、うちの子は座ったまま、それを眺めている。それなのに、帰宅して抱き上げると、腹の下と内股に土が入っています。老犬とドッグランへ行く人が最初に不思議に思うのは、たいていここです。走った跡ではなく、座って過ごした跡が体に残る。この記事は、その理由から順に、7つの問いと答えで進めます。最後に、行く前から帰ったあとまでを通しで整理します。
走らないのに、ドッグランから帰ると体が汚れているのはなぜですか
地面に触れている面積と、触れている時間が違うからです。走っている犬が地面に接しているのは、足の裏と、跳ねた土がかかる脚の下側だけです。しかも一か所に留まりません。座っている老犬は、腹の下から尾の付け根までを地面に預けたまま、同じ場所に何分もいます。接している面積が広く、時間が長く、そのうえ体重がかかっている。土や芝の細かいものは、押しつけられている面から毛の奥へ入っていきます。
順番にも偏りがあります。ドッグランに入った直後、その子はまだ立っています。ここで足先と前脚の下側が濡れたり汚れたりします。そのあと座り込んでからが本番で、汚れの中心は足先から腹側へ移ります。帰ってから足だけ拭いて終わりにすると、いちばん汚れている面が手つかずで残ります。老犬のドッグランでは、足先は最初の数分の記録でしかありません。
- 腹の下:体重がかかる面。ここに入ったものは自分では落とせません
- 内股:座ると地面と密着し、毛も柔らかく細いので入りやすい場所です
- 肘の外側:伏せの姿勢で最初に地面に着く2点。硬い地面ほど跡が残ります
- 尾の付け根の下側:座ったときに接する面。被毛が密で、乾きにくい場所でもあります
- 後ろ足の外側:横座りをする子は、片側だけ集中して汚れます
老犬の場合、もうひとつ条件が重なります。若い頃より毛づくろいの量が減り、自分で体をひねって腹側に口を届かせることが減っています。ついたものが、自然に落ちるまでの時間が長くなっている。ドッグランで体についたものが翌日まで残りやすいのは、そのためです。走らない子ほど、帰ってからの手が要る。逆説的ですが、ここが出発点になります。
ドッグランとは走る場所だと思っていました。老犬が行く意味はありますか
ドッグランとは、リードを外して過ごせる、囲いのある場所のことです。走ることは、この定義に入っていません。走るために作られた場所という思い込みを外すと、老犬にとっての使い道が見えてきます。行く意味はあります。ただし、目的が変わるので、滞在のしかたも変わります。
| 若い犬の使い方 | 老犬の使い方 | |
|---|---|---|
| 主な行動 | 走る、追いかける | においを嗅ぐ、座って眺める |
| 体への負担 | 心肺と関節 | 同じ姿勢を続けること |
| 地面の意味 | 滑りにくさ | 土や芝の柔らかさ、足の裏の楽さ |
| リードがないこと | 行動範囲が広がる | 首や体を引かれずに動ける |
| 滞在の目安 | 疲れるまで | 時間で区切る |
| 帰ってからのケア | 足まわり中心 | 座っていた面が中心 |
とくに大きいのが、リードで引かれない時間があることです。老犬は歩幅が狭くなり、立ち止まる回数が増えます。リードがついていると、こちらの歩く速さとどうしてもずれが出ます。ドッグランの中では、その子の速さで止まったり嗅いだりできます。数分しか歩かなかったとしても、その数分は散歩とは別の質を持っています。
一方で、走る子が多い時間帯のドッグランは、老犬にとっては落ち着かない場所になります。ぶつかられると転びますし、避けようとして急に方向を変えることも負担です。行くなら、人と犬が少ない時間帯を選んでください。老犬にとってのドッグランの価値は、頭数ではなく、静かさのほうにあります。
老犬をドッグランのどこに座らせるかで、つくものは変わりますか
変わります。しかも、ここがいちばん差になります。走らない子は、その日の滞在時間のほとんどを1か所か2か所で過ごします。つまり、その1か所を選ぶだけで、その日に体につくものがほぼ決まります。放してから座る場所を決めるのではなく、入る前に見て決めてください。
| 場所 | 条件 | 老犬に向くか |
|---|---|---|
| 芝の中央 | 水はけがよく、土が出ていないことが多い | 向く。日陰があればなお良い |
| フェンス際・入口の近く | 犬が行き来して芝がはげ、土が露出しやすい | 向かない。通り道でもある |
| ベンチや木の下 | 日陰だが、土が出ていて雨のあとは湿る | 条件しだい。乾いていれば良い |
| 水飲み場の周り | こぼれた水で常に湿っている | 向かない |
| 斜面や段差の近く | 座り直しのたびに踏ん張りが要る | 向かない |
見分け方はひとつで、手のひらで地面を触って、湿っているか、土が出ているかを確かめるだけです。目で見ると、芝は乾いて見えます。前日に雨が降っていれば、根元は湿ったままです。湿った土は毛に入ると乾いてから固まるので、帰ってからの手間がはっきり増えます。老犬は座る場所を自分では選び直しにくいので、こちらが先に決めてあげてください。
日陰かどうかも合わせて見てください。老犬は体温の調節が若い頃より苦手になっています。暑い日に日なたへ座り込むと、そこから動かないまま体温が上がります。ドッグランの中で日陰が1か所しかないなら、そこが空いている時間に行く、という決め方でも構いません。
ドッグランにいる時間は、どのくらいが目安ですか
15〜20分を目安にしてください。老犬の場合、疲れるまで、という決め方が使えません。走らないので疲れの合図が出にくく、座り込んでいるあいだに時間だけが過ぎます。本人が満足しているように見えても、同じ面が地面に押しつけられ続けている時間は積み上がっています。時計で区切るほうが、結果として体に優しくなります。
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入って最初の5分は、歩かせる
においを嗅ぎながら、その子のペースで構いません。ここがドッグランの中でいちばん体を動かしている時間です。座り込んでからでは、もう歩かせるのは難しくなります。
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座ったら、10分で一度立たせる
呼んで数歩だけ移動させます。目的は運動ではなく、地面に触れている面を入れ替えることです。同じ面が20分押しつけられるのと、10分ずつ2面になるのとでは、毛に入る量が変わります。
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20分で切り上げる
まだ帰りたがらないときでも、時間で区切ってください。老犬は帰り道と、帰ってからの手入れも含めて1つの行程です。現地で使い切ってしまうと、帰ってから立っていられません。
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帰りの移動で、姿勢が固まらないようにする
車なら、床に敷いたものの上で体の向きが変えられるようにします。歩いて帰るなら、途中で1度止まって水を出してください。ドッグランでの20分より、そのあとの移動のほうが長い日もあります。
頻度については、週1回でも月2回でも構いません。回数を増やすより、1回の組み立てを変えるほうが体にやさしく済みます。毎日の散歩と違って、ドッグランはその日だけの特別な場所ではありません。行けなかった週があっても、老犬の生活が損なわれるわけではないので、天気と体調のよい日に合わせてください。
ドッグランで、他の犬が座っていた場所に座らせても大丈夫ですか
その場所を誰が使っていたかではなく、いま乾いているか、土が出ていないかで判断してください。よその子が座っていた場所だから避ける、という決め方をすると、ドッグランの中で座れる場所がほとんどなくなります。実際に体につくものを決めているのは、地面の状態のほうです。
とはいえ、移るものはあります。抜けた毛と、においです。とくに換毛期のドッグランでは、芝の上に短い毛がたまっていて、座った老犬の腹の下に入ります。帰ってから被毛をなでたときに、うちの子のものではない毛が出てくるのはこのためです。気になる場合は、薄手の敷物を1枚持っていくという手があります。
ただし、敷物は毎回持ち歩けるなら、という条件つきです。荷物が増えて足が遠のくくらいなら、帰ってからの手を決めておくほうが続きます。老犬とのドッグランは、続けられる形にしておくことのほうが大事です。持っていける日は敷いて、持っていけない日は帰ってから腹の下に手を入れる。どちらでも同じところに着地します。
他の犬との距離については、座る場所と時間帯でほとんど解決します。入口とフェンス際は行き来が多いので避ける。走る子が多い時間を外す。老犬が自分でよけられる速さには限りがあります。ぶつかられてからでは遅いので、こちらが先に位置を決めてください。
ドッグランから帰ったあと、どこから手をつけるのが先ですか
接地面から、が原則です。順番は、腹の下、内股、肘、尾の付け根、最後に足先。足先を最初にやると、いちばん汚れている腹側にたどり着く前に、その子が伏せてしまいます。老犬は長く立っていられないので、立っているあいだにしかできない場所を先に済ませます。
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立っている数十秒で、腹の下と内股を先に済ませる
布で押さえるように拭きます。ここは自分では届かない場所なので、ドッグランのあとのケアで、いちばん価値がある数十秒です。両手を使いたいので、リードは外してから始めてください。
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そのあとは、横にして片側ずつ
立たせ続けずに、床に敷いたものの上で横にします。上になった面だけを拭き、反対側はあとで構いません。1回で全部やろうとしないほうが、老犬には楽です。肘と尾の付け根はこの姿勢のほうが手が入ります。
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足先は最後に、指のあいだまで
座って過ごした子でも、最初の数分と歩いた分だけは汚れています。指のあいだは自分でなめて処理しようとする場所なので、乾いた状態で終わらせてください。
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拭き終わったら、皮膚の面を一度だけ見る
毛を分けて、腹の下と内股の地肌を見ます。赤みがないか、こすれた跡がないか。毎日の散歩では見ない場所なので、ドッグランに行った日を点検の日にすると続きます。
この順番には、老犬の体の使い方が入っています。若い犬なら立たせたまま全部できますが、老犬は途中で姿勢が崩れます。崩れる前に終わらせる場所と、崩れてからのほうがやりやすい場所を分けておく。ドッグランのあとのケアが毎回もめるという場合、順番のほうを疑ってみてください。
ドッグランのあとは、毎回洗わなくてもいいのですか
毎回洗う必要はありません。ここは、この記事でいちばん伝えたい「やらなくてよいこと」です。老犬にとっては、汚れがついていることよりも、洗うために立たされている時間のほうが負担になります。洗い場で支えられて立つ時間、流す時間、乾かす時間。合わせると30分を超えることもあります。ドッグランで座っていた20分より、そちらのほうが長い。
| 毎回洗う | 座っていた面だけ拭く | |
|---|---|---|
| 立たせている時間 | 10〜20分 | 1分以内 |
| 乾かす時間 | 15〜30分 | なし |
| 手が入る範囲 | 全身 | 腹の下・内股・肘・尾の付け根・足先 |
| その日の負担 | その子とこちらの両方に残る | 帰宅後10分で終わる |
| 続けやすさ | 回数が減っていく | 行くたびに同じ手順で回る |
洗うのは、月に1〜2回の決まった日で構いません。ドッグランに行った日と、洗う日は、切り離してください。行った日に必ず洗うことにすると、洗える日にしかドッグランに行けなくなります。老犬の生活から、外で過ごす時間が減っていく理由の多くは、この結びつけ方にあります。
そのぶん毎日やるほうに、mofuwaのグルーミングスプレーを置いてください。老犬は毎日汚れます。犬猫は体から脂を出しますし、ドッグランで座って過ごした20分ぶんの土が、そこに重なります。毎日きれいにしておきたい、という願いを、実際に毎日やれる形にしたのがこのスプレーです。布に含ませて、腹の下と内股を毛の流れに沿ってなでるように当てます。立たせ続ける必要がないので、横にした姿勢のまま手が入ります。舐めても問題のない基準(清涼飲料水の規格基準をクリア)でつくられているので、腹の下や内股のように口が届く場所にも、量を気にせず使えます。
ブラッシングの前に使うと、静電気の起きにくい状態で梳かせます。老犬は毛が細くなって絡みやすく、ドッグランの土が乗った日ほど、梳かす前のひと手間で歯の通りが変わります。グルーミングスプレーであり、ブラッシングスプレーでもあるので、帰った日の拭き取りと、翌日の梳かしが1本でつながります。余分な皮脂と油は乳化して布に移り、必要な皮脂は残ります(deck p16)。ドッグランに行かない日も同じ手順でよく、月に1〜2回の洗う日とは別の軸として動きます。
走らない老犬とドッグランを、行く前から帰ったあとまで通しで組み立てる
7つの問いを、時間の流れに沿って並べ直します。やることを増やすのではなく、決める場所を前に移すのがこの記事の趣旨です。現地で判断することを減らしておくと、その子の様子を見る余裕が生まれます。
| いつ | 決めること | 根拠 |
|---|---|---|
| 行く前 | 時間帯を選ぶ | 走る子が少ない時間のほうが、老犬は落ち着けます |
| 入る前 | 地面を手で触り、座る場所を決める | その日に体につくものは、座る1か所でほぼ決まります |
| 最初の5分 | 歩かせる | 座り込んでからでは動かせません |
| 10分後 | 一度立たせて場所を変える | 地面に触れる面を入れ替えます |
| 20分 | 切り上げる | 帰り道と帰宅後のケアまでが1つの行程です |
| 帰宅直後 | 腹の下と内股を、立っているうちに | 老犬が立っていられる時間は短いためです |
| そのあと | 横にして片側ずつ、最後に足先 | 姿勢が崩れてからのほうが手が入る場所があります |
| 月に1〜2回 | 洗う日を別に決める | 行った日と洗う日を切り離すと、外出が減りません |
この流れの中で、ケアの時間は帰宅後の10分だけです。それ以外は、選ぶこと・待つこと・切り上げることでできています。老犬とドッグランへ行くときに増やすべきなのは手間ではなく、こちらが先に決めておく項目のほうです。走らない子でも、条件を整えれば、外で過ごす時間はそのまま続けられます。
立ち上がるのに以前より時間がかかる、後ろ足が流れる、座っていた面の皮膚が赤い、同じ場所をなめ続けている、被毛が抜けて地肌が見えている、水を飲む量や食欲が変わった。こうした変化は、ドッグランの過ごし方やケアの回数で様子を見る話ではありません。老犬では、いつからかを覚えておくことが診察の助けになります。気づいた日をメモして、早めに動物病院へご相談ください。迷ったときは、行ってから考えるほうが結果的に早く済みます。
最後にもう一度書きます。老犬がドッグランで汚すのは、走った跡ではありません。座って過ごした場所です。だから、どこに座らせるかを先に決め、帰ったら腹の下から手を入れる。毎日の散歩では触らない場所に、月に何度か手が入る日ができる、と考えると、ドッグランに行く意味はむしろ増えます。走らなくなったからやめる場所ではなく、走らなくなったから使い方を変える場所です。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
