C12Q&A・豆知識

犬の皮膚は人の約1/3の薄さ。だから起きること

公開日 2020年9月18日|文=mofuwa編集部

明るく清潔な部屋で、淡い色の床の上に落ち着いて伏せている淡い色の犬
厚さの数字は、比べる相手を決めてはじめて意味を持ちます。写真:3194556/Pixabay

犬の皮膚の話でいちばんよく出てくる数字が、「人の約1/3」という比です。比べている相手は人の表皮で、人がおよそ0.1mm前後とされるのに対し、犬はおよそ0.03mm前後とされています。どちらも「約」がついた目安で、測る部位や年齢によって動く数字です。ここから言えるのは、薄いから弱いということではありません。外から触れたものの影響が届くまでの距離が短く、水分の出入りも早いということです。時間の単位が人と違う、という言い方のほうが近いと思います。この記事では、犬と人の皮膚を厚さ・乾く速さ・触れるものの影響という3つの軸で比較し、最後に「同じものを同じ強さで使わない」というところまで書きます。厚さの数字を覚えることが目的ではなく、毎日のケアで手の入れ方が変わるところまで持っていきます。

犬の皮膚の厚さは、何と比べた数字か|人の表皮と並べて見る

はじめに、比べている相手をはっきりさせます。皮膚は、表皮・真皮・皮下組織という層が重なってできています。「犬の皮膚は人の約1/3」と言われるとき、比べているのはいちばん外側の表皮の厚さです。皮膚全体の厚さを比べているわけではありません。ここを取り違えると、数字の意味が変わってしまいます。

目安として一般に言われている数字を並べます。人の表皮はおよそ0.1mm前後、犬の表皮はおよそ0.03mm前後とされています。この2つを割ると、およそ1/3になります。どちらも「約」と「前後」がついた数字で、1つの値で言い切れるものではありません。この記事でも、特定の論文名や機関名を出典として挙げることはしません。一般にそう言われている、という以上のことを装わないためです。

幅が出る理由も書いておきます。皮膚の厚さは、同じ1頭のなかでも場所によって違います。犬でいえば、肉球はまわりよりずっと厚く、耳の内側や腹はさらに薄いとされます。人も同じで、手のひらと足の裏は厚く、まぶたはとても薄い。だから「犬の皮膚の厚さは0.03mmです」と裸で置くと、その時点で精度を偽ることになります。言えるのは、体のなかで比べやすい場所どうしを並べると、犬のほうが薄い側にある、という関係までです。

Note数字は「約」「とされる」で受け取ってください

生きものの数値には、必ず個体差と測り方の条件が乗ります。この記事の厚さの数字は、一般に目安として言われている幅を紹介したものです。小数点以下をこまかく作って精度が高いように見せる書き方はしません。数字そのものより、比べている相手が何かのほうを覚えて帰っていただくのがいちばん役に立ちます。

薄いと何が変わるのか|外からの影響が届く距離と、水分の出入りの速さ

厚さが1/3だと、何が変わるのか。変わるのは強さではなく、時間です。外に触れたものが体の側へ届くまでの距離が短く、水分が出ていく道も短い。同じことをしても、犬のほうが先に結果が出ます。傷つきやすいという言い方をしたくないのは、この話が「もろさ」ではなく「速さ」の話だからです。

たとえば、洗浄成分を皮膚の上に置いておく時間です。人は「しばらく置いてから流す」ことに慣れています。数分置くのがふつうの製品もあります。同じ数分を犬の皮膚の上で数えると、届いている量の意味が変わります。短く済ませるほうがよい、という話をよく聞くのは、成分の強さの話というより、この時間の単位の違いから来ています。

水分の側も見ておきます。皮膚が薄いということは、水分を抱えていられる層が薄いということでもあります。表面の水分が抜けるのは、人より早い側だとされています。ところが、犬には被毛があります。被毛は水を抱えるので、洗ったあとに地肌が濡れている時間はむしろ長くなります。ここで「乾く速さ」が二重になります。

2つの「乾く」を分けて考える
何が乾くか犬で起きること家で気づける場所
皮膚そのものの水分抱えられる量が少なく、抜けるのは早い側乾いた季節の粉、被毛の広がり方
被毛にふくまれた水毛が水を抱えるので、乾き終わるまで時間がかかる洗ったあと、地肌が湿ったままの時間
地肌の表面被毛の下なので、風が届きにくい指を毛の中に入れたときの湿り気
人の場合皮膚も髪も、同じ空気にさらされている触ればすぐ分かる

この2つを分けずに「犬は乾きやすい」「犬は乾きにくい」と言うと、話がかみ合わなくなります。皮膚は乾きやすい側、被毛の下は乾きにくい側。厚さの数字から出てくるのは前者の話で、乾かす作業が長くなるのは後者の事情です。どちらも同時に起きています。

触れるものの影響についても、同じ考え方があてはまります。ブラシの当たり、タオルの押し当て方、床の材質、首輪の当たる場所。厚さの差は、同じ力で触れたときに届く深さの差になります。人が「これくらいなら平気」と感じる強さは、人の表皮の厚さを前提にした感覚です。その感覚をそのまま持ち込むと、犬の側では別の強さになります。

厚さ・乾く速さ・触れるものの影響|犬と人の皮膚を3つの軸で比較する

ここまでの話を、1枚の表にまとめます。比較する軸は3つだけです。厚さ、乾く速さ、触れるものの影響。成分や道具の名前を並べる前に、この3つで犬と人を並べておくと、あとの判断が速くなります。

犬と人の皮膚を、3つの軸で比較する
軸人犬
表皮の厚さおよそ0.1mm前後とされるおよそ0.03mm前後とされる(約1/3)
皮膚の水分が抜ける速さ犬より遅い側抱える層が薄く、早い側
乾き終わるまでの時間髪だけが濡れて、皮膚はすぐ乾く被毛が水を抱え、地肌が乾くまで長い
触れたものが届く距離長い短い。同じ力でも深くまで届く
置いておける時間数分でも成立する製品がある短く済ませる前提で組む
表面のpHの位置弱酸性とされる人よりアルカリ寄りとされる
表皮の厚さの目安 人の表皮をおよそ0.1mm前後、犬の表皮をおよそ0.03mm前後とした場合の比です。どちらも一般に言われている目安で、部位や年齢で動きます。 人の表皮の目安 約0.1mm 犬の表皮の目安 約0.03mm
この比が「約1/3」と呼ばれているものです。数字は目安で、部位によって変わります。

表を見て、いちばん動かしやすいのはどの行でしょうか。厚さは変えられません。乾き終わるまでの時間は、道具と手順である程度短くできます。そして「置いておける時間」と「触れるものの強さ」は、こちらが完全に決められます。比較の結果を使うのは、この2つの行です。

逆に、この比較から言えないことも書いておきます。厚さが1/3だから、痛みを感じる強さが3倍になる、という計算は成り立ちません。皮膚の感じ方は厚さだけで決まるものではなく、部位や被毛の量、その子の慣れによっても変わります。数字を掛け算に使い始めると、事実から離れていきます。この記事の比較は、あくまで「同じことをしたときに、届く速さが違う」というところまでです。

犬の皮膚に触れるものの選び方|人用と犬用、どっちを基準にするか

結論から書きます。厚さが違うと分かったあとにやることは、「同じものを同じ強さで使わない」ことです。危ないものを避けるという話ではありません。人の皮膚を基準に決められた時間と力を、そのまま犬に持ち込まない、という選び方です。どっちを基準にするかと聞かれたら、答えは犬の側になります。

実際の選び方は、3つに分かれます。時間・力・対象表示。成分表を読み比べるより、この3つのほうが家で判断できます。

  1. 時間を短くする

    皮膚の上に何かを置いておく時間を、人の感覚より短く取ります。洗浄成分をなじませる時間も、拭き取りまでの時間も、迷ったら短いほうを選びます。厚さが1/3だという話は、実際にはこの一点に効いてきます。

  2. 力を弱くする

    ブラシもタオルも、人が自分の腕に当てて心地よいと感じる強さより、ひとつ弱くします。同じ力でも、届く深さが違います。こすらずに、押し当てて水を移すだけで足ります。

  3. 対象表示を見る

    容器の裏の使用対象の欄に、犬や猫と書かれているかどうかを見ます。書かれていなければ、人の皮膚の厚さと人のpHを前提に作られた製品です。書いてあるかどうかは、家で確かめられる数少ない条件です。

  4. 洗う回数そのものを増やさない

    気になるたびに洗うと、置いておく時間と触れる回数だけが増えます。日数で数えると、洗う日と洗う日のあいだのほうが長く続きます。その長いほうに何を置くかで、毎日のケアの中身が決まります。

では、その長いほうの日に何を置くか。mofuwa グルーミングスプレーは、「短く」と「弱く」をそのまま満たす形の道具です。布にたっぷり含ませて、足の裏・口のまわり・尾のつけ根を一往復。吹きかけてそのまま梳かせるので、すすぎも拭き取りも要らず、薄い皮膚の上に何かを置いておく時間そのものが生まれません。清涼飲料水の規格基準をクリアした成分でつくられているので、量を減らして薄く伸ばす必要もありません。布を湿らせて押し当てるだけの力で足ります。皮脂が出るのは毎日なので、きれいにしておく作業のほうも毎日の側にあります。厚さを気にするより毎日を回したいという側から入ると、グルーミングスプレーは厚さの話から出てきた2つの条件に、毎日ぶんそのまま乗る道具になります。

Point変えられない軸と、変えられる軸を分ける

3つの軸のうち、厚さは変えられません。変えられるのは、置いておく時間と、触れる強さと、洗う回数です。犬の皮膚の厚さを知る意味は、変えられない軸を受け入れて、変えられる軸のほうに手を入れることにあります。数字を覚えて不安になるためのものではありません。

犬の皮膚の厚さは家では測れない|そのかわりに数える3つの時間

最後に、家でできることの範囲をはっきりさせます。犬の皮膚の厚さを、家で測ることはできません。器具もありませんし、測れたとしても、その数字だけで何かが分かるわけではありません。家でできるのは、厚さそのものではなく、厚さの差から出てくる「時間」を見ることです。

見分け方は3つあります。地肌の見え方、指を入れたときの湿り気、乾き終わるまでにかかった時間。どれも、条件をそろえて前回と比べるという使い方をします。1回だけ見ても、それが多いのか少ないのかは分かりません。

家で見る3つと、その使い方
見るものそろえる条件何が分かるか
地肌の見え方昼の窓辺・同じ場所赤みや粉が前回より増えたかどうか
指を入れたときの湿り気同じ場所・同じ時刻乾き終わっているかどうか
乾き終わるまでの時間同じ道具・距離・風量前回と比べて伸びているかどうか
比べる回数3回ぶんたまってから1回では判断材料になりません

この3つで分かるのは、変化があるかないかまでです。その変化の理由までは、家では決められません。厚さの話を知っていると、「乾くのに時間がかかるのは被毛のせいか、それ以外か」を切り分ける手がかりにはなります。ただし切り分けの先は、見てもらう領域になります。

犬の皮膚の厚さが人の約1/3だという数字を、この記事では最初から最後まで「約」と「とされる」で書いてきました。覚えて帰っていただきたいのは、0.03という数字ではなく、比べる相手を決めてから数字を読む、という順番のほうです。比較の相手がない数字は、それだけでは何も言っていません。

Caution厚さの数字からは読み取れない変化があります

地肌の赤みが引かない、脱毛がある、湿ってべたついている、粉が急に増えた、同じ場所をなめ続けている、においが急に変わった、痛がって触らせない、元気や食欲が落ちている。こうした変化があるときは、ケアの手順を変える前に動物病院にご相談ください。犬の皮膚の状態は、厚さの数字からは判断できません。相談に行くときは、いつから、どの場所に、どんな変化が出たかと、洗った日付・使ったものを書き出して持っていくと、その場で切り分けてもらえます。

厚さの数字を覚えて帰る記事にはしたくなかったので、最後は手の話で閉じます。人が自分の腕に当てて心地よいと感じる強さと時間は、人の表皮の厚さを前提にした感覚です。それをひとつ弱く、ひとつ短くするだけで、毎日のケアは犬の側の単位に寄ります。約1/3という比を覚えておく意味は、そこにあります。

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よくある質問

犬の皮膚の厚さは、体の場所によって違いますか
違うとされています。肉球のようにまわりよりずっと厚い場所もあれば、耳の内側や腹のように薄いとされる場所もあります。人でも手のひらと足の裏は厚く、まぶたは薄い。だから「犬の皮膚の厚さは◯mmです」と1つの数字で言い切ることはできません。約0.03mm前後という目安は、比べやすい場所どうしを並べたときの話として受け取ってください。
「人の約1/3」という数字は、猫にもあてはまりますか
この記事の数字は、犬と人を比べたものです。猫の数値をそのまま同じ比で語ることはできません。ただし、人より薄い側にあるという関係と、そこから出てくる「短く、弱く」という考え方は、猫のケアでも同じように使えます。数字を持ち出すときは、必ず比べた相手を添えるのが安全です。
皮膚が薄いと、それだけで傷つきやすいということですか
厚さだけで決まる話ではありません。薄いという条件から確実に言えるのは、外から触れたものが届くまでの距離が短く、水分の出入りも早い側にある、ということです。感じ方や丈夫さは、部位・被毛の量・年齢・その子の慣れによっても変わります。厚さの数字を掛け算に使って「3倍」のように語ると、事実から離れていきます。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。