C12Q&A・豆知識
犬に人間用シャンプーを使ってもいい?pHの違いから考える
人の皮膚の表面はpH4.5〜6.0前後の弱酸性、犬の皮膚はそれよりアルカリ寄りのpH6〜7.5程度とされています。人間用シャンプーは、犬には使わないほうがよいです。理由はpHという1つの条件にあります。人間用シャンプーは人の皮膚のpHに合わせて設計されていて、犬の皮膚はその位置にいません。つまり「刺激が強いから避ける」のではなく、「合わせている相手が違うから避ける」という話です。pHは良し悪しの順位ではなく、どこに位置しているかを表す数字です。この記事では、人間用シャンプーと犬の皮膚のあいだにある条件を、8つの問答に分けて書きます。低刺激と書かれた製品をどう読むか、一度使ってしまったあとに何を見るか、洗わない日に手元でできることまで含めます。
犬に人間用シャンプーを使ってもいいですか|その理由になる1つの条件
答えから書きます。犬に人間用シャンプーを使うのは避けたほうがよい、というのがこの記事の答えです。ただし、その理由を「人間用シャンプーは強いから」と説明すると、話が半分ずれます。理由になるのは強さではなく、pHという1つの条件です。
pHは、酸性かアルカリ性かを0から14の数字で表したものです。7が中性で、それより小さければ酸性、大きければアルカリ性になります。pHは強い・弱いを表す順位ではなく、どこに位置しているかを表す座標です。だから「pHが低いほうが優しい」という読み方も成り立ちません。合っているか、ずれているか。見るのはそこだけです。
一般に、人の皮膚の表面はpH4.5〜6.0前後の弱酸性に保たれているとされています。犬の皮膚は、それよりアルカリ寄りのpH6〜7.5程度とされることが多く、人よりも中性に近い位置にあります。人間用シャンプーは、人の皮膚のpHに合わせて設計された製品です。設計として正しいことをしているのですが、その「合わせている相手」が犬ではありません。
人間用シャンプーが悪い製品だ、という話ではありません。人の頭皮と髪に対しては、人のpHに合わせてあることが正しい設計です。犬に使うときに問題になるのは、その正しさが向いている先が違う、という一点だけです。この記事では「人間用シャンプーは危険です」という言い方をしません。pHという物の条件が違う、とだけ書きます。
人間用シャンプーとは、誰の皮膚に合わせて作られたものですか
製品には必ず「想定している使い手」があります。人間用シャンプーとは、人の頭皮と髪に合わせて作られた製品のことです。洗浄成分の種類、その配合量、泡の立ち方、すすぎやすさ、仕上がりの手ざわり。そのすべてが、人の体格と人の洗い方を前提に決められています。
人の洗い方には、いくつも前提があります。ほぼ毎日洗う。シャワーから湯がいくらでも出る。自分の手で洗うので、しみたらすぐ止められる。髪は太くて長いので、泡を毛の中まで通す力が要る。目に入りそうになったら顔を上げる。この前提の1つも、犬には当てはまりません。
| 条件 | 人間用シャンプーの前提 | 犬を洗うときに実際に起きること |
|---|---|---|
| 洗う頻度 | ほぼ毎日 | 月に1〜2回、あるいはもっと少ない |
| 使える湯の量 | シャワーで制限なし | 湯量も時間も限られ、途中で切り上げることがある |
| すすぎ | 髪1本ずつの間を湯が通る | 毛が重なった内側と、脇や内股に泡が残りやすい |
| 洗う人 | 自分で洗う | 人が洗う。しみても本人からは伝えられない |
| 洗ったあと | 室温でも乾く | 地肌まで乾くのに時間がかかり、乾かす作業が要る |
| なめる可能性 | 想定されていない | 乾いたあとに自分でなめる場所がある |
この表は、人間用シャンプーの品質を問題にしているのではありません。前提が違う場所へ製品を持ち込むと、製品が想定していない使われ方になる、という話です。すすぎの前提が違えば、残る量が変わります。乾かす時間の前提が違えば、乾く前の時間の長さが変わります。犬の側にある条件が、人間用シャンプーの設計図には書かれていません。
犬と人の皮膚のpHは、どのくらい違うとされていますか
数字を並べます。人の皮膚の表面はpH4.5〜6.0前後、犬の皮膚はpH6〜7.5程度とされるのが、一般に見かける目安です。数字に幅があるのは、測る条件によって結果が動くからです。この幅を無視して「犬の皮膚はpH7.5です」と1つの数字で言い切ると、その時点で数字の精度を偽ることになります。
| 皮膚表面のpHの目安 | 位置 | |
|---|---|---|
| 人 | およそ4.5〜6.0 | 弱酸性 |
| 犬 | およそ6〜7.5 | 人よりアルカリ寄り。中性に近い |
| 中性の基準 | 7.0 | この数字を境に酸性とアルカリ性が分かれる |
幅が出る理由も書いておきます。同じ1頭の犬でも、測る場所によってpHは変わるとされています。背中と、腹と、脇の下と、耳の中では条件が違います。加えて、年齢、季節、その日の湿度、直前に何かで洗ったかどうかでも動きます。報告される数値の幅がそろわないのは、こうした条件が調べるたびに違うからです。
- 測る場所:背中と腹、脇と耳の中では、皮脂の量も湿り方も違います
- 年齢:若い時期と年をとってからでは、皮膚の状態そのものが変わります
- 季節と湿度:乾燥する時期と湿度の高い時期では、表面の状態が変わります
- 直前のケア:洗った直後は、洗う前の値には戻っていません
- 測り方:測定器を当てる時間や、当てる前に濡らすかどうかで結果が動きます
だから、この記事でも「犬の皮膚はpH◯です」とは書きません。言えるのは、人と犬では保たれている位置が違う方向にある、という関係のほうです。人間用シャンプーの設計が向いているのは、この2つの位置のうち片方だけです。
生きものの数値には、必ず個体差と測定条件が乗ります。この記事の数字は、一般に目安として言われている幅を紹介したものです。特定の論文や機関の名前を出典として挙げることはしません。持っていない出典を装うほうが、数字そのものより読者を誤らせるからです。もし正確な数値がその子について必要な場面なら、それは家で調べる話ではなく、動物病院で相談する話になります。
pHが違うと、犬の体の上ではなぜ洗い上がりが変わるのですか
皮膚の表面には、皮脂と汗が混ざってできた薄い膜があります。pHは、この膜がどんな状態にあるかと結びついた数字です。洗うという行為は、汚れを落とすと同時に、この膜を一度動かします。人間用シャンプーは、動かしたあとに人の膜が人のペースで戻ることを前提に組み立てられています。
犬の場合、戻り方の前提が違います。皮膚の位置が人よりアルカリ寄りにあり、被毛の量も、乾くまでの時間も、洗う間隔も違います。人の前提で作られたものを犬に持ち込むと、洗い上がりから乾き終わりまでの時間が、設計と違う長さになります。ここで出てくるのは、次のような「見て分かる違い」です。
- 地肌まで乾くのに、思っていたより時間がかかる
- 乾かしたあとに、細かい粉のようなものが出る
- 毛の手ざわりが、洗う前よりきしむ、または逆に重くなる
- 洗ったのに、においの戻りが早い
- 洗った日の夜だけ、同じ場所を気にする回数が増える
念のため書いておくと、ここに挙げたのはすべて「見て分かること」であって、体の中で何が起きたかの説明ではありません。洗い上がりが変わったからといって、それだけで何かの病気を言い当てられるわけではありません。この記事が扱えるのは、pHという物の条件と、そこから予想がつく手ざわりや乾き方までです。
一度使ってしまいました。犬は大丈夫ですか|48時間で見ておく3つ
先に答えます。1回使ったことだけで結論は決まりません。大丈夫かどうかを決めるのは、使ったという事実ではなく、そのあとその子に何が起きているかです。人間用シャンプーを1回使ってしまった、という相談はよくあります。慌てて洗い直すより、まず48時間見るほうが確実です。
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地肌の色を、明るいところで見る
毛をかき分けて、背中・腹・脇の下・内股の4か所を見ます。いつもより赤い場所があるかだけを確かめます。夜の照明の下では色が分かりません。昼間の窓辺で見てください。
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気にする回数を数える
同じ場所をなめる、かく、床にこすりつける。この3つが、洗う前より増えているかどうかを見ます。1日に何回か、という数だけをメモします。強さではなく回数のほうが、翌日と比べられます。
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乾いたあとの粉を見る
乾ききってから、黒い布か濃い色の床の上でブラシを1往復させます。細かい粉が落ちるかどうか。洗う前に同じことをしていれば、そのときと比べられます。
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48時間たったところで、もう一度同じ3つを見る
増えているのか、減っているのか、変わらないのか。判断材料になるのは、1回の観察ではなく2回の差です。洗い直すかどうかも、この差を見てから決めるほうが失敗しません。
すぐに洗い直すべきかどうかも、よく聞かれます。その日のうちに湯で流し直すのは、すすぎ残りが疑われるときだけで十分です。短時間、ぬるめの湯で、洗剤を足さずに流します。もう一度シャンプーを重ねると、その日だけで2回洗ったことになり、洗い上がりが変わった理由がどちらのせいか分からなくなります。切り分けられなくなるのがいちばん困ります。
赤みが引かない、なめる回数が増え続ける、腫れている、湿ってべたついている、痛がって触らせない、元気や食欲が落ちている。こうした変化があるときは、家で様子を見る時間を延ばさず、動物病院にご相談ください。何を使ったかを説明できるように、使った製品の容器をそのまま持っていくと話が早く済みます。使ってよかったかどうかを人の判断だけで決めきらないことが、この場面ではいちばん確実な選び方になります。
「低刺激」と書かれた人間用シャンプーなら、犬に使ってもいいのですか
答えは変わりません。低刺激という表示は、誰にとっての低刺激かが省略された言葉です。人間用シャンプーに書かれている低刺激は、人の頭皮を基準にした話です。基準そのものを人に置いているので、その表示が犬の皮膚のpHの位置を動かすことはありません。
無添加という表示も同じ構造をしています。無添加は「何を入れていないか」の話であり、入れていないものの一覧です。何を入れていないかを示す言葉は、その製品が誰に向けて設計されたかを示す言葉ではありません。だから、次のような読み方は成り立ちません。
低刺激と書いてあるから、犬にもそのまま使えますという読み方です。低刺激であることと、犬に向けて設計されていることは、別々の情報です。両方そろって初めて、犬に向けた製品だと言えます。
| 表示の言葉 | 言っていること | 言っていないこと |
|---|---|---|
| 低刺激 | 人を基準にした比較で刺激が少ない | 犬に向けて設計されているかどうか |
| 無添加 | 特定の成分を入れていない | 残りの成分が誰のpHに合わせてあるか |
| 天然由来 | 原料の出どころ | その子の皮膚に合うかどうか |
| ベビー用 | 人の乳幼児の皮膚に合わせてある | 犬の皮膚の位置に合わせてあるかどうか |
| ペット用と明記 | 犬や猫を対象にしている | その子に合うかどうかは使ってみないと分からない |
家で確かめられるのは、ここまでです。容器の裏の「使用対象」の欄に、犬や猫と書かれているかどうか。書かれていなければ、それは人に向けて作られた製品です。書かれていれば、少なくとも犬という条件が設計に入っています。あとはその子に合うかどうかで、これは表示からは読めません。
犬用と表示された製品は、人間用シャンプーと何が違うのですか|洗う手順まで含めて
違いは、大きく3つに整理できます。合わせているpHの位置、すすぎの前提、なめる可能性を織り込んでいるかどうか。成分の名前を1つずつ比べるより、この3つで見たほうが早く分かります。
| 前提 | 人間用シャンプー | 犬用と表示された製品 |
|---|---|---|
| 合わせているpH | 人の皮膚(弱酸性) | 犬の皮膚(人よりアルカリ寄り) |
| すすぎ | 湯を大量に使える前提 | すすぎ残りが起きうる前提で組む |
| なめる可能性 | 想定に入っていない | 乾いたあとになめる場所があると想定する |
| 泡の量 | 髪の量に対して立つ量 | 被毛の中で流しきれる量に抑える |
| 香り | 残ることが価値になる | 残らないことが選ばれる場合がある |
手順の側も書いておきます。犬を洗うときにいちばん時間を取られるのは、洗うところではなくすすぎと、乾かすところです。泡を立てるのは1分で終わりますが、脇と内股と尾のつけ根から泡を抜くには、その何倍もかかります。ここを急ぐと、どの製品を使っていても残ります。
- 湯温:人が心地よいと感じる温度より、ぬるいと感じるくらいで足ります
- すすぎの順番:背中から始めて、脇・内股・尾のつけ根を最後にもう一度通します
- タオル:こすらず、押し当てて水を移します。タオルを2枚に分けると乾かす時間が短くなります
- 乾かす:風を当てる前に、タオルで取れるぶんを全部取ります。地肌に指を入れて温度を確かめます
- 音:ドライヤーの音を嫌がる子には、風量を落として距離を取ります。音が原因で暴れると、乾かす時間がさらに延びます
この手順は、人間用シャンプーを使っていても犬用の製品を使っていても同じです。製品の選び方で決まるのはpHの位置までで、そのあとの時間の使い方は手順で決まります。どちらか片方だけを整えても、洗い上がりは安定しません。
pHの位置・すすぎ・なめる可能性|犬と人間用シャンプーの8つの答えを1枚に並べ直す
ここまでの答えを、ひとつの表にまとめます。この記事で扱えたのは、pHという物の条件と、そこから予想のつく手ざわりや乾き方までです。その子の体で何が起きているかは、家では決められません。そこは最後の一行に残してあります。
| 疑問 | 答え |
|---|---|
| 犬に人間用シャンプーを使ってよいか | 避けたほうがよい。理由はpHの位置が違うこと |
| 理由は刺激の強さか | 違う。合わせている相手が違うという話 |
| どのくらいpHが違うのか | 人はおよそ4.5〜6.0、犬はおよそ6〜7.5とされる目安がある |
| 数字は言い切れるか | 言い切れない。測る場所・年齢・季節で動く |
| 一度使ったら大丈夫か | 48時間、地肌の色・気にする回数・粉の3つを見て判断する |
| 低刺激と書いてあれば使えるか | 使えない。低刺激は人を基準にした言葉 |
| 犬用は何が違うのか | pHの位置・すすぎの前提・なめる可能性の3つ |
| 毎日のケアはどこまでやればよいか | 全身ではなく、地面に近い3か所を一往復ずつ |
最後の行について書きます。犬を洗う間隔は、人が髪を洗う間隔よりずっと長くなります。その一方で、犬は毎日体から脂を出し、毎日地面の近くを歩きます。汚れがつく速さと洗う間隔は、はじめから釣り合っていません。1回のシャンプーをどれだけ丁寧にしても、この釣り合いのほうは動きません。動くのは、洗う日と洗う日のあいだに手が入ったときです。
mofuwa グルーミングスプレーは、高機能性電解還元水(アルカリ電解水)でできた、その「あいだ」に置く道具です。この記事で並べた3つの前提のうち、うしろの2つは、この道具では条件として立ち上がりません。湯をかけないので、すすぎ残りの量という変数が出てきません。口に入る量を気にしなくていいのは、清涼飲料水の規格基準をクリアした成分だけで組まれているからです。残るのはpHの位置の話だけで、そこは表示を見て選べば片づきます。アルカリ電解水と油が乳化する力で、余分な皮脂と汚れのほうが浮いて落ちます。
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布に取ってから、地肌の近くに当てる
顔まわりは直接吹きかけず、布を経由させます。なめることを出発点に設計されているので、布が湿るまで含ませて構いません。
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足の裏、口のまわり、尾のつけ根の順に一往復
この3か所は地面と床にいちばん近く、においが最初に戻ってくる場所です。全身を一度にやろうとすると、途中で終わります。
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そのままブラッシングに移る
毛が湿っているあいだは静電気が起きにくく、抜けた毛が飛び散りにくくなります。グルーミングスプレーはブラッシングスプレーでもあるので、ここで道具を持ち替えずに済みます。
この記事は、人間用シャンプーと犬の皮膚のpHという条件を説明したものです。赤み、脱毛、かゆがる回数の増加、湿ったべたつき、においの急な変化、痛がるそぶり。こうした変化があるときは、シャンプーの選び方を変える前に動物病院にご相談ください。48時間で見た3つ(地肌の色・気にする回数・粉)を、いつ何を使ったかと一緒に書き出して持っていくと、その場で切り分けてもらえます。
人間用シャンプーを使うかどうかで迷った日は、洗う日を今日にしない、という決め方もできます。犬の体に手が触れる回数は、洗う回数では決まりません。地面に近い3か所に毎日手が入っていれば、pHの位置で迷う日そのものが減っていきます。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
