C08季節・行事
まだパチッとこないのに、毛が広がりはじめる
朝にブラシを通した毛が、昼過ぎには背中の上でゆっくり広がる。触ってもパチッときませんし、手にまとわりつく感じもまだ出ていません。10月に入って最初に動くのは、室内の湿度のほうです。湿度が60%台から50%台へ落ちた週、毛は帯電する前に、まず軽くなって広がる。この記事では、ブラシを通したあとに毛が寝ている時間を分で数えて、湿度で広がる毛と、帯電して広がる毛を分けます。換毛期の抜け毛の量とも、気温の下がり方とも、見るところが違います。
60%台から50%台へ落ちた週|毛が広がりはじめる湿度の条件
10月の最初の週に動くのは気温より湿度のほうで、室内の数字が60%台から50%台へ下がります。外の気温はまだ20度を超える日があり、家の中も暑くも寒くもありません。冷房も暖房も入れていないので、部屋の空気が乾いてきたことに人の側はほとんど気づきません。先に気づくのは毛です。朝にブラシを通して寝かせたはずの毛が、昼を過ぎたあたりから背中の上で広がる。夕方にもう一度触ると、朝と同じ手触りには戻っていません。
この記事で数えるのは、抜け毛の量でも、フケの粒の数でもありません。ブラシを通したあと、毛が寝ている状態が続く時間です。朝の8時に梳かして、背中の毛が広がりはじめた時刻を1回だけ見る。その差を分で書き留めます。1日にひとつの数字なので、湿度計の数字と並べてカレンダーの端に入ります。
| 室内の湿度 | 毛が広がるまでの時間 | そのとき手に出ること |
|---|---|---|
| 65%前後 | 半日ほど持つ | 夕方に触っても朝と同じ向きに寝ている |
| 60%前後 | 3〜4時間 | 昼過ぎに毛先だけが立ちはじめる |
| 55%前後 | 20〜30分 | 梳かした直後から浮いてくる |
| 50%前後 | 10分を切る | ブラシが毛を押しているだけになる |
| 45%を下回る | 通した端から広がる | 毛がブラシのほうへついてくる |
表の右の列が、家の中で手に出ることです。湿度が10ポイント落ちると、持ちの時間は半分では済みません。下がるほど、毛が広がるまでの時間は急に短くなります。9月とまったく同じ手順で梳かしているのに、10月に入った途端「梳かしても意味がない」と感じるのは、手順が悪くなったからではありません。同じ手順が持つ時間のほうが縮んでいます。
この時期の毛は、汚れて重くなっているのではなく、軽くなっています。毛の1本1本が含む水が減ると、隣の毛に寄りかかる力が弱くなり、束でまとまっていたものが1本ずつの向きへ戻ります。それが背中で起きると、体の輪郭がひとまわり大きく見えます。換毛期で下毛が抜けはじめる時期とも重なるので量が増えたように見えますが、増えているのは体積のほうです。室温が一定でも、湿度だけが落ちれば同じことが起きます。
パチッとくるのは湿度40%を切ってから|毛が広がる時期のずれ
パチッとくるのは、もっと先です。毛が帯電して隣の毛どうしが反発しあう状態は、室内の湿度が40%を切るあたりから出てきます。10月前半の家は、そこまで乾いていません。暖房をまだ入れていないからです。毛が広がる時期は、静電気が起きる時期より3〜6週間ほど早く来ます。この時間差のあいだに手を打てるかどうかが、冬の梳かし方を決めます。
順番で言えば、湿度が下がる、毛が軽くなって広がる、さらに下がる、帯電して反発する、という並びです。先に来るほうを湿度の話として扱っておくと、あとから来るほうが軽く済みます。毛が広がった時点で「もう静電気だ」と決めてしまうと、この時期にだけ効く手をひとつも打たないまま、パチッとくる季節に入ることになります。
- 音がするか:帯電していれば、ブラシを離すときに小さな音が出ます。10月前半の広がりは無音です
- 毛がどこへ向かうか:帯電した毛はブラシや手のほうへ引かれます。乾いて広がる毛はどこへも向かわず、その場で立ちます
- 湿らせたときに戻るか:霧吹きを1回だけ吹くと、乾いて広がる毛はその場で寝ます。帯電していると、湿った直後だけ寝て、乾く途中でまた立ちます
- 出る時間帯が決まっているか:帯電は暖房を入れた直後や、服を脱がせた直後に集中します。乾いて広がるほうは、時間帯を選びません
この4つのうち、家でいちばん確かめやすいのは3つ目です。霧吹きを1回吹いて10秒待つ。そこで毛が寝れば、いま起きているのは湿度の話です。寝ないか、寝てもすぐ立つなら、帯電がもう始まっています。10月前半なら、季節の変わり目に入ったばかりの家はほとんどが前者になります。気温がまだ高い日に広がるという時期のずれは、それ自体が見分けの手がかりです。
持ちの分数で並べる|湿度で広がる毛と、帯電した毛の比較
同じ「毛が広がる」でも、湿度で起きているものと帯電で起きているものでは、手の入れどころが違います。どちらも見た目は輪郭が大きくなるだけなので、見た目からは分かれません。分かれるのは、持ちの時間の減り方と、湿らせたあとの戻り方です。
| 見るところ | 湿度で広がる(10月前半) | 帯電して広がる(暖房を入れてから) |
|---|---|---|
| 室内の湿度 | 50〜60%台 | 40%を下回る |
| 持ちの時間 | 20分から数時間へ、日ごとに縮む | 梳かした直後から立つ |
| 音 | しない | ブラシを離すときに鳴る |
| 毛の向き | その場で立つ | ブラシや手に引き寄せられる |
| 湿らせた10秒後 | 寝たまま残る | 乾く途中でまた立つ |
| 出やすい場所 | 背中と腰の上側 | 耳のうしろ、しっぽ、脇 |
| 先に手を入れる順番 | 梳かす前に毛へ水分を戻す | ブラシの素材と部屋の湿度から先に変える |
表の下から2行目が、この時期に見落とされるところです。乾いて広がるほうは、体の上側、いちばん外気に触れている面から先に出ます。腹側や内股はまだ何ともないのに、背中と腰だけが広がる。だから「体全体が乾いてきた」と感じるより先に、面で見えるようになります。
いちばん下の行が、打つ手の分かれ目です。帯電がはじまってからは、部屋の湿度そのものを上げないと止まりません。加湿器を出す、洗濯物を室内に干す日を増やす、といった家の側の手当てが要ります。これに対して10月前半は、毛の側へ水分を戻すだけで持ちの時間が延びます。家中の湿度を動かさなくても、梳かす直前のひと手間で足ります。手数が少なくて済むのは、この時期だけです。
この季節は下毛が入れ替わる時期でもあるので、ブラシに残る量が増えます。量が増えたことと、毛が広がることは別々に動きます。抜け毛が多い日に持ちが長いこともあれば、ほとんど抜けない日に10分で広がることもあります。数える数字をひとつに絞ると決めたのは、この2つが混ざると湿度との対応が読めなくなるためです。抜け毛の量は、別の欄に書いてください。
先に手を入れるのはどっちか|湿度が動く週の毛のあつかい
持ちの時間を延ばす手は、梳かす前に置きます。軽くなった毛をそのまま梳かすと、ブラシは毛を押しているだけになり、通した端から広がる。先に毛の側へ水分を戻しておくと、同じブラシで同じ回数を通しても、寝ている時間のほうが延びます。順番を入れ替えるだけなので、かかる時間は変わりません。
毎日きれいにしてあげたい、という気持ちに毎日応えられる形にしたのが mofuwa グルーミングスプレーです。犬も猫も体から脂を出しますし、散歩に出れば外の汚れもつきます。昨日きれいにしても、今日また汚れる。ところが毎日シャンプーはできませんし、サロンに毎日通うこともできません。その間にできた空白を、吹きかけて梳かすだけの手順で埋めるためにつくられた1本です。
使う量を気にしなくていいところが、この時期には効きます。原料の水は、清涼飲料水の規格基準に照らして確かめられたものです。だから背中にたっぷり行きわたらせて、そのあとその子が自分で毛づくろいをしても、量のほうを見張らずに済みます。乾いて広がっている毛は、ひと吹きでは足りません。毛の根元まで湿らせてからブラシを入れると、持ちの時間が目に見えて変わります。
落ちるものも、この季節に合っています。アルカリ電解水と油がなじんで乳化するので、落ちるのは汚れのもとになっていた余分な脂で、地肌に要る皮脂はそこに残ります。湿度が下がって地肌が乾きはじめる時期に、脂ごと取り去ってしまう道具を毎日使うと、うるおいの側から減ります。毎日使うものだからこそ、落としすぎない設計であることが条件になります。
グルーミングスプレーは、ブラッシングスプレーでもあります。梳かす前に毛を湿らせておけば、静電気の起きにくい状態でブラシを通せます。10月前半にこの順番を手に覚えさせておくと、暖房を入れて湿度が40%を切った週に、新しく覚えることがありません。やることは同じで、吹きかける量だけが増えます。季節の変わり目に手順を組み替えずに済むのは、それ自体が続けやすさになります。
湿度計が60%を指した日にも、ブラシを通して10分で毛が広がる。その状態が2週間続いて、背中の同じ場所だけ毛が薄くなってきた、地肌に赤みが出た、梳かしている途中で体をひねって逃げるようになった。ここまで来ると、湿度の表から読める話ではなくなります。持ちの分数を書いたカレンダーと、そのときの湿度の数字を持って、動物病院で診察の枠をひとつ取ってください。何分から何分へ、何日かけて縮んだのかが並んだ記録は、その場で言葉にして伝えるより早く届きます。
10月の終わりに残っている、たったひとつの数字
10月の終わりに手元に残っていてほしいのは、抜けた量でも、ブラシを通した回数でもありません。湿度がいくつの日に、毛が何分で広がったか。その1行だけです。日付と数字がふたつ並んでいれば、季節の変わり目に何が先に動いたのかが、あとから読み返せます。
その数字があると、暖房を入れる週に起きることが先に読めます。持ちが20分まで縮んでいる家は、暖房でもう10ポイント落ちたときに、毛が広がるのではなく帯電しはじめます。湿らせてから梳かす順番をいまのうちに手に入れておけば、その週にあらためて決めることはありません。室温が上がって湿度が落ちるという組み合わせは、毎年そろって来ます。
今日できるのは、湿度計をブラシの横に置くことだけです。朝に数字を見て、毛が広がった時刻をひとつ書く。それだけで、11月の広がり方はもう見えています。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- 湿度計を持っていません。数字がなくても数えられますか。
- 毛が広がるまでの時間だけでも足ります。湿度は、持ちが縮んだ理由を説明するための数字なので、なくても記録そのものは成り立ちます。目安になるのは洗濯物です。部屋干しにしたタオルが前の週より早く乾くようになった日は、室内の湿度が落ちています。その日から毛の持ちが何分になったかを書いておくと、数字がなくても対応が読めます。湿度計を置くなら、その子が長くいる高さに合わせてください。人の目の高さと、床に近い場所では数字が違います。
- 毛が広がる日は、ブラシを通す回数を増やしたほうがいいですか。
- 回数を増やすと、持ちの時間はかえって短くなります。乾いて軽くなった毛にブラシを何度も通すと、毛どうしがこすれて帯電が早く始まるためです。増やすのは回数ではなく、梳かす前に毛へ戻す水分のほうです。1回で寝なかったところに、もう一度吹きかけてから通す。通す回数は9月と同じで構いません。梳かしたあと10分で広がる日は、ブラシの前の工程が足りていない合図として読めます。
- 猫でも同じように数えられますか。
- 数えられます。ただし猫は自分で毛づくろいをするので、広がりはじめた時刻が犬より読みにくくなります。猫の場合は、朝いちばんに背中を手で軽くなでたときの毛の起き方を、同じ時刻に見てください。窓ぎわで長く寝る子は、そこだけ先に乾きます。日の当たる場所と、部屋の奥とで背中の毛の向きが違う日は、家の中で湿度が均一ではありません。寝床の位置を1メートル動かすだけで、持ちの時間が変わることがあります。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
