C05犬種・猫種別ケア

フレンチブルドッグと暮らすなら知っておきたい、顔のシワの汚れの話

公開日 2020年10月27日|文=mofuwa編集部

明るい部屋でくつろいでいるフレンチブルドッグ
同じ1本のシワでも、中と縁ではたまるものが違います。写真:David Kanigan/Pexels

フレンチブルドッグの鼻の上には、横一文字の深いシワが1本あります。本数としては、それだけです。ところがこの1本は指で広げても底まで見えないほど深く、たまる汚れの種類が、シワの中と縁とで違います。中は湿ってふやけ、縁はこすれる。起きていることが違うので、やることも別になります。ここでは、この二つを分けて見ていきます。

横一文字が1本だけ|フレンチブルドッグのシワの作り

顔にシワのある犬種はいくつもありますが、フレンチブルドッグの場合は本数が少ないのが特徴です。鼻の上を横切る、弧を描いた1本。これが主役です。本数が少ないぶん、1本あたりが深くなります。浅いシワが何本もある顔とは、汚れのたまり方も、手の入れ方も変わります。

作りとして押さえておきたいのは、次の三つです。

三つ目は、意外に見落とされます。同じ顔の上で、開いている場所と閉じている場所が同居しています。耳が立っていて中が乾きやすいので「この子は乾きやすい体質だ」と思ってしまうのですが、シワの内側だけは事情がまったく違います。閉じた面どうしが触れていると、そこだけ湿ったままになります。

被毛についても触れておきます。短い毛は、換毛期の輪郭がはっきりしないまま、一年を通して少しずつ抜けます。抜けた毛が短くて硬いので、落ちきらずにシワの縁に入り込みます。そこへ皮脂が混ざって、線のような汚れになります。フレンチブルドッグのシワの汚れが「拭いても数日で戻る」のは、供給が止まらないからです。

Note体格も関係しています

首が短く、胴ががっしりしているので、自分で顔を後ろ足でかいたり、前足で細かくこすったりする動きに限りがあります。猫のように自分で顔をぬぐって整える、ということが起きにくい作りです。だからシワの中は、人が代わって水分を移すことになります。

シワの中と、シワの縁|たまる汚れの違い

ここが、この記事のいちばんの中身です。同じ1本のシワなのに、中と縁ではたまるものが違います。違うものがたまっているのだから、同じ手で扱うと片方が必ず取り残されます。

シワの中と縁で、何が違うか
シワの中(底)シワの縁(へり)
たまるもの水分。閉じた面どうしが触れて、逃げ場をなくした湿り皮脂と、短い抜け毛が混ざったもの
起きていること湿ったままふやけて、やわらかくなる上下の面がこすれて、色が濃くなる
気づき方広げないと見えない。においが先に出る広げなくても、線として見える
やること水分を移して、乾いている時間をつくる浮かせてから、こすらずに一方向で取る
やりすぎるとこすって、ふやけた面がいたむ拭きすぎて乾き、さらにこすれる

表の左の列と右の列で、「やること」がほとんど逆を向いているのが分かると思います。中は水分を減らす作業、縁は汚れを浮かせて取る作業です。中に湿らせたものを入れれば水分を足すことになりますし、縁を乾いた布でこすれば摩擦を足すことになります。どちらも、良かれと思ってやったことが裏目に出る形です。

「汚れ」という一語でまとめてしまうと、この違いが消えます。シワの汚れを一種類だと思っているあいだは、拭き方も一種類にしかなりません。フレンチブルドッグのシワを扱うときは、まず中と縁を別々のものとして数えてください。

開いても見えない奥がある|シワの汚れの見分け方

指で上下に広げると、シワの底が見えます。ところが見えている部分が、全部ではありません。鼻の上を横切るシワは弧を描いていて、両端が鼻の脇へ回り込んでいます。この回り込んだところは、指で広げても開ききりません。汚れがいちばん残るのは、たいていこの両端です。

見えないところを扱うので、目で見て判断できません。手がかりは三つあります。

見えない奥を、どう見分けるか
手がかり何が分かるかそのときの選び方
におい奥に湿りが残っている中の水分を移す作業を厚くする
布に付いた色縁で皮脂と抜け毛が混ざっている縁を浮かせて取る作業を厚くする
指の腹の感触ぬめるなら中、ざらつくなら縁感触が変わったほうを先に扱う

三つ目が、いちばん実用的です。清潔な指の腹でシワをそっとなぞって、ぬめるような感触なら中の湿り、ざらつくような感触なら縁のこすれと見分けられます。両方ある子も珍しくありません。その場合は、先に中の水分を移してから縁に移ります。逆にすると、縁をきれいにしたそばから中の湿りが縁に回ります。

Point毎日のケアは、見えないところを前提に組む

「見て、汚れていたら拭く」という組み方だと、両端がいつまでも残ります。見た目に関係なく、両端まで指を運ぶ手順を毎日のケアに入れてください。時間にすれば数十秒です。汚れているかどうかを判断する工程を省くほうが、続きます。

湿りとこすれ|シワの中と縁で手を使い分ける

順番があります。中が先、縁があと。そして、顔に手を入れるのはブラッシングのあとです。理由は下の手順の中で説明します。

  1. 先にブラッシングを済ませる

    短い抜け毛を落としてから顔に移ります。順番が逆だと、シワをきれいにしたそばから、落ちた短い毛が縁に入ります。フレンチブルドッグの被毛は短くて硬いので、抜けた毛が空中に舞うより、体の上を転がって顔のほうへ移動します。ラバー製のブラシで体をひとまわりしてから、顔にかかってください。

  2. 乾いた布を、シワの中に差し入れて押さえる

    こすりません。人差し指に薄い布を巻いて、シワの中に沿わせ、5秒ほど押さえます。目的は汚れを落とすことではなく、こもっている水分を布に移すことです。布の選び方は、厚みのないものを選んでください。厚い布は指と一緒に入らず、底まで届きません。両端の回り込んだところまで、指を横に滑らせて運びます。

  3. 縁は、浮かせてから一方向に取る

    縁の汚れは皮脂と短い毛が混ざって固まっているので、乾いた布でこすると毛の側が皮膚を引っかきます。湿らせた布を数秒当てて、ゆるめてから一方向に取ってください。往復させないこと。往復すると、取れかけたものが中へ落ちます。

  4. 最後に、シワを開いたまま数十秒おく

    拭いたあとに閉じてしまうと、湿ったまま面が合わさります。指で上下にそっと広げて、風が通る状態を数十秒つくってください。この数十秒があるかないかで、次の日の中の湿り方が変わります。おやつを見せて上を向かせると、自然に開いた状態で待てます。

縁を湿らせる布には、水のかわりに mofuwa グルーミングスプレーを含ませておく手が使えます。縁にたまっているのは皮脂と短い抜け毛が混ざったものなので、含ませた布を数秒当てるだけで、一方向に取れるところまでゆるみます。吹きかけるのは布のほうで、シワの中へ直接は入れません。中に必要なのは水分を減らすことで、足すことではないからです。

同じものが、手順1のブラッシングにも使えます。フレンチブルドッグの抜け毛は短くて硬く、空中に舞うより体の上を転がって顔のほうへ移動します。ラバーブラシを当てる前に体へグルーミングスプレーを吹きかけておくと、毛が立たないぶん、ブラシの側へ集まります。顔に移る前に落としておきたいのは、まさにこの毛です。なめても差し支えのない基準でつくられているので、口のまわりを通る場所に使っても、量を数えながら吹きかける必要がありません。

使い分けは、これだけです。中は乾いた布、縁は含ませた布、体はブラシとスプレー。道具は増えません。そして、スプレーを使った日ほど、最後にシワを開いたまま数十秒おく工程を省かないでください。縁を湿らせたぶん、早く閉じると中の湿りに回ります。

Caution綿棒を奥まで入れないでください

見えない奥を扱うので、細いもので届かせたくなります。ところが、見えていない場所に先の固いものを押し込むと、どこまで入っているのかが分かりません。ふやけた面はやわらかく、いたみやすい状態です。届かせるのは、布を巻いた指の腹までにしてください。

毎日のケアで追いつかないシワの汚れは、汚れとして扱う範囲の外です

中と縁を分けて手を入れれば、数日で手ざわりもにおいも変わります。それでも変わらない、あるいは日ごとに濃くなるときは、汚れの話として扱う範囲を越えています。フレンチブルドッグのシワは閉じた場所なので、変化が外から見えにくく、気づいたときには進んでいることがあります。

Caution閉じている場所なので、見えたときには進んでいます

シワの中や縁が赤い、湿ったまま戻らない、においが拭いても残る、腫れている、出血している、触ると痛がる、顔をこすりつけ続けている、元気や食欲が落ちている。こうした変化が1つでもあるときは、拭き方を変える前に動物病院にご相談ください。顔のシワは閉じているぶん、家庭のケアで見える範囲がかぎられています。指で開いて見えた変化は、たいてい開ききらない両端でも起きています。

受診の前に、いつから変わったか、シワの中と縁のどちらなのか、家で使っている布やケア用品はあるか、拭く回数を最近変えたかをメモしておいてください。中か縁かを伝えられると、話が早くなります。ここまで読んだ方は、その区別ができるようになっているはずです。

最後に。フレンチブルドッグのシワの汚れは、なくすものではありません。毎日わずかにたまるものを、毎日わずかに減らす。短い毛が抜け続け、皮脂が出続け、シワが閉じ続けるかぎり、供給は止まらないからです。1回にかける時間を長くするより、中と縁を分けた短い手順を毎日のケアとして置くほうが、この犬種には合っています。

Product

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よくある質問

シワの中は、濡らした布で拭いたほうがきれいになりますか?
中に必要なのは水分を減らすことなので、乾いた布で押さえてください。濡らした布は、縁の汚れをゆるめるほうに使います。中と縁で布を分けるだけで、翌日の湿り方が変わります。
拭いても数日で汚れが戻ります。回数を増やすべきですか?
戻るのは自然なことです。短い毛が一年を通して抜け、皮脂も出続けるので、供給が止まらないからです。回数を増やすより、ブラッシングを先に済ませてから顔に移る順番と、拭いたあとにシワを開いたまま数十秒おく工程を足すほうが変化が出ます。においや赤みが増えている場合は、回数の問題ではないので動物病院にご相談ください。
シワの両端まで指が入りません。どうすればいいですか?
無理に押し込まないでください。薄い布を人差し指に巻き、シワに沿って横に滑らせる形で運びます。それでも届かない場合は、上を向かせるとシワが伸びて開きやすくなります。綿棒など先の固いものを、見えない奥へ入れるのは避けてください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。