C09シーン別・暮らし

新幹線・飛行機、多頭飼いの人はどうしている?

公開日 2020年10月10日|文=mofuwa編集部

明るい日ざしの中、淡い色の敷物の上に並んで静かに休んでいる2頭の淡い色の犬
2頭ぶんの支度は、1頭ぶんを2回くり返すことではありません。並べて、同じ工程を1回で通します。写真:https://kaboompics.com//Pexels

新幹線の改札を通る40分前、玄関にキャリーが2つ並んでいて、1つめの支度が終わったところで時計を見ると、もう20分たっています。ペットと遠出をする日に、多頭飼いの家でいちばん最初につまずくのがここです。1頭ぶんの支度を頭数ぶんくり返すという回し方は、家を出る時刻が1つしかない以上、頭数が増えるほど成り立たなくなります。そして先に支度を終えた子ほど、キャリーの中で待つ時間が長くなります。この記事では、なぜ頭ごとに回すと崩れるのかを先に整理してから、工程ごとに回す当日の手順を書きます。新幹線でも飛行機でも、考え方は同じです。

なぜ1頭ずつ順に支度すると間に合わないのか|新幹線にペットと乗る日の前提とコツ

ペットと新幹線に乗る日、多頭飼いの家ではキャリーが頭数分あります。当たり前のことですが、当日の設計はここからしか始まりません。2頭なら2つ、3頭なら3つ。ところが、家を出る時刻は頭数が増えても1つのままです。つまり頭数が増えるほど、1頭あたりに使える時間は割られていきます。1頭ぶんの支度に20分かかる家なら、2頭で40分ではなく、実際には1頭あたり10分に縮めるしかありません。

縮めるだけなら、まだ何とかなります。もう一つの問題は待ち時間の偏りです。1頭めをキャリーに入れてから2頭めの支度を始めると、1頭めはそのあいだずっと閉じた空間で待つことになります。新幹線に乗る前から、その子だけ移動時間が長くなっている状態です。頭数が3頭になると、最初の子の待ち時間は倍になります。

3つめは、多頭飼いに固有の条件です。同じ室内で暮らしている以上、体についたものは互いに移ります。1頭を拭き終えて、次の子の支度をしているあいだに、その2頭が触れ合えば、においも毛も行き来します。頭ごとに完結させたつもりでも、最後にまとめて玄関へ集めた時点で、条件は混ざり直しています。

Note規定そのものは、必ず利用する会社の案内で確認してください

新幹線と飛行機では、ペットの扱いが違います。持ち込めるキャリーの大きさ、預かりの有無、申し込みの方法は、鉄道会社・航空会社ごとに決まっていて、内容も変わります。この記事は当日の手の回し方の話です。頭数ぶんの申し込みが必要かどうかも含めて、規定は事前に各社の案内でお確かめください。

頭ごとではなく工程ごとに回す|多頭飼いの新幹線・飛行機の当日の手順

ペットの支度の回し方を1つ変えます。「その子の支度をぜんぶ終わらせてから、次の子へ」をやめて、「同じ工程を全頭ぶん終わらせてから、次の工程へ」に切り替えます。頭数が増えても、工程の数は増えません。ここが多頭飼いでいちばん効く部分です。手順は5つ。前の日から始めます。

  1. 前日:全頭に共通のことを、1回で終わらせる

    被毛の面を通すのは、前の日の夜にまとめてやります。1頭ずつ完結させず、同じ道具を持ったまま、同じ場所を全頭ぶん続けて通してください。背中なら背中を、2頭とも。道具を持ち替えないので、その日にかかる時間が短くなります。キャリーも前日に全部出して、玄関に並べたまま開けておきます。中を見せておくと、当日に入れる時間が縮みます。

  2. 当日の朝:食事と排泄を、全頭ぶんまとめて先に済ませる

    工程1はここです。順に食べさせ、順に排泄まで終わらせます。この工程だけは、全頭が終わるまで次に進まないでください。1頭だけ済んでいない状態で新幹線に乗ると、移動中に対応する手が頭数ぶん増えます。多頭飼いでは、移動中に増える手がいちばん高くつきます。時間の読みが立たなくなるからです。

  3. 当日の朝:体を拭く工程を、同じ順路で全頭ぶん通す

    工程2です。足先、口のまわり、しっぽの下。順路は全頭で同じにして、布だけ頭ごとに変えてください。順路が同じだと、やり忘れが出ません。布を変えるのは、多頭飼いでにおいが移るのを避けるためです。ここは道具の共有をしない、と決めておきます。1頭あたり2分で足ります。

  4. 当日の朝:キャリーへ入れるのは最後に、まとめて

    工程3です。ここまで来て初めてキャリーを使います。入れる順番は、いちばん落ち着いている子から。いちばん動く子を最後にします。逆にすると、最後の1頭を追いかけているあいだに、先に入れた子が出たがります。玄関で全頭ぶんを2、3分のうちに終わらせるのが、この手順の狙いです。

  5. 移動中:新幹線でも飛行機でも、キャリーを開けない

    工程4は「何もしない」です。座席で1頭だけ扉を開けると、多頭飼いでは残りの頭数ぶんも同じことを要求します。水は駅や空港に着く前に済ませ、車内では手を出さない。到着してから、静かな場所でまとめて対応します。ここを決めておくと、頭数が増えても移動時間の設計が変わりません。

同じ支度を、頭ごとに回した場合と工程ごとに回した場合
頭ごとに回す工程ごとに回す
道具を持ち替える回数頭数ぶん、何度も出し入れする工程ごとに1回で済む
最初の子の待ち時間残りの頭数ぶん、長くなる全頭ほぼ同じになる
やり忘れ頭ごとに順路が変わり、抜けが出る同じ順路なので気づける
においの移り終えた子と、まだの子が触れ合う同じ工程で全頭が進む
時間の読み行くたびに変わる工程の数で決まるので毎回同じ

工程2で布に含ませるものを1つに決めておくと、順路がさらに速く通ります。多頭飼いで使うなら、グルーミングスプレーは1本を共有しても、当てる布だけは頭ごとに分けてください。スプレーするだけなので、前日に被毛の面を通す作業にもそのまま乗ります。清涼飲料水の規格基準をクリアしているので、口のまわりに当てる布にも量を気にせず含ませられます。グルーミングスプレーはブラッシングスプレーでもあるので、前日に面を通すときの静電気も起きにくくなります。毎日きれいにしておきたい家が、そのまま出発の朝に持ち出せる1本です。

工程で回すと崩れる3か所|そこだけ頭ごとに戻すやり方

工程ごとに回すと速くなりますが、そのままでは崩れる場所が3つあります。ペットの数が増えるほど、この3つが目立ちます。この3つだけは、頭ごとに分けて戻してください。全部を工程で押し通そうとすると、多頭飼いでは必ずここでつまずきます。逆に言えば、崩れるのはこの3つだけです。

工程で回してはいけない3か所
崩れる場所何が起きるかどう戻すか
体に当てる布・道具においと毛が頭のあいだで行き来する布だけ頭数ぶん用意して、色を分ける
キャリーへ入れる順番先に入れた子が出たがり、最後で崩れる落ち着いている子から入れ、動く子は最後
到着後に出すとき一斉に出すと、全頭が同時に動き回る1頭ずつ、部屋の扉を閉めてから出す

ペットに当てる布を分ける話を、もう少し具体的にします。多頭飼いの家で、においがいちばん行き来しやすいのは口のまわりとしっぽの下です。同じ布で2頭を続けて拭くと、2頭めは1頭めのものを塗り直していることになります。色違いの布を頭数ぶん決めて、前の日から玄関に並べておいてください。当日に迷わないので、工程2が2分で終わります。

キャリーへ入れる順番も、前の日に決めてしまいます。その日の様子で決めようとすると、いちばん時間がない場面で判断が要ることになります。ふだんの毎日の様子から、落ち着いている順に並べておく。新幹線でも飛行機でも同じ順で入れる。これが習慣になると、頭数が増えても玄関での時間は延びません。

Caution移動中の水と、温度だけは工程で扱わない

多頭飼いだと、水も温度もまとめて考えたくなります。けれど、飲む量と暑がり方は頭ごとに違います。新幹線の車内でも飛行機の中でも、いちばん飲まない子といちばん暑がる子を、それぞれ別に見てください。キャリーの置き場所を、通路側と窓側で分けるだけでも変わります。ここは工程で押し通さないところです。

降りてから室内に入れるまでの順番|帰宅後にまとめてやること

新幹線を降りたあと、あるいは飛行機から受け取ったあとの順番も、行きと同じ考え方で組みます。違うのは、ここでは工程ではなく1頭ずつに戻す場面が増えることです。移動が終わった直後は、頭数ぶんの反応が同時に出ます。室内に入れるまでを、次の順番で通してください。

  1. 駅や空港では開けない。静かな場所まで運ぶ

    人の多い場所でキャリーを開けると、多頭飼いでは1頭が動いた反応が残りの頭数ぶんに伝わります。宿か、迎えの車の中まで運んでから開けます。ここまでは工程で回して構いません。

  2. 扉を閉めた部屋で、1頭ずつ出す

    全頭を一度に出さないでください。1頭出して、その子が落ち着いてから次を出します。ペットの側から見ると、知らない室内に、知っている相手が順に増えていくほうが分かりやすくなります。ここは工程では回せない場所です。

  3. 水の器を、頭数より1つ多く置く

    移動のあいだ、飲む量は落ちています。器の数が頭数と同じだと、順番待ちが起きます。1つ多く置くだけで、飲みはじめる時間が早くなります。においが気になるときも、まず水の量から見てください。

  4. 帰宅後は、行きと同じ工程を逆から通す

    家に着いたら、キャリーから出す、体を拭く、食事、の順です。行きの順路をそのまま逆にたどると、覚え直す必要がありません。帰宅後にすべてを終わらせようとせず、翌日のふだんの毎日のケアに戻すところまでで区切ってください。

旅のあいだ、室内のにおいが気になるという相談は多頭飼いでとくによく聞きます。においの出どころは、たいてい頭数ではなく、乾いていない場所の数です。足先としっぽの下が湿ったまま室内に入ると、頭数ぶん同じことが起きます。拭いたあとに乾く時間を数分置くだけで、翌朝の状態が変わります。ここも工程で回せる部分です。

Caution移動のあとに見ておく変化と、相談の目安

翌日になっても水を飲む量が戻らない。食べない。ぐったりしている。息が荒い状態が続く。同じ場所をなめ続けている。皮膚が赤い、じくじくしている、においがある。いずれかが当てはまるときは、移動の疲れとして待たずに、動物病院にご相談ください。多頭飼いだと、1頭の変化が他の子と比べて見えるぶん気づきやすい反面、全頭が同じように静かだと見落とすことがあります。行きも帰りも、頭数ぶん同じ項目で見てください。

新幹線や飛行機にペットと乗る日、多頭飼いの家が足りなくなるのは道具でも準備の量でもなく、1つしかない出発の時刻に対して、頭数ぶんの支度を並べてしまうことです。頭ごとに完結させる回し方をやめて、全頭に共通のことを工程ごとに1回で終わらせる。布と、キャリーへ入れる順番と、到着後に出すときだけを頭ごとに戻す。この分け方を一度決めてしまえば、次にペットと新幹線に乗る日からは、同じ手順がそのまま使えます。

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よくある質問

多頭飼いですが、新幹線ではキャリーを頭数ぶん持ち込めますか?
持ち込めるキャリーの大きさや、頭数ごとの申し込みの要否は、鉄道会社・航空会社の規定で決まっています。内容が変わることもあるので、利用する会社の案内で事前にお確かめください。この記事で扱っているのは、ペットの規定を満たしたうえで当日の支度をどう回すか、という部分です。
支度は前の日にどこまでやっておけばいいですか?
被毛の面を通すことと、キャリーを頭数ぶん出して開けておくことの2つです。どちらもペット全頭に共通なので、前の日にまとめて1回で終わります。当日の朝に残すのは、食事と排泄、体を拭くこと、キャリーへ入れることの3工程だけにしてください。
移動中にキャリーを開けて、様子を見ないほうがいいですか?
多頭飼いの場合は、開けないほうが結果として短く済みます。1頭だけ扉を開けると、残りの頭数ぶんも同じことを求めるからです。水は乗る前に済ませ、到着してから静かな場所でまとめて対応してください。暑がっている、息が荒いなど、体の状態が気になるときは別で、その場で確認してください。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。