C12Q&A・豆知識
皮脂とは?犬猫のべたつきとフケは同じ量の振れ
犬や猫の背中に指を入れてべたつくときは、皮脂が多い側へ振れています。皮脂とは、皮脂腺から出て被毛と皮膚の表面をおおう脂のことをいいます。落とすべき汚れとは少し違い、多すぎても少なすぎても困るものという点に、この言葉のややこしさが集まっています。多ければべたつきとにおいになり、少なければ乾きとフケになる。どちらの側にも困りごとがあります。この記事では、犬や猫の皮脂がどこから出て何をしているのか、その量がどう変わるのか、家で見て分かることは何かを順に書いていきます。最後に、洗うという行為が皮脂をゼロにする作業ではない、という話までつなげます。
皮脂とは、皮脂腺から出て被毛と皮膚をおおっている脂のこと
皮脂とは、皮膚にある皮脂腺という組織から出る脂で、被毛と皮膚の表面をおおっているものとされています。皮脂腺は毛の生えている根もと側に付いていて、出た脂はまず毛の根元に乗り、そこから毛先のほうへ広がっていきます。犬では、足先、首の後ろ、腰から尾のあたり、あごに皮脂腺が多いと説明されています(Merck:犬の皮膚の構造)。皮膚の表面では、汗や水分と混ざり合って薄い膜のような状態になり、これは皮脂膜と呼ばれています。
ここで押さえておきたいのは、皮脂とは体の外から付いたものではない、ということです。泥やほこりや落ちた毛は外から乗ったものですが、皮脂は体が自分で出しているものです。だから、落としきったら終わりという性質のものではありません。落とせば、また出てきます。出てくること自体が正常な働きです。
何をしているのかというと、同じ解説では、皮膚をやわらかく、しっとりと保つこと、被毛につやを出すこと、菌が増えにくい性質をもつことが挙げられています。ここに、飼い主が家で分かる働きをもう1つ足せます。毛どうしのすべりをよくして、からまりにくくすることです。犬でも猫でも、ブラシの通りやすさとしてそのまま体感できます。
- 出どころ:毛の根もと側にある皮脂腺。毛穴と同じ側から出てきます
- 通り道:根元 → 毛の途中 → 毛先。毛先に届くまでには時間がかかります
- 混ざる相手:汗や水分と混ざって、皮膚の表面で膜のような状態になります
- 量が動く条件:年齢、季節、その日の気温と湿度、洗ってからの日数
- 家で触れる場所:背中の中央、尾のつけ根、耳の後ろ、あごの下
皮脂とは汚れの一種ですか、と聞かれることがあります。そのままの皮脂は汚れとは呼びません。ただし、出てからしばらく時間がたち、ほこりや抜けた毛や外のものと混ざると、そこからは汚れの側に回ります。つまり、皮脂が汚れになるかどうかを分けているのは、量よりもそこに乗っている時間のほうです。この見方は、あとの章でもう一度出てきます。
毛の表面に乗っている古い皮脂と、皮膚の上にできている膜は、同じ脂でも役割が違います。前者は落としてよく、後者は落としすぎると乾きに向かいます。ところが、家で手を動かすときにこの2つを分けるのはむずかしく、たいてい一緒に落ちます。だから、洗う回数を決めるときは「どちらまで落とすつもりか」ではなく「何日で戻るか」で見るほうが、実際には合わせやすくなります。
多くても少なくても困る|皮脂が両側で問題になる理由
皮脂の話がわかりにくくなるのは、多い側にも少ない側にも困りごとがあるからです。汚れなら少ないほどよいのですが、皮脂はそうなりません。ここを押さえると、家でのケアの目標が「減らすこと」ではなくなります。
多い側から書きます。出たばかりの皮脂とは、ほとんどにおいのないものだとされています。においが立ってくるのは、空気に触れて変化したり、皮膚の上にふだんからいる菌がそれを分解したりしたあとです。つまり、においの強さは量そのものより、乗っている時間に比例します。あわせて、ほこりや抜けた毛が脂に付くので、指を入れたときにべたつきます。毛が数本ずつ束になり、根元の側から先に重くなります。
少ない側も書きます。皮膚の表面をおおう膜が薄くなると、水分が逃げやすい状態になります。乾いた皮膚は、はがれた角質が白い粉になって毛の間に残ります。これがフケです。毛のほうは、すべりが悪くなってぱさつき、毛先が広がります。空気の乾く季節には静電気も起きやすくなり、ブラシを当てたときに毛が逆立ちます。犬でも猫でも、冬に起きる変化の多くはこちら側です。
| 見るところ | 多い側 | 少ない側 |
|---|---|---|
| 指で根元を触ったとき | しっとりを通り越して、指に残る | さらさらだが、粉が指につく |
| におい | 数日で戻ってきて、だんだん強くなる | ほとんどしない。しても弱い |
| 毛の状態 | 束になる。根元から重くなる | 広がる。毛先がぱさつく |
| 皮膚の表面 | てかりが出る。毛をかき分けると光る | 白い粉が毛の間に残る |
| 起きやすい季節 | 気温と湿度が上がる時期 | 空気が乾く時期 |
| 起きやすいきっかけ | 洗う間隔があきすぎたとき | 洗う回数を増やしたとき |
この表の最後の2行が、この記事でいちばん伝えたい理由の部分です。皮脂の量は、その子の体の側の条件だけで決まっているわけではありません。洗う間隔をあければ多い側に寄り、洗う回数を増やせば少ない側に寄ります。人が動かせる変数が、はっきりあるということです。
もうひとつ、ちょうどよい量とは何かという問題があります。これは個体ごとに違い、同じ子でも年齢と季節で動きます。だから、よその子と比べても答えは出ません。比べる相手は、その子の先週です。皮脂の変化を追うときに、他の子の写真や一般的な数字が役に立たないのは、そういう理由です。
皮脂の変化に家で先に気づくのは指先|どこを、いつ触るか
皮脂の変化は、見た目にはなかなか出てきません。てかりが目で分かるころには、指ではとっくに分かっています。だから、家で追う場所は指先です。犬でも猫でも、触る場所と触り方はほとんど同じで構いません。
-
毛の上ではなく、根元まで指を入れる
毛の表面をなでても、そこにあるのは古い皮脂と外から乗ったものだけです。指の腹を毛の中に差し入れて、地肌に届くところまで下ろします。そこで一度止めて、指を左右に小さく動かします。
-
場所は4つに決めておく
背中の中央、尾のつけ根、耳の後ろ、あごの下。この4か所は、皮脂の変化がいちばん早く出る場所とされています。毎回同じ順番で回ると、前回との違いが分かります。順番を変えると比べられなくなります。
-
指のほうを嗅ぐ
その子の体に鼻を近づけるのではなく、触った指を嗅ぎます。体全体のにおいは慣れてしまって分かりませんが、指に移ったぶんは強さの違いが出ます。においの経験は、こうやってしか積み上がりません。
-
洗ってからの日数を数えておく
触ったときの感じは、洗ってから何日目かで変わります。日数とセットで覚えないと、変化なのか経過なのか分かりません。洗った日をカレンダーに1文字だけ書いておけば足ります。
この4つを続けていくと、その子の目安が出てきます。洗った翌日はさらさら、3日目でしっとり、7日目で指に残る。この戻り方の速さが、その子の皮脂の出方です。速さそのものに良し悪しはありません。速いなら洗う間隔を短くし、遅いなら長くする。そういう使い方をします。
変化として拾いたいのは、この戻り方が急に変わったときです。いつもは7日かかっていたのに3日で戻る。逆に、10日たってもさらさらのまま粉が出る。どちらも、その子の中で起きた変化です。犬の皮脂の変化も猫の皮脂の変化も、こういう形でしか家からは見えません。数字ではなく、日数のずれとして出てきます。
べたつきや粉と一緒に、地肌の赤み、ぶつぶつ、かさぶた、毛が薄くなっている場所、同じところをなめ続ける、においが急に強くなるといった変化があるときは、家で量を調整する範囲を超えています。洗い方を変えて様子を見る前に、動物病院にご相談ください。相談に行くときは、最後に洗った日と、いつからどう変わったかをメモしていくと話が早く進みます。
洗うことは皮脂をゼロにすることではない|量を戻すという考え方の背景
洗うことは、皮脂をゼロにする作業ではありません。多すぎる側に振れたものを、その子のちょうどよい量へ戻す作業です。ゼロを目指すと、必ず少なすぎる側へ行き過ぎます。ここまで読んできた多い側と少ない側の話は、そのまま洗い方の話につながっています。
行き過ぎたときに何が起きるかというと、往復が始まります。落としすぎて膜が薄くなり、乾く。乾いた状態が続くと、出る側の働きが強くなる。数日でべたつきが戻ってくる。気になってまた洗う。洗う回数を増やしているのに、べたつくまでの日数がだんだん短くなっていく。これは、量を戻す作業ではなく、量を振り回している状態です。
だから、洗う側の道具には昔から難しい注文がついています。落としたいものだけを落として、残したいものは残す。皮脂の中には、外から乗った脂と混ざって時間のたったものもあれば、皮膚の側にとどまって膜をつくっているものもあります。前者は落としたい。後者は残したい。この2つは、同じ脂です。
この注文にどう答えるかを、実際に測って比べた検証があります。ワンテンスの電解還元水では、皮脂に近い性質をもつごま油を使って、洗浄力を比べる試験が行われました。比較したのは、水道水とごま油、飲料用のアルカリイオン水と油、高機能性電解還元水とごま油の3条件です。東洋ビューティー/ウェーブコーポレーション調べによるもので、油がどれだけ乳化するかを見る形になっています。
| 脂の種類 | どこにあるか | どう扱いたいか |
|---|---|---|
| 時間のたった皮脂 | 毛の表面と根元。ほこりや抜け毛と混ざっている | 落としたい |
| オレイン酸などの脂肪酸 | 皮脂の中に含まれる。べたつきとにおいの側に回りやすい | 落としたい |
| セラミド | 角質のすきまを埋めている。膜の側にある | 残したい |
| スクワラン | 皮膚の表面の膜をつくる側にある | 残したい |
この考え方は選択的乳化と呼ばれています。セラミドやスクワランのように残しておきたいものは落とさず、オレイン酸のほうを選んで乳化させる、という設計です。皮脂をゼロにするのではなく、皮脂の中身を分けて扱おうとしている、と言い換えられます。洗うことを「量を戻すこと」として組み立てると、道具の側もこういう形になります。
そして、洗う日と洗う日のあいだの話が残ります。犬も猫も皮脂は毎日出ていますが、毎日洗うわけにはいきません。水を使うたびに膜の側も動くからです。ここで動かせるのは量ではなく、前半に書いた「乗っている時間」のほうです。ブラッシングには、抜けた毛やほこりを取るほかに、皮膚から出た脂を毛全体へ配り直す働きがあるとされています(VCA:猫の被毛の手入れ)。mofuwa グルーミングスプレーは、特許電解水をもとにした無香料・界面活性剤不使用のスプレーです。梳かす前に直接かけて、そのままブラシを通せます。散歩から帰った犬なら背中の中央と尾のつけ根、毛づくろいの舌が届きにくい猫なら首の後ろ。出てから日のたった皮脂が、ほこりや抜け毛と混ざりきる前に、毛から離れていきます。グルーミングスプレーが引き受けているのは、皮脂を減らすことではなく、古い皮脂が毛に乗っている日数を短くしておくことです。背中を舐める犬にも、かけた場所を毛づくろいする猫にも毎日かけられるのは、清涼飲料水の規格基準をクリアしているからです。
最後にもう一度、定義に戻ります。皮脂とは、皮脂腺から出て被毛と皮膚をおおう脂のこと。体が自分で出していて、多すぎても少なすぎても困るもの。この2つを覚えておくと、明日から手ざわりの見え方が変わります。べたついていたら「多い側に振れている」、粉が出ていたら「少ない側に振れている」。どちらも、その子の中で起きている行き来です。良し悪しではなく、位置の話として見てください。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- 犬の体がべたつくのは、皮脂が多いからですか。
- 多い側へ振れているサインです。ただ、べたつきの強さは量だけで決まっていません。出てから日がたつほど、ほこりや抜けた毛と混ざって、指に残る手ざわりに変わります。洗った日から何日目かを数えて、指を入れたときの感じと並べてみてください。3日目で戻る子と、7日目で戻る子がいます。速いほうが悪いのではなく、その子の間隔がそこにある、という読み方をします。
- 猫にも皮脂の手入れは要りますか。
- 要ります。猫は自分で毛づくろいをしますが、首の後ろのように舌の届きにくい場所は残ります。ブラッシングには、抜けた毛を取るほかに、皮膚から出た脂を毛全体へ配り直す働きがあるとされています。毛の長い子ほど毎日梳かす側に入り、短い子は間隔をあけられます。梳かすときに根元まで指を入れておけば、その日の手ざわりも一緒に分かります。
- フケが出るのは、皮脂が足りないからですか。
- 少ない側へ振れているときに出ますが、それだけとは限りません。乾きで出る粉と、皮膚の側に何か起きて出る粉は、家では見分けられません。粉と一緒に、地肌の赤み、かさぶた、毛が薄くなっている場所、同じところを舐め続けるといった変化があるときは、洗い方を変える前に動物病院にご相談ください。
- においが気になるので、洗う回数を増やしてもいいですか。
- 回数を増やすと少ない側へ行き過ぎて、かえって戻りが早くなることがあります。動かすのは回数ではなく、古い皮脂が毛に乗っている日数のほうです。洗う日と洗う日のあいだに、背中の中央と尾のつけ根だけを拭いておくと、においの立つ元が減ります。それでも数日でにおいが戻るなら、間隔ではなく別の理由を探す番になります。
本記事は商品の情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。掲載している検証データは特定条件下での試験結果であり、すべての環境で同じ結果を保証するものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
