C12Q&A・豆知識

角質層とは?わずか数十マイクロメートルの層

公開日 2020年10月2日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、淡い色のクッションの上に落ち着いて横たわっている淡い色の猫
手が触れているのは毛ですが、力が届いているのはその下の、とても薄い層のほうです。写真:Nadiye Odabaşı/Pexels

犬や猫の角質層は、厚さがおよそ0.01〜0.02mm、つまり数十マイクロメートルしかないとされています。角質層とは、皮膚のいちばん外側にある、役目を終えた細胞が積み重なった層のことです。名前のとおり「角のように硬くなった細胞の層」で、もう分裂も成長もしません。それなのに、皮膚の仕事のうちいちばん外側の役目は、この層が引き受けていると言われています。毎日のケアで飼い主が手を触れているのは被毛ですが、力が届いている先はこの薄い層です。この記事では、角質層とは何かを8つの問いに分けて開きます。どこにあるのか、どのくらい薄いのか、何をしているのか、減るとどうなるのか、家で分かることはあるのか、そして角質層のためにやらなくていいことは何か。最後の1つを知ると、明日からのケアの手数がひとつ減ります。

角質層は、体のどこにある層なのですか

皮膚は、外側から表皮・真皮・皮下組織の3つに分けて説明されます。角質層とは、そのいちばん外側にある表皮の、さらにいちばん外側の部分です。つまり体の中でいちばん外にある層で、外の世界と体のあいだの境目そのものにあたります。

犬や猫では、その上に被毛が生えています。だから角質層は直接は見えません。ブラシを当てているとき、手で撫でているとき、指が触れているのは毛です。けれど、その力が最後にたどりつく先は角質層です。毎日のケアで「地肌に届いた」と感じる瞬間があるとしたら、届いているのはこの層だと考えてかまいません。

Note角質層とは、動物病院で使われる言葉でもあります

皮膚の話で動物病院に行くと、この言葉が出てくることがあります。「角質層が乾いています」「角質層のバリアが落ちています」のような使い方です。用語として知っておくと、説明されている場所が体のどこなのかが分かります。逆に言えば、角質層とは家で見える範囲の言葉であって、その下の層の話とは分けて聞いたほうが理解が早くなります。

数十マイクロメートルとは、どのくらいの薄さですか

1マイクロメートルとは、1mmの1000分の1です。数十マイクロメートルなら、0.01mmから0.02mmくらいということになります。数字だけを見ても薄さの見当がつかないので、身近なものと比べます。

角質層の厚さを、身近なものと比べる
ものだいたいの厚さ見当のつけかた
角質層0.01〜0.02mm程度とされる指で感じられる厚みではありません
食品用のラップ1枚0.01mm前後と言われるほぼ同じくらい、と考えて差し支えありません
髪の毛1本の太さ0.05〜0.1mm程度とされる角質層は、髪1本よりさらに薄い計算になります
コピー用紙1枚0.09mm前後紙の10分の1以下です
爪数百マイクロメートル同じ「角化した組織」でも桁が違います

さらに、犬や猫の皮膚は人よりも薄いとされています。人の表皮が約0.1mm前後といわれるのに対して、犬は約0.03mm前後とされ、おおよそ3分の1です。角質層とは、その薄い表皮のさらに外側の一部ですから、数字としてはこれくらいの桁になります。いずれも個体差と部位差が大きく、季節でも変わると言われているので、「おおよそこの範囲」という受け取り方が正しい読み方です。

この薄さを覚えておくと、日々の手つきが変わります。ラップ1枚ぶんの層を相手にしていると思えば、力を入れてこする理由がどこにもないことが分かります。汚れを落とすのに必要なのは圧ではなく、浮かせてから拭き取るという順番のほうです。

役目を終えた細胞の層が、なぜいちばん大事な仕事をしているのですか

この記事でいちばん書きたいのはここです。角質層をつくっている細胞は、すでに核を失って、分裂も成長もしなくなった細胞だとされています。生きて働いている細胞ではありません。それなのに、皮膚の外側の仕事を引き受けているのは、この層です。

仕組みとしては、屋根を覆う瓦に似ています。平たくなった細胞が少しずつ重なって並び、そのすきまを脂の成分が埋めていると説明されます。1枚1枚は薄くて弱いけれど、重なると水を通しにくくなります。角質層とは、この「重なり」そのものだと言い換えることもできます。

角質層が引き受けているとされる3つの仕事
仕事どういうことかうまくいかないときの見え方
水分を逃がさない体の中の水が外へ蒸発するのを抑えている乾く、粉が出る、毛がぱさつく
外のものを入れにくくするほこり・菌・こすれの影響をここで受け止める地肌が赤い、かゆがる回数が増える
表面をなめらかに保つ重なりが整っていると毛のすべりがよくなるブラシが途中で引っかかる

そして、この層は入れ替わり続けています。表皮の下のほうで新しい細胞が作られ、押し上げられ、いちばん外側にたどりついたときには役目を終えた細胞になっていて、やがてはがれ落ちます。犬ではこの一巡がおよそ3週間ほどとされますが、年齢・季節・体調で変わると言われています。つまり、いま触れている角質層は、3週間前に作られた細胞の集まりです。

Point「役目を終えた」は「要らない」ではありません

角質層とは、体が意図的に残している層です。人のスキンケアでは古い角質を取るという発想がありますが、犬や猫の毎日のケアにその発想を持ち込む必要はありません。はがれるものは、時期が来れば自然にはがれます。こちらの仕事は、はがれたものが毛のあいだに残らないようにすることまでです。

角質層が削れると、体には何が起きるのですか

重なりが薄くなると、2つのことが同時に起きるとされています。中の水分が逃げやすくなることと、外のものが届きやすくなることです。どちらか片方ではなく、同じ理由から両方が起きるのが、この層の特徴です。

重なりが保たれているときと、薄くなってきたとき 角質層は数十マイクロメートルの層です。整っているか薄くなっているかは、地肌そのものではなく、毛と粉の様子に先に出てきます。 見えているのは毛、変わっているのは層 重なりが整う 粉がほとんど出ない 毛の指通りが一定 乾くのに時間がかかる 地肌の色が落ち着く ブラシが最後まで通る 重なりが薄い 白い粉が目につく 毛先がぱさついてくる 濡らしてもすぐ乾く 地肌がところどころ赤い 同じ場所で引っかかる 左右の差は、力ではなく回数から生まれます
右側の項目が2つ以上そろったら、洗う回数と力を先に見直します。

削れる原因は、たいてい道具ではなく回数と力の掛け算です。1回の力が強くなくても、毎日それを続ければ合計は大きくなります。逆に、月に1度だけ強くこすった場合も同じことが起きます。角質層とは、どちらの向きからも減らせてしまう層です。

家で見て分かる角質層の変化は、どこに出ますか

角質層そのものは見えませんが、変化は必ず毛と粉に出てきます。顕微鏡は要りません。週に1回、同じ場所を、同じ明るさで見るだけで足ります。大事なのは場所を固定することで、あちこち見ると比べられなくなります。

  1. 背中の中央を見る

    毛を左右に分けて、地肌を出します。白い粉が浮いているか、地肌の色はどうか。ここは自分でなめられない場所なので、変化がそのまま残ります。犬でも猫でも最初に見る場所です。

  2. 尾のつけ根を見る

    皮脂が多めに出るとされる場所です。粉ではなく、べたつきのほうが先に出ます。指で触って、ざらつくか、しっとりするかを毎週同じ指で確かめます。

  3. 脇と内股を見る

    毛が薄く、地肌が見えやすい場所です。角質層の状態が色として出やすいので、赤みが前の週より広がっていないかを見ます。ここはよくなめる場所でもあります。

  4. 乾き方の速さを測る

    濡らしたあと、何分で乾いたか。いつもより早く乾くようになったら、水分を保てなくなっているサインと考えられます。時間を数える必要はなく、「前より早い」で十分です。

この4つを見て、変化が1つだけなら様子を見る、2つ以上そろったら手を変える、というのが家での使い分けです。角質層とは、数字で測る対象ではなく、週ごとの差で見る対象だと考えてください。前の週と比べられる形にしておくことのほうが、精度より大事です。

Noteメモは3行で足ります

日付/見た場所/気づいたこと。この3行を毎週1回だけ書いておくと、角質層の変化がゆっくりしたものなのか、急なものなのかが分かります。急な変化は、動物病院で相談したほうがよい合図です。3行のメモは、そのまま相談のときの材料になります。

角質層のために、やらなくていいことは何ですか

ここまでを踏まえると、やらなくていいことのほうが、はっきり決まります。毎日のケアで手数を増やすより、外していいものを外すほうが、この層には合っています。

角質層のために、やらなくていいこと
やらなくていいこと理由代わりにやること
粉が出るたびに洗う洗うたびに表面の脂も一緒に減ります毛の流れに沿ってブラシを通し、粉を取る
古い角質を取ろうとするはがれる時期が来れば自然にはがれますはがれたものが毛に残らないようにする
強くこすって汚れを落とす圧では落ちず、重なりのほうが崩れます浮かせてから、一方向に拭き取る
ドライヤーを1か所に当て続ける熱と風の当たる時間が乾きに直結します手を毛の中に入れ、地肌の温度で測る
毎日シャンプーする入れ替わりは3週間ほどかかるとされます3週間の入れ替わりに合わせ、表面だけ整える
粉の量を毎日数える日ごとの差は誤差の範囲に埋もれます週に1回、同じ場所で比べる

この表の右側は、どれも1分から3分で終わります。角質層とは、手をかけるほど整う層ではありません。入れ替わるのに3週間ほどかかるものを、こちらが毎日動かそうとしても、時間の単位が合っていない、というだけの話です。

毎日のケアは、この0.01mmの層に何をしていることになりますか

毎日のケアが相手にしているのは、この層のいちばん上、すでに役目を終えてはがれかけている面だけです。やっているのは、はがれたものと毛についたほこりを、その日のうちに外に出すことです。3週間かけて入れ替わるものを早めているのではなく、入れ替わった分が毛に残らないようにしている、それだけです。時間の単位が違うので、この2つは最初から仕事が分かれています。

mofuwaのグルーミングスプレーは、この薄さを相手にするために、圧ではなく水の側で落とすようにつくられたケアスプレーです。中身は特許電解水で、無香料、界面活性剤を使っていません。アルカリ側の電解水が余分な脂と乳化するので、押しつける力を上げなくても、粉のほうが布の側に来ます。使い方は単純で、清潔な布に含ませてから、毛の流れに沿って一方向に一往復。顔まわりには直接かけず、必ず布に取ってから当てます。グルーミングスプレーを毎日のケアに置く理由は、この「一往復」で切り上げられるところです。0.01mmの層に対して、こちらがこする回数を1回に決められるので、手数の上限が先に決まります。

Caution地肌が赤いとき、傷があるときは使わない

ケア用品は、地肌の状態を整えるためのものではありません。赤み、傷、じくじくしている場所、かさぶたがあるところには使わず、動物病院にご相談ください。毎日のケアが向いているのは、変化のない日を淡々と重ねる場面です。何かが起きている場所に、家のケアを重ねないでください。

角質層とは何かを知ると、明日から何が違って見えますか|0.01mmを物差しにする

最後に、この言葉を知ったあとで変わることを並べます。角質層とは、辞書の項目ではなく、毎日のケアの力加減を決めるための物差しです。0.01mmという数字を1つ覚えておくだけで、判断が変わる場面がいくつもあります。

角質層とは何かを知ると、見え方が変わる場面
場面知る前の判断知ったあとの判断
粉が出ている洗って落とそうとするブラシで持ち出し、洗う回数は増やさない
毛が引っかかる強くとかそうとする浮かせてから、一方向に通す
乾くのが早い気にしない水分を保てているかを見る合図と考える
ドライヤーが長い早く乾かしたい地肌の温度を手で確かめる
よくなめている癖だと思う場所を記録して、続くようなら相談する
何も変化がない何かしなくていいか不安になる変化がないなら、そのままでよいと決める

この6行のうち、いちばん役に立つのは最後の行かもしれません。変化がないときに何もしない、という判断ができるようになること。入れ替わりに3週間ほどかかる層を相手にしているのですから、毎日手を加えて確かめる必要はありません。犬でも猫でも、被毛の下にあるものの時間の単位は、こちらの都合より長いのです。

Caution次のような変化が続くときは、動物病院にご相談ください

粉が急に増えた、地肌の赤みが広がってきた、同じ場所をなめ続けている、脱毛している場所がある、においが変わった、かゆがる回数が明らかに増えた。こうした変化が1週間以上続くときは、家でのケアを足すより先に動物病院にご相談ください。角質層とは家の側から見える範囲の言葉で、そこから先の切り分けは診察の領域です。相談のときは、週1回のメモと、いま使っているケア用品の容器を持っていくと話が早く進みます。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。