C08季節・行事

生えかけの毛は細くて、同じブラシでは引っかかる

公開日 2020年10月22日|文=mofuwa編集部

明るい部屋の淡い色の床の上で、静かに休んでいる薄い色の毛の犬
同じ面に長い毛と短い毛が並ぶ時期は、ブラシが止まる場所も毎日ほぼ同じです。写真:Leohoho/Pexels

10月の半ばを過ぎた週、背中の真ん中でブラシが3回止まりました。指でたどると、長い毛のあいだに、5ミリほどの短い毛がまっすぐ立っています。冬毛の生えかけです。先月まで同じブラシが一度も止まらなかったのに、急に手が引っかかるようになったのは、力の入れ方が変わったからではありません。体の上に、長さの違う2種類の毛が同じ面で並んだからです。抜ける毛はピンのあいだを滑って抜け、生えかけの細い毛はピンに巻かれて止まります。この記事では、抜けていく夏毛と、生えかけの冬毛を別々の相手として見て、1本のブラシで両方を扱おうとするとどこで止まるのかを分けていきます。数えるのは毛の量ではなく、背中の1か所でブラシが止まった回数です。

止まった回数で線を引く|冬毛が生えかけの時期に入ったかどうか

背中の真ん中でブラシが1回で通らずに止まる。その回数を1週間だけ数えると、冬毛が生えかけの時期に入ったかどうかが手で分かります。気温が下がりはじめてから2週間ほどのあいだ、体の上では抜けていく毛と生えてくる毛が同じ面に並びます。ブラシはこの2種類をまとめて相手にすることになるので、先月と同じ手つきで動かすと、止まる回数だけが増えていきます。飼い主の手つきが雑になったわけでも、その子が動くようになったわけでもありません。

季節のほうの説明は、ここで1段落にとどめます。秋が深まると室温と外気温の差が広がり、暖房を入れた部屋では乾燥も進みます。換毛期の引き金は家の外側にありますが、ブラシが止まる回数を毎日動かしているのは、毛の側の長さの差です。季節の変わり目という言葉でひとまとめにすると、手元で変えられるものが見えなくなります。

背中の1か所で、ブラシが止まった回数をどう読むか
1回のブラッシングで止まった回数毛の側で起きていることその週のブラシの動かし方
0〜1回夏毛が抜けきる前で、生えかけの毛はまだ少ない先月と同じ動かし方のままで足ります
2〜4回生えかけの短い毛が増えて、抜ける毛と混ざっている1往復を短く切って、根元の手前で返します
5回以上細い生えかけの毛がピンに巻かれている毛先側をほどいてから、根元へ向けて入ります
回数は少ないのに毛は多いまだ抜ける毛が主役で、冬毛はこれからそのまま抜け毛を取りきる週にします
2週続けて増える毛の長さの差だけでは説明がつかない数えた紙を捨てずに残しておきます

この表の右端が、この記事で扱える範囲です。数えているのは毛の量ではなく、ブラシが止まった回数です。量は見た目で増えたり減ったりしますし、床に落ちたぶんは数えられません。止まった回数のほうは、毎日同じ動作から出てくる数字なので、先週と並べたときに比べ方が変わりません。冬毛が生えかけの1か月を、この1つの数字で通します。

軸1・抜けていく夏毛|長さと先の形で、ブラシに絡む側を決める

抜けていく夏毛は、長さが2センチから3センチあり、先のほうが細くなっています。根元はすでに皮膚から離れていて、指でつまんで軽く引くと、その子が痛がるそぶりを見せないまま数本まとまって出てきます。ブラシがこの毛をとらえたときは、ピンのあいだを長い距離すべって、そのまま外へ出ます。手に返ってくるのは抵抗ではなく、重さです。

この側の毛を相手にしているあいだは、ブラシは止まりません。止まるとすれば、抜けた毛どうしが絡んで小さな束になっているときで、これは毛を先にほどけば解決します。夏のあいだ使っていたブラシがそのまま使えるのも、この時期までです。抜ける毛だけを見ていると、ブラシを変える必要をまったく感じないまま、生えかけの時期に入ります。回数を数える理由はここにあります。

抜ける量そのものは、毎年だいたい同じ時期に山が来ます。ただし室内で過ごす時間が長い子や、暖房を早く入れる家では、山がなだらかになって長く続きます。量で時期を判断しようとすると、この平らな山の上ではいつまでも線が引けません。回数のほうは、生えかけの毛が出た日から動きはじめます。

軸2・生えかけの冬毛|細さと折れやすさの違いが、手に返ってくる

生えかけの冬毛は、長さが5ミリから1センチほどで、根元からまっすぐ立っています。指でつまんで引いても抜けません。引くと皮膚のほうが一緒に持ち上がり、その子が体をよじります。抜ける毛と生えかけの毛の違いがいちばんはっきり出るのが、この手ごたえです。ブラシのピンに引っかかるのも、この短さと細さの組み合わせによるものです。

抜ける夏毛と、生えかけの冬毛の見分け方 同じ面に並んでいる2種類の毛を、長さ・引いたときの手ごたえ・ブラシの通り方で分けます。抜ける側は滑って外へ出ますが、生えかけの側はピンに巻かれて止まります。 背中の同じ1か所で、指とブラシの両方で確かめます 抜けていく夏毛 長さ2〜3センチ 先が細くなっている つまむと数本抜ける ピンを滑って外へ出る 取り残すと布に移る 生えかけの冬毛 長さ5ミリ〜1センチ 根元からまっすぐ立つ 引くと皮膚ごと動く ピンに巻かれて止まる 強く引くと途中で折れる 折れた毛は抜けた毛と見分けがつかないため、ブラシに残った量だけでは判断できません
手で分けられるのは、長さと、引いたときに皮膚が動くかどうかの2つです。

折れることが、この時期にいちばん起きてほしくない結果です。折れた毛はブラシに残るので、見た目には抜け毛が増えたように映ります。実際には、生えかけの毛が短くなっただけで、生えそろうまでの日数がそのぶん延びます。抜け毛が増えたと感じて力を強めると、折れる本数がさらに増えます。止まった回数を数えていると、この取り違えが起きません。

部屋の条件も重なります。暖房を入れて室温が上がると、湿度は下がります。乾燥した部屋では、この細い毛が静電気で立ち上がり、ブラシに寄ってきます。寄ってきた毛はピンの根元に集まるので、同じ場所で止まる回数が増えます。同じ週に、肉球のまわりの乾燥や、耳のふちのかさつきが出てくることもあります。どれも、湿度が下がったところで起きている別々の出来事です。

1本のブラシで両方を梳かすと何が起きるか|冬毛と生えかけのブラシの使い分け

抜ける毛に合わせたブラシで、生えかけの毛を梳かすと、必ずどこかで止まります。抜け毛を集めるための道具は、ピンが細かく並んでいて先が皮膚に届く長さになっています。長い毛をまとめて運ぶには具合がいい作りですが、5ミリの毛はそのピンの根元に入り込みます。入り込んだ毛は、引かれる向きにしか動けません。

同じ1本で両方を相手にしたときに、どこで差が出るか
見るところ抜けていく夏毛に向く動かし方生えかけの冬毛に向く動かし方
1往復の長さ背中の端から端まで通す手のひら1つぶんで切る
当てる角度皮膚に向けて立てる毛の流れに沿って寝かせる
力のかけ方毛を運ぶぶんだけ抵抗を感じたら手前で返す
止まったときの手絡んだ毛をほどいてから続けるその場を離れて、別の面から入り直す
1回にかける時間抜ける量で決まる止まった回数が5回に届いたら切り上げる
終わったあとに見るものブラシに残った毛の量毛が折れて短くなっていないか

使い分けといっても、道具を2本そろえる話とは限りません。同じブラシでも、1往復の長さと角度を変えるだけで、止まる回数は減ります。変えるのは力ではなく、1回の距離です。背中の端から端まで一気に通していたものを、手のひら1つぶんに区切る。区切った先で止まったら、そこから先へは押し込まずに、隣の面から入り直します。冬毛が生えかけのあいだは、この歩幅の短さがそのまま折れる本数の少なさになります。

梳かす前の状態を整えておくと、区切りをさらに短くしなくて済みます。毎日散歩に行く子ほど、毛のあいだには外の細かい汚れが入っていますし、犬も猫も体から脂を出すので、昨日きれいにしても今日また汚れます。かといって毎日シャンプーはできません。そこで、ブラッシングの前に mofuwa グルーミングスプレーを背中へ吹きかけて、そのままブラシを入れます。電解水と油がなじんで乳化するので、汚れのもとになっている余分な脂は落ち、地肌に要る皮脂は残ります。

この時期にこの1本が効いてくるのは、湿った状態の毛は静電気で立たないからです。立っていない毛はピンの根元へ寄ってこないので、同じ10往復でも巻かれる本数が減ります。グルーミングスプレーはブラッシングスプレーでもあり、静電気の起きにくい状態をつくってから梳かせる、という順番が作れます。舐めても問題のない基準でつくられているので、背中から首のうしろまで、量を気にせずかけられます。かけた面から順に梳かしていくと、止まった回数はその日のうちに変わります。

Caution止まった回数が増えているのに、ブラシに残る毛が減っているとき

背中の1か所で止まった回数が2週続けて増えているのに、ブラシに残る毛の量は前の週より減っている。生えかけの毛が立っているはずの場所に、5ミリの毛が1本も見当たらない。同じ場所だけを地面にこすりつけている。梳かしたあとに、その面だけ赤みが残る。こうした残り方は、毛の長さの差では説明がつきません。数えた回数の紙と、ブラシに残った毛を持って、動物病院で診察の枠を取ってください。何週目から回数が動いたかが分かると、その場で切り分けられる範囲が広がります。

翌週も同じ数え方に戻す|冬毛が生えかけのあいだのブラシの選び方

生えそろうまでのあいだ、道具を選ぶ基準は「抜け毛がよく取れること」から「短い毛を折らないこと」へ移ります。抜け毛がよく取れる道具は、この時期には止まる回数を増やす側に回ります。よく取れたという手ごたえは、折れた毛を集めた手ごたえかもしれません。選び方の軸を1つ入れ替えるだけで、同じ棚の道具でも順番が変わります。

冬毛が生えそろうまで、手元に残しておくもの
残すもの中身生えそろったあとの使い道
数えた紙止まった回数と、その日の室温来年の同じ月に、いつから動いたかを見る
1往復の長さ手のひら1つぶん毛玉ができやすい面にそのまま使う
毎日の1本梳かす前のグルーミングスプレー季節が変わっても中身を見直さない
折れた毛の見分け先が切れていて、根元が残っている力が強すぎた日を思い出す目印にする

この4つがそろっていれば、来年の秋にもう一度同じことが起きたとき、最初の1週間を数え直すだけで済みます。冬毛の生えかけは毎年くり返しますが、くり返すたびに手ごたえを覚え直す必要はありません。覚えておくのは、止まった回数が2回を超えた日から歩幅を短くする、ということだけです。

今日できるのは、背中の1か所を決めて、10往復のあいだに何回止まったかを紙の端に書くことです。数字が1つあれば、明日の1回と比べられます。

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よくある質問

生えかけの毛を早くそろえるために、ブラッシングの回数を増やしたほうがいいですか。
回数を増やしても、生えてくる速さは変わりません。増えるのは、細い毛がピンに巻かれる機会のほうです。1日1回、背中の1か所で10往復と決めておくと、止まった回数を日ごとに比べられます。比べられる数字があると、増やす必要があるのか、歩幅を短くすればいいのかを、自分の記録で決められます。冬毛が生えかけのあいだにやることは、回数を足すことではなく、1回の距離を短く保つことです。
ブラシに毛がたくさん取れる日は、うまくいっている日ですか。
取れた毛の中身によります。根元が丸く残っていて全長が2センチ以上あるなら、抜けるべき毛が抜けています。先のほうが切れていて、全長が1センチに満たない毛が混ざっているなら、生えかけの毛が折れたぶんです。量だけを見ていると、この2つが同じ「よく取れた日」に見えます。ブラシに残った毛を一度紙の上へ広げて、長さで2つの山に分けてみてください。分かれ方がその日の答えになります。
猫にも同じ数え方は使えますか。
使えます。ただし10往復を1か所で続けると、途中で離れる子が多いので、5往復で区切ってください。数える対象は同じで、ブラシが1回で通らずに止まった回数です。猫は自分で毛づくろいをするぶん、飼い主が梳かす面と、その子が舐めている面が重なります。舐めている場所を選んで数えると、日によって条件が変わってしまうので、背中の真ん中のように、その子の舌が届きにくい面を選ぶと数字が安定します。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。