C05犬種・猫種別ケア
ゴールデンレトリバーはなぜ抜け毛が起きやすいのか。ダブルコートから考える
掃除機をかけた30分後には、もう同じ場所に毛の塊が寄っています。ゴールデンレトリバーと暮らしていると、抜け毛の量そのものには早い段階で慣れます。それでも困りごととして残るのは、床に落ちてくれる毛のほうではありません。耳の後ろやしっぽの飾り毛は、抜けても落ちずに、その場で絡んだまま残ります。同じ日に抜けた毛なのに、行き先が2つに分かれる。ここが、この犬種の被毛の作りに理由があるところです。
上毛と下毛と飾り毛|ゴールデンレトリバーの抜け毛が2種類に分かれる
ゴールデンレトリバーは、水辺で鳥を回収する仕事のために作られた犬種です。水に入って泳ぎ、上がってきて、また入る。この仕事に必要な条件が、そのまま被毛の作りになっています。抜け毛の話も、ここから始めると筋が通ります。
- 上毛:やや硬く、油分をまとって水をはじきます。体の外側を覆う層です
- 下毛:細い毛が密に生えて、水を通さず体温を保ちます。冬に向けて厚くなります
- 飾り毛:耳の後ろ、胸、前脚の裏、後ろ脚、しっぽに生える、長く波打つ毛です
上毛と下毛の二層は、いわゆるダブルコートです。換毛期になると、密に詰まっていた下毛が上毛のあいだから押し出されます。短い毛なので、押し出されたあとは引っかかるものがなく、そのまま床へ落ちます。掃除機をかけた先から寄ってくる毛の塊は、ほとんどがこの下毛です。
問題は飾り毛のほうです。飾り毛は長く、毛先が下へ垂れています。抜けても、長さのぶんだけ周りの毛に引っかかって、その場に留まります。留まった毛は生えている毛と噛み合い、日がたつほど固まっていきます。床に落ちない毛は、掃除の対象にはなりませんが、体の上には残り続けます。
| 場所 | 毛の種類 | 抜けたあと |
|---|---|---|
| 首の後ろ・背中・腰 | 上毛と下毛が最も密 | 床に落ちる。換毛期の量の大半がここ |
| 脇腹・おなか | 下毛がやや薄い | 床に落ちるが、寝床に残りやすい |
| 耳の後ろ | 飾り毛。細く波打つ | 落ちずに絡む。いちばん早く固まる |
| 胸 | 飾り毛。量が多い | 落ちずに絡む。前から見えるので気づきやすい |
| 前脚の裏・後ろ脚 | 飾り毛。長い | 落ちずに絡む。散歩の砂や草が一緒に留まる |
| しっぽ | 飾り毛。いちばん長い | 落ちずに絡む。振るたびに毛先どうしが噛み合う |
表の右の列を見ると、ゴールデンレトリバーの抜け毛の手入れが2種類要ることが分かります。落ちる毛には「外へ出す」手入れが、落ちない毛には「ほどく」手入れが要ります。目的が逆なので、同じ道具で同じ動かし方をすると、必ずどちらかが残ります。次のセクションから、それぞれを別の手順として書きます。
体の毛は外へ出す|家でできるゴールデンレトリバーの抜け毛の手入れの順番
まず体の毛です。ここでやることは一つ、すでに抜けて下毛の層に留まっている毛を、外へ出すことです。生えている毛を引き抜くのではありません。この目的をはっきりさせておくと、力の入れ方が変わります。
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乾いた状態で、首の後ろから始める
濡れた被毛では下毛が固まって外へ出ません。乾いてから始めてください。順番は首の後ろが先です。ここが上毛も下毛もいちばん密で、抜けた毛が最も溜まっています。最初にやると、その日どれくらい抜けるかの見当がつき、あとの配分を決められます。
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背中から腰、脇腹、最後におなかへ下ろす
上から下へ、毛の流れに沿って移していきます。おなかを最後にするのは、いちばん皮膚が薄く、その子が姿勢を崩しやすいからです。先にやると、密なところに手が届く前に終わってしまいます。犬の集中が続くうちに、量の多い場所を済ませる順番です。
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片手で毛を分けて、根元を見えるようにする
毛先を撫でるだけでは、下毛はほとんど出てきません。片手で被毛を持ち上げて分け、地肌が見える状態をつくってから、その分け目に道具を入れます。抜けた毛が留まっているのは根元の側です。1か所ずつ分け目をずらしながら、面で進めてください。
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空気が乾く時期は、梳かす前にひと吹きしておく
冬は静電気で毛が浮き、とかした先から舞い上がります。舞った毛は床にも落ちず、体に戻って飾り毛のほうへ入り込みます。始める前に mofuwa グルーミングスプレーを背中から腰にかけて吹きかけ、手のひらで毛の表面をひと撫でしてください。毛が落ち着くと、押し出された下毛がまとまって手元に集まります。舐めても差し支えない原料で作られているので、大型犬の背中いちめんにかけても、量を数えずに済みます。
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同じ場所に何度も戻らない
抜けた毛が出なくなったら、その日はその場所を終わりにします。まだ出るはずだと繰り返すと、生えている毛まで引くことになります。ゴールデンレトリバーの下毛は、換毛期のあいだ毎日押し出されてきます。今日全部出しきる必要はありません。
この5つを通してやると、体の毛の手入れは1回10分から15分ほどになります。換毛期は毎日、それ以外の時期は2日か3日に一度。頻度の考え方は最後のセクションでまとめます。ここまでは、床に落ちる毛の話だけです。
換毛期の入り口では、前の週と比べて量が何倍にもなったように見えます。下毛が押し出されるのは季節の変わり目にまとまって起きるので、量そのものが変わるのは自然なことです。量ではなく、抜けたあとの地肌の見え方を見てください。毛が薄くなった場所が左右で違って残るときは、この記事の最後のセクションを読んでください。
飾り毛は落ちずに絡む|耳の後ろ・胸・脚の裏・しっぽで変わる手のコツ
ここからが2つ目の手入れです。飾り毛でやることは、外へ出すことではありません。すでに絡んでいる毛を、噛み合いから離すことです。だから道具も、手の動かし方も、始める場所も、体の毛とは逆になります。
いちばん大きな違いは、始める位置です。体の毛は根元から入れました。飾り毛は毛先から入れます。長い毛の根元に道具を入れて引き下ろすと、途中の絡みを全部まとめて毛先へ押しやることになります。押しやられた毛は固まり、次の日には指も入らなくなります。
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毛束を少量に分けて、毛先だけをほぐす
手のひらに乗るくらいの量に分けて、垂れている毛の先から3センチほどだけを先にほぐします。通ったら、少し上へ。通らないところで止めて、その日はそこまでにしてください。飾り毛は本数が少ないぶん、1本ずつが太く長いので、無理に通すと根元から引かれます。
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耳の後ろは、耳を持ち上げずに指で支える
耳の後ろは飾り毛がいちばん早く固まる場所です。耳そのものを引き上げると、付け根の皮膚が引っ張られます。耳はそのままにして、絡んでいる毛束の根元側を空いた指で挟んで支えてください。支えた分だけ、引く力が皮膚に届かなくなります。
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胸は、犬を座らせて正面から下ろす
胸の飾り毛は量が多く、前から見えるので気づきやすい場所です。座った姿勢だと毛が自然に垂れるので、絡みの位置が見えます。横から手を入れず、正面から毛の流れに沿って下ろしてください。散歩のあとは、ここに草や砂が入っていることがあります。
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脚の裏は、立たせずに寝かせてから
前脚の裏と後ろ脚の飾り毛は、立っている姿勢では手が入りません。無理に脚を持ち上げると体重が片側にかかります。横に寝かせて、上になった側から順にやってください。地面に近い場所なので、絡みの中に土が混ざっていることが多く、指で確かめながら進めます。
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しっぽは、根元を握らずに毛先から
しっぽはいちばん長い飾り毛です。振るたびに毛先どうしが噛み合うので、絡みは先端に集まります。しっぽ自体は軽く手のひらに乗せるだけにして、握らないでください。握って固定すると、犬が動いたときに引かれるのは毛ではなくしっぽになります。毛先の側から少しずつ上がっていきます。
順番を決めておくと迷いません。飾り毛が先、体の毛があとです。体の毛を先にやると抜けた下毛が空気中に出て、そのまま飾り毛に入り込みます。飾り毛の絡みの芯は、外から入った短い毛でできていることがよくあります。順番を入れ替えるだけで、翌日にほぐす量が変わります。
飾り毛の手入れで覚えておきたいコツは、結局のところ一つです。取ろうとせず、離すこと。抜けた毛は、絡みがほどければ自然に落ちます。抜け毛を手元に集めるのが目的ではありません。ここが体の毛の手入れと最も違うところで、同じ気持ちでやると必ず引きすぎます。
1本のブラシで全身をやると片方が残る|2種類の手入れの頻度と、季節では説明がつかない抜け方
2種類の手入れを別々に書いてきました。最後に、実際にやってみるとつまずくところを3つ挙げます。どれも、2種類あることを忘れると起きます。
- 1本の道具で全身をやる:根元に届く道具で飾り毛をやると引きすぎ、毛先をほぐす道具で体をやると下毛が出ません。どちらかが必ず取り残されます
- 換毛期に力を上げる:量が増えたぶん強く当てたくなりますが、増えているのは押し出される下毛です。力ではなく回数で受け止めます
- 飾り毛を体と同じ速さで進める:体の毛は面で進みますが、飾り毛は毛束ごとです。同じ速さでやると、絡みを飛ばして通り過ぎます
つまずきを避けるいちばん簡単な方法は、道具を2つ置いて、置き場所を分けることです。飾り毛用と体用を同じ引き出しに入れておくと、手前にあるほうで全身をやってしまいます。
| 換毛期 | それ以外の時期 | |
|---|---|---|
| 体の毛(外へ出す) | 毎日10〜15分 | 2〜3日に一度 |
| 飾り毛(ほどく) | 毎日5分。場所を日替わりに | 2日に一度。しっぽと耳の後ろは毎日 |
| 空気が乾く時期に足すこと | 梳かす前にグルーミングスプレーをひと吹き | 静電気で毛が浮いた日だけ |
表で飾り毛のほうが頻度が高いのは、量が多いからではありません。放っておくと固まって、家で戻せなくなるまでの日数が短いからです。体の毛は1日飛ばしても翌日に取り戻せます。飾り毛は、1日飛ばすと翌日の作業量が倍になります。時間が取れない日は、飾り毛の耳の後ろとしっぽだけでも触ってください。
ゴールデンレトリバーの被毛は、水をはじくための油分をまとっています。だからシャンプーの回数を増やせば済む話ではありませんし、そもそも大型犬を毎日シャンプーするのは現実的ではありません。それでも散歩には毎日行き、体は毎日脂を出します。毎日きれいにしてあげたい、という側から考えると、毎日の側に置けるものが1つ要ります。mofuwa グルーミングスプレーは、飾り毛にとりかかる前の数十秒で、耳の後ろ・胸・脚の裏・しっぽへ順に吹きかけておく使い方ができます。毛先の通りが軽くなるので、噛み合った毛束を離すときに指へ返ってくる抵抗が小さくなります。かけた場所は、その日のうちに乾かしきるところまでを1回ぶんにしてください。
ここまでは、季節に沿って起きる抜け毛の話です。次のような抜け方は、手入れの頻度では説明がつきません。左右のどちらか片側だけ毛が薄い、地肌が丸く見えている場所がある、抜けたあとの皮膚が赤い、ふけが増えた、においが出てきた、その場所を自分でなめ続けている、触ると痛がる、換毛期ではない時期に急に量が増えた。ひとつでも当てはまるなら、手入れを足すより先に、獣医師に地肌を見てもらってください。犬の被毛は全身にあるので、変わった場所を写真に撮って、いつからかを書き添えて持って行くと、話が早くなります。
体の毛と飾り毛で行き先が違う、というのがゴールデンレトリバーの抜け毛の骨組みです。落ちる毛は外へ出し、落ちない毛はほどく。道具を2つに分けて置き、飾り毛のほうから先に触る。この順番さえ決まっていれば、換毛期の量に押し切られません。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- ゴールデンレトリバーの抜け毛は、短くカットすれば減りますか?
- 抜ける量は変わりません。下毛が押し出されて外へ出てくること自体は、毛の長さと関係がないためです。ただし飾り毛を短くすると、抜けた毛が引っかかる長さがなくなるので、その場で絡むぶんは減ります。カットするかどうかは、家でどこまで手入れできるかで決めてください。
- 毎日ブラッシングしているのに、まだ床に毛が落ちます
- 毛先だけを撫でている可能性があります。抜けた毛が留まっているのは下毛の層、つまり根元の側です。片手で被毛を分けて地肌が見える状態をつくり、その分け目に道具を入れてください。分け目をずらしながら面で進めると、手元に集まる量が変わります。
- 飾り毛が固まってしまいました。切ってもいいですか?
- 指が入らないほど固まっているものを家で切るのはおすすめしません。飾り毛の下には皮膚があり、固まった毛は皮膚を巻き込んでいることがあります。ほどけないと感じた時点で、トリミングサロンに預けてください。切った場所は長さが不ぞろいになり、生えそろうまで同じところで絡みやすくなります。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
