C09シーン別・暮らし
夜勤・不規則な勤務を楽にする、シニア猫と暮らす人の毎日の習慣
夜勤明けの朝7時に帰った日も、日勤で19時に帰った日も、その子は同じ窓辺で同じように毛づくろいをしていました。違っていたのは、こちらが玄関を開けた時刻のほうだけです。不規則な勤務で暮らしていると、ペットのケアを「帰ったらやる」という形で決められません。帰る時刻が週に3通りあるからです。けれど老猫の一日は、シフト表を見ていません。人の時刻は毎日ずれ、その子の時刻はずれない。この差をどう扱うかが、夜勤や交代勤務のある生活でケアを続けられるかどうかを分けます。この記事は、時刻で習慣を作るのをやめて、行動に紐づけるという話です。
夜勤明けの朝も、遅番の夜も、同じ場所で毛づくろいをしていた|不規則な勤務で気づいた経験
夜勤明けの朝7時。玄関を開けると、その子は窓辺で後ろ脚のつけ根をなめていました。3日後、日勤で19時に帰ったとき、同じ窓辺で同じ姿勢をしています。さらにその翌週、遅番で23時に帰った夜は、もう寝ていました。こちらの帰宅時刻は週に3通りありますが、その子の一日はどの週も同じ形をしています。不規則な勤務でペットと暮らしていると、この差にある日ふと気づきます。
気づいたきっかけは、ブラシが1週間置きっぱなしになっていたことでした。「帰ったらブラシをかける」と決めていたのに、夜勤明けの日は自分が寝てしまい、遅番の日はその子が寝ている。決めたはずの習慣が、週に1回か2回しか成立していませんでした。やる気の問題ではなく、決め方が勤務のほうに合っていなかっただけです。
そのころ、その子は13歳になっていました。若いころは背中の後ろ半分まで自分でなめていたのに、いつからか届く範囲が狭くなっている。老猫は毛づくろいをやめるのではなく、届く範囲と回数のほうが少しずつ変わります。人が代わる範囲は、そのぶん広がります。ところがこちらの時間は、不規則な勤務のほうで先に埋まっています。
- 夜勤明けの日:朝に帰って昼まで寝る。その子が起きている時間帯に、人が寝ている
- 日勤の日:19時前後に帰る。その子は夕方に一度起きているので、重なりやすい
- 遅番の日:23時に帰る。その子はもう眠っていて、起こしたくない
- 連休の日:時間はあるが、まとめてやろうとして長くなり、その子が先に嫌がる
- 休みが飛び飛びの週:曜日で決めた予定が、そもそも入らない
5つを並べてみると、共通しているのは1つだけです。どれも「人の側の時刻」を出発点にしています。ペットのケアの手順は、たいてい「朝に」「寝る前に」「週末に」という形で書かれています。その前提が、不規則な勤務では最初から崩れています。老猫と暮らしていて、しかも勤務が毎日ずれる人は、この時点で一度つまずきます。
人の時刻はずれ、猫の時刻はずれない|老猫の一日の背景にあるもの
なぜその子の時刻はずれないのか。猫の一日は、勤務表ではなく、明るさと、自分の眠りのまとまりで区切られているからです。朝、外が明るくなる。夕方、光が傾く。その前後に体を起こして、伸びをして、毛づくろいをする。人の生活が何時に始まろうと、この区切りはほとんど動きません。
毛づくろい、とは、舌と前脚を使って被毛の表面をなでつけ、抜けかけた毛やほこりを外へ出す行動のことです。同時に、皮脂を毛の側へ広げています。老猫では、この一連の動作にかかる負担が増えます。後ろへ体をひねる、肩を回す、長く同じ姿勢を保つ。若いころに何でもなかった動きが、少しずつ短くなります。回数が減るのではなく、1回あたりの範囲が狭くなる形で現れることが多くなります。
結果として、届かない場所ができます。背中の後ろ半分、腰の上、しっぽのつけ根、お尻まわり。人が代わる範囲は、その子が届かなくなった場所と、そのまま同じ形をしています。ここに皮脂と抜けかけた毛が残ると、被毛が寝たまま束になり、指を入れると根元で止まるようになります。皮膚の側の様子も見えにくくなります。
| 勤務の型 | 人が家にいる時間帯 | その子が起きている時間と重なるか |
|---|---|---|
| 夜勤明け | 朝7時〜。ただし昼まで寝る | 朝の起きぎわに重なるが、人が眠い |
| 日勤 | 19時〜23時 | 夕方の起きぎわと重なりやすい |
| 遅番 | 23時〜 | 眠っていることが多い |
| 早番 | 16時〜 | 夕方の起きぎわの前に帰れる |
| 連休 | 終日 | 重なる回数は多いが、まとめてやりがち |
この表を見ると、時刻で習慣を組むのが難しい理由がはっきりします。不規則な勤務では、同じ時刻が週に何回来るか分かりません。「20時にブラシ」と決めても、20時に家にいる日が週に2日しかなければ、その習慣は週2回の習慣です。ペットのケアの回数は、こうして勤務表のほうに削られていきます。しかも老猫の側は、人が来なかった日も同じように過ごしています。ずれているのは、こちらだけです。
2つのものの時刻が合わないとき、動かせるほうを動かすのが早い、という考え方があります。不規則な勤務は自分では動かせません。老猫の一日も動かせません。動かせるのは、習慣を何に紐づけるかという、その一点だけです。ここを人の時刻から、その子の行動へ移します。ペットのケアの本に「朝に」と書いてあっても、自分の家では読み替えて構いません。
「帰ったら」ではなく「その子が起きてきたら」|不規則な勤務でケアを続ける考え方
置き換えは1文で済みます。「帰ったらやる」を「その子が起きてきたらやる」に変える。これだけです。時計を見るのをやめて、その子の動きを合図にします。ペットのケアを何に紐づけるかという、その一点だけを替えます。不規則な勤務で暮らす人にとって、これは手を増やす話ではありません。合図の出どころを替えるだけの話です。
合図にできる行動は、たいてい毎日同じ形で出ます。老猫は一日の中で何度か眠り、そのたびに起きます。起きて、伸びをして、少し歩いて、水を飲む。この並びは日によってほとんど変わりません。だから、この並びのどこかに1つ手を挟めば、勤務が何時であっても成立します。次の4つが、家で使いやすい合図です。
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合図1:伸びをして立ち上がったら、背中を30秒だけ
起きた直後は、その子自身が毛づくろいを始める時間帯です。そこに人の手を重ねると、拒否されにくくなります。背中の後ろ半分から腰まで、毛の流れに沿って30秒。全身をやろうとしないでください。老猫は同じ姿勢を長く保つのが負担になります。
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合図2:水を飲みに来たら、口のまわりと食器の面
水皿へ向かう動きは、一日に何度も出ます。飲み終わって離れたら、食器のまわりを1回拭く。その子には触れません。不規則な勤務で帰る時刻がばらついても、この合図は必ずどこかで拾えます。触れる日と触れない日があってかまいません。
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合図3:ごはんを食べ終わったら、あごの下だけ
食べたあとのあごの下は、老猫が自分でいちばん届きにくい場所の1つです。1回10秒。布を持った手で、下から支えるように当てます。ここだけは毎回でも負担になりません。人が寝る前という時刻ではなく、その子が食べ終わったという行動に合わせます。
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合図4:自分が寝る支度をする日は、何もしない
夜勤明けで自分が眠いとき、遅番でその子が寝ているとき。この日は手を出さないと決めておくほうが、翌日の合図が拾いやすくなります。不規則な勤務では、やらない日をあらかじめ決めておくことが、続けるための条件になります。
回数の数え方も変えます。「1日1回」ではなく、「その子が起きてきた回数のうち、1回か2回」で数えてください。老猫は一日に何度も起きるので、勤務が何時であっても、家にいる時間帯にその機会が来ます。数えるものを時刻から回数へ移すと、ペットのケアがシフト表と衝突しなくなります。
| これまでの決め方 | 置き換えたあと | 何が変わるか |
|---|---|---|
| 帰ったらブラシをかける | 起きて伸びをしたら背中を30秒 | 勤務の時刻に左右されない |
| 寝る前に口のまわりを拭く | 食べ終わったらあごの下を10秒 | 自分が眠い日でも成立する |
| 週末にまとめて手入れする | 起きてきた回数のうち1〜2回 | 1回が長くならない |
| 朝に食器を洗う | 水を飲みに来て離れたら拭く | 触れない日でも1つは進む |
| 毎日必ずやる | 眠い日・寝ている日はやらない | 翌日の合図を拾いやすくなる |
水を使わない日のケアも、この形に乗せられます。夜勤明けに洗ってあげることは現実的ではありませんし、老猫にとっても洗う日は負担の大きい日です。mofuwa グルーミングスプレーのような洗い流さないタイプを使うなら、布に含ませてから手だけを近づけてください。その子の体に直接吹きつけると、音でその場が終わります。背中の後ろ半分から腰へ、毛の流れに沿って30秒。皮脂の残りやすい場所を、被毛の側から動かしておくための手です。汚れやにおいが強く出ている一か所を集中して扱うためのものではありません。
ずれたのは勤務のほうか、その子のほうか|合図が拾えなくなった日に見たい変化
行動に紐づける方法には、思っていなかった副産物があります。合図が拾えなくなった日に、その子の側の変化として気づけることです。時刻で決めていたときは、できなかった日はすべて「自分が忙しかったから」で片づいていました。ペットのケアが進まなかった日の理由が、合図で決めていると2つに分かれます。勤務がずれたのか、その子の行動が変わったのか。
- 起きてくる回数が減った:合図そのものが少なくなっているという変化です
- 伸びをしなくなった:起きたあとの動きの順番が変わっています
- 水を飲みに来る回数が変わった:増えたほうも、減ったほうも記録してください
- 毛づくろいの場所が変わった:同じ一か所ばかりをなめていないか
- 触られる場所が変わった:昨日まで触れた場所を今日は避ける、という日があります
- 被毛の手ざわりが変わった:指が根元で止まる範囲が、先週より広がっていないか
この6つは、どれも不規則な勤務のせいでは起きません。合図を拾おうとしている人だけが、拾えなかった日に気づけます。老猫と暮らしていると、変化はゆっくり進みます。毎日見ているぶん、かえって差が分かりにくくなります。行動を合図にしておくと、その日に何回合図が来たかという形で、数えられるものが手元に残ります。
被毛がべたつく範囲が急に広がった、皮膚が赤い、同じ場所をなめ続けている、逆に毛づくろいをほとんどしなくなった、触ると嫌がる場所ができた、水を飲む量や食べる量が変わった、体重が落ちてきた。いずれかに当てはまるときは、手入れの回数を増やす前に動物病院にご相談ください。老猫では、毛づくろいの減り方そのものが体調の手がかりになることがあります。不規則な勤務で受診の予定を立てにくいときは、気づいた日にその場で予約だけ入れておくと、あとから日を探さずに済みます。
相談に行くときは、合図の記録をそのまま持っていってください。「起きてきた回数のうち何回に手を入れられたか」を1週間ぶん数えた紙が1枚あれば、いつから変わったかの手がかりになります。ペットの様子は診察室では再現できません。家で数えたものだけが、そのあいだの時間を説明できます。数字にしなくても、印が並んでいれば足ります。
不規則な勤務でペットと暮らすのは、時間が足りないという話として語られがちです。けれど実際に足りていないのは時間ではなく、時刻という合図のほうでした。その子の一日は、こちらの勤務が何時に終わろうと同じ形で進んでいます。老猫が起きて、伸びをして、水を飲みに来る。その並びに30秒を挟むだけなら、夜勤明けの朝でも、遅番の翌日でもできます。毎日のケアを人の時刻から外すというのは、諦めることではなく、続けられる場所へ置き直すことです。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
