C12Q&A・豆知識

脂漏とは?皮脂の質と量が変わった状態

公開日 2020年11月13日|文=mofuwa編集部

明るく清潔な部屋で、淡い色の敷き物の上に静かに横たわっている淡い色の犬
脂漏という言葉が指しているのは、被毛の見た目ではなく、地肌の側の状態です。写真:Ketut Subiyanto/Pexels

背中を撫でた手のひらに、細かい粉と、うっすらした脂が同時に残ることがあります。この見え方をまとめて呼ぶ言葉が脂漏です。脂漏とは、皮脂の量や質が変わった状態を指す呼び方で、病名ではありません。乾いて粉が出る形と、べたついて毛が束になる形の、両方が同じ言葉で呼ばれます。だから「脂漏とはどれのことですか」と聞かれても、ひとつの絵にはなりません。状態の呼び名なので、脂漏という言葉だけでは原因のところまで届きません。この記事では、脂漏という言葉が皮膚と被毛の何を指しているのか、家で分かるのはどこまでか、その先を誰に渡すのかを、7つの問答に分けて書きます。

脂漏とは、どういう状態を指す言葉ですか

定義から書きます。脂漏とは、皮膚から出る皮脂の量や質が、ふだんの状態から変わっていることを指す呼び方です。「多い」だけを指す言葉だと思われがちですが、そうではありません。少なくなった側も、質が変わった側も、同じ言葉の中に入ります。医学の場では「脂漏症」という形で使われることもありますが、この記事で扱う脂漏は、状態の呼び名としての使い方です。

呼び名である、というところが大事です。熱があることを「発熱」と呼ぶのと同じで、脂漏という言葉は、いま起きている状態に名前をつけただけのものです。名前がついても、なぜそうなっているかは、まだ何も分かっていません。原因はひとつではないとされていて、その切り分けは動物病院の領域になります。家で「うちの子は脂漏だ」と決めても、そこから先へは進めません。

それでも、この言葉を知っておく価値はあります。脂漏という言葉を持っていると、地肌の側を見る習慣がつくからです。被毛のつやや、においや、毛のまとまり方は、どれも表面の話です。脂漏という言葉が指しているのは、その下の地肌から何が出ているかのほうです。見る場所が変われば、気づくタイミングも変わります。

Note脂漏とは、原因の名前ではありません

この言葉は、状態を短く言うための道具です。「脂漏です」と言えたところで、何が起きているかの説明にはなりません。だから、この記事には原因の一覧も、対処の手順も書きません。書けるのは、言葉が何を指しているかと、家で確かめられる範囲がどこまでかの2つです。その線を引くことが、この記事の目的です。

なぜ乾いた形とべたついた形が、同じ脂漏という言葉になるのですか

見た目が正反対なのに同じ言葉で呼ぶのは、脂漏という言葉が「見た目」ではなく「皮脂の状態が変わっていること」のほうを指しているからです。皮脂の量が減れば、地肌は乾いて粉のようなものが目につきます。量が増えたり質が変わったりすれば、被毛がべたついて束になります。どちらも、ふだんの状態から動いているという点では同じです。

同じ言葉で呼ばれる2つの見え方
地肌の見え方被毛の手ざわり手のひらに残るもの
乾いた形白い細かいものが目につくさらさら、または引っかかる粉のようなもの
べたついた形毛を分けると根元が湿って見える毛が数本ずつ束になるうっすらした脂
両方が混ざる場所によって違って見える背中と腰で手ざわりが変わる粉と脂の両方

3行目を入れたのは、実際にはここがいちばん多いからです。背中は乾いていて、腰から尾のつけ根はべたついている、という分かれ方をします。同じ体の上で2つの見え方が同居していると、「うちの子はどちらなのか」という問いに答えが出ません。答えが出ないまま、脂漏という言葉だけが手元に残ります。

この言葉のあいまいさは、欠点ではありません。ひとつの言葉で両方を拾えるから、動物病院で最初の一言として使えます。「べたつきます」と言うと、乾いている場所の話が抜け落ちます。「脂漏っぽい状態です」と言えば、どちらの可能性も残したまま診てもらえます。用語の使いどころは、そういうところにあります。

皮脂とは何をしているものですか|うるおいと脂漏のつながり

皮脂とは、皮膚にある皮脂腺から出る脂で、地肌と被毛の表面を薄く覆っているものです。役割は、うるおいを外へ逃がしにくくすることと、外側からくるものを直接肌に触れさせないことだとされています。脂漏という言葉は、この薄い層の量や質が変わったときに使われます。だから、脂漏の話は必ず皮脂の話になり、皮脂の話は必ずうるおいの話になります。

ここで押さえておきたいのは、皮脂はゼロにするものではない、という点です。洗うことの目的は、皮脂をなくすことではなく、多すぎる分を減らすことです。この見方を持つと、洗いすぎという言葉の意味が変わります。回数の話ではなく、必要な分まで持っていってしまったかどうかの話になります。

被毛の側から見ると、皮脂は毛の表面を伝って先のほうまで広がっていきます。ブラッシングは、この広がりを手伝う動きでもあります。根元に固まっているものを毛先まで分散させると、地肌の側の量が下がります。脂漏という言葉が出てくる場面で、ブラッシングの話が必ず一緒に出てくるのは、このつながりがあるからです。

家で分かるのはどこまでですか|べたつくか、粉が出るかの2択

はっきり書きます。家で確かめられるのは、べたつくか、粉が出るか、この2択までです。それ以上は分かりません。どちらでもない、両方ある、という答えも含めて、家で出せる結論はこの範囲に収まります。脂漏という言葉を使って、そこから先の話をしようとすると、必ず推測が混ざります。

  1. 毛を分けて、地肌を出す

    指2本で毛を左右に分けて、地肌が見える状態をつくります。被毛の上からでは分かりません。背中の真ん中、腰、尾のつけ根の3か所で試します。

  2. 手のひらを当てて、5秒待つ

    こすらずに、押し当てるだけです。こすると、そこにあるものが移動して、どこにあったのかが分からなくなります。

  3. 手のひらに何が残ったかを見る

    粉のようなものが残れば乾いた形、うっすら脂が残ればべたついた形です。何も残らないのが、いちばん多い結果です。

  4. 3か所の結果を、そのまま書き留める

    場所ごとに違ってかまいません。むしろ違うほうが情報になります。日付と一緒に残しておくと、次に見たときの比べる相手ができます。

この2択の先にあるものは、家では決められません。なぜその状態になっているのか、その状態が続いていいものなのか、この2つはどちらも診てもらう領域です。脂漏という言葉が「呼び名でしかない」というのは、こういう意味です。名前をつけたところで止まる、と最初から分かっていれば、家で悩む時間が短くなります。

赤み、黒ずみ、ただれ、かさぶた、脱毛。2択のどちらでもないものが地肌に見えたときは、家での判断をそこで終わりにしてください。これらは、粉かべたつきかという分け方の外側にあるものです。同じ場所に同居していることもあります。

脂漏という言葉を、病名のつもりで使っても大丈夫ですか

使わないほうが、あとで困りません。脂漏は状態の呼び名なので、病名として使うと、そこで話が止まってしまうからです。「脂漏だから」と言えてしまうと、それ以上の説明を探さなくなります。実際には、その状態になっている背景は複数あるとされていて、家で見分けられるものではありません。

言葉の使い方で、何が変わるか
言い方そのあと何が起きるか
「うちの子は脂漏です」原因が決まったように感じて、観察が止まりやすい
「脂漏っぽい状態が続いています」状態の報告になる。いつからかを添えて話せる
「背中は粉、腰はべたつきです」場所ごとの情報が残る。もっとも伝わる形
「フケが出ます」乾いた形だけの話になり、べたつきの情報が落ちる
「においがします」皮脂の話なのか別の話なのかが分かれない

3行目がいちばん役に立ちます。場所と手ざわりをそのまま言うだけで、脂漏という言葉を使わなくても伝わります。用語は、話を短くするための道具です。短くした結果、情報が落ちてしまうなら、使わないほうがいいことになります。

逆に、この言葉が役に立つ場面もあります。ネットで調べたときに、粉が出る話とべたつく話が同じページに並んでいる理由が分かります。正反対の症状が同じ見出しの下にあるのは、書き手が混乱しているのではなく、言葉の指す範囲が広いからです。そう分かっていれば、読むときに迷いません。

湿度と洗いすぎは、地肌の見え方をどう動かしますか

先に断っておくと、これは原因の話ではありません。同じ状態でも、条件によって目につきやすさが変わる、という話です。脂漏という言葉が季節の変わり目に検索されやすいのは、体のほうが変わったからとは限らず、見え方が変わったからということもあります。

洗いすぎという言葉について、少しだけ補足します。回数そのものに正解の数字はありません。同じ週2回でも、その子の皮脂の出方と、使うものと、乾かし方で結果が変わります。だから「何回が洗いすぎか」という問いには答えが出ません。答えが出るのは、洗ったあと数日の地肌が、前回と比べてどうだったかという記録のほうです。

Point比べる相手をつくると、脂漏という言葉が要らなくなる

同じ場所を、同じやり方で、月に2回だけ確かめて書き留める。それだけで、次に見たときの比べる相手ができます。「先月より粉が増えた」と言えるようになると、脂漏という言葉を使わずに状態を伝えられます。動物病院でも、この形のほうが情報として残ります。うるおいの話は、写真より手ざわりのメモのほうが伝わります。

ブラッシングと、洗う日のあいだのケアは、脂漏とどう関わりますか

皮脂は、地肌から出て、毛の表面を伝って広がっていきます。ブラッシングは、この広がりを手伝う動きです。根元に集まっているものを毛先の側へ分散させると、地肌の側で感じるべたつきは下がります。脂漏という言葉が使われる場面で、まず勧められるのがブラッシングなのは、道具が要らず、毎日できて、皮脂の分布を動かせるからです。

洗う日と、そのあいだの日で、皮脂に対してできること
やること皮脂に対して起きること
あいだの日(毎日)毛の流れに沿って一往復根元に集まった分が毛先へ広がる
あいだの日(毎日)手のひらで地肌に5秒触れるその日の手ざわりが記録になる
あいだの日(気になる日)布に含ませて拭き取る被毛の表面に乗っている分だけを減らす
洗う日全体を洗って乾かす多すぎる分が減る。ゼロにはしない
洗った日の夜地肌が乾いているか確かめる湿ったまま置かない

あいだの日に拭くときは、水で流す手順がないので、その子を濡らして待たせる時間が生まれません。この日に使うのが mofuwa グルーミングスプレーです。特許を取った電気分解でつくった電解水を原料にした、無香料・界面活性剤不使用のスプレーです。布に含ませてから、毛の流れに沿って一往復させる形で使います。ブラッシングの前と、洗う日と洗う日のあいだの毎日が、グルーミングスプレーの持ち場です。原料の水は清涼飲料水の規格基準をクリアしているので、あごの下や口のまわりのように毛づくろいが届く場所でも、布を湿らせる量を気にせず使えます。地肌を強くこすらず、被毛の表面に乗っている分だけを動かすのがこつです。

ここでしているのは、皮脂の分布を動かして、地肌の見え方をそろえるところまでです。その量や質がなぜそうなっているのかは、毎日の手ざわりからは出てきません。2択のどちらかがはっきりしていて、それが続いているなら、ケアの回数を増やす方向ではなく、診てもらう方向へ進んでください。

2択に場所と日付をつけて渡す|脂漏という言葉の使いどころ

最後に、7つを1つにまとめます。脂漏とは、皮脂の量や質が変わった状態を指す呼び方であって、病名でも原因の名前でもありません。乾いた形とべたついた形の両方が同じ言葉に入るので、言葉だけでは相手に絵が伝わりません。家で確かめられるのは、べたつくか粉が出るかの2択まで。その2択を、場所と日付つきで持っていくところまでが、家の仕事です。

この記事を読んで、明日から何が違って見えるか。被毛のつやではなく、毛を分けた下の地肌を見るようになります。そして、手のひらに何が残るかで、その日の状態を1行で書けるようになります。脂漏という言葉の使いどころは、そこまでです。言葉を覚えることではなく、見る場所が変わることのほうが、あとから効いてきます。

Caution2択の外にあるものが見えたら、動物病院にご相談ください

地肌の赤み、黒ずみ、ただれ、かさぶた、毛が抜けている場所、同じところをかき続ける、においが急に変わった、元気や食欲が落ちている。こうした変化があるときは、ケアの回数を増やす前に動物病院にご相談ください。脂漏という言葉で説明できる範囲は、粉かべたつきかというところまでです。それ以外のものが同居しているときは、家で待つほど、いつから始まったかが分からなくなります。粉とべたつきのメモを持っていくと、その場で切り分けの材料になります。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。