C05犬種・猫種別ケア

ビションフリーゼはなぜ毛玉が起きやすいのか。巻毛から考える

公開日 2020年12月8日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、白い巻毛のビションフリーゼが座っている
表面がふわふわに見えていても、地肌の側では下毛が抜けたまま残っていることがあります。写真:SLZ/Pexels

ビションフリーゼの背中にブラシを通すと、抵抗なくすっと抜けました。それなのに同じ場所を指で分けて地肌を見ると、根元から数ミリのところに、平たい板のようなかたまりがありました。ブラシは、その上を通っていただけでした。表面の巻きだけをほぐして、地肌の側には一度も届いていません。この犬種の毛玉は、いつもここから始まります。巻いた毛が、抜けた毛を外へ出してくれないからです。

巻いた上毛が、抜けた下毛を離さない|毛玉が始まる深さ

ビションフリーゼの被毛は、二層あります。外側にゆるく巻いた上毛、その内側に、細くやわらかい下毛。この犬種で特徴的なのは、下毛のほうも巻いていることです。上下ともにカールしているので、毛と毛が触れる点が、まっすぐな毛よりずっと多くなります。

毛は毎日、少しずつ抜けています。まっすぐな毛の子なら、抜けた毛は毛の流れに沿って毛先のほうへ滑り、床や服に落ちていきます。落ちるから、飼い主は「抜けている」と気づきます。ところが巻毛では、抜けた毛が滑る先にカールの輪があります。輪に引っかかった毛は、そこから先へ進めません。

ビションフリーゼは毛が落ちにくい犬種として知られています。それは抜けていないという意味ではなく、抜けた毛が体の中に留まっているという意味です。換毛期に増えた分も、床には落ちません。行き先がないまま、根元の近くに溜まっていきます。

溜まる場所が問題です。下毛は地肌のすぐ上にあります。そこで抜けた毛は、上毛の巻きに捕まって外へ出られず、隣の毛と横向きに絡みはじめます。だからビションフリーゼの毛玉は、毛先ではなく根元から育ちます。ここが、まっすぐな毛の犬種との決定的な違いです。毛先が絡んでできる毛玉なら、見えるところにできます。根元でできる毛玉は、上に毛が乗っているので見えません。

毛玉が始まる深さで、気づき方も手も変わります
見るところ毛先から始まる毛玉根元から始まる毛玉(巻毛)
できる場所毛の途中から先地肌から数ミリのところ
見た目表面に浮いて見える表面はふわふわのまま
気づくきっかけ目で見つかる指を入れて初めて分かる
ブラシの手ごたえ引っかかるすっと通ってしまう
育ち方外へ広がる面として横に広がる
放っておくと毛先でまとまる地肌に張りつく板になる

右の列のいちばん上の行に、この犬種の毛玉のやっかいさが詰まっています。表面はふわふわなのに、地肌の側では下毛が固まっている。ビションフリーゼの丸いシルエットは、その表面の巻きがつくっています。見た目が保たれているあいだも、内側では進んでいる。だから、目で見て判断するのをやめて、指で確かめるやり方に切り替える必要があります。

Note手ざわりのよさが、判断を遅らせます

根元に薄い層ができはじめたころ、表面の手ざわりはむしろよくなることがあります。下で毛が支えられて、上毛が立つからです。「今日はふわふわだ」と感じた日ほど、指を入れて地肌を確かめてください。手のひらでなでて分かるのは、いちばん外側の巻きの状態だけです。

地肌まで届かせる|ビションフリーゼの毛玉に家でできる手順

やることは五つです。順番に意味があります。地肌を見る、湿らせる、毛先から根元へ下ろす、コームで検算する、乾かす。このうち一つでも飛ばすと、ブラシは表面だけを通ります。家でできるのはここまでで、そこから先は次のセクションに書きました。

  1. 毛を分けて、地肌に線を引く

    片手の指で毛を上へ押し上げ、横一本の線をつくって地肌を出します。トリミングでいう分け目の作り方と同じです。線に沿って地肌が見えるなら、その幅は今日ブラシを入れられます。見えないなら、そこはもう根元が詰まっています。ビションフリーゼは全身が白いので、地肌の色との差で見分けやすい犬種です。

  2. その区画だけを、軽く湿らせる

    乾いた巻毛はブラシで静電気を起こし、毛が浮いて絡み合います。湿らせる目的は、汚れを落とすことではなく、うるおいを戻して毛どうしが滑るようにすることです。びしょ濡れにはしません。mofuwa グルーミングスプレーを布に含ませ、線を引いた幅だけをひとなでする程度で足ります。濡れたまま乾かさずにおくと逆に絡むので、湿らせたら続けて手を動かしてください。

  3. 毛先から始めて、少しずつ根元へ下ろす

    いきなり根元へブラシを入れないでください。まず毛先だけを通し、通ったら1センチ下、また通ったら1センチ下と、根元へ向かって下ろしていきます。根元から一気に引くと、途中の絡みをまとめて引っぱることになり、その力は全部皮膚にかかります。手数は増えますが、これがいちばん痛くないやり方です。

  4. コームを根元から入れて、検算する

    ブラッシングが終わった幅に、目の細かいコームを地肌の側から差し込みます。すっと抜ければ、その幅は終わりです。途中で止まれば、まだ残っています。ブラシの手ごたえは当てになりません。表面の巻きをほぐしただけでも、ブラシは通ってしまうからです。この確かめをする幅だけが、その日「終わった」と言える幅になります。

  5. 隣の線へずらして、同じことを繰り返す

    終わった幅の少し下に、新しい線を引きます。ビションフリーゼは全身が巻毛なので、一日で全部は終わりません。体を四つか五つの区画に分けて、日ごとに回してください。耳のうしろ、脇の下、内股、尾のまわりは、毛が細くて動きの多い場所なので、回す回数を多めに配ります。

Point毎日やるのは、全身ではなく「線を一本引くこと」

毎日ぜんぶをブラッシングしようとすると、続きません。毎日やるのは、どこか一か所で毛を分けて、地肌が見えるかを確かめることだけです。見えたらその日は終わり。見えなければ、そこに手順を回します。この一分があるかないかで、根元の毛玉に気づく時期が変わります。

道具の使い分けも書いておきます。スリッカーブラシは、絡んだ毛をほぐすためのもの。コームは、ほぐれたかを確かめるためのものです。役割が違うので、片方だけでは終わりません。ブラシだけで済ませていると、表面の巻きは整うのに根元は残る、という状態が積み上がっていきます。

毎日きれいにしてあげたい、という気持ちは、白い巻毛の子と暮らしているほど強くなります。犬は体から脂を出すので、昨日整えた背中も、今日また汚れます。それでも毎日シャンプーはできませんし、サロンへ毎日連れていくこともできません。mofuwa グルーミングスプレーは、その毎日のほうを成立させるために、吹きかけるだけの形でつくられています。中身は還元水100%で、香料もアルコールも足されていません。だから全身が巻毛のビションフリーゼでも、線を引いた幅へかける量を数えずに済みます。余分な皮脂は電解水となじんで乳化するので、落ちるのは汚れの元になる脂のほうです。セラミドやスクワランのように残しておきたいものは、巻いた毛のほうに残ります(deck p16)。うるおいが戻れば毛先が引っかかりにくくなり、同じ手数で先へ進めます。

ブラシは通るのに毛玉が育つとき、毎日のやり方のどこを直すか

手順どおりにやっているのに、根元の板が減らない。ビションフリーゼの毛玉でつまずくのは、たいていこの四つのどれかです。やり方の中身ではなく、配り方のほうがずれています。

季節の影響も受けます。換毛期には抜ける下毛の量そのものが増えますが、ビションフリーゼではそれが床に落ちません。行き先のない毛が、いつもより多く根元に溜まる時期だということです。春と秋は、線を引く回数を増やしてください。冬は空気が乾いて静電気が起きやすくなるので、湿らせる手順を飛ばさないようにします。

カットのあとに「毛玉が増えた」と感じることもあります。短くなった毛は、コームを入れたときの手ごたえが変わるので、同じ状態でも気づきやすくなっただけということがあります。長さが変わったときは、指で地肌を確かめる感覚のほうを合わせ直してください。

Caution毛玉を、はさみで切らないでください

根元の毛玉は地肌に張りついています。根元からはさみで切ると、毛と一緒に皮膚を持ち上げてしまい、切る事故が起きます。皮膚は思っているより薄く、毛玉と皮膚の境目は目で見ても分かりません。引っぱってほどくのも同じです。痛みの記憶が残ると、次の日から体を触らせてくれなくなります。

根元で固まったものは、家でほどかない

毎日の手順で扱えるのは、コームが根元まで届く範囲までです。そこから先は、家の道具で足りる話ではなくなります。次のような状態になっていたら、手を止めてください。

この状態はトリミングサロンで外してもらってください。短く刈る判断も、家では決めないでください。ビションフリーゼの丸い形は、巻毛が均一に伸びていることで保たれています。一部分だけを深く刈ると、生えそろうまでのあいだ、そこだけ毛の長さと巻き方が変わります。全体をどうするかは、担当の方と相談して決めるほうが後悔がありません。

Caution毛玉をほどく前に、皮膚を見てもらう順番

毛玉の下の皮膚が赤い、腫れている、においがある、じくじくしている、同じ場所をしつこく舐めたり噛んだりしている、触ると痛がる、歩き方が変わった、元気や食欲が落ちている。いずれかに当てはまるときは、毛玉をほどくことより先に動物病院にご相談ください。毛玉を外してからでは、皮膚がいつからその状態だったのかが分からなくなります。

相談に行くときは、いつから触れなくなったか、体のどこか、最後のトリミングはいつかをメモしていってください。ビションフリーゼは全身が白いので、写真に撮っておくと皮膚の色の変化が伝わりやすくなります。

毎日の手順に戻る話で終わります。ビションフリーゼの毛玉に家でできることは、根元まで手を届かせておくことだけです。表面をきれいに保つことではありません。ブラシが通ったかどうかではなく、コームが地肌から抜けたかどうか。毎日一本の線を引いて、その一本で確かめる。深さを見る習慣がつけば、毛玉が育つ前に気づけるようになります。

Product

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よくある質問

ビションフリーゼは毛が抜けないと聞きましたが、毛玉ができるのはなぜですか?
抜けていないのではなく、抜けた毛が落ちていないだけです。上毛も下毛も巻いているので、抜けた下毛はカールの輪に引っかかって外へ出られません。行き先がないまま根元に溜まり、そこで横向きに絡みます。床に毛が落ちない犬種ほど、体の中に残っていると考えてください。
表面はふわふわなのに、根元だけ固まっているのはどうしてですか?
毛玉が根元から育つからです。地肌のすぐ上で抜けた下毛が絡んでも、その上には巻いた上毛が乗っています。上毛は見た目も手ざわりも変わらないので、表面からは分かりません。指で毛を分けて地肌が見えるかどうかで確かめてください。
毎日ブラシをかけているのに毛玉ができます。やり方が違うのでしょうか?
ブラシが通ったことを終わりの合図にしていると、表面だけをほぐして終わっていることがあります。ブラッシングのあとに、目の細かいコームを地肌の側から差し込んでみてください。すっと抜ければ終わり、途中で止まればまだ残っています。この検算を加えるだけで、届いている深さが変わります。

本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。