C05犬種・猫種別ケア
ミニチュアシュナウザーのワイヤーコート|涙やけを毎日のケアで防ぐ
朝、目の下を布で押さえると、茶色い色はきれいに取れました。それなのに翌日の朝、同じ場所に、同じだけついています。拭き残したわけでも、力が足りなかったわけでもありません。ミニチュアシュナウザーと暮らしていると、この繰り返しに何度も出会います。取れているのに減らない。この記事は、その涙やけがなぜ毎朝もとに戻るのかという話です。手を入れる場所は、色のほうではありませんでした。
拭けば取れるのに、翌朝また同じだけ|ミニチュアシュナウザーの涙やけの経験
布を目の下に当てて、下へ一度なでる。それだけで、目のまわりの茶色い色は毛から離れます。指に色が移ることもありません。ミニチュアシュナウザーの涙やけは、たいてい素直に取れます。これが最初につまずくところです。取れてしまうので、これで終わったと思ってしまいます。
ところが翌朝、同じ場所を見ると、同じ濃さで戻っています。前の日にこすりすぎたのだろうか、拭き取りが甘かったのだろうかと考えて、力を強くしたり、回数を増やしたりする。それでも翌朝の見え方は変わりません。変わらないまま一週間が過ぎるころ、目のまわりの皮膚のほうが先に赤くなってきます。
ここで一度、手を止めてほしいのです。取れているのに戻る、という現象が意味しているのは「落とし方が足りない」ではありません。「新しく足されている」です。昨日の色は確かに消えました。今朝ついているのは、昨日の夜から今朝までのあいだに出た、新しい涙の跡です。
涙やけには、大きく分けて二つの話が混ざっています。ひとつは色が毛から離れないという話、もうひとつは涙そのものが出つづけているという話です。ミニチュアシュナウザーで起きているのは、後ろのほうです。だから、色を落とす道具をどれだけ良いものに替えても、翌朝の見え方は同じままでした。
この記事では、この犬種の被毛の作りから順に見ていきます。なぜ色が素直に取れるのか。それなのに、なぜ毎晩また足されるのか。その二つは、じつは同じ一つの作りから出てきています。顔に生えている毛が、硬くて、長いということです。
毛が涙を吸わない|ワイヤーコートという背景
ミニチュアシュナウザーの被毛は、ワイヤーコートと呼ばれます。針金という名のとおり、上毛が硬く、まっすぐで、手のひらでなでるとざらりと返ってくる毛です。その内側には、やわらかい下毛があります。この犬種はドイツの農場で、地面のそばで働いてきた犬種です。硬い上毛と、顔にまとまって生えた飾り毛は、藪や土のなかで顔を守る作りとして説明されてきました。
涙やけの話にとって大事なのは、その硬さです。硬い毛は表面がしまっていて、水分を内側へ取り込みにくい作りをしています。涙は毛の芯まで入らず、外側に乗ったままになります。だから乾いても、色は毛の表面に置かれているだけです。布を当てれば、そのまま持ち上がります。
絹のような細い毛を持つ子では、これが逆になります。細くやわらかい毛は水分を内側へ引き込むので、涙の色は毛の中まで入り込みます。乾いてしまえば、外から拭いても毛の色は変わりません。「涙やけは落ちないもの」という一般的な説明は、そちらの毛質を前提にしています。ミニチュアシュナウザーには、そのまま当てはまりません。
| 見るところ | 硬い毛(ワイヤーコート) | 細くやわらかい毛 |
|---|---|---|
| 涙が入る深さ | 表面に乗るだけ | 毛の芯まで入り込む |
| 乾いたあとの毛の色 | 変色しにくい | 毛の色そのものが変わる |
| 布で拭いたとき | そのまま取れる | 外からは変わらない |
| 取れたあとの戻り方 | 翌日また同じだけ戻る | 少しずつ濃くなっていく |
| 手を入れる先 | 涙が出ている理由のほう | 濡れている時間のほう |
ここまでが被毛の背景です。ミニチュアシュナウザーの涙やけは、拭き取りで色が動きます。これは、この犬種と暮らすうえで悪くない条件です。毛の色を取り戻すために強い手を使う必要がありません。人用の化粧品を使う、漂白するようなものを使う、目の下をこすり続ける。どれも要らないということです。
ワイヤーコートは、手で抜いて整える方法と、バリカンで刈る方法があります。刈るほうを続けていくうちに、上毛が細く、やわらかくなっていく子がいます。そうなると、これまで表面に乗るだけだった涙が、少しずつ毛の中へ入るようになります。以前より拭き取りで色が動かなくなってきたと感じたら、毛質のほうが変わってきたのかもしれません。次のトリミングで、担当の方に毛の手ざわりを見てもらってください。
長い眉毛が目に当たり続ける|涙が出つづける理由
では、なぜ毎晩また足されるのか。理由は、色が乗っていた場所のすぐ上にあります。ミニチュアシュナウザーの顔には、目の上から前へ張り出すように、長い眉毛が生えています。口ひげと並んで、この犬種の顔をつくっている毛です。そして、この毛も硬い毛です。
眉毛は伸びます。伸びれば重みで先が下がり、前へ張り出していた毛先が、目のほうを向きます。やわらかい毛なら触れても倒れますが、硬い毛は倒れずに当たります。まばたきをするたび、風が吹くたび、その毛先が目の表面に触れる。触れれば涙が出ます。これは体が正しく働いている証拠で、異常ではありません。
つまり、涙は今日も昨日も出つづけています。ミニチュアシュナウザーの涙やけが翌朝また同じだけついているのは、当たっている毛が昨日と同じ位置にあるからです。色を落としても、当たり方は変わっていません。だから朝の拭き取りは、その日の分をゼロに戻しているだけで、次の分は夜のあいだにまた足されます。
見分ける手がかりがいくつかあります。どれも、家で見られるものです。
- 眉毛を指でそっと持ち上げると、目の表面から毛先が離れる:当たっていたということです
- 左右で色の濃さが違う:眉毛の伸び方や向きは、左右で揃わないことがあります
- トリミングの直後だけ、数日は落ち着く:毛の長さが変わったぶん、当たり方も変わっています
- 風のある日や、散歩のあとに増える:毛先が動く場面で、触れる回数が増えています
- 目やにより先に、涙の量そのものが多い:出口ではなく、入口の話です
ここまで来ると、涙やけの見方が入れ替わります。これは「落ちにくさ」の話ではなく、「出つづけること」の話です。落ちにくさなら、拭き方を工夫する意味があります。出つづけることなら、拭き方をどれだけ工夫しても、明日の朝は同じです。手を入れる先は、色ではなく、目に当たっている眉毛のほうになります。
そしてもうひとつ、口ひげのほうにも触れておきます。目の下から流れた涙は、頬を伝って口ひげのあたりまで届くことがあります。口ひげは食事のたびに濡れる場所でもあるので、涙とは別の理由でも湿っています。目のまわりだけを見ていると、顔の下半分が湿ったままになっていることに気づきにくくなります。
色ではなく眉毛に手を入れる|毎日のケアの考え方
毎日やることは、これまでとほとんど変わりません。変わるのは、何を目的にしているかのほうです。色を消すためではなく、涙が出る回数を増やさないために手を動かす。この置き換えだけで、続け方が変わります。ミニチュアシュナウザーの涙やけを繰り返しにくい条件にしていく、という考え方です。
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眉毛の長さは、トリミングサロンで決めてもらう
ここがいちばん大きな一手です。目に当たらない長さと向きに整えてもらってください。家でハサミを入れるのはやめてください。目のすぐ上で、犬が動いた拍子に刃が向く場所です。次の予約のときに「眉毛が目に当たっているようです」と一言伝えるだけで、担当の方は見てくれます。
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トリミングの間隔を、毛の長さではなく目で決める
見た目が伸びてきたかどうかではなく、眉毛を持ち上げたときに毛先が目から離れるかどうかで判断します。離れる距離が短くなってきたら、そろそろです。ミニチュアシュナウザーの顔まわりは伸びが目立ちにくいので、この確かめ方のほうが確実です。
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朝と夜、目の下を布で押さえる
こすらず、当てて水分を移すだけです。硬い毛の子は色が素直に離れるので、力は要りません。目的は色を落とすことではなく、目のまわりが湿っている時間を短くすることです。湿ったままの時間が長いと、皮膚のほうに変化が出てきます。
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口ひげと、あごの下も一緒に拭く
顔まわりをまとめて触る習慣にすると続きます。食後がちょうどよいタイミングです。目のまわりだけを狙うより、顔全体をひとまわりするほうが犬も嫌がりません。拭き取りは一日の中で一度にまとめず、朝と食後に分けてください。
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週に一度、同じ明るさで顔を撮る
毛の色の変化は、日々の目では追えません。同じ場所、同じ時間に撮った写真だけが比べられます。眉毛を整えた日を写真の横にメモしておくと、整えたあとで見え方が変わったかどうかが分かります。
毛についた色を消そうとして、こすり続ける、漂白するようなものを使う、人用の化粧品を使う。どれも避けてください。目のすぐ下は皮膚が薄く、犬は自分でも顔をこすります。目に入る前提で考えてください。ミニチュアシュナウザーの場合は、そもそも布を当てれば色が動くので、強くこすって落とす必要がそもそもありません。
毎日の拭き取りで手が足りないと感じるのは、たいてい口ひげのあたりです。目の下から流れた涙と、食事や水のたびの濡れが重なって、顔の下半分はいつも湿っています。毎日きれいにしておきたい場所なのに、毎日洗うわけにもいきません。ここで使えるのが mofuwa グルーミングスプレーです。布に含ませて、口ひげとあごの下を毛の向きになでる。口ひげは口のすぐ横で、犬が自分で舐めてしまう場所です。舐めても差し支えない基準でつくられているので、そこでも量を気にせずに使えます。
使うときの線はひとつだけです。目のまわりに直接吹きかけないでください。顔に向けてスプレーせず、必ず布へ含ませてから、目より下の面に当てます。硬いワイヤーコートは乾いたままだと布が引っかかるので、mofuwa グルーミングスプレーで滑りをそろえてからのほうが、こする力が要りません。目に当たっている眉毛を整える手と、顔まわりを湿ったままにしない手。毎日の側でやれるのは、この2つです。
最後に、この考え方が当てはまらない場面のことを書いておきます。眉毛を整えたのに涙の量が変わらない、片目だけ急に増えた、目を開けにくそうにしている、白目が赤い、まぶしそうにしている、目やにの色や質が変わった、目のまわりが腫れている、前足でこすり続けている。いずれかに当てはまるときは、拭き取りや眉毛のことより先に、動物病院にご相談ください。目は、家で様子を見てよい期間がとくに短い場所です。皮膚の変化なら二週間ほど記録して考えることもありますが、目については数日で判断してください。
受診の前に、いつから、どちらの目か、最後にトリミングへ行ったのはいつかをメモしていってください。診察前に目のまわりをきれいにしてしまうと、目やにの状態が分からなくなることがあります。その日は拭かずに連れて行ってください。週に一度撮っていた写真があれば、それがそのまま経過の記録になります。
ミニチュアシュナウザーの顔は、長い眉毛と口ひげでできています。その毛は、この犬種からなくしてよいものではありません。やることは、なくすことではなく、目に当たらない位置に置きなおすことです。涙やけの色は、そのあとから自然についてこなくなります。手を入れる先を間違えなければ、毎日のケアはずいぶん軽くなります。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
