C08季節・行事
サンタ帽をのせた写真だけ、頭の毛が立って写る
その夜に撮った写真は22枚あって、そのうち頭のてっぺんの毛が細く立ち上がって写っていたのは7枚でした。7枚はすべて、クリスマス用の赤い帽子をのせた状態で撮ったものです。帽子をのせずに撮った13枚のうち、同じ写り方をしたのは1枚だけでした。撮っているあいだ、目の前のその子の頭は、最後までいつもの頭に見えています。写真の中でだけ毛が立つのは、撮り方の失敗でも、その子の毛質のせいでもありません。帽子をのせる動作のあいだに毛の向きが2回変わっていて、乾いた部屋ではその向きが元へ戻らないからです。
22枚のうち、帽子をのせた9枚だけ|クリスマスの写真は背景より頭の上が先に目に入る
その晩に撮った22枚を、帽子をのせたものとのせていないものに分けて数えると、差がそのまま出ます。のせて撮ったのは9枚で、そのうち7枚に頭の線が出ていました。のせずに撮ったのは13枚で、線が出たのは1枚です。同じ部屋、同じ照明、同じ夜、同じ子です。撮り終えて写真を見返すまで、飼い主はこの差に気づいていません。その場で見ていた頭は、最後までいつもの頭に見えていたからです。
| 撮り方 | 枚数 | 頭の毛が立って写った | 写らなかった |
|---|---|---|---|
| 帽子をのせて撮った | 9枚 | 7枚 | 2枚 |
| 帽子をのせずに撮った | 13枚 | 1枚 | 12枚 |
| 合計 | 22枚 | 8枚 | 14枚 |
クリスマスの写真でいちばん惜しいのは、飾りを並べて、背景を片づけて、明るさまで整えたあとに、いちばん見せたかった頭の上だけが乱れて写っていることです。背景は撮る前に直せますが、毛の向きは撮ったあとにしか分かりません。この記事で数えるのは2つだけにします。その晩に何枚撮ったか。そのうち何枚に頭の線が出たか。数えるものを枚数に決めておくと、来年どこを変えればいいのかが、写真そのものから読み取れるようになります。
この写り方が12月に集中するのには、部屋の側の理由もあります。暖房を入れた部屋は、室温が上がるほど乾燥します。室温22度で湿度が35%まで落ちた部屋では、こすられて浮いた毛は、その晩のうちには寝ません。気温が下がりはじめる季節の変わり目から換毛期の終わりにかけて、抜けきらなかった短い毛が上の毛にからんだまま残っているのも重なります。この3つがそろうのが、ちょうど飾りつけをして写真を撮る時期にあたります。
数え方は手間のかからない形で足ります。その晩に撮った写真をフォルダごと開いて、頭の上に細い線が出ているものだけを選り分けるだけです。10枚も撮っていれば差は出ます。大切なのは、帽子をのせた写真と、のせていない写真を分けて数えることです。分けずに「今年もうまく撮れなかった」とまとめてしまうと、原因が帽子にあるのか、部屋にあるのか、その子の毛の側にあるのかが分からないまま、そっくり来年へ持ち越されます。
のせるときと、かぶせ直すとき|クリスマスの写真にだけ毛が立って写る理由
帽子をのせた写真だけに線が出るのは、のせる動作そのもので毛の向きが2回変わるからです。1回目は、帽子が額から後頭部へ滑っていくとき。進む向きに押された毛は後ろへ倒れ、帽子の縁から外へはみ出したぶんだけが、押し出されて上を向きます。2回目は、ずれた帽子をかぶせ直すとき。クリスマスの写真を撮る夜、帽子は一度ではのりません。首を振られ、落ち、また拾ってのせる。この往復のたびに、同じ場所の毛が、同じ向きにこすられていきます。
- 帽子の内側の素材:フェルトや起毛のついた内側は、こすれたときに相手の毛の側だけを持ち上げます。内側が平らな布でできた帽子では、同じ夜でも浮き方が変わります
- のせ直した回数:9枚撮るまでに何回のせ直したかを数えておくと、線の太さとだいたい一致します。3回のせ直した夜と、一度で決まった夜では、写真に出る線がはっきり違います
- 部屋の乾き方:湿度が下がっているほど、浮いた毛は元の向きへ戻りません。同じ帽子でも、湿度の高い時期に撮った写真では線が出ないことがあります
それでも、こすられた直後の毛は、その場で見ているぶんには気になりません。写真にだけ出るのは、部屋の照明が斜めから当たっているからです。12月の夜の室内では、天井の照明と、飾りの明かりと、カメラの側の光が、別々の向きから届きます。浮いた毛は1本ずつが細いので、真上から光が当たっているあいだは周りの毛に紛れます。斜めから当たると、その1本だけが光を返して、背景の暗いところに白い線として残ります。毛が立ったから写ったのではなく、立った毛に光が当たる角度になったから写った、という順番です。
もう1つ、この時期の頭には短い毛が多く残っています。秋の換毛期に抜けはじめた下毛のうち、抜けきらなかったぶんが上の毛にからんだまま冬に入るからです。短い毛ほど根元が軽いので、こすられると起き上がり、そのまま止まります。頭のてっぺんは、その子自身の前足も、飼い主のブラシも、いちばん届きにくい場所です。背中なら毎日なでる手が毛の向きをそろえていますが、頭の上は一日じゅう誰も触っていません。クリスマスの写真で頭だけが浮いて見えるのには、この日ごろの差も混ざっています。
写真を拡大して、白い線がどこから出ているかを見てください。帽子の縁のすぐ外なら、押し出された毛です。縁からだいぶ離れた頭の後ろなら、かぶせ直したときに起こされた毛です。出どころが違うと、3分前に手を入れる場所も変わります。縁のすぐ外なら額から耳のあいだ、後ろなら耳のうしろから首のつけ根までが、手を通す範囲になります。
撮る直前ではなく3分前に手を入れる|クリスマスの写真と帽子をめぐる考え方
変えられるのは、帽子をのせる3分前の時間です。のせる直前に手ぐしで整えても、そのあと帽子が滑れば同じことが起きます。3分前というのは、毛の向きをそろえたあと、その向きが落ち着くまでにかかる時間のことです。順番は4つで足ります。
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頭から首へ、手を一度だけ通す
手のひらを頭のてっぺんにのせ、耳のあいだを通って首のうしろまで、毛の向きに沿って一度だけ滑らせます。往復させないでください。行きと帰りで向きが逆になるので、整えたつもりが、帽子でこすったのと同じ状態になります。
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帽子の内側を、先に手で押さえておく
のせる前に、帽子の内側の起毛を手のひらで一度なでて寝かせます。内側が毛羽立ったままだと、のせた瞬間にその毛羽のほうが相手の毛を持ち上げます。しまいっぱなしだった帽子ほど、この一手が効きます。
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のせ直す回数を、2回までと決める
3回目からは、その子の側も帽子を落としにかかります。2回でのらなかった夜は、帽子を前足のそばに置いて撮るほうへ切り替えてください。撮る枚数は増えますが、頭に線は出ません。
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光の向きを変えて、もう1枚撮る
構図はそのままで、カメラの位置を30度だけ横へずらします。斜めから当たっていた光が正面寄りになると、浮いた毛は周りの毛に紛れて写らなくなります。毛を直すより、この1枚のほうが早く済みます。
1つ目の手順で手のひらに出しておくものを決めてしまうと、3分前のこの一手が、毎年同じ形で回ります。mofuwaグルーミングスプレーは、毎日きれいにしておきたいという飼い主の側の事情から作られた1本で、吹きかけて手かブラシを通すだけで済みます。年に一度の撮影のためだけに用意するものではありません。ふだんから頭と首に手を通している家では、帽子をのせた9枚のうち線が出る枚数が、そもそも少なくなります。
頭から首へ通したものは、そのあとその子の前足でこすられ、毛づくろいの順番で口に入ります。この1本の中身は電解水で、香りを足していません。飲みものに使ってよい水と同じ規格をクリアしているので、頭に何度手を通しても、使った量を気にせずに済みます。香りを足していないことは、撮影のあとにも効いてきます。帽子の内側にも、それをしまう箱にも、においが移らないからです。
グルーミングスプレーはブラッシングスプレーでもあるので、3分前の手順を、手ではなくブラシで済ませることもできます。乾いた毛にブラシをそのまま入れると、毛が浮いて歯に絡み、頭のてっぺんでいちばん強く出ます。撮る前に整えたつもりのブラッシングが、立って写る枚数を増やしていることがあります。ブラシを入れる前に一度通しておくと、梳かしたあとの向きがそのまま残るので、そこから帽子をのせても、起き上がる毛が減ります。
3分前という長さそのものにも、理由があります。手を通した直後の毛はまだ動いていて、そこへすぐ帽子をのせると、動いている最中の毛が押さえつけられます。飾りの位置を直したり、カメラの明るさを合わせたりしているあいだに、ちょうど落ち着きます。段取りを先にすませて、最後に頭へ手を通すのではなく、頭へ手を通してから段取りをする。クリスマスの写真で変えられるのは、この順番のほうです。
帽子をのせずに撮った写真のほうでも、頭の同じ場所だけが毎回浮いて写る/その場所の線が、去年の写真より目に見えて短い/拡大すると、毛の下の地肌が透けている/撮影の夜に限らず、後ろ足で頭のうしろをかく回数が増えている/浮いて写る場所に触れると、周りより熱く感じる。ここまで来ると、毛の向きの話では説明がつきません。1回ぶんの枚数ではなく、枚数の内訳そのものが年をまたいで変わってきているからです。去年と今年の同じ時期の写真を日付順に並べて、動物病院へ持って行く日を決めてください。いつから、何枚のうち何枚に写るようになったのかを、こちらが言葉で説明しなくても、写真の並びがそのまま伝えます。
去年の1枚と並べたときに見えるもの|クリスマスの写真に残る一年の変化
クリスマスの写真には、ほかの写真にない使い道が1つあります。同じ帽子で、同じ時期に、毎年撮られることです。ふだんの写真は場所も明るさもばらばらですが、この1枚だけは条件がそろっています。去年の1枚と今年の1枚を並べると、1年のあいだに動いたものが、比べられる形で出てきます。
| 見るところ | 去年の1枚で見るもの | 今年の1枚で変わっていたら |
|---|---|---|
| 頭の毛の長さ | 帽子の縁から出ている量 | 短くなっていれば、換毛の抜け方が去年と違う |
| 線が出ている場所 | 散らばっているか、一点か | 一点へ寄っていれば、そこだけ条件が違う |
| 目のまわりの毛 | 湿って見える範囲 | 広がっていれば、室内の乾燥以外の理由を探す |
| 帽子をのせ直した回数 | 何回でのったか | 増えていれば、触られ方の好みが変わった |
| 撮った総枚数 | 何枚で1枚が決まったか | 増えていれば、じっとしていられる時間が短い |
表のいちばん下が、写真の枚数から分かることのうち、いちばん見落とされるものです。去年は12枚で決まった1枚が、今年は22枚かかった。これは撮り手の腕の話ではなく、その子がじっとしていられる時間の話です。季節の変わり目に体の調子が動く子ほど、この枚数がはっきり増えます。写真は毎年残るので、枚数だけを毎年書き留めておくと、日々の体感より早く変化に気づけます。
並べる相手は、去年の1枚で足ります。3年前まで一度にさかのぼると、毛の色も撮影機材も部屋の照明も変わっていて、どこが本当に動いたのかが読めなくなります。1年きざみで隣どうしを比べるほうが、差は小さくても、その差が何によるものかは分かります。そのために要るのは、今年の1枚を、来年の自分が見つけられる場所に置いておくことだけです。
今夜やることは2つです。撮った枚数と、頭の毛が立って写った枚数を、写真のフォルダ名のうしろに書き足すこと。それから、帽子をのせる前に手を通した夜だったかどうかを、同じところへ一言だけ残すこと。来年の同じ日にこのフォルダを開いたとき、その2行が、去年の自分からの申し送りになります。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見る本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
