C08季節・行事
膝にのせてもらう日|前の晩に梳かすか、直前に梳かすか
膝から降りた客人の濃い色のズボンに、粘着ローラーを何往復かけたか。年末に人が来る家で、その子の抜け毛がどれだけ移ったかは、この数字にいちばん正直に出ます。来客の予定が入ったとき、多くの家がやることはひとつです。ブラシを通しておく。問題は回数ではなく、それを前の晩にやるか、人が来る30分前にやるかのほうです。同じ一回のブラッシングでも、一晩あけた被毛と梳かしたての被毛では、膝の上で服に移る量が変わります。この記事では往復回数というひとつの数字だけを手がかりに、ふたつの時間帯を並べます。
膝にのせてもらう日が決まった時期に、来客の抜け毛を何で数えるか
年末に人が来ると、その子はたいてい誰かの膝にのぼります。抱き上げてもらうのではなく、座っている人のところへ自分から行って、そのまま丸くなる。犬でも猫でも、来客のある家では同じことが起きます。困るのは降りたあとです。濃い色のズボンやスカートに、細い毛が線になって残っています。この記事で数えるのは、そこに粘着ローラーを何往復かけたか、その回数だけです。
本数ではなく往復で数えるのは、量より先に手間のほうが目に見えるからです。抜け毛が何本ついたかを数える人はいません。けれど、3往復で終わったのか、9往復かけてまだ袖口に残っていたのかは、その場にいた全員が覚えています。来客の膝は、抜け毛の量がそのまま人の手間に変換される場所です。だから膝の上の抜け毛は、往復の数で管理できます。
| 記録するもの | 書き方 | あとで何が分かるか |
|---|---|---|
| ローラーの往復 | 3往復・9往復と数字で | その日の梳かし方が足りていたか |
| 膝にいた時間 | 10分・40分と刻んで | 時間が伸びるほど移る量が増えるか |
| 膝の布の種類 | ニット・綿・化繊のどれか | 静電気で吸いつく素材だったか |
| 暖房を入れた時刻 | 何時に入れたか | 空気と被毛が乾くまでにあった時間 |
この4行がそろうと、来年からは梳かす時間帯を当てずっぽうで決めなくて済みます。秋の換毛期が落ち着いたあとでも、冬の被毛は毎日抜けます。抜ける量そのものは、梳かす時間帯を動かしても変わりません。変わるのは、抜けかけた毛がどこで落ちるかです。来客の膝の上で落ちるのか、その前に家の床と寝床で落ちるのか。人が来る日にブラシを持つとき、飼い主がやっているのは、毛が落ちる場所を膝より手前へずらす作業です。往復の数は、そのずらし方がうまくいったかどうかを示す数字になります。
軸1・前の晩に梳かす|一晩あけた被毛が、来客の膝の上でつくる違い
寝る前に梳かしておくと、ブラシで浮かせた毛が、そのあとの8時間で寝床と床のほうへ落ちます。抜けかけの毛は、梳かした瞬間に全部が取れるわけではありません。根元から離れて、毛先のあたりに引っかかったままの毛が被毛の中に残ります。その残りが、寝返りを打つたび、朝いちばんに体を振るたびに落ちていきます。来客が来るころには、膝へ移るはずだったぶんがひととおり抜けきった状態になっています。
一晩あけることで、静電気のほうも落ち着きます。梳かした直後の被毛は毛先がそろって立ち上がり、布の繊維に吸いつきやすい状態になります。夜に暖房を切って寝る家なら、その間に部屋の空気が冷え、朝までに湿り気が少し戻ります。朝の被毛は毛先が寝ていて、根元までおさまっています。膝にのせてもらっても、毛が布へ立ち向かっていきません。
- 夜の段取り:寝床に入る前に、背中から腰、そのあと胸と後ろ足の付け根の順で梳かす。抜けかけの毛は後ろ半分に多く残ります
- 寝床の側:敷いているものを一枚はがせるようにしておくと、朝にそこだけ外して払えます
- 朝にやること:体を振らせてから、床に落ちたぶんを掃く。ここで落ちた毛は、膝に乗らなかった毛です
- 当日は触らない:来客の直前にもう一度ブラシを入れると、せっかく寝た毛先がまた立ちます
弱いのは、一晩のあいだに新しく浮いてくる毛があることです。夜に梳かして朝を迎えるころには、被毛の中にまた抜けかけの毛がたまりはじめています。来客が昼過ぎに来る家だと、梳かしてから膝に乗るまで15時間以上あくことになります。前の晩だけで済ませると、この15時間ぶんがそのまま膝の上に出ます。途中で散歩に出ていれば、外で拾った砂ぼこりも一緒に残ります。うるおいのある毛はまだ根元を離れていませんが、乾いて浮いた毛はこの時間帯にどんどん増えます。
軸2・直前に梳かす|梳かしたての毛先と静電気を、来客と膝の側から使い分ける
来客の30分前に梳かすと、その時点で浮いている毛はほぼ取れます。15時間ぶんの取りこぼしがない状態で膝に乗せられるのだから、降りたあとのローラーは少なくて済むはずです。ところが、暖房を入れて2時間たった部屋では、思ったほど往復が減りません。取れた毛の量と、服に移る毛の量が、同じ向きに動かないからです。
梳かしたての被毛は、毛先が立って、ブラシとこすれたぶんの電気を持っています。乾いた空気の中では、その電気が抜けるまでに時間がかかります。膝の布がニットやフリースなら、立った毛先はそこへ吸い寄せられます。直前に梳かすことの弱点は、毛の量ではなく、残った毛の移りやすさの側にあります。抜けかけの毛を減らしたのに、残った毛のほうが積極的に服へ向かっていく。これが、直前に梳かした日ほど往復が伸びる理由です。
| 見るもの | 目安 | 膝の上に出てくること |
|---|---|---|
| 暖房を入れてからの時間 | 2時間を超えている | 空気が乾き、静電気が抜けにくい |
| 湿度計の数字 | 40%を下回っている | 立った毛先が寝るまで戻らない |
| 膝にのる人の服 | ニット・フリース・毛足のある布 | 毛先が布に吸いつく |
| 梳かしてから乗るまで | 30分に満たない | 根元の毛がまだ落ち着いていない |
| 直前の散歩 | 帰宅後1時間以内 | 外の乾いた空気をまだ被毛が持っている |
使い分けの線は、その子の毛質ではなく、部屋が乾いているかどうかで引けます。湿度が40%を超えていて、暖房を入れてまだ1時間なら、直前に梳かすほうが往復は減ります。乾いた部屋で直前に梳かすなら、梳かす前に被毛を少し湿らせておかないと、取った以上のものを膝へ渡すことになります。帰宅後すぐに来客を迎える日も同じで、外から持ち帰った乾いた空気が抜けるまで、毛先は立ったままです。
乾いた被毛にブラシを入れると、抜けかけていない毛まで一緒に引かれます。その日の往復が減っても、翌週の抜け毛が増えます。毛先が立っている感触があるときは、ブラシより先に被毛を湿らせる手順を挟んでください。根元にうるおいが戻ってから梳かすと、取れるのは離れかけていた毛だけになります。
前の晩と直前を並べて、その子の抜け毛から選び方を決める|膝に乗る30分の組み立て
ふたつの時間帯は、得意にしている仕事が違います。前の晩は落ちる場所を家の床へずらす仕事、直前は浮いた毛を取りきる仕事です。どちらか一方に決めようとすると、片方の仕事が丸ごと抜けます。来客の膝という短い時間のために組むなら、両方を一度ずつ使うのがいちばん手数が少なくなります。
| 見るところ | 前の晩に梳かす | 来客の30分前に梳かす |
|---|---|---|
| 浮いた毛が落ちる場所 | 寝床と床 | ブラシとその場の床 |
| 膝に乗るまでの間隔 | 10〜15時間 | 30分未満 |
| 毛先の向き | 寝ている | 立っている |
| 静電気 | 夜のあいだに抜けている | 持ったまま膝へ行く |
| 取り残し | あとから浮いた毛が残る | その時点の毛はほぼ取れる |
| ローラーの往復が伸びる条件 | 来客が昼過ぎ以降になる日 | 湿度が40%を割っている日 |
| 向いている家 | 朝に来客がある家 | 湿度が保たれている部屋 |
表の下2行が、選び方の分かれ目です。来客が午前中なら、前の晩の一回で足ります。昼過ぎ以降に人が来て、部屋を朝から暖めている家では、前の晩に梳かして落とし、直前に被毛を湿らせてから軽く通す。直前にやる仕事を「取ること」ではなく「毛先を寝かせること」に振り替えると、往復の数はいちばん小さくなります。
その直前の一手で使うのがmofuwaグルーミングスプレーです。膝に乗る30分前、背中と腰、それから胸のあたりに吹きかけて、そのままブラシを通します。乾いた被毛のまま梳かすと毛先が立ちますが、先に湿らせてあれば毛先はそろったまま寝ます。往復が9回になっていた日の原因は、取り残しではなく、この毛先の向きのほうでした。吹きかけてから梳かすまでの手順が増えないので、来客を待つ30分のあいだに収まります。
この一本を直前に使えるのは、量を気にしなくていいからです。膝に乗せてもらうということは、来客の手がその子の背中に伸びるということで、そのあと自分で毛づくろいもします。口に入る前提の場所に吹きかけるものは、そこから選ぶことになります。中身は清涼飲料水の規格基準を満たす水でつくられていて、香料を足していません。だから、来客の30分前に背中いっぱいに吹きかけても、膝の上でにおいが立ちません。足りているか迷って少なく使うほうが、毛先が湿りきらずに往復を増やします。
前の晩のブラッシングにも、同じグルーミングスプレーを使えます。アルカリ電解水が被毛の油となじんで乳化するので、余分な脂だけが浮いて、地肌に要る皮脂は残ります。夜に梳かす日は汚れを落とす側の仕事、直前は毛先を寝かせる側の仕事と、使う場面だけが変わります。前の晩と直前で道具を持ち替えずに済むぶん、来客の日に考えることがひとつ減ります。シャンプーやサロンはこの30分に間に合いませんが、この一本は間に合います。
前の晩と直前をどちらに替えても往復が9回のまま/膝にいた時間が10分でも服に毛が線で残る/梳かすと毛が束で抜ける場所が一か所に決まっている/その場所の地肌が見えかけている。この4つは、梳かす時間帯の話では説明がつきません。往復の数と膝にいた時間を書いた紙をそのまま持って、動物病院で診察の枠をひとつ取ってください。数字が日付つきで並んでいると、いつから増えたのかを最初の数分で伝えられます。
来客が帰ったあとに残しておく2行|膝の抜け毛を次の年へ渡す
人が帰ってローラーを片づけたら、その日のうちに2行だけ書いておきます。往復の数と、梳かした時刻です。来年の同じ時期に、この2行があるかどうかで準備の質が変わります。抜け毛の量は年ごとに大きくは動きませんが、暖房を入れる時刻や来客の来る時間帯は、その年の都合で毎回変わるからです。
- 1行目:ローラーの往復と、膝にいた時間(例:4往復・25分)
- 2行目:梳かした時刻と、そのとき被毛を湿らせたかどうか
- 余白があれば:膝にのった人の服の素材
この2行を3年ぶんためた家では、来客の予定が決まった時点で梳かす時刻が決まります。迷う時間がなくなり、当日は吹きかけて梳かすだけになります。来客の膝で毎年くり返しているのは、毛の量との勝負ではなく、落ちる場所の置き換えです。
今日できるのは、次に人が来る日を紙の端に書いて、その前の晩と30分前に印をつけておくことだけです。抜け毛は減りませんが、膝の上に出る量は、この2つの印で変えられます。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見るよくある質問
- 猫は自分で毛づくろいをするので、来客の前に梳かさなくてもいいのではありませんか。
- 毛づくろいでは、抜けかけの毛は口の中へ移るだけで、体から離れません。飲み込んだぶんは吐き戻すか便に出ますが、背中の真ん中や腰のあたりは自分の口が届きにくく、そこに浮いた毛がたまります。膝にのぼる猫が服に毛を残すのは、たいていこの届かない範囲です。来客の前に梳かす意味は、毛の量を減らすことではなく、その子の口が届いていない場所の毛を、膝より手前で受け取っておくことにあります。
- 膝にのせないようにお願いしておけば、抜け毛の話はしなくて済みますか。
- その日は済みます。ただし、膝にのぼれない日のその子は、たいてい人の足元やソファの布に体を寄せます。移る場所が膝からソファへ移動するだけで、あとから払う手間は残ります。来客が帰ったあとにソファの座面をローラーでなでてみると、膝に乗せた日と同じくらいの毛が取れることがあります。どこで受け取るかを決めるほうが、のぼらせないと決めるより現実的です。
- ブラッシングを毎日にすれば、来客の日に特別なことをしなくてよくなりますか。
- 日ごとの抜け毛は確かに平らになります。それでも、来客の日だけは条件が変わります。暖房を長く入れる、人が多くて室温が上がる、膝にのっている時間がふだんより長い。毎日梳かしている家でも、この3つが重なった日は往復が伸びます。毎日のブラッシングは土台として続けたうえで、来客の日は梳かす時刻と、被毛を湿らせるかどうかだけをその日用に決めてください。
本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
