C09シーン別・暮らし

シニア犬と暮らす人が赤ちゃんが生まれた家で困ること、その手当て

公開日 2020年12月12日|文=mofuwa編集部

明るい静かな部屋で、淡いクリーム色の年老いた犬が毛布の上で眠っている
手が回らない時期に決めるのは、足すことではなく、やめてよいことのほうです。写真:https://kaboompics.com//Pexels

赤ちゃんが家に来た週から、朝の散歩の時刻が毎日15分ずつ後ろにずれはじめます。夜中に起きるので朝が遅くなり、遅くなったぶんだけ、そのあとの予定が全部押されます。同じ時期に、老犬のほうは自分でできることが少しずつ減っていて、人が代わる範囲が広がっています。人の手が回らない時期と、その子の手が減る時期が重なりました。この記事では、ペットのケアに何かを足す話はしません。何をやめてよいかを先に決めて、残ったものだけを毎日に置き直します。7つの問いに分けて答え、最後に一日の流れで通して並べます。

まず減らしていいものを知りたいです。赤ちゃんが来た家で、老犬のケアはどこから削れますか

削る順番は、頻度を落としても状態が戻せるものからです。毎日やっていたことのうち、2〜3日空けても元に戻せるものと、空けると戻すのに時間がかかるものがあります。赤ちゃんが来た家では、ペットのケアをこの2つに分けるところから始めてください。全部を減らすのでも、全部を守るのでもありません。

老犬のケアを、戻しやすさで分ける
ケアの中身間隔を空けたときにこの時期の扱い
全身のブラッシング毛が絡んでも数日ならほどける2〜3日に1回まで減らせます
体を拭く翌日にまとめても差が出にくい夜だけに寄せられます
足まわりを見る1日空くと汚れが乾いて残る帰宅のたびに続けます
寝ている面の湿り続くと戻すのに時間がかかる毎日そのまま続けます
体重と食べた量の記録空けると変化の起点が分からなくなる毎日1行だけ続けます
おやつを使った練習ごと止めても元に戻せるこの時期は止めて構いません

この分け方でいくと、赤ちゃんが生まれた家で残るのは「毎日1分で終わるもの」だけになります。老犬の側で毎日必要なのは、足まわり、寝ている面、そして記録の3つ。ここに時間をかけない代わりに、日数を空けないという形です。

なぜ、赤ちゃんが来ると先に減るのが老犬の側の時間なのですか

老犬は、待てるからです。要求が静かで、催促の回数が少なく、こちらが遅れても表に出しません。声を上げる側から順に手が向かうので、静かな側の時間が先に削られます。これは飼い主の気持ちの問題ではなく、家の中で手が向かう順番の問題です。赤ちゃんとペットが同じ家にいる時期には、ほぼ必ずこの順番になります。

もうひとつは、老犬の側の変化がゆっくり進むことです。1日で大きく変わらないので、明日にしても大丈夫だと判断できてしまいます。判断そのものは正しいのですが、それが2週間続くと、気づいたときには元に戻すのに時間のかかる状態になっています。減るのは1回の時間ではなく、日数の連続性のほうです。

Noteこの時期に増やす方向で考えないでください

赤ちゃんとペットの両方に手をかけようとすると、どちらも中途半端になり、その状態が続くこと自体が負担になります。この記事が減らす話から入っているのは、増やせる余地がない時期だからです。減らすと決めたことは、罪悪感の対象ではありません。数か月後に戻せるものを、いま止めているだけです。

毎日のブラッシングを2日に1回にしても大丈夫ですか

大丈夫な場所と、そうでない場所があります。体の上側と背中は2日に1回で保ちますが、こすれる場所とたまる場所は日数を空けると戻しにくくなります。老犬は寝ている時間が長いので、体の下側や関節の内側のように、床と接している面が先に絡みます。

全身を1回で回そうとすると、始めるまでの気持ちの準備が要ります。1日1か所と決めてしまうと、赤ちゃんを寝かしつけた後の3分に収まります。今日は脇の下、明日は付け根、というように場所で割ってください。ペットのケアは、1回の長さより日数の連続性のほうが効いてきます。老犬の側も、長く立たせておかれるより短いほうが楽です。乾いた毛のまま櫛を入れると、絡んでいる場所で先に止まります。mofuwa グルーミングスプレーを布に含ませてその1か所をなでてから梳かすと、櫛が通る深さまで先に湿ります。冬は静電気で毛が逆立つので、梳かす前に湿らせておく手順が、老犬の側の我慢する時間をいちばん短くします。

シニア期の変化とは何を指すのですか。老犬になったから、で片づけていいですか

シニア期の変化とは、できていたことが少しずつ減っていく、その減り方がゆるやかな変化のことです。歩く距離が短くなる、寝ている時間が長くなる、毛づくろいや体をなめる回数が減る。数か月単位でゆっくり進むのが特徴で、昨日と今日で比べても分かりません。

だからこそ、年齢で片づけていい変化と、そうでない変化があります。速さが判断材料になります。数か月かけて進んだものはシニア期の変化として扱えますが、1〜2週間で急に変わったものは別に見てください。赤ちゃんが来た時期は家の中の条件も動いているので、混ざりやすい時期でもあります。

年齢の変化と、分けて見たほうがよい変化
見え方ゆるやかに進んだ場合1〜2週間で急に変わった場合
歩き方歩幅が狭くなってきた片脚をかばう、段差で止まる
寝る時間少しずつ長くなってきた呼んでも起きない日が続く
食べ方食べる速さが落ちてきた食べ残す量が急に増えた
体をなめる自分でなめる回数が減った同じ場所だけをなめ続けている
におい以前より少し強くなった数日で分かるほど変わった

右の列に当てはまるものがあれば、赤ちゃんが来た時期の変化として片づけず、動物病院にご相談ください。老犬だから、で説明できるのは左の列までです。

散歩の時刻が毎日ずれます。どの順番で立て直せばいいですか

時刻をそろえ直すのは、いちばん後ろで構いません。先に固定するのは、時刻ではなく順番のほうです。起きたら水、そのあと外、帰ったら足まわり。この並びさえ同じなら、始まる時刻が毎日ずれても、老犬の側は次に何が来るかを予測できます。ペットが時刻を覚えているように見えるとき、実際に覚えているのは並びのほうです。

  1. 1:並びだけを紙に書いて、見える場所に貼る

    水→外→足まわり→ごはん、のように4つまで。赤ちゃんの世話で頭がいっぱいの時期に、順番を思い出す作業をなくします。紙に書いてあれば、その日どこまで進んだかを家族の誰でも引き継げます。

  2. 2:長さを半分にして、回数を保つ

    1回30分の散歩を1回にするより、15分を2回のほうが、老犬の体には無理がありません。まとめると1回あたりの負担が上がります。時間が取れない日は、家の前を往復するだけでも回数として数えてください。

  3. 3:時刻をそろえるのは、赤ちゃんの睡眠が落ち着いてから

    夜中に起きる時期に時刻を守ろうとすると、守れなかった日に自分を責めることになります。時刻は、戻せるようになってから戻せば足ります。順番が保たれていれば、その間の生活は崩れません。

同じ部屋にいる時間が長くて、においが分からなくなりました

一日じゅう同じ空気の中にいると、においの変化には気づけなくなります。これは鼻が慣れるためで、飼い主の側の問題ではありません。気づける人を家の外に置くか、気づける時刻を作るかの2つで対応します。

老犬にとって、湯を使う日は体力を使う日でもあります。立っている時間が長くなり、乾かし終わるまでを合計すると1時間近くかかります。赤ちゃんの世話と重なる時期に、この1時間は毎日置けません。だから毎日の側は、mofuwa グルーミングスプレーを布に含ませて、においが出やすい口のまわりと、寝ている面に触れている側を拭く形で回します。毎日きれいにしておくためのスプレーなので、においに気づいた日も、気づかない日も、同じ手順で置けます。湯を使う日は湯を使う日として月の予定に残したまま、毎日の側だけをスプレーが受け持つ形です。布に移った汚れはそのまま目で見えるので、その日どこがいちばん強かったかを、記録の1行に書けます。

この時期に、はっきりやらなくてよいことを決めてほしいです

決めます。赤ちゃんが生まれてからの数か月、老犬のケアでやらなくてよいのは「見た目を整えるための作業」です。毛の長さをそろえる、飾り毛を整える、爪の形をきれいに落とす。どれも数か月後にまとめて戻せます。止めても、その子の日常は変わりません。ペットの側に用があって続けていたことなのか、人の目のために続けていたことなのかで分けると、線が引きやすくなります。

この時期にやらなくてよいことと、その理由
やらなくてよいこと理由いつ戻すか
毛の長さをそろえる伸びても生活に差が出ない次のサロンの予約でまとめて
新しいケア用品を試す変化の原因が増えて切り分けにくい生活が落ち着いてから
おやつを使った練習ごと止めても覚えたことは残る赤ちゃんの睡眠が安定してから
写真を撮るための身支度その子の側に用がないいつでも
前と同じ散歩の距離を守る距離より回数のほうが体に合う戻さなくて構いません
Pointやめたことは、書いて残しておく

何を止めたかを紙に1行ずつ書いておいてください。止めたことが記録されていないと、数か月後に何を戻せばいいのか分からなくなります。また、動物病院で相談するときに、いつから何を止めたかが分かると、変化の起点を一緒に探せます。止めた日付だけで足ります。

減らしていいものと、減らせないもの|赤ちゃんと老犬の一日を通しで並べる

最後に、ここまでの答えを一日の流れで並べます。残しているのは、合計で5分に届かない量です。赤ちゃんが生まれた家で、老犬のケアに使える時間はこのくらいで、このくらいで足ります。

赤ちゃんと老犬の一日|残すものだけを並べる
時間帯残すことこの時期はやらないこと
朝水の器を替える/並びの1つ目から始める時刻をそろえようとすること
散歩のあと足まわりを見る(30秒)全身を拭き上げること
日中寝ている面に手を当てて湿りを見る起こして遊びに誘うこと
夕方1日1か所だけブラシを入れる(3分)全身を1回で回すこと
夜食べた量と歩き方を1行書く見た目を整える作業

減らせないものは3つだけです。足まわり、寝ている面の湿り、そして毎日1行の記録。この3つは、いずれも「変化に気づくため」に残しています。ペットのケアの中で、手が回らない時期にいちばん価値があるのは、手をかける量ではなく、気づける状態を保つことのほうです。老犬と暮らす家では、その1行が半年後の相談の材料になります。

Caution次の変化に気づいたら、その日のうちに動物病院へ

片脚をかばう、呼んでも起きない日が続く、食べ残す量が急に増えた、同じ場所をなめ続けている、地肌が赤い、においが数日で変わった、寝ている面が毎朝湿っている。いずれかに気づいたときは、ケアを増やす前に動物病院にご相談ください。手が回らない時期であることは、相談を遅らせる理由になりません。書き残した1行を持っていけば、短い時間でも話が伝わります。

赤ちゃんが来た家で、ペットのケアが以前と同じ形に戻るまでには時間がかかります。戻らない期間があること自体は、この時期の当たり前です。足す記事ではなく減らす記事にしたのは、そのためです。やめてよいことを先に決めておけば、残した3つは続きます。続いているかぎり、老犬の側の変化には気づけます。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。