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高齢の飼い主を楽にする、敏感肌の子と暮らす人の毎日の習慣

公開日 2020年12月19日|文=mofuwa編集部

明るい部屋で、淡いクリーム色の猫が木の椅子の上に落ち着いて座っている
手を伸ばす距離が短くなるほど、同じ場所に触る回数を減らせます。減らす対象は、かがむ回数ではありません。写真:Min An/Pexels

床にしゃがんで後ろ足の内側を拭き終えたところで、そのまま耳、そのあと背中と、高齢の飼い主ほど一度かがんだ姿勢で全部を終わらせようとします。立ったり座ったりの回数を減らしたいからで、膝と腰のことを考えれば、これはきわめて理にかなった組み立てです。ただ、敏感肌の子と暮らしていると、この一点だけが噛み合いません。一度で終わらせようとするほど、同じ日に手を入れる場所が増え、ペットの皮膚に手が当たる回数そのものが積み上がっていくからです。この記事では、体力の話をしません。飼い主の姿勢と道具の高さを先に決めて、届く範囲を1日1か所に割る、という毎日の組み立て方を書きます。

一度かがんだら全部やろうとしてしまう理由|高齢の飼い主とペットの敏感肌

朝、リビングの床にマットを敷いて、その前にしゃがみます。目のまわりをコットンで拭き、耳の外側を見て、前足の先を確かめて、背中に手を滑らせて、おなかの下をのぞく。ここまでで15分から20分。高齢の飼い主が一度の姿勢でここまで回すのは、途中で立ち上がると、もう一度しゃがむのが大変だからです。膝も腰も、負担がかかるのは同じ姿勢を保っているあいだではなく、姿勢を変える瞬間です。だから回数を1回にまとめる。ここに間違いは何もありません。

むしろこの組み立ては、よく考えられています。道具を出すのも1回、片づけるのも1回、その子を呼ぶのも1回で済みます。ペットの側から見ても、1日に何度も呼ばれるより、まとまった時間に1回のほうが落ち着いていられることがあります。問題は、この合理性が、敏感肌の子とだけ噛み合わないという一点です。

まとめたくなる理由を、思いつくまま並べてみます。どれも「できないから」ではありません。全部が「一度で済ませたほうが合理的だから」という理由です。

この5つは、高齢の飼い主に限った話ではありません。ただ、しゃがむ動作の負担が大きいほど、この5つは強く働きます。結果として、1日で体の6か所に手が当たるという毎日ができあがります。敏感肌の子と暮らしていなければ、それで何の問題も起きません。

Noteまとめるのは、無理をしているからではありません

一度の姿勢で終わらせる組み立ては、姿勢を変える回数を最小にするための、正しい解き方です。この記事は、それをやめましょうという話ではありません。ペットの敏感肌という条件が加わったときだけ、数える対象がひとつ増えます。かがんだ回数のほかに、皮膚に手が当たった回数を数える。その2つを両立させる組み立てが、後半の中身です。

手数は減っていないという考え方|敏感肌で数えるのは、手が当たった回数のほう

「1回で終わらせている」と言うとき、その1回はかがんだ回数を指しています。飼い主の側の負担で数えているので、当然そうなります。ところがペットの皮膚の側から数えると、その日は6回です。目のまわりで1回、耳で1回、前足で1回、背中で1回、後ろ足で1回、おなかで1回。手数は減っていません。まとまっただけです。

敏感肌の子でこれが効いてくるのは、同じ場所に次の手が当たるまでの間隔が短くなるからです。1日で全部を回す組み立てだと、体のどの場所も、24時間後にはまた触られます。皮膚は毎日、同じ場所でこすられ、同じ場所を拭かれることになります。敏感肌の子ほど、この短い間隔が積み上がりやすい条件です。

同じ1週間で、1か所に手が当たる回数を数え直す
1日で6か所を回す組み立て1日1か所に割る組み立て
飼い主がかがむ回数1日1回。ここは最小です1日1回。ここは変わりません
1回にかかる時間15〜20分3〜5分
その日に手が当たる場所6か所1か所
1か所が、1週間で触られる回数7回1回
同じ場所が空いている時間約24時間約6日
終わったあとに残る場所なし。ただし翌日また6か所5か所。翌日以降に回ります

表の下から2行目が、この記事でいちばん言いたいところです。1日1か所に割ると、同じ場所が触られずに済む時間が、24時間から6日に伸びます。飼い主がかがむ回数は1日1回のまま、1回の時間だけが15分から3分に縮む。膝と腰の条件は悪くならず、ペットの皮膚の条件だけが変わります。

被毛の手入れについても、同じ数え方をしてください。全身にブラシを通すのは気持ちのいい作業ですが、敏感肌の子では、毛を通すたびに歯の先が地肌をかすめます。毎日全身に通すより、今日はここだけ、と決めたほうが、地肌に当たる回数はまとめて減ります。抜け毛が気になる時期でも、面を6つに割れば、1週間で全身を1周できます。

Point数えるのは、かがんだ回数ではなく、手が当たった回数

高齢の飼い主とペットの毎日を組み立てるとき、指標が2つあります。ひとつは飼い主がかがんだ回数、もうひとつはペットの皮膚に手が当たった回数です。1日で全部やる組み立ては前者だけを見ています。敏感肌の子と暮らすなら、両方を同時に小さくできる形を探してください。かがむのは1日1回のまま、触るのは1日1か所。この2つは、両立します。

座ったまま届く高さを決めると、指先にかかる力の入り方が変化する

1日1か所に割ると決めたら、次は姿勢です。ここで動かすのは体力ではなく、飼い主とその子のあいだの距離と高さだけです。床にしゃがんで手を伸ばすと、腕は肩から伸びきります。伸びきった腕の指先は、力の加減がききません。押さえるつもりがないのに体重が乗る。ペットの皮膚の側から見ると、これは強くこすられているのと同じことです。

椅子に座って、その子を膝か、隣の座面か、高さのある台の上に迎えると、肘が体の横にきます。肘が曲がった状態の指先は、力を抜くことができます。敏感肌の子に必要なのは、長い時間でも強い力でもなく、この「抜ける指先」のほうです。姿勢を変えるというのは、そういう意味です。

  1. 先に、かがまずに手が届く高さを1つ決める

    ダイニングの椅子とテーブル、ソファの座面、洗面台の前の踏み台、ベッドの端。その子の体重を抱えて持ち上げなくてよい場所を1つ選びます。持ち上げる必要があるなら、その子が自分で上がれるように、途中に一段を足してください。高齢の飼い主にとって、持ち上げる動作は、しゃがむ動作より負担が大きいことがあります。

  2. その姿勢のまま、腕を伸ばさずに触れる範囲を指で確かめる

    座った姿勢で、肘を体の横につけたまま、どこまで手が届くかを一度なぞってください。ここで届く範囲が、その姿勢での「1か所」の大きさです。届かない場所は、その姿勢の担当ではありません。無理に伸ばすと、指先の力が抜けなくなります。

  3. 体を6つの面に分けて、曜日を割り当てる

    目と口のまわり/耳の外側/前足の先/背中と腰/後ろ足の内側/おなかと胸。面の分け方は、その子の体つきと、あなたが座る位置で決めてください。週に1日は、どこも触らない日を作ります。7つに分けて全部埋めると、休みがなくなります。

  4. その日の1か所だけを、3分で終える

    タイマーを使うと、つい延長する手が止まります。3分で終わらなかった場所は、来週のその曜日に回します。今日やり残したことは、6日後にもう一度きます。敏感肌の子にとって、6日空くことは、やり残しではなく条件のひとつです。

  5. 終わったら、次の曜日の場所を口に出して言う

    「明日は耳」と声に出すと、覚えておく作業がひとつ減ります。紙に書いて冷蔵庫に貼るのでも構いません。続かなくなる原因のほとんどは、どこまでやったか分からなくなることです。これは記憶の問題ではなく、記録の置き場所の問題です。

曜日で割る例(日曜はどこも触らない日にしています)
曜日その日の1か所飼い主の姿勢
月目と口のまわり椅子に座って、正面から
火耳の外側椅子に座って、横から
水前足の先座ったまま、膝か台に前足だけ乗せる
木背中と腰立ったまま、テーブルか台の上で横から
金後ろ足の内側椅子に座って、その子を横向きに
土おなかと胸ソファに並んで座り、体を寄せてもらう
日どこも触らない見るだけ。手は出しません

その日の1か所を仕上げる道具を、椅子の横に置いておきます。グルーミングスプレーは、毎日きれいにしておきたいを、触る回数を増やさずに済ませるための1本です。体に直接吹きかけず、柔らかい布に含ませてから、今日の1か所だけをなでるように拭いてください。布を1枚はさむと、指先にかかる力がそのぶん和らぎます。敏感肌の子では、この1枚の差が毎日の条件になります。乾いた布で往復を増やすより、湿った布の1往復のほうが、余分な皮脂と油が水と混ざって乳化し、布の側へ移ります。往復の回数を増やさずに済むのは、ここです。舐めても問題のない基準(清涼飲料水の規格基準)でつくられているので、拭いた場所を自分でなめる子でも、かかる量を気にしないで済みます。全身に使う必要はありません。グルーミングスプレーを使うのも、今日の1か所だけです。

被毛のほうも、同じ姿勢の中で終わらせます。座った位置から届く面だけにブラシを通し、届かない面は翌日の担当にする。1回に通す回数を数えて、同じ場所を何往復もしないでください。3往復で終える、と決めておくと、目で見て気になったところをつい繰り返す手が止まります。毎日のケアで、いちばん増えやすいのがこの往復です。

触る回数を減らして変わらなかった、という事実が持っている意味

2週間続けると、割り方が体に入ります。ここまでで多くの場合、飼い主の膝と腰の負担は増えず、その子の皮膚に手が当たる回数だけが減っています。それでも同じ場所が短い間隔で戻ってくるときは、毎日のケアの話ではありません。触る回数を減らして変わらなかった、という事実は、それ自体が情報になります。

Caution週に1回まで減らしても、同じ場所が戻ってくるとき

地肌が赤い、じくじくしている、においがある、触ると痛がる、同じ場所をなめ続けている、毛が抜けて地肌が見えている、食欲や元気が落ちている。いずれかに当てはまるときは、ケアの回数や道具を変える前に、動物病院にご相談ください。敏感肌という言葉で片づけずに、一度診てもらうほうが、そのあとの毎日がはっきりします。判断に迷ったときは、早いほうを選んでください。

受診のときは、どこを/いつから/その場所を週に何回触っていたかの3つを持っていってください。曜日で割っている飼い主は、この3つ目を正確に答えられます。「週に1回、金曜だけ、布で拭いています」と言えることは、毎日全身を拭いている場合よりずっと役に立ちます。1日1か所に割るという組み立ては、記録の形をしています。高齢の飼い主にとって、これは記憶を頼らずに済むという意味でもあります。

ここまで、体力の話を一度もしていません。減らしたのは、かがむ回数でも、かける時間でもなく、同じ場所に手が当たる間隔だけです。椅子の高さを決めて、届く範囲を1か所と呼び、曜日を割り当てる。動かしたのは姿勢と道具の2つで、どちらも今日から変えられます。高齢の飼い主とペットの毎日で、敏感肌の子に合わせて動かせるのは、まずここです。

最後に、日曜のことを書いておきます。どこも触らない日を1日残すのは、飼い主の休みのためだけではありません。手を出さずに見るだけの日があると、変化に気づけます。毎日どこかを触っていると、昨日の自分の手の跡と、その子の皮膚の変化が混ざります。何もしない日に、離れたところから全身を眺める。敏感肌の子と長く暮らすうえで、この1日がいちばん静かに効いてきます。

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本記事は日常のお手入れに関する情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。