C02技術・エビデンス
「乳化」でなぜ汚れが落ちるのか、台所の油で考える
フライパンに残ったごま油を水だけで流そうとして、指先までぬるぬるにした日があります。お湯に替えても、油は流しの縁を回って少し先で止まりました。洗剤を1滴落とすと、水が白く濁って、そのまま流れていきます。このとき起きているのが乳化です。油は消えずに、細かい粒へ分かれて水の側に移り、水と一緒に運ばれていきます。犬や猫の毛の上でも、汚れが落ちるときには同じことが起きています。この記事では、台所の油を相手に、乳化で汚れが落ちるまでの道すじを8つの問答で追います。
フライパンに残った油が、水だけでは流れていかないのはなぜですか
水と油が、同じ流れに乗らないからです。水の粒は水の粒どうしで強く引き合っていて、そのあいだに油を受け入れる隙がありません。だから水は油をよけて流れ、油はフライパンの表面に貼りついたまま残ります。お湯にすると少しだけましになるのは、温度が上がって油がやわらかくなるからで、水の側の性質が変わったわけではありません。
この「乗らない」という状態が、汚れが落ちないことの正体です。汚れを落とす作業は、汚れを消す作業ではなく、汚れを運び出す作業です。運ぶ乗り物は水しかないので、油が水に乗れる形に変わらないかぎり、何度流しても同じ場所に残り続けます。犬や猫の毛の上で起きていることも、ここまでは台所とまったく同じです。
毛の上の汚れが厄介なのは、脂と外の汚れが重なっているところです。散歩から帰った足やお腹には、土やほこりが乗っています。その土は、皮脂の上に乗っているので、水をかけても脂ごとは動きません。脂が動かないかぎり、脂に抱えられた汚れも動かない、という順番になります。
乳化すると、その油はどこへ行くのですか|汚れが水の側へ移るまで
水の中に散らばります。乳化とは、油が目に見えないほど細かい粒に分かれて、水の中に散らばったまま留まっている状態のことです。洗剤を落とした流しの水が白く濁るのは、その粒が光を散らしているからです。白く見えているものが、まさに運ばれている最中の油です。
だから、乳化は分解ではありません。油は油のまま、大きさと居場所が変わっただけです。乳化した汚れは、流されなければ、水が引いたところで元の場所に戻ってきます。台所ではその心配をしないで済みます。流しの水はそのまま排水口へ落ちていくので、粒は家の外まで運ばれていきます。
この図の3つ目の丸が、この記事でいちばん言いたいところです。乳化は、汚れを外へ出す手前までしかやってくれません。粒に分かれた状態で放っておくと、水が乾いたときに、また同じ場所で1つにまとまります。乳化したかどうかと、汚れが減ったかどうかは、別々に確かめることになります。
台所でアルカリが油汚れに使われている理由|けん化という反応が起きています
アルカリが油と出会うと、油の一部が石けんに近いものへ変わるからです。この反応をけん化と呼びます。そもそも石けんは、油をアルカリで変えて作られたものです。台所でアルカリ性のものが油汚れに向けられているのは、汚れの側を洗剤に近いものへ変えてしまう、という筋道があるためです。
順番にすると、こうなります。
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① アルカリ側の水が、油の表面に触れる
毛の上や皿の上にある脂の、いちばん外側から始まります。触れているところでしか反応は起きないので、行き渡らせることが先になります。
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② 触れた面で、けん化が起きる
油の一部が、水になじむ性質を持ったものへ変わります。ここでできたものが、このあとの乳化を助ける役に回ります。
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③ 油が細かい粒に分かれる(乳化)
水になじむ側と油になじむ側を持ったものが挟まることで、油はひとかたまりでいられなくなり、粒に分かれて水の側へ散っていきます。
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④ 粒ごと運び出す
台所なら流します。毛の上なら、ブラシや手で外へ持ち出します。ここまでやって、汚れは1回分落ちたことになります。
洗剤を使う洗い方との違いは、②が入るところです。洗剤の場合は、はじめから水になじむ側と油になじむ側を持った成分を持ち込んで、③の乳化だけをさせます。アルカリの側から入ると、汚れそのものが、途中まで洗剤の役を引き受けることになります。持ち込む成分が少なくて済むのは、この順番のおかげです。
洗剤を入れない水でも、乳化は起きるのですか
起きます。ただし、どんな水でも同じように起きるわけではありません。乳化の起こりやすさは、その水がどれだけ電気分解を受けているかで変わります。同じ「アルカリ電解水」という表示でも、電気分解を受けた部分がわずかな水と、ほぼ全部が電気分解を受けた水とでは、油と出会ったときの振る舞いに差が出ます。
電気分解を受けていない水は、油の前ではただの水です。混ざっている割合が多いほど、けん化も乳化も進みにくくなります。表示の言葉が同じでも、汚れの落ち方が揃わないのは、この差が見えないところにあるからです。どのくらい電気分解を受けているかは、ラベルからは読み取れません。
mofuwaの水は、三室に分かれた電解槽で作られています。電解質を真ん中の部屋に閉じ込めて、イオンだけを膜越しに動かす形です(特許5253483)。この形にしてある理由は、電解質から来たものを水の側に持ち込まないためです。洗剤を足さずに乳化させたい場面では、水の中に余計なものがないことが、そのまま条件になります。
ごま油で比べた検証は、何を見ていたのですか|試験条件と、その出どころ
同じ油を相手に、水のほうを3つ入れ替えて比べています。試験条件は、相手をごま油にそろえたうえで、水道水・飲料用のアルカリイオン水・高機能性電解還元水の3つを並べる、という組み立てです。油を変えずに水だけを変えるので、差が出たとすれば、それは水の側の違いから来ていることになります。
| 並べたもの | この比較での位置づけ | 見ていること |
|---|---|---|
| 水道水 | 何も起きない側の目安 | 油が水に乗らないままかどうか |
| 飲料用のアルカリイオン水 | アルカリではあるが、電気分解を受けた部分が少ない水 | アルカリという表示だけで差が出るか |
| 高機能性電解還元水 | ほぼ全部が電気分解を受けている水 | けん化と乳化が、どこまで進むか |
読むときに大事なのは、これが自社で行った比較だという点です。外部の検査機関に依頼した試験とは、置く棚が違います。だから、この比較から言えるのは「この3つを同じ相手に当てたとき、乳化のしかたが揃わなかった」というところまでで、家庭のあらゆる汚れについて同じ順番になる、という話にはなりません。
落とす相手を決めずに洗浄力を比べると、泥が落ちた話と、油が落ちた話と、色が落ちた話が混ざります。ごま油のように相手を1つに決めておくと、水を入れ替えたときの差だけが残ります。数字より先に、何を相手にした比較なのかを見てください。相手が書かれていない比較は、読みようがありません。
体をなめる子に使っても大丈夫ですか|台所の洗剤と違うところ
台所の洗剤と、いちばん違うのはここです。洗剤で乳化させたときは、乳化させた成分そのものが最後まで残るので、すすいで落とす工程が要ります。皿を泡のまま置いておかないのは、そのためです。アルカリ側の水で乳化させた場合、水に持ち込んでいる成分がそもそも少ないので、すすぎで回収しなければならないものも少なくなります。
mofuwa グルーミングスプレーの中身は、この電解水です。口に入っても差し支えない範囲で成分を選んであるので、吹きかけた場所をその子がなめても、量を数えながら使う必要がありません。犬も猫も、気になった場所は自分でなめます。使う側が量をためらうと、行き渡らせることが先だという③までの順番が崩れます。たっぷり濡らせることが、そのまま乳化の条件になっています。
ただし、使う場所には線があります。目の中と耳の中には入れないでください。ここは成分の話ではなく、液体を入れてよい場所かどうかの話です。顔まわりに使うときは、直接吹きかけずに、手のひらに出してから口のまわりやあごの下へなじませると、目に入る道すじを断てます。
台所と体で、いちばん違うのはどこですか|すすげないという条件
流して捨てる工程があるかどうかです。台所は、最後に湯を流せば、乳化した汚れは排水口から家の外へ出ていきます。体の上には、その排水口がありません。毎日シャンプーはできませんし、サロンに毎日通うこともできません。だから、乳化させたあとの一歩を人の手でやることになります。
具体的には、ブラシです。吹きかけてからブラシを通すと、粒に分かれた汚れが毛の根元から先のほうへ動き、最後は抜け毛と一緒にブラシの側へ集まります。ブラシに集まったぶんが、その日に体の外へ出た量です。台所で言えば、排水口のごみ受けにあたります。ここを見ると、その日どれだけ運び出せたかが目で分かります。
逆に、吹きかけただけで放っておくと、乳化した汚れは乾いたところで毛の上にまとまり直します。やっていないわけではなく、途中で止めた状態になります。台所のたとえでいちばん持ち帰ってほしいのは、この「途中で止まる」という形のほうです。
なお、脂の出方そのものが急に変わったときや、同じ場所の赤みが引かないときは、落とし方の話ではなくなります。いつから、どこに、どのくらいの範囲で出ているかをメモして、動物病院で相談してください。乳化の話が答えるのは、毛の上に乗っているものをどう運び出すかまでです。
台所の油から持って帰れること|乳化と汚れの関係を、ひと続きで並べます
ここまでを、ひと続きにします。油は水に乗らない。アルカリと出会うと一部が石けんに近いものへ変わる。そこから油は細かい粒に分かれて水の側へ移る。移った粒は、運び出されるまでその場にいる。台所でも毛の上でも、この4つの順番は変わりません。
| 段 | 台所のフライパン | 犬と猫の毛の上 |
|---|---|---|
| 汚れの正体 | 焼いたあとの油 | 皮脂と、そこに乗った外の汚れ |
| 何で触れるか | アルカリ性の洗剤や重曹 | アルカリ側の電解水 |
| 起きること | けん化に続いて乳化 | 同じく、けん化に続いて乳化 |
| 運び出す手 | 湯を流す | ブラシを通す |
| 止まるとどうなるか | 乾いて膜になる | 乾いて毛の上でまとまり直す |
| 確かめる場所 | 排水口のごみ受け | ブラシに集まった抜け毛 |
表の最後の行が、今日から見られるところです。mofuwa グルーミングスプレーを吹きかけてブラシを通したあと、ブラシの側に何がついているかを1度だけ見てください。毛だけのときと、毛が少し重たく湿っているときがあります。重たいほうの日が、脂を抱えた汚れをまとめて運び出せた日です。
乳化という言葉は、台所から借りてきたものです。借りたまま台所に置いておくより、毛の上まで持ってきたほうが使えます。汚れが落ちるというのは、消えることではなく、運び出せたということでした。運び出す最後の一歩を持っているのは、今日もブラシを持つ人のほうです。
Product
mofuwa グルーミングスプレー
300ml / 2,970円(税込)
特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。
商品ページを見る本記事は商品の情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。掲載している検証データは特定条件下での試験結果であり、すべての環境で同じ結果を保証するものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。
