C02技術・エビデンス

セラミドは残してオレイン酸だけ落とす、という選択

公開日 2021年2月28日|文=mofuwa編集部

明るい日ざしの入る部屋で、淡い色のシーツの上に並んで休んでいる薄い色の犬と白い猫
皮膚の上には、落としたい脂と残したい脂が同じ場所に乗っています。写真:Viktoria B./Pexels

セーターを洗うときだけ洗剤を替える、という洗い分けを、多くの家がしています。えりや袖口の皮脂汚れを落とす洗剤で毛糸を洗うと、繊維がもともと持っている油分まで一緒に持っていかれて、ごわつくからです。犬や猫の皮膚の上でも、これとよく似たことが起きています。選択的乳化は、この洗い分けを1本の水の中でやろうとする設計です。落としたいのは、出てから時間がたって汚れに変わったオレイン酸の側。残したいのは、角層のすきまを埋めているセラミドと、表面をおおっているスクワランです。この記事では、その線がどこに引かれていて、どこまでが試験で確かめられた範囲なのかを見ていきます。

軸1・落としたいほうの脂はどれか|選択的乳化が成り立つ条件を皮膚の上で数える

散歩から帰って2時間ほどたった犬の背中を手のひらでなでると、指の腹がわずかにぬるつきます。同じ場所を朝なでたときには、そこまでの手ざわりはありません。この数時間で増えたものが、選択的乳化が相手にしている側の脂です。皮膚から出てくる脂は一種類の物質ではなく、何種類もの脂質が混ざったまま毛の根元に出てきます。犬や猫はヒトよりも分泌する脂の量が多く、出た脂は根元から毛先のほうへ、時間をかけて広がっていきます。

この混ざりもののうち、汚れとにおいのもとになりやすいのが、オレイン酸に代表される不飽和脂肪酸です。出たばかりのときは色もにおいもほとんどありません。ところが空気に触れたまま時間がたつと形が変わり、粘りが出て、ほこりや砂や花粉を抱え込んだまま毛の表面にとどまります。脂が汚れになるのは出た瞬間ではなく、出てから時間がたったあとです。選択的乳化という言葉が指しているのは、この「変わったあとの側」を相手に選ぶ、という意味です。

この3つがそろった脂は、家でも見分けがつきます。毛の表面だけがべたついて、根元は乾いている。白い布でなでると、布のほうがうっすら黄色くなる。においが毛先から立つ。選択的乳化の条件は、皮膚の状態ではなく、脂が出てからの時間のほうで決まります。だから同じ子でも、朝と夜では落とす相手の量がまったく違います。

軸2・残したいほうの脂はどこにいるか|犬と猫の角層で選択的乳化の条件を決めるもの

残したい脂は、落としたい脂とは違う場所にいます。セラミドは角層の細胞と細胞のあいだにあって、すきまを埋める材料そのものになっています。表面に乗っているのではなく、構造の一部として組み込まれている、という言い方が近いです。スクワランはもう少し外側で、角層の表面をおおい、水分の逃げ道をふさぐ側にいます。どちらも毛先まで広がる性質を持っていません。

同じ皮膚の上にある脂を、居場所と役割で分けて並べる
脂どこにいるか何をしているか落ちたときに出る変化
オレイン酸などの不飽和脂肪酸毛の表面まで広がる時間がたつと汚れとにおいを抱えるべたつきが減り、手ざわりが軽くなる
セラミド角層の細胞のあいだすきまを埋めて水分を抱える乾きが早くなり、フケが出やすくなる
スクワラン角層の表面水分の逃げ道をふさぐ毛がごわつき、静電気が起きやすくなる
汗と混ざった脂皮膚のすぐ上薄い膜になって外からの刺激を受ける外の刺激が直接届きやすくなる

犬と猫では、同じ量の脂が出ても残り方が変わります。下毛の多い犬は毛の本数そのものが多いので、表面まで上がってくる脂が薄く広がって、変わるのも早くなります。猫は自分で毛づくろいをするぶん、舌が届く場所と届かない場所で差が出ます。あごの下や背中の真ん中のように舌が届きにくい場所では、変わったあとの脂がそのまま残ります。犬の選択的乳化の条件と猫の条件は、脂の種類ではなく、脂が表面に出るまでの経路で分かれます。

Note「必要な皮脂を残す」という言い方の中身

商品の説明でよく見る「必要な皮脂は残します」という一行は、量を加減しているという意味に読まれがちです。実際に分かれているのは量ではなく、相手の種類のほうです。半分だけ落とすのではなく、変わったあとの脂に届いて、角層のすきまに入っている脂には届かない。この線の引き方を、選択的乳化と呼んでいます。

相手を選ぶ乳化と、選ばない乳化の違い|ごま油の比較で確かめられている範囲

ふつうの乳化は、相手を選びません。界面活性剤は、水になじむ部分と油になじむ部分を1つの分子の中に持っていて、その両方でつなぎます。つなぐ相手を見分けるしくみを持っていないので、毛の表面にある変わったあとの脂も、角層のすきまにいる脂も、届いた順に同じように運び出します。よく落ちるシャンプーほど洗い上がりがごわつくのは、このためです。

相手を選ばない乳化と、選択的乳化 軸1は界面活性剤による乳化で、届いた脂を順番に運びます。軸2はアルカリ側の電解水による乳化で、変わったあとの脂と先になじみます。同じ「落ちる」でも、残るものが変わります。 どちらも家庭の手順では併用されます 軸1・相手を選ばない乳化 水になじむ部分と油になじむ部分でつなぐ 届いた脂から順に運ぶ 角層のすきまの脂にも届く 落ちた分を戻す工程が要る 洗う日に使う 軸2・選択的乳化 アルカリ側の水が脂の一部となじむ 変わったあとの脂と先に結びつく 角層のすきまには入りにくい 戻す工程を足さずに済む 洗う日と洗う日のあいだに使う
違いは落ちる量ではなく、落ちる順番と、残る側の顔ぶれです。
2つの乳化を、確かめ方まで含めて並べる
見るところ相手を選ばない乳化選択的乳化
運ぶしくみ界面活性剤が水と油をつなぐアルカリ側の水が脂の一部を水になじむ形へ変える
相手の選び方届いた順変化した脂から先に
残るもの選べない角層のすきまに入っている脂
頻度週に1回から月に数回毎日
家で見える形洗い上がりの手ざわり翌日のべたつきの戻り方
確かめられている範囲洗浄力の一般的な性質ごま油を相手にした比較試験

この表の最終行が、この記事でいちばん大事なところです。選択的乳化として実際に比較されているのは、皮脂に近いといわれるごま油を相手にした洗浄力の試験です。水道水、飲料用のアルカリイオン水、そして高機能性電解還元水の3つを同じ条件でごま油に当て、乳化とけん化の起こり方を比べています(東洋ビューティー/ウェーブコーポレーション調べ)。水道水と飲料用のアルカリイオン水では油がほとんど動かず、高機能性電解還元水では乳化が進みました。この水の製造方法は特許5253483として登録されています。

Cautionこの試験から言えないこと

比較したのはごま油という1種類の油であって、犬や猫の皮膚の上に乗っている脂そのものを測ったものではありません。セラミドがどれだけ残ったかを数えた試験でもありません。ここで確かめられているのは「油に対して乳化が起きる/起きない」という差までで、セラミドを残すことが試験で証明されていますとは書けません。選択的乳化は、この差を出発点に置いた設計の考え方として読むのが正確です。

脂が汚れに変わるまでの時間|選択的乳化が毎日のケアで意味を持つ時期

選択的乳化がいちばん働きやすいのは、脂が変わりきる前の時期です。出たばかりの脂は、まだ砂もほこりも抱えていません。この段階なら、水になじむ形へ変わった脂を、布やブラシで運び出すだけで毛の上から減らせます。一方、何日も置いて硬くなり、毛と毛のあいだで固まった脂は、同じ水をかけても動く量が減ります。時期という言葉をここで使うなら、季節ではなく、脂が出てからの日数のことです。

  1. 出てから数時間

    まだ色もにおいもほとんどありません。手ざわりがわずかに変わる程度で、この時点では汚れとして数えなくてかまいません

  2. その日のうち

    表面に上がってきた分が空気に触れ、粘りが出ます。砂やほこりを抱え始めるのもこの時間帯です

  3. 1日から3日

    抱えたものごと毛の表面にとどまり、においが立ち始めます。選択的乳化で運び出せる範囲の、いちばん外側がこのあたりです

  4. それ以上

    毛の根元で固まり、毛どうしがくっつきます。ここまで来ると、水ではなく洗う工程のほうが向きます

毎日のケアに mofuwa グルーミングスプレーが向くのは、この時間の前半に手が入るからです。アルカリ側の電解水そのものが脂となじむので、界面活性剤を足さずに、変わったあとの脂だけを水の側へ移せます。昨日きれいにしても今日また脂は出ますが、変わりきる前に運び出せていれば、毛の上に積み上がりません。舐めても問題のない基準でつくられているため、量を気にせず全身にかけられます。かけてからブラシを通すまでが1つの動作です。

季節でも量は動きます。暑い時期は出る量そのものが増え、寒い時期は減ります。ただし寒い時期は毛が厚くなるぶん、表面まで上がってくるのに時間がかかり、上がってきたときにはすでに変わっている、ということが起きます。量が減る時期のほうが、変わったあとの脂の割合は高くなります。冬にべたつきが気にならないのに、においだけ残るのはこのためです。

洗う日と、そのあいだの日の使い分け|選択的乳化を家の手順に置き直す

2つの乳化は、どちらかを選ぶものではなく、受け持つ日が違うだけです。シャンプーは相手を選ばずに落とすので、毛の根元で固まったところまで届きます。そのぶん、落としすぎた分を戻す工程が要り、頻度を上げられません。選択的乳化のほうは、毛の上に上がってきた脂を、変わったその日のうちに減らす役です。落とす深さが浅いかわりに、毎日くり返せます。

1週間の中で、どちらが受け持つか
場面受け持つ側そのとき見ているもの
散歩から帰った直後選択的乳化毛の表面に上がってきた脂と、抱えた砂
ブラシを入れる前選択的乳化静電気で毛が立っているかどうか
毛の根元が固まってきた日洗う工程毛と毛がくっついている場所
洗った翌日選択的乳化戻ってきた脂の量と速さ

この表の最終行が、使い分けの答え合わせになります。洗った翌日に mofuwa グルーミングスプレーを使って、3日目の手ざわりがどう戻るかを見る。戻りが早ければ出る量そのものが多く、遅ければ変わるまでの時間が長い。家で確かめられるのは、脂の種類ではなく、戻ってくる速さのほうです。

選択的乳化という言葉は、落ちる量の多さを言うためのものではありません。落とす相手を1つに絞って、それ以外には手を出さない、という引き算の考え方です。今日できるのは、背中を手のひらでなでて、いつ変わり始めるかを1回だけ数えておくことです。

Product

mofuwa グルーミングスプレー

mofuwa グルーミングスプレー

300ml / 2,970円(税込)

特許電解水を使った、吹きかけてそのまま梳かせるケアスプレーです。無香料・界面活性剤不使用。ブラッシング前や散歩のあと、毎日きれいにしておきたいときに。

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よくある質問

ほかの製品の表示で「選択的乳化」を見かけたとき、中身が同じかどうかはどう確かめますか。
見るところは3つあります。1つめは、何を相手にした試験なのか。皮脂に近い油を使ったのか、汚れを人工的に作ったのか、相手が書かれていない表示は比べようがありません。2つめは、何と比べたのか。水道水と比べたのか、同じ種類の別の水と比べたのかで、差の意味が変わります。3つめは、どこが調べたのか。検査機関の名前が書かれていれば、その条件をあとからたどれます。この3つがそろわないまま「選択的」とだけ書かれている場合、それは試験の結果ではなく、設計の意図を述べた言葉だと読むのが正確です。
残したい脂まで落ちてしまったかどうかは、家で分かりますか。
その日に分かるものではありませんが、3日から1週間の幅で見ると手ざわりに出ます。落としすぎたときは、洗った直後がいちばん軽く、2日目から急にごわつき、乾いたフケが増えます。落とす相手が絞れているときは、直後と3日目の差が小さく、戻り方がゆるやかです。指先ではなく手のひら全体で、背中と脇腹の2か所を毎回同じ順番でなでて比べると、差が読み取りやすくなります。犬でも猫でも、見る場所を固定するのが先です。
ブラシで毛をとかすのと、水で運び出すのは何が違いますか。
ブラシが動かせるのは、毛の上に乗っているだけのものです。抜けた毛、砂、ほこりは、ブラシだけでかなり減ります。ところが変化した脂は毛に粘りついているので、ブラシを入れると毛の表面へ引き伸ばされ、かえって全体へ広がることがあります。水になじむ形へ変えてから通すと、同じブラシが運び出す側に回ります。順番としては、水をかけてからブラシを入れる。逆にすると、乾いたまま脂をこすっていることになります。

本記事は商品の情報提供を目的としており、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。掲載している検証データは特定条件下での試験結果であり、すべての環境で同じ結果を保証するものではありません。皮膚や体調に異常が見られる場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。